著者
西本 和俊 才田 一幸 鳥居 尚之 大重 広明
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.256-266, 2003 (Released:2004-08-31)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

Monte Carlo simulation of grain growth and recrystallization behaviors in HAZ was carried out for GTA and LB weldments of carbon steel and nickel on the basis of the Potts model. The temperature distribution in HAZ was analytically computed by quasi-stationary heat conduction equations. The coarsening of grain in HAZ increased markedly in the vicinity of fusion boundary in the GTA weldments compared with LB weldments of carbon steel. The recrystallized zone spread over the HAZ along the fusion boundary in GTA and LB weldments of nickel. The recrystallized grains near the fusion boundary were also coarsened with increasing the heat input while the grains around the interface between recrystallized and un-recrystallized zones were refined. It was elucidated that the grain growth and recrystallization behaviors in HAZ could be well visualized by the Monte Carlo simulation.
著者
MACPHERSON Jeff
出版者
長崎外国語大学
雑誌
長崎外大論叢 (ISSN:13464981)
巻号頁・発行日
no.15, pp.205-214, 2011-12-30

21 世紀に入って勃発した戦争やテロ活動は、社会へ与えた衝撃や現代社会への心理的影響力によってメディアの必然的関心となっている。一方、第一次世界大戦は、一般市民は戦争から隔離され、遠く離れた戦線で行われた戦争とは直接的関与がないままに遂行されたこともあり、紳士的かつ良心的戦争であるという認識がある。そのため一般的に軽視されがちである。しかし戦史上未曾有の戦線での大量殺戮、さらに第一次大戦がもたらした社会的影響は見逃せないものであり、近代ヨーロッパ社会の根幹を揺るがした戦争として注目に値する。
著者
神田 直之 王 瑩 片岡 憲昭 山田 龍太 今泉 洋 狩野 直樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.717-728, 2015
被引用文献数
5

2011年3月12~15日に,福島第一原子力発電所事故が起こった。この事故は,近県に放射性物質汚染を引き起こした。本研究では,汚染された地域に及ぼすこの事故の影響を明らかにするため,新潟市と福島県における幾つかの湖沼の湖沼水と湖沼泥を採取した。湖沼水においては,固体高分子膜電解(SPE)装置によりトリチウム(T)比放射能の濃縮を行い,T-比放射能を液シンで測定した。このように測定したT-比放射能に基づき,環境に及ぼすこの事故の影響を調査した。それと同時に,湖沼泥中の放射性セシウムの比放射能も測定した。その結果,福島第一原子力発電所事故が近くの湖沼(例えば,福島県や新潟市)に及ぼす影響が定量的に明らかになった。以上のことから,新潟市に及ぼすこの事故の影響はかなり小さく,事故は徐々に収束していることがわかった。
著者
藤村 潤一郎
出版者
史料館
雑誌
史料館研究紀要 (ISSN:03869377)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-30, 1971-03
著者
一盛 和世
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.81-85, 1989-06-15 (Released:2016-08-26)
被引用文献数
2 3

ネズミマラリア原虫(Plasmodium yoelii nigeriensis N67)とAnopheles stephensi (BEECH)を用いて, 蚊の体長あるいは吸血量とマラリア原虫オーシスト数との関係を調べた。蚊の翅長とヘモグロビン測定法による吸血量の間には有意な相関がみられた(r=0.579,n=54,p<0.001)。しかし, 翅長とオーシストの数の間には有意な相関はみられなかった(r=0.180,n=74,p>0.05)。さらに, 体重差によって吸血量を測定し, 個々の蚊の吸血量とオーシストの数との関係を調べたが, この相関も有意でなかった(r=0.120,n=10,p>0.05)。
著者
万 人立 池亀 拓夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_23-5_32, 2017-01-31 (Released:2017-03-10)
参考文献数
15

18世紀半ばから19世紀にかけてイギリスで起きた産業革命は歴史上最大の転換期といわれている。そこには「自然環境破壊」や「劣悪な労働環境」といった今日と共通する問題が生じていた。これらの問題に対して、イギリスはさまざまな方策を駆使して乗り越えてきた。一連の流れは、後の<自然と歴史的環境を守る住民運動>ナショナル・トラストへと引き継がれていき、イギリスは今日のエシカル(倫理的)運動のマザーランド(発祥の地)として世界の注目を集めることになった。 本稿では、第1に「世界のエシカルブランド」の現状について、第2に「中国におけるエシカル動向」の現状と今後の方向性について考察する。最後に、筆者(万人立)の母国・中国の今後の持続的発展のためには、エシカル(倫理的)という視点が不可欠であること、そうしてはじめて中国の産業が次世代型へと転換し、新しい社会の誕生につながることを提案したい。
著者
田縁 正明 松村 真宏
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.208-213, 2016-11-05

スマートフォン(スマホ)の利用拡大に応じて,事故などを引き起こす歩きスマホが社会問題として注目されている.本研究ではその歩きスマホを防止するため,指向性スピーカーを用いた手法「おしゃべりスマホ」の可能性について検討した.アンケートと観察結果にて,「おしゃべりスマホ」のスマホ防止策としての有効性が明らかになり,またエンターテイメント的展開の可能性と羞恥心と嫌悪感が行動変容に及ぼす影響が示唆された.
著者
林 慎一 木村 万里子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.68-73, 2015 (Released:2015-09-02)
参考文献数
27

エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌ではホルモン療法が有効であるものの,およそ3分の1は再発する。再発のメカニズムは数多く研究されてきたが,完全に解明されたわけではなく,ホルモン療法耐性,特にアロマターゼ阻害剤(AI)耐性は代替的な細胞内ERシグナルの獲得が関係すると考えられている。筆者らは癌組織検体と癌細胞株でERの転写活性をモニタリングすることでそのメカニズムを研究してきた。エストロゲン応答配列(ERE-)GFPアデノウィルス試験ではAI無効例は多様なER活性を示し,抗エストロゲン剤への感受性も様々であったが,これは耐性には複数の機序が存在することを示唆している。また,ERE-GFP導入ER陽性乳癌細胞株からAI耐性を模倣する6種類の異なるタイプの耐性株を樹立し,リン酸化依存性やアンドロゲン代謝物依存性など,複数の代替的なER活性化経路がAI耐性に関わることを明らかにした。フルベストラントやmTOR阻害剤への反応も個々の耐性株で異なっていた。これらの結果はER陽性乳癌の分類をさらに細分化することが,ホルモン療法だけでなく新しい分子標的薬などの治療選択に極めて重要であることを示唆している。
著者
杉山 道雄 畦上 光弘
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.391-407, 1985-12-15

従来,農業経営学において生産の規模,形態,組織に関するもの,いわば生産管理に関する研究は多いにもかかわらず,販売管理については少なかったといえよう。そこで本研究は,岐阜県下144戸の採卵経営の販売構造や販売管理のあり方を検討したものである。採卵経営が飼料商や農協に完全販売委託を行なっている経営が50%以上,さらに単一取引先である場合が70%に達する。採卵経営の羽数規模拡大につれて,kg当り販売価格が上昇しているのは,取引先の多数化,それによる価格交渉の機能などによる。岐阜県を地域別にみた場合,西南濃,東中濃は東京卵価圈にあり,東濃は名古屋卵価圏にある。けれども飛騨は名古屋相場を利用するとはいえ,飛騨卵価圈を形成している。これは名古屋卵価圏とはいえ飼料配送などから孤立した卵価圏を形成しているからだとみられる。個別経営の行なっている販売管理をG.P処理の有無と販売先の単複により類型化すると次のようになる。第1形態はG.P処理を行なわず単一販売先のもの(完全販売委託型),第2形態はG.P処理を行なわないが販売先が複数のもの(不完全販売委託型),第3形態はG.P処理を行なうが販売先が単一のもの(不完全販売管理型),第4形態はG.P処理を行ない販売先が複数のもの(完全販売管理型)である。生産者受取卵価は形態1では304円,形態2で313円で+9円,第3形態で322円で+9円,第4形態で334円で+12円と高くなり,第1形態との差は30円である。G.P未処理の平均は306円でG.P処理は330円で24円の差である。以上のように販売管理による収益増は生産管理にも匹敵する重要な位置にあり,経営の意志決定をする場合にも重要な分野である。