著者
山内 恭 Takashi Yamanouchi
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:2432079X)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-18, 2016-03

今,北極・南極は温暖化しているのだろうか? この質問に答えられるように,解説を試みた.近年の地球温暖化の中で,強い温暖化の現れている地域は北極域と南極半島域である.北極域の温暖化は全球平均の2倍以上の温暖化で,北極海の夏の海氷も著しく減少している.何がこの北極温暖化増幅をもたらしているのか,その原因を探った.一方,南極では,南極半島や西南極で温暖化が激しいのに対し,東南極では温暖化が顕著にはみえない.なぜ,温暖化が抑えられているのであろうか.オゾンホールが関係しているという説を述べる.さらに,北極温暖化の影響で,中緯度に寒冷化が起こる現象がみつけられ,様々な議論を呼んでいる.今後の研究が期待される.
著者
本山 雅弘
出版者
最先端技術関連法研究所
雑誌
最先端技術関連法研究 = Studies of Most-Advanced Technology-Related Law (ISSN:13474480)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-50, 2021-12-15

Ⅰ.問題の提起 1.世間の耳目を集めた音楽教室事件とその当座の結論 2.教室内での生徒演奏は家庭内での自主的な生徒演奏と同等か : 本稿の問題意識 3.規範的利用主体論とは筋を異にする解釈問題Ⅱ.生徒演奏に関する使用料請求権の可能性 1.生徒演奏と演奏権該当行為 2.生徒演奏には著作権法38条1項の制限規定が適用され得るかⅢ.生徒演奏を根拠とする民事責任のあり方 1.生徒演奏による演奏権侵害 (加害行為) とその効果 2.非営利演奏を行う生徒と責任との関係 3.音楽教室の金銭賠償責任 4.小括Ⅳ.結語 1.これまでの考察の要約 2.控訴審判決の結論との抵触をいかに評価すべきか 3.いずれの結論を妥当と解すべきか
著者
劉 銀炅
出版者
中央大学政策文化総合研究所
雑誌
中央大学政策文化総合研究所年報 (ISSN:13442902)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.171-187, 2018-08-23

The purpose of this thesis is to clarify how Korea was represented in his paintings,poems, diaries, etc., mainly on the “In camp Poetry” left by a foreign painter Misei Kosugi who had served in the Russo-Japanese War is there. As a reporter reporter Kosugi put on the magazine “Wartime Picture Law” was drawn by the way of drawing like “sketch” in “Hudousya” established by disciples who inherited the teachings of Italian painter Fontaneji is there. Since the artistic theory of “Hudousya” has also influenced Masaoka Siki, we can see that there is a relationship between the posture of drawing Kosugi’s picture and the “sketch” of the child’s ruler. Kosugi experienced the misery of the war and recognized the Koreans as victims of war and left it in poetry and diary rather than paintings is “In camp Poetry”. “Joseon” not a party to the war was expressed as a victim, paying attention to the suffering of the people involved in the war than the joy of victory.
著者
春藤 献一
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.131-161, 2021-10-29

本論文は「動物の保護及び管理に関する法律」(1973年成立)の下で行われた動物保護管理行政における、飼い猫の登録制度や、野良猫用の捕獲器貸出制度、駆除目的に捕獲された猫の引取りといった施策を論じたものである。 同法により行政は、猫の虐待防止や適正な取扱い等の保護と、猫による被害から人を守る管理を行うようになった。飼い猫の登録制度や野良猫の捕獲は、猫の保護管理に関する実験的施策であった。 1976年11月、静岡県島田市は「ねこの保護管理要綱」を定め、施行した。要綱は前例のない、飼い猫の登録制度と野良猫の捕獲制度を定めた。要綱は県内で相次いだ猫による咬傷事故の防止と、飼い猫や野良猫に関する苦情への対応を目的としていた。市は市民に飼い猫の登録を指導する一方で、野良猫の捕獲を希望する市民には捕獲器を貸出し、捕獲された猫を引取った。この施策により市では猫に関する苦情が大きく減少した。 野良猫を捕獲し殺処分する施策が実施されたことからは、猫による危害防止と苦情への対応が、行政として重要度の高い課題として理解されていたことが示唆された。 この施策は1982年以降、政府発行物により全国の自治体へ類似事例と共に共有され、政府が飼い猫の登録や野良猫の捕獲を実質的に追認していたことも明らかとなった。また政府は1982年に、飼い猫の登録と野良猫の捕獲の是非を問う世論調査を実施し、過半数の賛成を得てもいた。この調査が実施されたこと自体からも、政府が猫の登録や捕獲を、実行性の高い施策として検討していたことが示唆された。 また一部の自治体では要綱等を定めず、行政サービスとして捕獲器の貸出しが行われていたことも明らかとなった。 これらの議論から「動物の保護及び管理に関する法律」の下では、捕獲と殺処分という「排除」の方法による施策が一部の自治体で行われ、猫の管理が行われていたことが明らかとなった。
著者
井芹 真紀子 イセリ マキコ Makiko Iseri
雑誌
Gender and Sexuality : Journal of the Center for Gender Studies, ICU
巻号頁・発行日
no.5, pp.23-43, 2010-03-31

This paper explores the potential of female female impersonation by examiningthe nature of gender performativity as not necessarily being interlocked with gendercrossing. This issue is studied in light of the desire for gender identification by femme lesbians, particularly high femmes.Since the 1990s, there has been increasing attention on the subversive potential ofgender crossing subject in both queer theory and post-structuralist feminist theory. However, femme lesbians have not only tended to be overlooked in this regard, but rendered "invisible" due to the fact that they "look straight."This paper examines how high femmes do not try to resolve this conflict but in factmaintain it, while still holding onto their "fem(me)ininity" in their strong desire for gender identification. The issue is explored through a study of high femme narratives and considered in light of Kaja Silverman's concept of "identity-at-a-distance."