著者
兼崎 友
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

常温性のシアノバクテリアが突然変異の蓄積によりどこまでの高温耐性を獲得できるのかという命題に挑むため、3年に及ぶ長期間の寒天培地上での高温順化培養により、シアノバクテリアS. elongatus PCC 7942の通常の生育限界温度である43℃を大きく超えた株群を得ることに成功した。これらの高温耐性突然変異株群について、ゲノム上の突然変異部位を次世代シーケンサーを用いてゲノムワイドに同定し、さらに遺伝子組換えを用いた実験から高温耐性に寄与した変異遺伝子座を概ね明らかにした。この高温耐性突然変異株では、高温下での転写産物プロファイルや細胞形態、生育速度などに大きな違いが見られた。
著者
柴田 篤志 森 友洋 縣 信秀 宮本 靖義 宮津 真寿美 河上 敬介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101555, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】 骨、皮膚、靭帯などの損傷に対して超音波刺激を行うと、組織の回復を促進させると言われている。また動物モデルにおいて、筋損傷からの回復促進に超音波刺激が有効であるという報告も多い。しかし、これらの報告では、用いられている動物モデルの損傷の程度や再現性が十分に示されていない。また、損傷からの組織学的回復過程と、我々理学療法士にとって重要な“筋力”という機能的回復過程とをあわせて、経時的に検証した報告はない。そこで、本研究の目的は、既に再現性を確認してある筋損傷モデルを用いて、機能的側面と組織学的側面とを合わせて筋損傷からの回復過程を定量的に評価し、超音波刺激の効果を明らかにすることである。【方法】 8週齢Wistar系雄性ラット18匹を、無処置のSham群(n=6)、遠心性収縮により前脛骨筋を損傷させたControl群(n=6)、遠心性収縮による筋損傷後に超音波刺激を施行したUs群(n=6)に分けた。遠心性収縮を用いた筋損傷モデルは、前脛骨筋に対して最大収縮が生じる条件で電気刺激を与え、足関節の他動的な底屈運動により作製した。底屈運動の条件は、角速度を200度/秒、運動範囲を脛骨と第 5 中足骨の成す角度が60度から150度までの90度、運動回数を10回、5セットとした。超音波刺激は周波数が3 MHz、照射様式が間欠的照射 (50% cut)、照射出力強度が0.5 W/cm²、照射時間が10分間とし、損傷2時間後に1回のみ行った。筋損傷からの回復過程の評価には、機能的評価と組織学的評価を用いた。機能的評価は遠心性収縮前、2、7、14、18、21日後に小動物足関節運動装置を使用して、電気刺激時の最大等尺性足関節背屈トルクによりおこなった。なお、筋損傷前の最大等尺性足関節背屈トルク値を100%として算出した結果で比較した。組織学的評価は、遠心性収縮21日後にラット前脛骨筋を採取し、凍結横断切片を作製し、DAPIによる核染色と細胞膜に局在するDystrophinの免疫染色を行った。染色後、バーチャルスライドスキャナ(Nano Zoomer RS 2.0、浜松ホトニクス)で撮影した。撮影した前脛骨筋の筋腹横断面における浅層部、中間層部、深層部から、それぞれ一辺が0.5 mmの正方形の範囲を合計 0.75 mm²抽出し、その範囲に含まれる筋線維の筋線維横断面積を、画像解析ソフト(Image-J) にて測定した。統計処理は、先ず一元配置分散分析を行い、有意差を認めた場合に多重比較検定 Tukeyを行った。いずれの統計手法も有意水準は 5 % 未満とした。 【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は当大学動物実験委員会の承認を得て行った。【結果】 遠心性収縮2日後の Us群の足関節背屈トルクは、Control群に対して有意に大きく、 Sham群に対して有意に小さかった (Us群:30.7±4.6% 、Control群:25.2±3.0%、Sham群:101 .0 ±2.74%)。しかし、遠心性収縮7日後では、Us群とControl群間に有意な違いはなかった(Us群:55.7±5.7% 、Control群:44.0 ±5.7%)。一方、遠心性収縮14日後のUs群はControl群に対して有意に大きかった(Us群:94.0±4.4%、Control群:84.1±5.7%)。この有意な違いは18日後(Us群:109.2±6.6% 、Control群:97.8±5.2%)、21日後(Us群:123.1±8.3% 、Control群:105.8±2.5%)でも存在した。筋線維横断面積は、遠心性収縮21日後のUs群とSham群と有意な違いはなかった(Us群:3043.1±268.7 μm²、Sham群:3209.9±628.3 μm²)が、Control群(Control群2478.5±293.3 μm²)はSham群に対して有意に小さかった。【考察】 損傷2時間後に超音波刺激を行うと、遠心性収縮48時間後の足関節最大背屈トルクの減少が緩和された。これは超音波刺激が、二次的損傷による筋損傷を防止したためだと考える。しかし、遠心性収縮7日後では、control群と有意な差がなかったことから、筋損傷を防止する効果は一時的なものであったと考えられる。また、遠心性収縮21日後の結果より、超音波刺激によるに筋損傷からの回復促進効果が機能的、組織学的に明らかになった。筋組織は損傷すると、損傷 2時間後より好中球やマクロファージの活動が開始すると言われている。このマクロファージが分泌するサイトカインは、この後に生じる筋衛星細胞の活性化を促すことが分かっている。本研究の結果は、損傷 2時間後の超音波刺激がマクロファージの活動性を亢進し、サイトカインの分泌量が増加し、その結果、筋衛星細胞の増殖・分化・融合の開始を早めたことによると考える。【理学療法学研究としての意義】 超音波刺激による筋損傷からの回復促進効果を客観的に明らかにした。本研究を用いれば、強度、時間、タイミングなどの違いによる回復促進効果の違いを検証することが可能となり、最も効果的な超音波刺激の条件を明らかにすることができる。

1 0 0 0 OA 源氏小鏡 3巻

著者
花山院長親
出版者
鶴屋喜右衛門
巻号頁・発行日
vol.[3], 1675
出版者
全音楽譜出版社
巻号頁・発行日
1973
著者
自笑
巻号頁・発行日
vol.[4], 1733
著者
前谷 俊三 大林 準 西川 俊邦 小野寺 久
出版者
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
雑誌
天理医学紀要 (ISSN:13441817)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.90-96, 2014-12-25 (Released:2014-12-25)
参考文献数
21

癌治療の進歩に伴い,その有効性や有益性を評価する尺度の妥当性を検証する必要性が高まっている.評価尺度としては,古くは5年生存率があり,最近では米国食品医薬品局(FDA)の推奨するエンドポイントがある.本稿ではそれぞれの評価尺度を簡単にレビューし,主として患者の立場から何が望ましい尺度かを再検討する.  対象とした尺度は,5年生存率,全治率(Boagモデル),生存期間の中央値と平均,log-rank統計量,ハザード比,FDAのエンドポイントである.各尺度を比較した結果; 1)5年生存率は患者や非専門家にとってわかりやすい尺度であるが,癌の全治率を過大視する傾向がある; 2)全治例は延命例に比べて一般に生存期間が長く,かつその間のQOLも優れている.更に全治例が増加している現今,全治の可能性がある患者集団が解析の対象であれば,評価尺度として延命期間よりも全治率を優先すべきである; 3)もし患者の延命期間が長ければQOLが逆に低下し,患者の希望に反する結果となる恐れもある.結論として,今後,癌治療の評価尺度は更に改善の余地がある.癌の性質や,治療法および患者の希望に応じて最適の癌治療を選択する必要がある.
著者
杉尾 雄一郎
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.1092-1098, 2018-09-15

はじめに 聴覚に関する検査は“聴覚検査”と呼ぶべきであるが,その内容は膨大である.日常臨床の場で“聴力検査”といえば,一般的にはオージオメータを用いた純音聴力検査(以下,聴検)のことを指す.聴検は耳科診療において最も施行される頻度の高い聴覚検査であり,検査を行う者は手際よく施行しなければならない.その結果を検討し最終的に診断を下すのは医師の仕事であるが,検査を行う者には,検査が正しく施行されたか,得られた結果が妥当なものであるのかを,常に検討する姿勢が求められる. 本稿では聴検を行う際に念頭に置くべき事項について概説する.
著者
阿藤 大
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.760-766, 2018-06-15

当講座第2回目「判読の極意」編では,判断を誤りがちな事例や当検査におけるエンベロープに関する解説を中心に行います. 前回の当講座において,エンベロープの情報による血圧精度について解説しました.今回は四肢のバランスも踏まえて解説します.図1は前回提示した2番目の症例と同じで,エンベロープ・脈振幅レベルの部分を拡大しています.図に記す解説の通り,当症例の血圧測定精度は良好で,再測定の必要性はないと判断できます.
著者
加藤 幸宣 高林 哲司 坂下 雅文 意元 義政 徳永 貴広 二之宮 貴裕 森川 太洋 吉田 加奈子 野口 恵美子 藤枝 重治
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.261-266, 2018 (Released:2018-12-26)
参考文献数
37

好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は,鼻腔内に多発性鼻茸を有し,鼻茸・末梢血中に好酸球増加を伴う難治性副鼻腔炎である。次世代シーケンサーを用いた,鼻茸のRNA-sequencingにおけるtranscriptome解析では,ECRS患者の鼻茸でCST1の発現が高い傾向にあった。我々はCST1がECRSの病態に関与していると考え,ECRSの鼻茸内でのCST1の発現や働きについて詳細な検討を行った。CRSwNP患者の鼻茸内におけるCST1の発現に関して,real-time PCRを用いたmRNAの発現・免疫組織化学を用いた解析では,non-ECRS患者群に比べて,ECRS患者群でCST1が有意に高発現していた。特にCST1はsevere ECRSの鼻茸上皮で強い発現を示していた。つまり,CST1の発現は,ECRSの難治性や再発性と関連する。ECRS由来の鼻茸上皮細胞を精製し,IL-4+dsRNA+CST1で刺激すると,IL-4+dsRNAで刺激した時に比べて,TSLPの発現が有意に上昇した。鼻茸上皮細胞へのTSLPあるいはIL-33の刺激は,CST1の発現を誘導した。また,ECRS由来の鼻茸線維芽細胞に対するCST1の刺激は,CCL11とperiostinの発現を誘導した。CST1は鼻茸内において,ECRSの鼻茸形成・増悪に関わる様々な因子と相互作用することにより,Th2/好酸球性炎症として作用し,鼻茸の重症化,難治性,再発に関わる。ECRSの鼻茸に対して,CST1をtargetとした治療戦略が有用となる可能性がある。本稿では,CST1のECRSにおける役割を中心に解説する。

1 0 0 0 OA 西河合集

著者
清毛奇齡撰
巻号頁・発行日
vol.第51册, 1796
著者
坂井 康一 和田 健太郎 小野 晋太郎 貝塚 勉 杉町 敏之 平沢 隆之 大口 敬 須田 義大 中野 公彦 大石 岳史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.57-62, 2018-03-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
3

高速道路ネットワークの整備が進む中,道路を賢く使うには,ITS 技術を活用した運用施策の実施が求められている.一方で,実施例のない施策の場合,ドライビングシミュレータ等の仮想実験環境を用いて,施策の効果・安全性等の事前評価を行う必要がある.本研究では,高速道路ネットワーク機能を最大限利用するための運用施策の事前評価のため,道路運用施策,評価すべき項目,仮想実験環境に必要な機能・性能,要素技術・理論モデルについて検討を行った.
著者
折津 政江 生島 壮一郎 小松 淳子 中本 弘 山本 亮二 村上 正人 桂 戴作
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.152-156, 1992-07-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
8

人間ドック受診者を対象に,ストレスチェックリスト(以下SCL)と既存の心理テストとの相関を調べ,その有用性を検討した。CMIで神経症傾向が増大するに従いSCL得点は高くなり,SDS,KMIと良好な相関関係を認めた。SCLは自律神経失調症状を中心とした30問から成る問診表であるが,簡便に実施できることからストレスチェックの第一次スクリーニング法として有用であると考えられた。