著者
川田 耕
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
no.45, pp.147-173, 2020-11
著者
馬 超波
出版者
岩手大学
巻号頁・発行日
pp.1-146, 2020
著者
岩田 三枝子
出版者
東京基督教大学
雑誌
キリストと世界 : 東京基督教大学紀要 = Christ and the World (ISSN:09169881)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.64-87, 2015-03

覚醒婦人協会は、賀川ハル(1888-1982)ら30 代のキリスト者女性を中心発起人とし、1921 年3 月から1923 年8 月までの約2 年半にわたって展開された労働者階級の女性のための婦人運動である。労働婦人の人権問題や労働環境の改善を訴え、演説会開催や機関誌『覚醒婦人』の発行等の活動を展開し、新聞記事にも幾度も取り上げられた。大正期は、デモクラシー機運の高まりの中で、無産階級と呼ばれる庶民が社会において存在感を増す時代であったが、覚醒婦人協会は、女性の人権、キリスト教、労働者という大正期を反映する三つの要素を併せ持つという点で、大正デモクラシーを象徴する活動であるといえる。また、覚醒婦人協会の設立は、大正期から昭和初期にかけて興隆した婦人運動史の創成期にあたる点からも、その分野においての先駆的役割の一端を担ったともいえる。しかし、キリスト者が中心となって創設された活動でありながら、キリスト教の視点から活動の背景にある思想や意義を問うた研究は、管見の限りこれまでなかった。本稿の目的は、宣言文や綱領、そして機関誌『覚醒婦人』の分析から、特にキリスト教公共哲学の視点において覚醒婦人協会の性格を明らかにし、その現代的意義を提起することである。第1 節では覚醒婦人協会の概略を紹介する。次に、第2節では宣言文や綱領の内容を、そして第3 節では機関誌『覚醒婦人』の書誌内容をキリスト教公共哲学の視点から分析することで、賀川ハルが覚醒婦人協会において目指した「男女の協働」「キリスト教公共哲学的視点」等の特徴を浮き彫りにする。最後に結論として、覚醒婦人協会の今日的意義を提起したい。
著者
平川 祐弘 Sukehiro HIRAKAWA
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 = Otemae journal of humanities (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.107-126, 2004

平川はかねて「盆踊りの系譜-ロティ・ハーン・柳田国男」と題して文学的な連鎖反応としての盆踊りの記述をたどった (平川『オリエンタルな夢』所収) 。ロティのバンバラ族の輪舞記述に感心したハーンは、それを英訳し、さらにはロティのような目付きで山陰の盆踊りも見、記録したのである。そのような文学史的な系譜には筆者の主観的な思い入れがまぎれこむ可能性がある。ハーンに刺戟された柳田国男が陸中小子内で書きとめた盆踊りの解釈も、川田順造の調査によれば、柳田の思い入れがあるようだ。またハーンの盆踊り記述を読み、自分も盆踊りを見て書いたモラエスの「徳島の盆踊り」解釈にも観念的な先入主が混じっているのではないか。日本人が死者たちと親しい関係にあるとモラエスは信じた。ハーンもモラエスも盆祭りを festival of the dead として見た。ところでロティやフランシス・キングが盆祭りを自分の物語のセッティングとして用いた異国趣味の作家であったのに対し、モラエスにとって盆踊りは自分がその輪の中にはいることを得なかった「死者の祭り」であった。その意味ではモラエスの『徳島の盆踊り』はアンチ・クライマックスで終る作品である。その拍子抜けした読後感をハーンの作物の読後感と対比すると、ハーンの特色が逆に浮び上がる。ハーンには自分は日本人の心の世界へ入り得たという喜びがあった。ハーンの文章を文学たらしめているのは、そのようなハーンの自信と喜びの中にひそんでいるのではあるまいか。
著者
竹並 正宏
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.353-366, 2006

この研究内容の持つ意味を整理すると,第一に,日帝時代の社会福祉研究が足りない現時点で,本研究は当時の社会福祉の理解に寄与でき,特に,貧困政策の生成および変化の脈絡の把握に役立つという意義を持つ.第二に,社会福祉史の研究は,社会福祉の実践領域と動態的法則を把握することにより,未来の展望を予測することに意義があるように,日帝時代の貧困政策研究は,解放以後展開された貧困政策についての説明に重要な意味を示唆する.第三に,特定な時期の社会福祉政策の変化脈絡を,社会福祉制度変遷論を適用して考察することで,社会福祉制度変遷論の理論的な仮説を一般化することにも寄与できると思われる.
著者
寺田剛陽 津田宏 片山佳則 鳥居悟
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1498-1505, 2014-07-02

やり取り型の標的型メールや,水飲み場攻撃など,サイバー攻撃はユーザの心理・行動上の隙を突いた巧妙なものになってきている.こうした新たな攻撃に対抗するには,システム上の対策に加えてユーザ自身にも攻撃を見抜く力が必要となってきている.そこで我々は,組織の作業ログから近い将来にウイルス感染などのIT被害に遭う可能性の高いユーザや部門を発見し,対策を配付するシステムの開発をめざしている.ここで,被害を削減するためにはユーザや部門の特性に合わせた対策の提供が必要だと我々は考えている.この実現に向けて今回の研究では約1,000名のIT被害経験者に対してアンケート調査を行った.分析の結果,リスク敬遠志向が高いユーザはIT被害の種類を問わず被害が少ない傾向であることや,現状維持傾向が強いユーザは不正利用被害やプライバシー漏洩被害が多い傾向であることなど,IT被害経験者の心理・行動上の特徴は,被害の種類を問わずにみられるものと特定の被害にのみみられるものがあることがわかった.本結果は,組織における個人や部門のリスクの見える化や,きめ細かいサイバー攻撃対策に適用できると考えられる.
著者
青木 克仁 Katsuhito Aoki
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.48, pp.33-42, 2020-02-28

竹島問題を機に、日韓両国間の摩擦が激しくなっている中、東京の新大久保で、「韓国」を排斥する排外主義的デモが展開されるなど、特定民族や人種を排撃する、所謂「ヘイト・スピーチ」の問題は放置しておけない状況にある。ヘイト・スピーチを規制しようとすると、その発信者は「言論の自由」を盾とすることだろう。規制の楔を打っても、それが「滑り易い坂道」議論によって、解釈の恣意性を招き、「言論の自由」そのものをも脅かす可能性がある、といった議論がなされる。本論文では「言論の自由」という価値観の重要性にもかかわらず、それでも「ヘイト・スピーチ」を規制し得る可能性を探る。
著者
江谷 典子
雑誌
DPレポート = DP Report
巻号頁・発行日
no.DPR10011, pp.1-8, 2020-01-22

本稿では,ツイートデータの可視化を行うにあたり,開発環境を準備する手順やAPIの使い方を明確にして,基本となるTwitterの検索,単語の出現頻度リスト作成,出現頻度のWord Cloudによる可視化,地名の地図マーカー表示,をPythonのプログラムを用いて解説を行う.また,日本語および英語のツイートデータを利用した実験結果を示す.本プログラムはGitHubにて公開している.
著者
三浦 雄太郎 大阪 健吾 鳥海 不二夫 菅原 俊治 Yutaro Miura Kengo Osaka Fujio Toriumi Toshiharu Sugawara
雑誌
SIG-SAI = SIG-SAI
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.1-8, 2017-03-02

We investigate the conditions in which cooperation is dominant in social media using the models of evolutionary games of public goods games with diminishing marginal utilities and attempt to clarify the mechanisms of prosperity of social media and effect of diminishing marginal utilities. Cooperation dominant situation corresponds to that in which social media thrives, i.e., posting articles and taking reactions by comment lead to more benefits result than do nothing as free-riders. A number of studies examined what mechanism contributes to maintain cooperation dominant situation by using evolutionary game, but their models don't include the effect of diminishing marginal utility. Thus, we developed an abstract model of social media using utility function with diminishing marginal utility and we experimentally investigated the effect of diminishing marginal utilities in the meta-rewards and SNS-norms games. The result showed that the games with diminishing marginal utility could model real SNS activities more suitably than those without it.