著者
佐伯 千種 竇 雪
出版者
慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所
雑誌
メディア・コミュニケーション : 慶応義塾大学メディア・コミュニケーション研究所紀要 (ISSN:13441094)
巻号頁・発行日
no.66, pp.1-14, 2016-03

メディア・コミュニケーション2016 No.66抜刷はじめに1 パーソナルデータ利用とプライバシー保護の制度整備状況(EU・米国等, 日本)2 パーソナルデータ利用と個人の意識に関する研究3 スマートフォンの若年層の利用状況とICT産業構造の変化4 アンケート調査分析結果5 考察おわりに
著者
福島 健二 原田 要之助
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.205-213, 2016-04-15

ライフログの利活用は,新たな価値を生み出したり業務の効率性を高めたりする可能性を持っている.ビッグデータという名のもとに利活用の動きが進んでいるが,明らかな成功事例として公表されているものはそれほど多くはない.プライバシー面の問題により利活用業務が頓挫したり,プライバシー面を懸念するあまり,ライフログの利活用に踏み出せない企業も出てきている.本稿では,企業におけるライフログ利活用を成功させるために,ライフログ提供者側の心理面からのアプローチで考察を行った.ライフログ提供者がライフログを提供するという判断に至るためには,「データ提供の対価としての付加価値」,および「データ利活用目的」を示すことが重要であり,ライフログ収集側の企業自体が,ライフログ提供者から不信感を持たれるようなことをなくすことも,ライフログを利活用しようとする企業が,考慮すべき課題であることを明らかにした.
著者
佐藤 広英 太幡 直也
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集 = Shinshu studies in humanities
巻号頁・発行日
no.2, pp.57-66, 2015-03

本研究では,高校生のインターネット上における情報プライバシーの実態を検討した。高校生663名を対象としたウェブ調査を実施し,インターネット版情報プライバシー尺度(MPS-I)に回答するように求めた。その結果,以下の点が明らかとなった。具体的には,(1)女性は男性よりも属性情報に対してプライバシーを感じる程度が低いこと,(2)学年間で情報プライバシーに差はみられないこと,(3)他の世代と比較して,高校生は属性情報に対してプライバシーを感じる程度が低いこと,(4)情報プライバシーとインターネット利用時間の間には負の相関がみられること,がそれぞれ明らかとなった。
著者
佐藤 広英 太幡 直也
出版者
WebLab
雑誌
メディア・情報・コミュニケーション研究 (ISSN:2432048X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-26, 2016-03

本研究の目的は,情報プライバシーに基づくSNS利用者の類型を明らかにすること,その類型とプライバシーに関わる被害経験および自己情報公開に対するリスク認知との関連を検討することであった。SNSを利用する若年層554名に対してウェブ調査を実施した。クラスター分析の結果,情報プライバシーの得点に基づき,四つの類型が示された。また,クラスター間でプライバシーに関わる被害経験の有無,自己情報公開に対するリスク認知の程度は異なっていた。全体として,識別情報に対する情報プライバシーが低い群において,他の群よりもプライバシーに関わる被害経験を有する割合が多く,自己情報公開に対するリスク認知が低いことが示された。This study aimed to investigate the relationships between types of information privacy, experiences of invasion of privacy, and risk perception for disclosing one's information. A web-based survey was conducted of 554 young Japanese social networking site users. Four clusters were derived based on information privacy scores. These clusters differed significantlyfrom each other with respect to experiences of invasion of privacy and risk perception for disclosing their information. Overall, the cluster, which was characterized by low concerns about their privacy for identifiable information, had more unfavorable characteristics, such as more abundant experiences of invasion of privacy and lower risk perception for information disclosure, compared to the other clusters.
著者
仲島 浩紀
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.160-161, 2012-04-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
3

高等学校と大学の化学教育の架け橋になるような機会の提供として「化学実験」体験講座を実施した。その中で,女子高校生の日常生活の中の疑問としてでてきた日焼け止めクリームの紫外線防止効果について大学が保有する分析装置の1つであるESRを用いて検討を行った。本講座の試みとともに,得られた実験結果を紹介する。
著者
中村 真
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.A99-A106, 2010-05-20 (Released:2017-10-02)

近年、AdS/CFT対応(ゲージ・重力対応、またはholographicゲージ理論)は超弦理論のみならず、重力理論、原子核・ハドロン物理学、物性物理学など幅広い分野に関連して興味を持たれるようになってきました。ここでは超弦理論の非専門家、特に原子核・ハドロン物理学を専門とする方々にAdS/CFT対応の基本的考え方を説明し、今後の分野横断的交流に役立てたいと思います。
著者
夏梅 誠
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.118, no.2, pp.87-120, 2010-08-20 (Released:2017-10-02)

線形応答理論を軸としたAdS/CFT双対性の実践的なレビューです。超弦理論の知識は前提としません。Summer Institute 2009,東北大学天文学教室での集中講義などをもとにしています。
著者
西村 洋一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.367-377, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
24

本研究の目的は,ソーシャルメディア利用におけるプライバシー設定が利用者にどのように行われ,どのような要因がそれに関わっているのかを検討することである.特に,ソーシャルメディアの1つに位置づけられ,若者の利用が活発であるLINEを取り上げ,310人の大学生を対象に調査を実施した.結果は以下のとおりである.広範囲に情報が開示される懸念の少ないLINEの利用において,プライバシー設定は既存の他者とつながるための部分については弱い設定とし,未知の他者とつながる可能性のある設定や利用行動はあまり多くは見られなかった.また,プライバシー設定や利用行動と関わる要因として,知覚された規範や効用認知が有意な関連を示したが,インターネット上のプライバシー懸念は強くは関連していなかった.これらの結果を踏まえ,ソーシャルメディアの特徴を捉えながらプライバシーの扱いについて知見を深め,応用していくことの必要性などについて考察を行った.
著者
阿部 純義
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.118, no.4, pp.D177-D186, 2011-02-20 (Released:2017-10-02)

複雑系の非平衡定常状態を記述するために提出された超統計(superstatistics)の考え方について概説する。
著者
海野 倫明
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.2113-2118, 2015-12-05 (Released:2015-12-05)
参考文献数
12

膵癌は最も治療成績の不良な癌であるが,近年の癌化学療法の発達により,少しずつ治療成績が向上してきた癌でもある.外科治療においては,5つのランダム化比較試験によって拡大手術はほぼ否定され,現在,標準郭清が推奨されている.術後S-1による補助化学療法も標準療法としてほぼ確立されたといえよう.現在,さらなる治療成績の向上を目指し術前治療が注目され多くの施設で行われているが,いまだエビデンスとして確立されたものはないため,術前治療は臨床研究として行われるべきである.現在,切除可能膵癌に対する術前治療の有効性・安全性の第III相臨床研究が行われている.その結果を緒としてさらなる臨床研究により,膵癌の外科治療成績向上がもたらされるものと考える.
著者
仲野 英司
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.119, no.4C, pp.F120-F129, 2012-02-20 (Released:2017-10-02)

汎関数繰りこみ群の基本的な考え方を紹介する。その応用範囲は広いので、主に連続相転移における臨界現象への応用について解説する。
著者
野村 安治 田辺 邦美
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-30, 1973

Many studies on precipitation have been hitherto made in order to contribute the rationalization of irrigation planning. However, the data, such as the return period of drought days, are necessary one of the basic information for such planning. From this point of view, this paper deals with regional characteristics of drought days, maximum drought days and monthly precipitation during summer season (June to Aug.) in Kyushu in order to obtain useful information for irrigation planning. The outlines of the results obtained are as follows: (1) By analyzing the frequency distribution of drought days during summer season at fifty-six places in Kyushu, it was found that the distribution curve is normalized if the variable transformed into square or cubic root. (2) The coefficient of probable drought days curve (Table 3) and the return period (1/10-100 year) of drought days (Table 4) are obtained. (3) For practical use, geographical distribution maps are drawn for thirteen kinds of return period (Fig. 8-1~13). (4) The return period of maximum drought days and monthly precipitation, at eight places, are shown in (Table 8) and (Table 10). (5) It was suggested from the above results that it keeps on drying for a long term in the northern part of Kyushu to be subjected to the damage from a disastrous drought. Therefore, much care should be taken on determination of the irrigation water supply.本編では,用水量の確保という意味において水田の用水消費に関連して連続干天日数につき検討を行なつた.九州地方は,台風,梅雨などによる豪雨とともに,夏期の干ばつの危険度もかなり高い.利水計画のように低水流量に関係する計画,かんがいの必要度判定などには,降水量とともに問題としている地域にどれ位の期間引続いて雨が降らないことがあるかというような確率連続干天日数とか,そのreturn periodが必要となる.このような観点より連続干天日数,最大連続干天日数,降水量について解析を試みた.その結果の概要を示すと, /I.連続干天日数/ (1) まず日本における干ばつ概要ならびに九州地方の干ばつの時期について述べた.季節風の強い冬期は表日本と裏日本の地域差が明らかであるが,夏期には地域差はあまり顕著でない.連続干天日数の最も長い地域は,瀬戸内海沿岸を中心とした中国,四国および九州の瀬戸内海沿岸でこれに次いで関東沿岸部から東海地方へのびる地域である.九州地方の干ばつの時期は,過去の干ばつ記録よりすると主として6月から8月である. (2) 九州地方の56地点について1936年~1960年の25年間の夏期6月~8月の連続干天日数の度数分布を調べ,逆J字型に近い著しい非対称分布をすることがわかつた.これらの非対称性を除く方法として確率紙法により,正規,対数,平方根,立方根,4乗根,5乗根の変数変換を行ない,大多数の地点は平方根,立方根変換により正規化されることがわかつた. (3) 一方,連続干天日数(D)と累積度数(n)との関係をD=an^-bの双曲線の結合と仮定し,各地の連続干天日数を同一方法にて解析を行ない,その係数a,bを算出して夏期連続干天日数の曲線式を求め,その曲線の係数表およびreturn period表を作成した.また実用に便利なように13種の確率連続干天日数分布図を作成し,利水計画に利用できるようにした.これらによれば,一般に九州北部では連続干天日数が長く,南九州では少なく,また沿岸地方では日数が長く,山間部で少なくなつている.瀬戸内海沿岸および九州北西部で長期の連続干天日数が続いている. /II.最大連続干天日数/ 下関,福岡,佐賀,長崎,熊本,大分,宮崎,鹿児島の8地点について1891年~1957年の69年間の夏期6月~8月の最大連続干天日数について検討を行なつた. (1) 度数分布は,連続干天日数と同じく逆J字型に近い非対称分布をなす.確率紙法による変数変換の結果から,8地点とも対数変換により正規化されることがわかつた.また,Jenkinson法によりreturn periodを算出した.これらの結果,下関,大分,福岡では連続干天日数が長く,平均値も大きい.一方,南九州は短かい.また長崎,鹿児島,佐賀は上限のあるIII型曲線を示すことがわかつた. (2) 最大連続干天日数の周期解析の結果によれば,特に19年周期が卓越しており,地域性は見られなかつた. /III.降水量/ 最大連続干天日数と同じく8地点について検討を行ない,6月,7月,8月および6~8月降水量を対象とした. (1) 上記降水量についてJenkinson法によりreturn periodを算出し,月別,地域別変化を調べた.確率降水量は,連続干天日数とは逆に南九州が大きく,ついで中部九州,福岡,下関,大分の順となつている.平均値,標準偏差についても同様のことがいえる.これらの結果より北部九州は,干ばつにかかる危険度が大きいことがわかる. (2) 曲線型については,6月は宮崎,鹿児島を除けば下限をもつI型曲線を示し,6~8月では8地点ともIII型曲線である.