著者
鈴木 浩
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2017-GN-100, no.20, pp.1-5, 2017-01-13

紙相撲は,昔からあるペーパークラフトを利用した遊びである.従来の紙相撲の遊び方は,プレイヤーが手で土俵を叩いて振動を起こし,互いの紙力士を押し合うことで相撲のような動きが展開される.本研究では,この振動の発生を手で土俵を叩くのではなく,音声を利用して土俵を振動させ紙相撲が体験できる"SUMMO SONIC"を開発した.SUMMO SONICでは紙相撲の試合演出を高めるために,土俵の上部にプロジェクタとUSBカメラを設置し,紙力士にマーカを利用することで,AR技術を利用したリッチな演出を可能としている.本稿では,開発した"SUMMO SONOC"を子ども向けイベントで実施し,得られた知見を述べる.
著者
塩見 彰睦 喜多 辰臣 河合 和久 大岩 元
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.920-928, 1992-07-15

日本語2ストローク入力との併用に適した仮名漢字変換方式として 漢字混じり仮名漢字変換を提案し その実現について述べる日本語2ストローク入力と従来の仮名漢字変換入力を併用した場合 入力したい熟語を構成する漢字のうち 一つでもその漢字の2ストロークコードを入力できないときには すべての漢字をその読みで入力し 変換しなければならなかったこの欠点を解決するのが 漢字と読みが混じった文字列を熟語に変換する漢字混じり仮名漢字変換である本論文では 漢字混じり仮名漢字変換を行うための方式として 変換用辞谷の見出し語を漢字混じり語に拡張するものと 入力文字列に含まれる漢字をキーに辞書引きを行う漢和辞書を用いるものとを提案するさらに この二つの方式でパーソナル・コンピュータ上に漢字混じり仮名漢字変換システムを実現し その比較を行ったその結果 変換速度ならびにパーソナル・コンピュータ環境での実現性の点で 漢和辞書を用いる方式が優れていることが明らかになったまた 同方式はMSーDOS上のデバイス・ドライバとして実現され いくつかのエディタやデータベース 日本語ワープロなどの市販ソフトウェアに試用され 実用に供しうる日本語入力システムであることが確認された
著者
長谷川 健人 戸川 望
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.4-6, 2018-12-15

ハードウェア製品において,設計時に存在しなかったICチップが挿入された事例が報告された.このように,悪意をもって挿入されたハードウェアはハードウェアトロイと呼ばれる.近年のハードウェア設計・製造工程では多くの設計・製造業者が関わっており,こうした工程のうち随所にハードウェアトロイ挿入のリスクが存在する.本稿ではハードウェアトロイ挿入のリスクを明らかにするとともに,ハードウェアトロイを検知するための手段を紹介する.
著者
岩科 智彩 吉田 光男 伊藤 貴之
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2018-UBI-60, no.24, pp.1-7, 2018-11-27

情報発信ツールとして利用されている SNS (Social Networking Service) は,現在でも団体や個人による情報拡散を目的とした利用例が増加している.SNS の中でも特に Twitter は気軽に拡散 (リツイート) できることで知られ,その日本国内での利用は著しい.本研究では,Twitter 上で影響力のあるユーザ (キーパーソン) のリツイートユーザ (リツイーター) に焦点を絞り,時間データを使用して情報拡散におけるリツイーターの行動パターンを可視化する.また,その可視化画像から観察されるキーパーソンごとの情報拡散の性質について,ツイート内容とリツイーターの側面から考察する.
著者
河合 久
巻号頁・発行日
2003-03

この研究では、主に米国で開発されているルーブリックについて調査研究をした。調査研究は下記のことを中心に行った。・ルーブリックに関する海外の文献調査・インターネットを利用して様々な学習場面で使われているルーブリックを収集・既存のルーブリックを日本の学校の授業で実際に使用し、その効果を調査・ルーブリックの信頼性を高めるための方策の研究成果として、ルーブリックを使用することで下記のような利点があることが明らかになった。・評価がより客観的で首尾一貫したものになる・評価基準を事前に示すことで、児童生徒はどのように評価され、どのようなことが期待されているかが分かり、不安が減り、学習が促進される・学習の進歩を測定するための判断基準となり、児童生徒や保護者に対する学習進捗状況の説明責任を果たすことが容易になるルーブリックの使用で教育成果を上げることができるとはいえ、問題がないわけではない。ルーブリックがあれば直ちに誰でも客観的で首尾一貫した評価ができるというわけではなく、やはり評価者を対象にしたトレーニングが必要であるということが多くの利用者から指摘されている。そこで、海外のウェブサイトから教師の研修で使われているサンプルを紹介した。具体的な生徒の作文に対するルーブリックによる採点のトレーニングができるような仕組みがなされているものである。平成14年度から日本の小中学校で「総合的な学習」が始まり、学校ではその評価をどのようにするかということが当面の課題になっている。海外ではプロジェクト学習等の課題追究型の学習でルーブリックが盛んに利用されている。国際バカロレアのプログラムにも同様な学習があるので、その中から中等教育課程のパーソナルプロジェクトとディプロマ・プログラムのCASの評価基準と評価方法を紹介した。ルーブリックという語はこれまで日本の教育現場で耳にすることはなかったが、最近、ポートフォリオ評価という語とともに教育論文や図書で見かけることが増えてきた。しかし、それらの論文や図書においてもルーブリックに焦点を当てて紹介しているものはないので、実践的な側面を持っているこのルーブリックの研究と開発は意味のあることと考える。その研究と開発の手がかりになることを願い、インターネットを利用することによりルーブリックが入手できる主な海外のウェブサイトをまとめ報告書に紹介した。
著者
花田 太平
出版者
麗澤大学英米文化研究会
雑誌
麗澤レヴュー = Reitaku Review (ISSN:13421115)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.32-58, 2017-09-30
著者
奥村 潤 佐野 隼輔 浦本 竜 久米 純矢 舘 伸幸 山崎 進
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-219, no.35, pp.1-6, 2016-03-17

倉庫を所有する企業では,在庫管理業務は非常に煩雑な作業である.そのため大企業では,倉庫の在庫をセンサーで自動検知できるような在庫管理システムを導入しているところが多い.一方で中小企業では,センサーが高額なためセンサーを持たない在庫管理システムを利用している場合が多い.その場合は人手で在庫を入力しており,十分に業務効率を改善できていない.そこで,我々は在庫を自動検知できる低コストな在庫管理システムを構築した.これはクラウドサービス kintone と Arduino を用いた IoT を組み合わせることで,低コストで最小限の機能を実現するものである.本研究では,アジャイル型の開発を行うことで,要求と成果物のギャップと,ハードウェア部品と工数のコストを削減した.
著者
井島 正博
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.23-51, 2008-03-15
著者
石井 康太 和田 健太 高張 創太 横濱 道成 Kouta Ishii Wada Kenta Takahari Souta Yokohama Michinari
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.39-44,

北海道の然別湖に生息するミヤベイワナはオショロコマの亜種とみなされている。そのミヤベイワナとオショロコマの分化レベルを明確にするために,ミヤベイワナ,然別湖に近い十勝川水系のオショロコマ集団およびその他の河川のオショロコマ集団の3集団に分けて,タンパク質多型およびアイソザイム変異を用いて遺伝的差異および遺伝的分化を検索した。検索した11種類の遺伝子座のうち,然別湖集団(ミヤベイワナ)にHb-II遺伝子座位およびMDH遺伝子座位においてそれぞれSバンドおよびa′バンドが検出された。これらはオショロコマには検出されない新たなる変異であった。したがって,ミヤベイワナとオショロコマとの間を明確に区別できる遺伝子座位が新たに2座位明らかとなった。また,11種類の遺伝子座の対立遺伝子頻度から集団間の遺伝距離を求め系統樹を作成した結果,十勝川水系の河川の集団(オショロコマ)とその他の地域の河川の集団(オショロコマ)がD=0.017ではじめに結びつき,次にこれらの2集団と然別湖集団がD=0.161で結びついた。したがって,ミヤベイワナはオショロコマと亜種として明確に位置づけられた。
著者
四方 順司 渡邉 洋平
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.260-267, 2014-02-15

現代暗号理論における安全性は,主に計算量理論的安全性(計算量的安全性)と情報理論的安全性(情報量的安全性)に大別される.情報理論的安全性に基づいた暗号技術では,攻撃者が知りえない情報量を担保にして情報理論的あるいは確率論的立場から安全性を保証し,攻撃者の計算能力が無制限であっても安全性を達成できる.本稿では,情報理論的安全性に基づいた暗号基礎技術(暗号化,認証技術)について解説する.一般に,情報理論的安全性を保証するためには,この分野特有のモデルや仮定を必要とするが,それに関しても本稿で概観し,実用的・応用的な観点からの研究動向についても紹介する.

日本学術会議南極特別委員会
著者
鈴木 常彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1130-1133, 2018-11-15

自律分散協調を目指したインターネットは今や他律集中排他のネットワークへと変容し崩壊しつつある.イヴァン・イリイチの唱えたコンヴィヴィアリティ(自律共生)の哲学を理解した技術者を育てるべく大学や地域で筆者が行っている活動の紹介とあわせ,ネットワーク技術者教育のために開発した仮想ネットワーク構築ライブラリVITOCHAの解説と教育への応用事例も紹介する.
著者
奥井 現理
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.37-47, 2011-05-27

J.S.ミルの性格形成論は,自由意志論にではなく,必然論に依拠している.そうであれば,人間の性格形成は,あらゆる自然現象と同様に,因果関係をそこに見いだすことができる現象として想定されているのでなくてはならない.その際,人間の自由意志を第一原因とするのでなければ,究極的には,人間は自らの性格を自由に形成しているとはいえないのではないかという疑問が残されることになる.その一方でミルは,ロバート・オーエンの,いわゆる環境決定論を批判し,人間は自由に自らの性格を形成すると述べている.本稿では,ミルのオーエン批判を検討することを通して,ミルが批判したのは,オーエン理論の,性格形成論としての過度な単純さであって,環境決定論そのものではないこと,さらに,ミルは,自由意志を第一原因とすることが性格形成の自由の前提条件であるとは考えていないことが明らかにされる.
著者
松田 英子

本論文の目的は, 睡眠不足大国日本となった現在, 睡眠障害に対して治療上のエビデンスのある有効な心理支援について論じることにある。睡眠障害のうち, 不眠症と悪夢障害を取り上げ, それらの症状に関連するパーソナリティやストレスを含めた要因を整理し, 認知行動療法による症例研究を報告する。睡眠障害の改善に対する行動医学的視点の重要性について論じた。