著者
小川 麻衣
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.49-56, 2018-01-31

ファッションは近代産業社会の成立とともに誕生したジェンダーを映しだす記号的役割を果たしてきた。社会の変化とともにジェンダーが恣意的に作られたものであり、その構造や意味を問い直そうとする議論や研究がみられるようになると、それらに関わりを持つファッションも同様に議論し直されはじめた。本稿では、1990 年代に流行した〝フェミ男〟をジェンダー概念の観点から考察を行った。〝フェミ男〟の現象は社会の先端を走るジェンダー意識の変化をいち早く取り入れたファッションであったと言えるが、新しいジェンダー意識と現状を守ろうとする帰来の意識の中で揺らぐ姿が写し出されていた。しかし、「男らしさ」というジェンダー既定に新しい意味内容を加えたことは、単なる一過性の流行だけではなく、ジェンダー概念に影響を与える事例のひとつと言える。ジェンダーは時代の変化と共に揺らぎ始めているが、ファッションにおける男女差はいまだに存在し続けており、大きな変化が訪れることは難しいかもしれないが、ファッションをする行為はジェンダーを壊すきっかけにも再構築するきっかけにもなっている。
著者
八杉 佳穂 Yoshiho Yasugi
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.163-262, 1986-08-25

Since the discovery of emblem glyphs by Heinrich Berlin,in 1958, and the reconstruction of the dynastic history of Piedrasto the Caracol dynasty in the first series; two important personsand another possible ruler and their parents and consorts in thesecond series; and three rulers and their parents and consorts inthe third series.Negras by Tatiana Proskouriakoff, in 1960, the study of Mayaninscriptions has been advanced. The dynastic history of majorsites has now been reconstructed, and the significance of thegreater part of glyphs understood. However, it is still too earlyto say that the Mayan glyphs have been deciphered, since eventhe rules of glyphic usage are not well-known. A necessary firststep is an analysis of the glyphs. In a series of this papers, Iattempt to formulate rules of Maya glyphic writing, to study stylisticchange, and elucidate dynastic history. The Naranjo textsare examined first.The history of Naranjo is divided into three series by twointervals during which no stelaes were erected (Table 1). Firstall readable dates were extracted (Table 2) and arrangedchronologically for each series to understand the over all dynastichistory (Table 3). Next, calendrical glyphs were examined forvariations and stylistic change.The texts consist of a repetition of date and non-date glyphs.Those of series I are the simplest, and are therefore utilized asthey stand. Those of series II and III were re-written into thelinear forms for each date sentence or clause to facilitate theanalysis of complex texts (Figs. 17, 18). In the analysis of eachseries, I tried to clarify dynastic history and discover synominousglyphs (i.e., glyphic interchangeability). With respect todynastic history, I discuss six persons having a close relationship
著者
坪井 直人
巻号頁・発行日
2004-03

Supervisor:小野 寛晰
著者
小幡 斉 加藤 順子
出版者
関西大学出版部
巻号頁・発行日
2010-03-20
著者
加藤 哲弘 Tetsuhiro Kato
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.64/65, no.4/1, pp.119-139, 2015-05-20
著者
熊 征
出版者
北海道大学大学院文学院
雑誌
研究論集 (ISSN:24352799)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.157-187, 2019-12-20

本稿は,1972 年4月に山東省臨沂県銀雀山の漢墓から発掘された竹簡『孫子兵法』を取り上げ,その「攻」と「守」に対する考え方と,テキストの変遷に示される後世における解釈の変化について考察する。全体は3つの部分に分けられる。 第1部では,『孫子兵法』全体の攻守観についてまとめる。まず,『孫子兵法』を総括的に見て,その戦争に対する消極的な態度を分析し,戦争論より平和論を説いていることを明らかにする。そして,『孫子兵法』の「攻」と「守」を始めとする軍事の各方面,各段階における万全を追求する万全主義を論じる。最後に,『孫子兵法』全体は防御を重視する思想を説いていることを論じる。 第2部では,『孫子兵法』の攻守観が集中的に表れている形篇を中心に,十一家注本と竹簡本との相違点を比較し,両版本の重大な相違点に基づく攻守観の差異について考察する。主に,竹簡本の「善者」,「非善者」が,十一家注本では,それぞれ「善戦者」,「非善之善者」に作る点を取り上げ,竹簡本と比べて,十一家注本のほうが,「戦」のことをより積極的に説いていることを論述する。また,「攻」と「守」をめぐる改変として,竹簡本の「守則有余攻則不足」が,十一家注本では「守則不足攻則有余」に作る点,竹簡本の「不可勝守可勝攻也」が,十一家注本では「不可勝者守也可勝者攻也」に作る点,また,竹簡本の「昔善守者蔵九地之下勭(動)九天之上」が,十一家注本では「善守者蔵於九地之下善攻者動於九天之上」に作る点についての分析を通して,竹簡本では肯定される守備が,十一家注本では逆に否定的に扱われていることを論じる。これらの相違点の分析を通して,第1部でまとめた『孫子兵法』の攻守観と合わせて,竹簡本のほうが孫武の本意にふさわしいことを論じる。 第3部では,同時に出土した竹簡兵書である『孫臏兵法』と『孫子兵法』の間の継承関係から,『孫臏兵法』の攻守観について考察する。重点的にその威王問篇にある「必攻不守」に対する理解の仕方について分析する。戦争を消極的に見ている点,守備を重視し,万全を求める点において,孫臏が孫武と共通していることを明らかにする。それに基づいて考えれば,『孫臏兵法』威王問篇における「必攻不守」は,『孫子兵法』の「攻而必取(〔者〕),攻其所不守也」を継承している可能性が大きく,「必ず守らざるを攻む」と読むのが適切であることを論じる。
著者
川上 恵江
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.29-51, 2006-03-05
著者
吉田 優英 植野 若菜 都築 繁幸
出版者
愛知教育大学障害児教育講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究
巻号頁・発行日
vol.7, pp.45-58, 2011-02

漢字に苦手意識がある子どもに,書き写すだけの学習は苦痛であり,子どもが「やりたい。」,「できた。」と思えるような教材を考える必要がある。子どもの弱い能力を取り上げ,できないことをできるようにするのではなく,強い能力や好きなことを学習につなげる方が身につきやすい。そこで長所活用型指導方略とMI理論をマッチングさせて指導した。能動的に学習したことで,漢字の細部まで注意が向き,バランスの良い字がかけるようになった。様々な感覚を剌激して,自分で作るので,記憶に残りやすかった。家庭では,宿題の漢字練習を一人でできるようになった。このプログラムでは,間違いに焦点を当てずに,できるようになったこと,書けるようになったことを本人に実感させた。それが自信へとつながり,漢字への苦手意識は以前よりは少なくなった。週に2回行ったことにより,前回の記憶が残りやすかった。通級指導教室等で学習障害児に継続的にこのようなプログラムを実施すれば,漢字への苦手意識は改善されるのではないかと思われる。