- 著者
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藤枝 崇史
新井 淳也
大村 圭
藤田 智成
- 雑誌
- 研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
- 巻号頁・発行日
- vol.2012-OS-120, no.7, pp.1-8, 2012-02-21
近年,多数のコンピュータを組み合わせることで性能のスケールアウトや冗長化を実現する分散システムの需要が高まっている.分散システムを開発する際には一貫性の保証が焦点となる.強い一貫性は可用性を犠牲にするため,応答速度が重視される Web サービス等のシステムとの相性が悪い.この問題を解決する一貫性に,結果整合性というモデルが存在する.しかし,結果整合性を利用する分散システムの開発は困難である.本論文で紹介する Bloom は,分散システム開発をターゲットとしたプログラミング言語である.Bloom には,結果整合性を利用する処理を簡便に記述できる,一貫性を厳密に保証すべき処理と結果整合性を利用しても良い処理の判別を自動的に行うことが可能である,などの特徴がある.本論文では,Bloom の処理系である Bud の内部実装の解析と,実行速度の評価を行った.評価の結果,Bloom のプログラム内で扱うデータ量が増えるほどにアクセス速度が増加するため,1000 個のデータを扱う場合,Bud のプログラムの処理速度は Ruby の 100 倍前後遅いという結果が得られた.