著者
細野 朗
出版者
JAPAN BIFIDUS FOUNDATION
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.203-209, 2013

生体で最大の免疫系組織である腸管には膨大な数と種類の腸内細菌が共生し,宿主の消化吸収はもちろんのこと,免疫系に対しても大きな影響を及ぼしている.<i>Bacteroides</i>はヒトやマウスの腸内細菌叢を構成する細菌の優勢菌のひとつであるが,その菌種としての特性や宿主に及ぼす機能性に注目した研究は,近年注目されてきている.腸内共生菌は摂取した食品由来成分や腸内共生菌の代謝産物などの腸内環境によって強く影響を受けており,<i>Bacteroides</i>はオリゴ糖をはじめとする難消化性糖類を資化することができる.特に,<i>Bacteroides</i>がフラクトオリゴ糖やその構成糖であるGF2およびGF3をいずれも資化することで腸内での<i>Bacteroides</i>の増殖が活性化される.また,<i>Bacteroides</i>は腸管免疫系に対して免疫修飾作用を有し,小腸パイエル板細胞に対するIgA産生誘導能はLactobacillusよりも強い.腸管関連リンパ組織の形成が未熟な無菌マウスに対しては,<i>Bacteroides</i>を投与することによって小腸および盲腸のリンパ節における胚中心の形成を誘導するとともに,腸管粘膜固有層での総IgA産生を活性化することができる.さらに,<i>Bacteroides</i>の菌体成分による免疫修飾作用は抗原提示細胞を介したT細胞応答の活性化や炎症反応の制御などを通して,生体の生理機能にも大きな影響を与えていると考えられる.<br>
著者
村上 祐子
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.155-163, 2018
被引用文献数
1

本稿では,人工知能の倫理に関して国内外のガイドライン検討状況をまとめた上で,背景となる倫理学の論点を概説する.
著者
畠沢 政保 杉田 洋 小川 孝廣 瀬尾 宜時
出版者
The Japan Society of Mechanical Engineers
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.70, no.689, pp.292-299, 2004
被引用文献数
31

A new type of thermoacoustic sound wave generator driven with the waste heat of a 4 cycle automobile gasoline engine is described. The exhaust-pipe connected sound wave generator, in which the hot heat exchanger is set in the exhaust pipe in order to recover the waste heat of exhaust gas, is proposed. A temperature of 780°C of exhaust gas in the exhaust is observed. In a conventional thermoacoustic sound wave generator, sound waves originate at a temperature of the hot heat exchanger, <I>T<SUB>H</SUB></I>, of 200-300°C and become sufficient at 700°C. It is confirmed that the new generator generates sufficient sound waves and its performance is almost equal to that of the electric heater driven generator at a thermal input of 300 W, which corresponds to slightly more than 1% of the heat quantity of exhaust gas provided under the condition that the number of engine revolutions is 2 600 r.p.m. and that the throttle opening is 35%.

1 0 0 0 OA 牛の単眼症3例

著者
廣岡 實 浜名 克己
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.644-647, 1999-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15

1982~91年に鹿児島県内で黒毛和種2例 (長期在胎), ホルスタイン種1例 (早産) の単眼奇形症を経験した. いずれも小柄で, 全身的な無毛または著しい減毛が認められ, 四肢は過度の伸長または軽い変形を示した. 単一の眼窩が顔面中央に位置し, 2例では眼球は1個であったが, 1例では2個が癒合していた. 上顎と鼻は欠損して顔面がしゃくれ, 切歯は歯肉で覆われていた. 頭蓋は形成不全で泉門が大きく開き, 左右大脳半球はほとんど欠損し, 下垂体は痕跡的であった. ウイルス学的に検査された1例ではアイノウイルスとIBRウイルス抗体が陽性で, 脳に組織学的病変が認められた. 鹿児島県には内外の報告から原因として疑われるバイケイソウの分布がなく, 原因は究明できなかった.

1 0 0 0 OA 高層建築

著者
池田稔 著
出版者
須原屋
巻号頁・発行日
vol.第1巻(一般計劃編), 1911
著者
Jason O. Jaeger Paul A. Oakley Robert R. Moore Edward P. Ruggeroli Deed E. Harrison
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.103-107, 2018 (Released:2018-01-27)
参考文献数
46
被引用文献数
8

[Purpose] To present the case of the resolution of right temporomandibular joint dysfunction (TMJD) following the correction of a right lateral head translation posture. [Subject and Methods] A 24 year old female reported facial pain and jaw clicking in the right TMJ. Radiography revealed a 19 mm right head (shift) translation posture. TMJ vibration analysis showed characteristic abnormalities for the right TMJ. The patient was treated with CBP® technique mirror image® left sided exercises, and traction methods as well as spinal manipulative therapy (SMT). [Results] After 36 treatments over a 12-week time period, a complete correction of the lateral head posture was achieved corresponding with a complete resolution of jaw pain and clicking. TMJ vibration analysis demonstrated normal right side TMJ characteristics following treatment. [Conclusion] Abnormal head/neck postures, such as lateral head translation, may be an unrealized source of TMJD and may be explained through the ‘regional interdependence’ model or by how seemingly unrelated anatomy may be associated with a primary complaint.
著者
役重 みゆき
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

平成25年度には、国内外の各地域において、報告者の対象とする時期と同時期の遺跡出土資料実見調査を行い、データの収集に努めた。特に重要な成果は、本研究の最大の目的であるサハリン、北東アジア(中国・吉林省)における資料実見調査を行った点である。サハリンにおいて、サハリン州立大学附属の博物館において、サハリンのアゴンキ5遺跡、オリンピヤ5遺跡から出土した細石刃石器群資料を見学した。細石刃核の形態のみならず, 掻器や彫器といった共伴するトゥールの形態も非常によく類似することが確認できた。後期細石刃石器群期には、北海道とサハリンにおいて均質な細石刃文化が広がっていたことが推測された。中国・吉林省では、北朝鮮との国境付近の遺跡で、長白山(白頭山)から産出する黒曜石を素材とし、北海道における細石刃石器群初頭の石器群と類似した資料が出土していると報告されていた。北海道への細石刃石器群の流入過程を考えるうえで、大陸においてすでに細石刃石器群の分化が起こっていたかどうかは、人類集団の適応戦略や移動・居住形態の観点から大変興味深いものである。これらの点を確認するために実見調査を行ったが、結果として、報告されていたような初期細石刃石器群は認められなかった。むしろ、後期細石刃石器群である広郷型や、忍路子型細石刃核、それらに特徴的に伴うトゥールが多く観察された。より重要な点は、北海道において初期細石刃石器群とほぼ同時期に存在する川西C型石刃石器群と類似する資料が確認されたことである。川西C型石刃石器群は、研究者によって本州以南から流入したとする説と、大陸から流入したとする説があるなど、その来歴が不明であった。両者とも大陸から同時期に北海道に流入したと考えた場合、同じ集団の所産であり、同一文化の異なる技術的側面を示すものか、または異なる技術をもった異なる集団が同時期に同じ地域に移住しある時期に共存していたのか、今後の議論の方向性に大きな影響を与える手がかりを得た。昨年度に行った石材調査や、今年度の調査成果をまとめた論文を執筆中である。目的としていた重要資料の調査をすべて行うことができ、成果の多い年度となった。

1 0 0 0 OA 悪太郎

著者
尾崎士郎 著
出版者
黎明社
巻号頁・発行日
1935