著者
渡部 陽介 横張 真 落合 基継
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.747-750, 2008-03-31 (Released:2009-05-08)
参考文献数
17
被引用文献数
6 4

Agricultural greenhouses have been regarded as one of disturbing visual elements in rural landscapes. However, people who were grown up in a landscape with greenhouses may perceive the landscape as an entity which represents the visual identity of their native place. This study aims to identify impressions and perceptions on rural landscapes with greenhouses. Two Questionnaire surveys have been conducted. The first survey has been conducted in Mashiki Town and Ueki Town, Kumamoto Prefecture, where rural landscapes have been characterized by a vast accumulation of greenhouses for watermelon cultivation since late 1960s. The second survey has been conducted in Kumamoto airport. The study identified that landscapes with greenhouses were perceived as landscapes with a visual identity of their native place by the people who were grown up but no longer live in the area.

3 0 0 0 キネマ旬報

出版者
キネマ旬報社
巻号頁・発行日
1919
著者
小杉 亮子
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.67-77, 2012-07-14 (Released:2014-03-26)
参考文献数
27

大学生を中心に若者による社会運動が多発した1960年代後半に対し,近年,社会的関心が高まっている.本稿は,今後,1960年代後半の日本の学生運動を検討する際の視座を導出するため,1964年にアメリカ・カリフォルニア大学バークレー校で起きたバークレー闘争の形成要因について,先行研究のレビューを通じて整理した.バークレー闘争の形成要因としてとくに重要なのは公民権運動である.公民権運動は当初のイシューを提供し,さらに公民権運動活動家だった学生を通じて,座り込みなどの公民権運動特有の戦略・戦術が導入されることになった.また,一般の学生たちが闘争に参加した動機には公民権運動への支持に加え,合衆国憲法が保障する政治的権利の学内での実現と「政治活動と言論の自由が守られる場」という大学像の追求とがあった.ただし,合衆国憲法に基づく権利保障の要求は,アメリカ社会における法と権利の重要性を活用した公民権運動の発想の延長線上にあった.この発想を基盤に学生の権利と学生生活へとイシューを展開させたことで,キャンパスの広範な学生を巻き込んだ運動が実現された.このようなバークレー闘争の形成要因は,1960年代日本の学生運動についても,若者の逸脱や風俗現象として捉えるのではなく,同時代の社会のあり方,とくに同時代の社会運動との関わりのなかから学生運動が形成された具体的過程を分析する重要性を示している.
著者
田中 義文
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.570-579, 2011 (Released:2011-08-15)
参考文献数
6

体表心電図はアイントーベン(Einthoven),ウイルソン(Wilson)の発見したベクトル手法で説明される記述が多い.しかし,この考えに固執するとST変化やT波の異常を説明できない.本稿は,心電図測定の基本原理に戻って,心内膜側細胞内電位と心外膜側細胞内電位との電位差が各種の異常心電図をもたらすことを解説する.
著者
石多 猛志 大石 英人 飯野 高之 佐藤 拓也 濱野 美枝 中村 努 新井田 達雄
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.102-106, 2015 (Released:2016-02-29)
参考文献数
11

症例は75歳女性.普段より便秘気味で5日間の無排便期間の後に大量の排便を認めた後に下血を生じたため当院救急外来受診となった.診察時臍周囲の軽度圧痛を認めるも,腹膜刺激症状なく腹部レントゲンにても特に所見を認めなかった.しかし腹部造影CT(computer tomography)にて直腸(Rb)背側に巨大な穿孔部認め緊急手術となった.開腹時腹腔内に汚染認めず,穿孔部も認めなかった.S状結腸にて人工肛門造設し,穿孔部が巨大なため経肛門的に直腸内ドレーン留置の方針となった.術後画像検査にても穿孔部から周囲への炎症の広がりを認めなかった,術後11日目に直腸内ドレーン抜去して術後17日目に退院となった.直腸穿孔は稀な疾患であり,緊急手術にてHartmann手術もしくは,穿孔部単純閉鎖後人工肛門造設を行うことが多い.直腸穿孔に対して人工肛門造設行い,経肛門的直腸ドレーンにて症状軽快した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
山口,和子
出版者
調理科学研究会
雑誌
調理科学
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, 1982-06-20

食嗜好の変化とその要因を明らかにする目的で、食品の好み度を測定し解析を行った。調査は昭和53年10月、12歳以上の男女5,000人を対象に実施した。第1報では性・年齢、地域、職業、家族構成などの属性以外で、嗜好そのものに影響を及ぼす嗜好因子を抽出し、この嗜好因子が各属性と関連しあって嗜好を規定することを統計的に確認し、食品に対する好みの変化を追跡する基礎的内容となることを報告した。本報では前報に続いて、性・年齢階層別、地域別、職業別の嗜好傾向を食品の「好み値」「好みの偏り度」によって解析し、次のような結果が得られた。1)食品の好み傾向の性差は僅少であるが、年齢階層差は大きい。特に男女共に30歳代と40歳代の間に大きな断層が認められた。すなわち、10歳代から20歳代にかけて好きな食品数が増加し、好みの偏り度は上昇するが、30歳代では下降しはじめ、40歳代で急激に全体平均値以下に低落、50歳代、60歳以上の高年層とほとんど同じ好み傾向を示した。2)好み値3.8以上の好きな食品群をみると、男子は和風の蛋白質性食品が多いのに対し、女子は和風の糖質性食品でほとんどを占める。年齢階層別では10〜20歳代の若年層は洋風食品、スナック類、デザート類の好み値が高く、50歳代以上の高年層の場合の高い好み値は和風伝統食品に集中し、若年層、高年層の間で対照的た好み傾向が認められた。好み値の高い食品は普及率(95%以上)も高く、好み値に寄与することを示した。 3)地域別にみると、東海が全国平均値的な好み傾向を示し、関東は最も積極的な食品の好み傾向を示した。北陸・中国・四国はかなり保守的な好み傾向であった。近畿は好み値の高い食品も多いが低い食品も多い。北海道、東北は近畿と反対の好み傾向を示した。九州は好み値の高い食品数が少なく、好みの頻り度も低い。各地域の特産食品の好み値は年齢階層に関係なく高い。4)職業別の食品の好み傾向は、各職業を構成する年齢階層の最多響を受けていた。しかし、年齢構成がほぼ同じ比率で分布する専門技術職と労務職の間で、専門技術職が食品の好みのうえで明らかに積極性を示すのに対して、労務職の好み傾向は低いことから、職業もまた食品の好みに影響を及ぼすことがわかった。5)以上を総括すると、地域別、職業別の食品の嗜好差に比して、年齢階層別の嗜好差が最も大きいことが認められた。特に男女共30歳代に嗜好変動の分岐域があるように考えられた。