著者
大堀 洋平 小林 豊和 黒田 良
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.89, 2011

【はじめに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折は,スポーツ選手によく起こる疾患である.理学療法評価において,疲労性骨膜炎・疲労骨折の病態を示唆する評価法は散見するばかりである.今回、骨に直接的にストレスを加える評価法を考案した.その評価法を用い,アプローチの結果,良好な結果が得られたので,ここに報告する.<BR>【症例紹介】<BR> 小学生(高学年),男性,野球選手(軟式・センター/ショート・右投げ左打ち).診断名は,右脛骨疲労性骨膜炎.レントゲンは,異常所見なし.現病歴は,当院受診約3週間前,走行時に右下腿内側に疼痛出現.疼痛軽減しないため,当院受診した.受診時の主訴は,歩行時痛であった.<BR>【理学療法評価】<BR> 圧痛は右脛骨近位内側にあり,歩行時に疼痛出現.立位アライメントは,右足位やや外転位,両膝顆間距離2横指,右骨盤やや前方回旋位,体幹やや右側屈位.脛骨ストレステスト(徒手で脛骨に外反・内反,前弯・後弯,外旋・内旋ストレスを加える)実施(以下,疼痛出現時,+と表記する).外反ストレス(++),前弯ストレス(+),外旋(遠位)ストレス(+).スクワッティングテストは,knee in時疼痛出現.歩行において,initial contactからmid stanceにかけて遅延し、骨盤・下腿外方移動不十分であった.<BR>【アプローチ】<BR> 当院初診時;右足部に内側縦アーチサポーター(ソルボ素材)装着.<BR> 約1週間後;サポーターに,後足部横アーチパッド1mm追加.<BR>【経過】<BR> 理学療法開始(当院初診)時,右足部への内側縦アーチサポーター装着にて,歩行時痛消失.練習は,走行・ノック禁止.約1週間後,走行時痛は10点法にて2点と軽減し,後足部横アーチパッド1mmを追加にて走行時痛消失.翌日には,制限なく練習参加.約3週間後来院し,圧痛・動作時痛消失を確認し,終了.<BR>【考察】<BR> 本症例は,動作時,脛骨近位内側に疼痛が出現していた.疲労性骨膜炎・疲労骨折は,疼痛部位にどのようなストレスが加わり生じたのかを把握することが重要と考える.どのようなストレス(方向・種類)かを示唆する評価として,脛骨へ直接的にストレスを加えた.その結果,脛骨外反・前弯・外旋(遠位部)ストレスにて,疼痛出現した.荷重位にて,スクワッティングテストを行い,knee inにて疼痛出現し,歩行時立脚期において,骨盤・下腿外方移動不十分であった.以上を解釈すると,本症例の疲労性骨膜炎は,立脚期における下腿の前内方への動きが脛骨近位内側への離開ストレスとなり,疼痛を発生させていたのではないかと考える.よって,右足内側縦アーチサポーターを装着することで,立脚期に下腿を後外方へ誘導し,離開ストレスを軽減させ,疼痛軽減に至ったと考える.<BR>【おわりに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折の理学療法において,骨への直接的ストレステストは病態を示唆する有効な評価法であり,サポーターの適切な選択,運動療法の一助となると考える.今後,ストレステストと動作の関係を検討していきたいと考える.
著者
芦谷 公稔 佐藤 新二 岩田 直泰 是永 将宏 中村 洋光
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.387-397, 2007
被引用文献数
13

鉄道における地震災害を軽減するには事前に施設の耐震性を向上させることが基本であるが,一方で,地震発生時は迅速かつ適切に列車運行を制御することにより事故を未然に防ぐことが重要となる。そこで,鉄道総研では新幹線を中心に早期地震検知・警報システム(ユレダス)を開発,実用化してきた。しかし,近年では,リアルタイム地震学の分野の研究開発が進展し,早期地震警報に関する貴重な知見が蓄積されてきた。また,気象庁など公的機関の全国ネットの地震観測網が整備され,その即時情報(緊急地震速報という)を配信する計画が進められている。こうした状況を踏まえ,鉄道総研は気象庁と共同して,緊急地震速報の処理手法やこの情報を活用した鉄道の早期地震警報システムの開発を行ってきた。<br> 本論では,まず,P波初動検知後数秒で震源の位置やマグニチュードを推定するために新たに開発した,B-&Delta;法やテリトリー法,グリッドサーチ法について紹介する。次に,緊急地震速報を活用した地震警報システムの概要を紹介する。このシステムは緊急地震速報を受信すると,線区沿線での地震の影響度合いをM-&Delta;法により推定し,影響があると判断した場合は,列車無線により自動的に走行中の列車に緊急停止の警報を発信するものである。また,最後に,鉄道におけるリアルタイム地震防災の今後の展望について述べる。<br>

1 0 0 0 OA 高橋氏文考注

著者
伴信友 著
出版者
大岡山書店
巻号頁・発行日
1931
著者
小林 実 伊藤 仁 森島 洋一 水谷 亮
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.54-59, 2009-03-01
被引用文献数
1

これまでの高層ビル解体は上階から下階に向けて解体していたが,今回開発した工法は,1階の柱直下にジャッキを設置し,1階部分の柱を切断してはジャッキダウンを繰り返してビルを下階から解体するものである。解体作業中の建物の耐震安全性を確保するため,新たに建物内部に鉄筋コンクリート造の壁「コアウォール」と鉄骨製の「荷重伝達フレーム」を設置する。本工法を鹿島旧本社ビル解体工事に適用した結果,騒音・粉塵の飛散低減,近隣が抱く不安感の解消,高所作業がなくなったことによる落下の危険性解消など従来の解体工事の課題を大幅に改善できることを確認した。工期短縮も見込め,解体材の分別・リサイクル率も向上し,環境に配慮した解体工法である。
著者
朱彝尊 著
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
pp.116-122, 2012-03

米国の雰囲気が変わってきた。ツイストオペと呼ばれる、短期債を売って長期債を購入する金融政策が効を奏し、米長期金利は2%前後で抑えられている。住宅ローンの金利も低位で安定し、中古住宅市場などに改善の兆しがある。 このまま米国経済が立ち直れば、いずれ自動車市場が回復に転じ、その後は金利上昇を伴ってドル相場もドル高トレンドに入るだろう。
著者
安部 淳 樋口 理 松村 利昭
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.1377-1382, 1990-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
15

Isolated fractures of the pisiform bone are uncommon. We reported two cases of isolated fracture of the pisiform bone. The first case was a 40-year-old male, and the second case was a 24-year-old female. The second case showed the Guyon canal syndrome. Both cases were treated by open reduction and fixation with microscrew. Bony unions were otained in both cases. A few months after the operation both patients were asymptomatic.
著者
山海 嘉之 太田 道男
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.1228-1231, 1989-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

従来より開発してきた光波利用によるヘモグロビン濃度計測装置および体液系モデルを基に, 透析治療時の初期循環血液量の推定法を開発した。本ヘモグロビン濃度計測装置は体外循環血液チューブを発光部及び受光部からなる測定部に挟み, 発光部からの光が受光部に達するまでに血液中でどの程度減衰したかを測定するものであり, 本体液系モデルは簡易3コンパートメントモデルとして構成されている。本推定法は透析治療時に体外循環している血液に光をあてるだけで初期循環血液量の同定を行なうことができ, 従来にない全く新しい計測法である。これにより, 治療時の循環血液量の経時的変化を相対的変化としてだけではなく絶対量の変化として捉えることが可能となる。
著者
小川浩 編
出版者
日本古銭研究会
巻号頁・発行日
vol.第9巻 (手本・試鋳・藩鋳銭), 1965
著者
佐藤 邦裕 吉田 一郎 支倉 千賀子
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.18-29, 1987-03-25 (Released:2009-05-22)
参考文献数
35

(1) 父島列島(父島,兄島,弟島),母島列島(母島,平島,向島)において1984年7月6~31日にシロアリ総合調査を行ったほか,'86年3月までにあわせて37日間シロアリの調査を行った。(2) 父島ではイエシロアリのほか,過去に例のないナカジマシロアリ,ヤマトシロアリの生息を確認した。また,兄島,弟島においてもイエシロアリの生息を確認した。(3) 父島における建築物調査として全戸の聞き込み調査を行った。イエシロアリの被害が甚大であり,特に古い木造家屋に激しいものがみられた。また,防除施工後も被害が起こることが多く,住民が施工に対する不信感を持っているように思えた。加えて施工コスト(本土からの運賃等によるコストの高騰)の問題があり,個人住宅の施工率は公共建築物に比べて低く,コスト低減のための何らかの対策が必要である。(4) 母島,向島ではナカジマシロアリ,ダイコクシロアリをまた,平島でナカジマシロアリを確認した。(5) 母島では野外でナカジマシロアリが,建築物ではダイコクシロアリの加害が多くみられた。(6) 母島の建築物の調査は,父島同様に全戸の聞き込み調査を行った。母島では父島に比べ,住民のシロアリに対する認識が不足しており,特に小笠原で問題となるイエシロアリ,ダイコクシロアリ,ナカジマシロアリの生態等の正確な情報を村民が得る場を作る必要がある。
著者
李 雁 南
雑誌
中央大学政策文化総合研究所年報 (ISSN:13442902)
巻号頁・発行日
no.21, pp.189-202, 2018-08-23

Lion Head is a long Japanese novel, written by Chinese writer Yang Yi in 2010‒2011. "Lion head" is not just a food but also a symbol. This paper analyzes the meaning of the relationship between lion head and hero. The lion head is a part of the hero, but then became a substitute that replaces the hero's personality. After the hero crossed over the border from China to Japan, the lion head became a mixed one. In the end, the lion head has been lost. In my opinion, Yang Yi is a writer using Japanese language, but she is not a Japanese writer. She imprinted Chinese mark on her Japanese literary creation, and thus make her literature has the characteristics of mixed and cross-border symbols.
著者
小金沢 勝 浜田 憲二 田中 貴将 仙名 保
出版者
一般社団法人 粉体工学会
雑誌
粉工誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.500-506, 1988
被引用文献数
1 1

Surface modification, size reduction and the improvement of energy efficiency were achieved simultaneously by using organic additives during continuous grinding with a commercial disintegrator (Cosmomizer, Nara Machinery). Triethanol amine(TEA) and toluene solution of stearic acid (SA) in varying concentrations were used as additives. While the organophilization of limestone with SA was detected, the addition of TEA caused the opposite effect. The adhesion of TEA to the limestone was tighter when it was used as a grinding aid than when it was simply added through impregnation. This was suspeted to be the result of a tribochemical reaction.
著者
フィットレル アーロン
雑誌
人文
巻号頁・発行日
no.16, pp.276-241, 2018-03

本稿では、同音反復で心情部と連結する序詞の翻訳について考察し、『古今集』、『新古今集』、『百人一首』のこの修辞法を使用している和歌、合計四十七首を検討する。最初に、序詞の本質と機能について確認し、同音反復式の序詞と心情部との関係は基本的に同音によるとはいえ、心情の背景を作ってそれと内容的にもつながると述べる。これを証明するため、考察の対象となった序歌の序詞に見られる歌語の同時代の用例を検討し、それぞれの歌語のイメージと詠まれ方を押さえて、各歌での心情部との関わりについて確認する。次いで、検討の対象とした和歌の英訳と独訳を分析し、翻訳方法を十四種に分けたうえで、それぞれを紹介し、問題点を提示した。次に、西洋詩で日本古典和歌の序詞と類似する修辞法を探求し、そこで、心情の表明を自然描写で導入するような構成を持つ詩に注目した。最後に翻訳案を提示して、数首の和歌の試訳(ハンガリー語)を行った。以上の多方面からの検討を踏まえ、同音反復式の序詞を持つ歌の翻訳方法として、序詞と心情部の順番を保持しつつ、文法的につなげないこと、また同音反復は同音を持つ語の近接、または同語の反復によって反映させることを提案した。In this treatise, we consider translations of waka prefaces (a rhetoric of waka poetry) that are connected to the meaning of the whole poem and feature sound repetition, from 47 selected waka poems. These examples have been pooled from Kokin Wakashū, Shin-Kokin Wakashū and Hyakunin Isshu. At first, we seek to determine the essence and function of the waka preface and point out that, though the landscape depicted in these prefaces connects with the meaning implied by the sound repetition, it also helps to establish the background for the meaning of the poem. To demonstrate this, we examine the expressions in other contemporaneous poems to grasp the imagery that was commonly relied upon. Next, we analyze English and German translations of the 47 poems and divide the methods of their translation into 14 groups; we introduce the 14 methods and point out their issues. Subsequently, we seek some rhetorical devices in Western poetry which can be considered similar to the prefaces in waka poetry, and pay attention to the poems which have an introduction featuring a landscape or other natural features to create a background to express the poet's intention. At last, we suggest a possible method of translation and provide some examples (translation into Hungarian). We propose, as a translation method of the waka poems with preface connecting to the meaning of the poem with sound repe tition, to keep the word order of the preface in an attempt to match the meaning in the poem, and we argue against introducing conjunctions. Likewise, the sound repetition could be reproduced by selecting similarly sounding words or by word repetition in close proximity.

1 0 0 0 OA 信州於六櫛

出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
兪 三善
雑誌
人文
巻号頁・発行日
no.16, pp.163-181, 2018-03

アーネスト・サトウの『会話篇』(1873)には感動詞が多く出現している。これらの感動詞は幕末(1862 年)に来日したアーネスト・サトウが見聞きして採集した幕末明治初期の江戸語・東京語と考えられる。本稿では『日本国語大辞典 第二版』での用例と比較をして、『会話篇』の感動詞の重要性を検証した。『会話篇』には、①室町時代の謡曲や狂言にあらわれている感動詞も少なからず収録されていること、②上方の作品に使われている感動詞も受け継がれていること、③特に滑稽本と人情本にあらわれている感動詞が多数収録されていること、④明治期の言文一致体を用いる作家の作品の感動詞と一致するものが多いこと、などが確認できた。『会話篇』の感動詞は明治期の早い用例であり、明治以前の口語が現代の口語へとつながっていく様を知ることができる貴重な記録であった。Interjections appearing in Kuaiwa Hen (Conversation) are thought to have been aspects of the language of Edo/Tokyo from the late Tokugawa and the early Meiji periods that were heard and collected by Ernest Satow, who visited Japan at the end of the Tokugawa period (1862). The significance of these interjections, in terms of the Japanese language and their etymological history, has been commented on in the Nihon Kokugo Daijiten 2nded. as: It is also worth noting that the interjections in Kuaiwa Hen 1. include interjections from joruri (ballad dramas), including Yōkyoku (Noh songs) and Kyogen (comedies) from the Muromachi period, as well as from kokkeibon (comic novels) and ninjobon (love stories); and 2. include many examples that match interjections in works by Meiji period authors who wrote in colloquial style. The interjections in Kuaiwa Hen are examples from the early Meiji period, and they are the valuable records by which we can recognize the way the spoken language prior to the Meiji period was connected to the modern spoken language.