著者
高橋 和也 村上 雄哉 渡邊 恵太
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.247-252, 2023-08-23

Figma やAdobe XD といったツールは画面上のインタラクティブなプロトタイピングに優れているが,IoT のようなハードウェアと画面が連携した体験はプロトタイピングできない.本研究では,画面設計が容易なFigma をM5StickC と連携させる拡張手法を提案する.これにより,例えば加速度センサの数値に応じてFigma の画面を遷移させる,Figma 上のボタンを押してLED を点灯させるといったことができる.提案手法を用いて,IoT 製品のプロトタイプ作成をテーマとしたワークショップを実施した.
著者
青池 亨
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.72-79, 2021-12-04

国宣国会図書館のデジタル化資料について,機械学習を適用したサービス提供の改善を試みるに当たっては, 日指す機能を実現するための有効性や構築コストに考慮してデータセットの設計・整備を行うこと,また,既存の大規模データ資源や日覚ましく進展する画像認識分野の機械学習アルゴリズムを活用することの両方に目を配る必要がある.本論文では,新たに構築・公開したデータセット件(画像タグデータセットNDL-ImageLabel及びOCR1行データセットについて,その設計思想と有効性を論じ,実際の活用事例として年末にサービスの改修を予定している次世代デジタルライブラリーの技術要素や新規事業の技術検討における役割を紹介する.本論文で取り上げたデータセットや機械学習モデルについてはNDLラボのGitHub(https://github.com/ndl-lab/)から公開している.
著者
山下 祐貴 森本 有紀 秋田 健太
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.1065-1073, 2023-05-15

本研究では,深層学習により入力テキストの内容に対応した色付きメッシュモデルを生成する手法を提案する.これまでに深層学習を用いて様々な表現形式の3次元モデルを生成する手法が広く提案されている.その中でも,入力した画像に対応する3次元モデルを生成する3次元再構成手法が多く提案されている.しかしこのような手法では,ユーザが作成したい形状や色などの3次元モデルを得るために,その特徴に対応する画像を用意する必要があり,手間がかかる.本研究では,テキストによる自由形式の説明文を入力とすることでそのような手間を軽減する.3次元モデルの大規模データセットを用いた定量的・定性的な評価を行い,提案手法がテキスト入力による柔軟な色付きメッシュモデルの生成において有効であることを示した.
著者
豊島 忠
出版者
愛知大学東亜同文書院大学記念センター
雑誌
愛知大学史研究
巻号頁・発行日
no.1, pp.77-82, 2007-10-31
著者
高橋 康博
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.689-694, 2014-06-15

量子回路は,量子コンピュータの計算能力やその物理的実現を議論する際に使われる代表的な計算モデルであり,現在のコンピュータの土台となる古典回路の一般化とみなすことができる.本稿では,加算回路の構成という基本的な問題を通して,量子回路と古典回路の相違について説明する.
著者
山西 良典 松村 耕平 ワイト ジェレミー
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.201-207, 2023-08-23

本稿では,出川イングリッシュにおける演出を英会話練習のしくみとして取り入れることで,非ネイティヴ英語話者にとっての会話に適した作文能力の向上をねらう.日本テレビ制作の世界の果てまでイッテQ!内の人気企画「出川哲朗はじめてのおつかい」では,出川氏のネイティヴ英語話者との会話がエンタテインメントとして楽しまれている.日本国内の標準的な英語能力からすれば,多くの視聴者は出川氏の英会話の拙さやネイティヴ話者との認識の齟齬を直接理解しているわけではなく,番組内の演出を補助情報として受け取ることで英会話におけるミスコミュニケーションをエンタテインメントとして楽しんでいるものと推察される.我々は,この番組内の演出に着想を得て,英語発話に対して非言語情報をフィードバックすることで学習者に楽しみながら自己研鑽する機会を提供するエデュテイメントシステムを提案する.提案システムは,学習者の発話を音声認識し,認識結果をプロンプトとして画像生成AI システムに引き渡す.発話への誤認識や単語の使い方の誤りが反映されたプロンプトによって画像が生成されることで,学習者は自身の発話がネイティヴ発話者に何を想像させるのかを非言語情報として知ることができるようになる.実験の結果,提案システムの利用によって,比較的安易な発音で簡単な単語を使いつつ,ネイティヴ話者とのコミュニケーションにおいて齟齬が発生しにくい発話を作文可能になることが確認された.
著者
藤居 祐輔 安積 卓也 西尾 信彦 加藤 真平
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.1048-1058, 2014-02-15

サイバーフィジカルシステム(CPS)が注目される中,その技術基盤として,GPUなどのデバイスが利用され始めている.GPUはデバイスドライバを経由して利用されているが,CPSのように短い周期で繰り返し多くの処理が行われると,ホストへの負担が増えるとともに,デバイス制御や処理の同期によってレイテンシが発生する.さらにGPU処理では,データをデバイスメモリへと転送する必要があり,上記問題を悪化させ,データ転送処理自体にも影響を与える.そのため我々は,GPU制御処理の一部をGPUマイクロコントローラ上で動作するファームウェアへオフロードし,GPU処理の効率化をめざす.本論文では,オフロード基盤としてコンパイラ,デバッグ支援ツールを含んだGPU制御ファームウェア開発環境と,既存のNVIDIA社製ファームウェアと同等の機能を持つファームウェアを開発する.次に,オフロード基盤を用いて,制御処理の一部であるDMA転送処理をファームウェアに追加実装することで,オフロードを実現しGPU処理を効率化する.我々は,実装したファームウェアと既存のファームウェアを比較し,性能低下がないことを示すことで,オフロード基盤の有効性を確認した.オフロードしたデータ転送処理では,既存のデータ転送処理と比べ,一部のデータサイズにおいて約1.5倍の転送速度を実現し,さらに既存データ転送処理へのオーバラップ転送を実現した.
著者
小林 隆夫 コバヤシ タカオ Takao Kobayashi
雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.83-99, 1989-09
著者
小畑 拓未
出版者
北九州市立大学
巻号頁・発行日
2022-03-23

全国的に問題となっている木造戸建住宅の夏季床下高湿化について、実測調査、数値シミュレーション、CFD解析の手法を用いて検討を実施した。床断熱住宅に関しては、高湿化の要因分析と最適な対策の検討を行った。基礎断熱住宅に関しては、複数の住宅における6年間に亘る実測結果から、床下空間の形態ごとの温湿度性状を明らかにし、竣工初期のコンクリートからの発湿が終了した住宅においても高湿化の危険性があることを示した。
著者
高橋 晋一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.193, pp.221-237, 2015-02-27

本稿の目的は,阿波踊りにおける「企業連」の誕生の経緯を阿波踊りの観光化の過程と関連づけながら検討することにある。とくに,阿波踊りの観光化が進み,現代の阿波踊りの基盤が作られるに至る大正期~戦後(昭和20年代)に注目して分析を行う。大正時代には,すでに工場などの職縁団体による連が存在していた。またこの頃から阿波踊りの観光化が始まり,阿波踊りを会社,商品等の宣伝に利用する動きが出てきた。昭和(戦前)に入ると阿波踊りの観光化が進み,観光客の増加,審査場の整備などを通して「見せる」祭りとしての性格が定着してくる。小規模な個人商店・工場などが踊りを通じて積極的に自店・自社PRを行うケースも出てきた。戦後になるとさらに阿波踊りの観光化・商品化が進み,祭りの規模も拡大。大規模な競演場の建設と踊り子の競演場への集中は,阿波踊りの「ステージ芸」化を促進した。祭りの肥大化にともない小規模商店・工場などの連が激減,その一方で地元の大会社(企業)・事業所の連が急激に勃興・増加し,競演場を主な舞台として「見せる」連(PR連)としての性格を強めていった。こうした連の多くは,企業PRを目的とした大規模連という点で基本的に現在の企業連につながる性格を有しており,この時期(昭和20年代)を企業連の誕生・萌芽期とみてよいと思われる。なお,阿波踊りの観光化がさらに進む高度経済成長期には,職縁連(職縁で結びついた連)の中心は地元有名企業から全国的な大企業へと移っていく。阿波踊りの観光化の進展とともに,職縁連は,個人商店や中小の会社,工場中心→県内の有力企業中心→県内外の大企業中心というように変化していく。こうした過程は,阿波踊りが市民主体のローカルな祭り(コミュニティ・イベント)から,県内,関西圏,さらには全国の観光客に「見せる」マス・イベントへと変容(肥大化)していくプロセスに対応していると言える。