著者
斎藤 夏来 SAITO Natuski
出版者
名古屋大学人文学研究科
雑誌
名古屋大学人文学研究論集 (ISSN:2433233X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.371-390, 2019-03-31

The Okayama Prefectural Museum houses a portrait of UKITA Yoshiie, a 16th century Bizen warlord from the Sengoku Period. The painting, designated a National Important Cultural Property, bears an inscription that has been deciphered largely based on Edo Period transcriptions of the words. In this work, I have taken a closer look at the inscription based on a new high-definition infrared digital image of the colophon reproduced directly from the original painting. The content of the inscription, which was written in 1524 when Yoshiie was still in his prime, touches on two aspects of Yoshiie’s life: his family background and his battlefield exploits. Regarding Yoshiie’s background, a common assumption is that he is descended from the Baekje royal family. Yet from the inscription, Yoshiie himself contends that he rose out of the merchant class to become the knight class, and founded a new family linage. Turning to military exploits, the skirmishes and battles of UKITA Yoshiie and other regional warlords helped secure HOSOKAWA Takakuni’s support for the twelfth ASHIKAGA Shogun Yoshiharu in ways that are largely omitted from the documents and diaries of court nobles and monks living in the capital. Inscriptions on paintings, which are an integral part of the Zen GOZAN(five mountain) literary tradition of the 16th century, are not fictitious, but reflect the subjective reality of the calligraphers. Sixteenth century inscriptions can thus provide valuable insights into the political history of the Sengoku era.
著者
権 錫永
出版者
北海道大学
雑誌
北海道大学文学研究科紀要 (ISSN:13460277)
巻号頁・発行日
vol.132, pp.139-172, 2010-11-15
著者
長谷川 孝治 小向 佳乃
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集 (ISSN:13422790)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71-82, 2019-03-15

本研究は,Twitter のフォロワーに対する類似性認知が他者への不寛容性を促進させるのかを検討することを目的として行われた。インターネット調査会社のモニター127名に対するWeb 調査の結果,フォロワーに対する類似性認知が高いほど,彼/彼女らに対する不寛容性も高いことが示された。また,この傾向は,孤独感の高さや自己肯定感の低さによって,調整されていた。すなわち,孤独感が高い人や自己肯定感が低い人は,フォロワーに対する類似性を高く認知するほど,それらの人々と意見の食い違いが生じた際に,不寛容性が高くなることが示された。さらに,そのような際に,フォローを解除したり,ミュートしたりする拒否行動をとるのは,不寛容性が高い人であることも示された。これらのことから,SNSを通してコミュニケーションが円滑になる反面,そこでの同質性の追求が,他者に対する寛容性を下げることにつながることが示唆された。
著者
工藤 博 クドウ ヒロシ
巻号頁・発行日
pp.1-105, 2015-06-03

応用物理分野の大学院教科書.イオンビームとその周辺分野の学術論文を読むための基礎知識をまとめたもの.つくばリポジトリで試行的に公開する理由は「あとがき」参照.
著者
杉山 有紀子
出版者
東京大学大学院ドイツ語ドイツ文学研究会
雑誌
詩・言語 (ISSN:09120041)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.15-40, 2013-01

本論はシュテファン・ツヴァイクの伝記『ロッテルダムのエラスムスの勝利と悲劇』を、出版当時の1930年代の政治情勢とそれに対する著者及び周囲の人物の態度に着目して扱う。この作品ではエラスムスと対立するルター像がナチズムに重ね合わせられているが、ナチス側だけでなく反ナチスの知識人らも、断固とした政治的立場を示そうとしない著者の立場を反映するものとして『エラスムス』を批判した。しかしツヴァイクの「中立」へのこだわりは単なる不決断ではなく、反ファシズム運動がコミュニズムと結びつくことによって精神的自由がイデオロギー化され、その本質を失っていくことに対する抵抗であった。ナチズムだけでなくあらゆる党派性の内に暴力的排除の論理を見出すゆえに、彼は政治的反ファシズムを含めいかなる党派にも与せず、それが必然的にもたらす「孤独」をも引き受ける覚悟を『エラスムス』において示したのである。
著者
小島 延夫
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.385-412, 2020-03-30
著者
伊藤 正範 Masanori Ito
雑誌
商学論究 (ISSN:02872552)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.95-113, 2016-03-10
著者
柴田 善雅
出版者
日本経済評論社
巻号頁・発行日
2005

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1978号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2005-06-27 ; 早大学位記番号:新4091 概要書あり
著者
種村 剛 弦巻 啓太 古澤 輝由
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.106-118, 2020-08

本稿では,最初に2019 年⚗月13 日に実施した,コラボレーション企画弦巻楽団×北海道大学CoSTEP「私たちが機械だった頃」を実施した背景および企画の特徴を述べる.その上で,今回の企画にかかわった演劇の専門家に対してインタビュー調査を行ない「演劇を用いた科学技術コミュニケーション」の制作過程および上演を通じて,気づいたり考えたりしたことをまとめる.インタビューからは,演出家自身が演劇作品の制作過程および上演に際して意図していたことや,彼の科学技術コミュニケーションに対して理解が深まっていく過程を明らかにすることができた.とりわけ係留する」「ラインを引く」,「空気感」などの言葉からは,科学技術コミュニケーションに演劇を用いることで得られる,観客に与える効果の一側面を見て取ることができた.また,異なる立場が協働しプロジェクトを共創する際には,協働相手を単に手段とみなすことなく,相手をリクペストし,協働それ自体の目的化を回避しつつも同時に「協働の価値化」を目指すことの重要性がうかがえた.