著者
ヤスハラ エリF
出版者
俳文学会
雑誌
連歌俳諧研究 (ISSN:03873269)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.55, pp.33-41, 1978-07-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
34

米国に於ける俳諧文学の歴史と現状を考察するに当って, 時代と内容両方によって区別して取り上げて行きたい。先ず年代的には―これは米国の日本に関するあらゆる事についても言えるのだが―第二次世界大戦を境に, 戦前と戦後とに大きく分け, さらに戦後は1950年代と, それ以後とに分けられる。そして, 又, 俳諧文学を, 学問的研究の対象としての面と, 文芸活動としての面とに, さらに分けて考える事ができる。尤も, 文学とは, その創作と研究とを完全に切り離す事はできないものであるが, ここでは, それが妥当と思われる限り区別して考えたい。そして, 作品集や研究書などを取り上げながら, 概説的ではあるが, できるだけ具体的に述べて行きたいと思う。
著者
北原 聡
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.399-420, 2005-12-05

近代日本の道路は物資や旅客の輸送など民生目的のほか軍事的にも利用された。陸軍は道路の使用および道路状況の改善に強い関心を寄せており、道路整備の主体であった府県や市町村に対して道路を整備するよう働きかけ、いっぽう、多数の兵士や重量のある兵器が通過する陸軍の道路使用は各地で道路の被損を引き起こし、府県や市町村は道路修繕を余儀なくされた。道路行政を管掌する内務省は、1919年に制定された道路法に陸軍の道路使用に伴う地方の負担を軽減する条項を盛り込み、それは一定の効果をあげたものの、こうした状況の根本的な改善にはつながらなかった。
著者
木下 哲一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.624-628, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
11

太陽系外での天体物理研究において,従来の光学観測のみならず,爆発的現象に由来するニュートリノや重力波が検出されたのと同様に,地球上より超新星爆発からの飛来物を検出すれば,太陽系近傍での超新星爆発活動,爆発的環境の中での核反応や元素合成の理解,地球環境への影響に関する知見を深めることができる。海底より採取された試料より過去1,000万年の間に2回の60Feの流入が検出され,この流入は超新星爆発の中で生成したものが地球上に飛来したことを示された。地球上より検出された60Feと超新星爆発の地球への影響に関する研究成果について紹介する。
著者
伊集院 葉子
出版者
ジェンダー史学会
雑誌
ジェンダー史学 (ISSN:18804357)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.39-51, 2013 (Released:2015-12-29)
参考文献数
33

日本の律令女官制度は、男女ともに王権への仕奉(奉仕)を担った律令制以前(7世紀以前)の遺制を踏襲し、天皇の意思伝達・政務運営・日常生活への奉仕を中心的な役割として出発した。しかし、平安初期の9世紀には、律令女官制度は大きな変容を遂げた。氏を基盤とし、男女ともに仕奉するべきだという理念を根幹に据えた女性の出仕形態が失われ、国政に関わる職掌を男官に取って代わられるとともに、皇后を頂点とする後宮制度の確立によって、天皇に奉仕する存在から後宮の階層性のなかに位置づけられる存在へと変化していったのである。 この律令女官の後退の時期に出現するのが、「女房」である。女房は、天皇に仕える「上の女房」、貴族の家に仕える「家の女房」、后妃に仕える「キサキの女房」があるが、このうち「キサキの女房」の出現は、9世紀の後宮の確立にともなうキサキの内裏居住と不可分のものであった。 キサキの女房は、本来はキサキに仕える私的存在にすぎない。ところが、キサキが后位にのぼり、後宮のトップの地位を獲得すると、仕える女性たちの地位にも変化が生まれた。女官として公的存在に転化するのである。文徳朝における天皇と母后・藤原順子の「同居」に続き、初の幼帝・清和天皇(在位858-876)の即位によって天皇と母后・藤原明子の内裏内居住が実現し、それをテコにした皇太后の後宮支配が確立した清和朝には、母后の「家人」であった上毛野朝臣滋子が後宮に進出し、最終的には典侍正三位にまで昇った。幼帝即位による皇太后の「皇権代行権能」の発揮が、母后の私的使用人であったキサキの女房を「公的存在」に転化させる契機となったのである。 上毛野滋子を素材に、キサキの女房が女官という公的存在に転化する具体例を検討し、女性の出仕が、氏を基盤とするあり方から、権門勢家とのつながりに依拠する形態へと変容していく転換点を考察するのが、本稿の目的である。
著者
Kenji Fujiki
出版者
Keio University Faculty of Letters, Department of Asian History
雑誌
Al-Madaniyya (ISSN:24360678)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.21-40, 2021 (Released:2021-09-22)

This study examines the estate of tanner İbrâhîm bin ‘Alî and its inheritance in eighteenth-century Istanbul from a social historical perspective. It enhances our understanding of the lives of workers and features of guilds in early modern Ottoman cities. First, I overview the state of İbrâhîm’s estate at the time of his death and process of its inheritance by analyzing his probate inventory (tereke). Second, I compare these data with the relevant details of forty-four other retailers and artisans who lived in Istanbul. Subsequently, I analyze the status of İbrâhîm’s property, his outstanding expenses, and debts owed by and to him in detail. Finally, I examine the court cases on his inheritance according to four relevant court records (i‘lâms). My analysis reveals the relative affluence of İbrâhîm and the significant involvement of other tanners in determining the inheritance of his estate.
著者
柴田 博仁 高野 健太郎 田野 俊一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.2131-2141, 2016-09-15

本稿では,タッチ操作可能なタブレット端末での読みの評価をとおして,テキストをポインティングしたりなぞったりする行為(テキストタッチと呼ぶ)が,読みに与える影響を分析する.特に,文書内容を批判的に考察するアクティブリーディングにおけるテキストタッチの効果を検討する.最初の実験では,紙文書とタブレット端末での校正読みのパフォーマンスを比較する.結果として,タブレット端末よりも紙文書で読むほうが多くの誤りが検出された.ビデオ分析の結果,参加者は紙で読む際に頻繁にテキストタッチを行っており,テキストタッチの頻度と誤り検出率に正の相関が観察された.このことから,テキストタッチは校正読みを効果的に支援しており,タブレット端末ではテキストタッチが促進されないために誤り検出率が低下したことが考えられる.この仮説を検証するため,第2の実験では,紙文書へのインタラクションを制限して文書校正を行う実験を行った.結果として,文書に自由に触りながら読むことが許される条件に比べて,文書に触らずに読む条件で有意に誤り検出率が低下し,テキストタッチは読みのパフォーマンスに影響を与える重要な要因であることが分かった.この結果をふまえ,タッチ操作可能なタブレット端末でのアクティブリーディングの支援方法を議論する.
著者
Yuri MATSUSHITA Yasuhiro YOSHIMURA Toshiya HANADA Yuki ITAYA Tadanori FUKUSHIMA
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES
雑誌
TRANSACTIONS OF THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES, AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN (ISSN:18840485)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.10-15, 2022 (Released:2022-02-05)
参考文献数
11
被引用文献数
2

This paper aims to assess the risk of mission termination for a large constellation of satellites in a low-Earth orbit. Many large constellations will be deployed to provide broadband network services using thousands of satellites. There is concern that such large constellations will have a serious impact on the long-term sustainability of outer space activities due to the rapid increase in population. First, therefore, the authors conducted an assessment under nominal activities (referred to as “business-as-usual”) on the basis of a prediction by ESA’s MASTER-2009 and NASA standard breakup model 2001 revision. The assessment found that nearly one catastrophic collision may happen in a large constellation, generating more than two million fragments as small as 1 mm in size. Second, the authors conducted a further assessment assuming a hypothetical collision of a satellite in a large constellation using the NASA standard breakup model and a spherical finite element model adopted in ESA’s MASTER-2009. In consequence, another catastrophic collision may happen to a large constellation, generating approximately a half-million fragments as small as 1 mm in size. Therefore, such catastrophic collisions and resulting secondary collisions should be prevented for large constellations.
著者
大塚 巌
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.250-252, 2008-01-01 (Released:2008-03-30)
参考文献数
8

In this study, an Internet-based survey was conducted to study the relationship between perception of dry-wet personality dimension and motion patterns of gas and liquid that gave wet or dry impressions. Participants, 206 in total, observed online computer simulation movies of gas and liquid molecule motion patterns, and answered how dry or wet they perceived each particle's motion on each movie as in human behavior. Results showed that participants saw the motion of gas molecules as dry, and that of liquid wet as in human behavior.
著者
青山 優里彩 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.233-238, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
7

本研究は、情報検索時のメタ認知と感情の側面を支援することで検索パフォーマンスを向上させることを目的とする。2体のチャットボットを用意し、検索行動時に対話することによって検察パフォーマンスの向上を目指す。1体はユーザのメタ認知を促進させる対話をし、もう1体は主にはげます対話をするボットを開発した。ボットとの対話による検察パフォーマンスへの効果を検証するべく、ユーザ実験を行った結果について報告する。
著者
桜井 芳生
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.5, pp.49-60, 1992-06-05 (Released:2010-04-21)
参考文献数
11

ここでは民俗社会の分析として,「ハレ・ケ・ケガレ」の問題を扱う。まずハレ・ケ・ケガレを巡る諸説の対立点・弱点を概観する。次に桜井徳太郎の議論を拡張的に展開し, さらに精神分析理論を援用することで, 我々の「五極モデル」を提示する。最後に我々のモデルが, 諸説の対立点・弱点の克服にどれほど有効かを検証する。
著者
羽生 善治 泉 恵理子
出版者
日経BP社 ; 2002-
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.4-7, 2016-10

──羽生さんは8月、第87期棋聖戦で9連覇を達成されました。依然として三冠ですが、今年5月、名人位を28歳の佐藤天彦八段に奪われた。そんな時、自分の気持ちをどうリカバーされるのですか。 負けた時には、何が悪かったのか。どこに問題があったのか。