著者
井本 英一 Eiichi IMOTO 桃山学院大学文学部
雑誌
国際文化論集 = INTERCULTURAL STUDIES (ISSN:09170219)
巻号頁・発行日
no.14, pp.77-100, 1996-09-30

The Aramaic version of the story of Ahikar; The story of Heykar (Ahikar) in the Arabian Nights; Ahikar in the Book of Tobit; Ahikar in the Aesop's Fables as a Babylonian vizier; Ahikar in the Old Turkish and the Mongolian versions; custom of killing old men; sheltering of the escaped old men in the cellars; the story of Cyrus the Great of the Persian Empire; abandonment of old men in Korea; an obedient son took back an abandoned old man home; a neighboring king made unreasonable demands upon the king who had ordered to abandon an old man; an old man's wisdom helped the king solve the demands; no mention about the neighboring king making unreasonable demands; Ahikar in the Buddhist versions; Ahikar in the Chinese versions; Ahikar in the Japanese versions; addenda and corrigenda to AT 922A and 981.

3 0 0 0 OA 渡嶋再考

著者
小口 雅史
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.5-37, 2000-03-31

斉明紀に見える「渡嶋」が具体的にどの地域を指すのかという問題の解明は、日本古代国家における一大転機であった大化改新後の初期律令国家の形成過程や、当時の国際関係を考える上できわめて重要な問題であって、早く江戸時代から学者の注目を集めてきた。古くは津軽の北は北海道であるという単純な理解から、渡嶋=北海道説が流布していたが、その後、津田左右吉等によって『日本書紀』のいわゆる「比羅夫北征記事」の厳密な読解が試みられるようになり、史料の解釈から渡嶋を本州北部の内におさめる見解が有力となっていき、戦後の通説的位置を永く占めてきた。しかし近年の北海道考古学の急速な進展にともなって本州と北海道との間の豊かな交流が明らかになるにつれて、比羅夫は当然北海道へ渡ったであろうという共通認識が形成され、津軽の北は当然北海道であるという渡嶋=北海道説が復活し、現在ではこれが通説となったと言ってよい。しかし中世以前における「津軽」は、現在の津軽地方の南部のみを指す語であり、半島海岸部はむしろ道南地域と密接な関わりを持つ世界であった。またそうした津軽海峡を挟む世界は、道央部あるいは道東・道北部とはやはり違った世界である。こうしたことを考えるとき、津軽の北に位置するという渡嶋はこの海峡を挟む世界に相当するのではないかと思われる。そのさらに北には「粛慎」の世界が存在したのであるが、それこそ道央部や道東・道北部といった、本州側からはよりいっそう未知の世界であったのではないか。「粛慎」の風俗習慣などについての多様な史料の在り方は、「粛慎」自体のもつ複合的な民族要素によっているものと思われる。この津軽海峡を挟む世界は、一〇世紀頃にいったん消滅し、それが渡嶋という用語の消滅の背景となるが、まもなく復活し、中世においては、津軽海峡を「内海」とする、海峡の南北一体の世界がまた形成されていったと考えられる。
著者
片山 久留美 小木曽 智信 中村 壮範
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.89-96, 2018-11-24

国立国語研究所で構築中の『日本語歴史コーパス』に『室町時代編Ⅱキリシタン資料』として『天草版平家物語』『天草版伊曽保物語』の2作品が追加された.これらの資料は原本がポルトガル式ローマ字により表記されており,当時の発音を知ることができる資料として日本語研究上重要な位置を占める.コーパス化にあたっては,ローマ字テキストと和文テキストを用意し両者をアラインメントにより対応付けることで二つのテキストを同時に参照可能にした.その際,仮の和文テキストを作成して形態素解析を行い,付与された形態論情報を利用することによって,均質性の高い独自の和文テキストを自動で出力したほか,ローマ字テキストと和文テキストのアラインメント作業も効率よく行うことが可能となった.
著者
蜂須 貢 貝谷 久宜
出版者
昭和大学薬学雑誌編集委員会
雑誌
昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.17-28, 2010-03

不安障害の治療において、従来のベンゾジアゼピン系抗不安薬に加え、セロトニン1A(5-HT1A)部分作動薬や選択的セロトニン再取り込み阻害剤が使用されている。更に、最近臨床応用された抗鬱薬ミルタザピンも5-HT2A/5-HT2C受容体拮抗作用を持つことから、重症な不安障害に対する効果が期待される。これらの薬剤の特性をよく理解し治療を行うことにより、高い治療効果が得られる。
著者
関谷 博
出版者
藤女子大学日本語・日本文学会
雑誌
藤女子大学国文学雑誌 (ISSN:02869454)
巻号頁・発行日
no.106, pp.33-61, 2022-06
著者
笠原 真理子
出版者
リトン
雑誌
死生学年報
巻号頁・発行日
vol.14, pp.25-60, 2018-03-31

In this article, an analysis of Harry Kupfer's (1935-) direction of the musical Elisabeth is given. The musical, a story of about the life of the famous queen of Austria, Elisabeth von Wittersbach (1837-1898) or “Sissi”, is a popular musical in the world nowadays. However, after its first performance in 1992, the work and its direction have varied greatly.The history of musical theatrical productions is relatively short in music history and this genre originated after professional directors had become acknowledged in the theatre world. As for the staging of a musical, it is generally admitted that the first staging is often significant. That is why it is important to analyze Kupfer’s first staging of Elisabeth. Kupfer has played an important role in the practice of Regietheater, where the director is allowed to change the original staging directions and other elements in an opera or play. Therefore, as the director of the first staging of Elisabeth, he made a substantial contribution to the work itself. There are two main themes of Kupfer’s works, the problems of women and the resistance and conflicts that arise from their being under pressure in a male-dominated society. Therefore, the author focuses on Kupfer’s staging of Elisabeth in Vienna from the viewpoint of the oppressed heroine’s resistance to and conflicts with a maledominated society.From this viewpoint, two elements can be found to analyze in the text; one is a crucial scene of many people’s testimonies, and the other is the scene of Elisabeth’s only monologue, ”Ich gehör nur mir”, which is also her first declaration of resistance. Moreover, in order to describe these two elements on stage, two unique sets were used, the “Bridge” and the “Mirror”.The “Bridge” represents the pressure on Elisabeth and the struggle against people’s different meanings of salvation. For example, to Elisabeth it means a release from the restraints upon her in this world, but to the character of “Death (der Tod)”, it means leading Elisabeth to the world of death. The “Mirror” represents a polar relationship of beauty and ugliness. Although it could hurt Elisabeth in her old age, however, she still continues to need the “Mirror” that might reflect her beauty for her own self-confidence. Consequently, Elisabeth could not receive salvation, that is, salvation from “Death” or from the people surrounding her, but instead she continued to struggle against the pressure of living in a male-dominated society. Moreover, by emphasizing this image of Elisabeth through his staging, Kupfer tried to show a kind of salvation, which had meaning only to her: the release from the restraints of this world.
著者
宗森 純 長澤 庸二
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.44(1991-CH-009), pp.1-6, 1991-05-24

ネットワークで結合された複数の計算機による発想支援用グループウェアGUNGENを開発した.本システムはKJ法と知的生産の技術カードを融合したものである.本システムにおいては参加者が,提案された発想を共用するウィンドウの画面上で類似性によってグループ化し,島を作り,結論を導く.その際に,技術カードシステムに蓄えられたデータを参考にすることが可能となった.
著者
丹菊 逸治
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.129-143, 2011-03

サハリン島(樺太)北部の先住民ニヴフ民族は、第二次世界大戦終了まで一部が旧日本領南樺太の住民だった。彼らはウィルタ民族とともに、日本の行政当局が敷香(現ポロナイスク)に設置した集住地「オタスの杜」の主要な構成員となり、アイヌ民族とは異なった扱いを受けていた。比較的知られたニヴフ人奥田桃太郎とその息子奥田長次の足跡が表すように、日本に「引き揚げ」ずサハリン島にとどまった旧日本領南樺太のニヴフ民族は北部のニヴフ人社会に再統合された。
著者
大澤 覚 オオサワ サトル Satoru Osawa
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-65, 2006-04-30

筆者は市民社会論を専門とするものではないが、担当する財政学の講義に関ってこの意味が問題となってきていた。これを調べた結果、ドイツ語のburgerliche Gesellschaftが、ある時は「ブルジョア社会」、またある時は「市民社会」と訳し分けされることを知り、新たにこれについて疑問に思い、これに焦点を当てて関連する文献を調べてみた。その結果、多くの経済学者が引用・言及してきたマルクス自身が、burgerlichとBourgeois-を使い分けていることが分かった。そこで、本稿では、とりあえず、この訳し分けの不当さを主張する観点から、マルクスに内在して、まずマルクスがこの使い分けをしていることを示し、そのうえで、burgerliche Gesellschaftと資本主義社会、BurgerとBourgeois、burgerliche GesellschaftとBurgerの順にそれぞれの用語をどのように使用しているか、どのような含意で使用されているかなどについて追求してみた。
著者
井手 広康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.e41-e59, 2022-03-15

令和7年の大学入学共通テストに「情報」が追加されることが正式に決定した.大学入試センターは,共通テストを想定した「情報」の問題として,これまで試作問題とサンプル問題を公開している.現在,上記以外に共通テストの参考になる「情報」の問題は少ないが,当分の間は「情報関係基礎」の問題が活用できるだろう.本稿では「情報関係基礎」の過去問のうち,2005年度の第2問「じゃんけん大会」を取り上げ,解答のための手順とポイントについて解説する.