著者
野垣 文昭 鈴木 訓之 杉田 和哉
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.159-165, 2019 (Released:2019-03-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

経皮的腹膜透析カテーテル留置術は局所麻酔で施行できるカテーテル留置法である. 当院では超音波および透視を用いたSeldinger法による同留置術を20名の患者に施行し, 1名で腹腔穿刺ができず断念したが, 腹部手術歴のある6名を含む19名でカテーテル留置に成功した. 腸管穿刺は起きなかった. SMAP法8名, 一期的導入9名 (待機期間6~16日) で腹膜透析を開始しているが, 液漏れは認めていない. 早期合併症として, カテーテル先端位置異常2名, 腹膜炎1名, 血性排液2名のうち1名はカテーテル閉塞に至ったが, いずれも非観血的に対処可能であり腹膜透析が継続できた. 1名で留置15か月後にカテーテル抜去を行ったが, 局所麻酔のみで容易であった. 本留置術は低侵襲であり, 透析患者の高齢化が進むわが国においても有用な腹膜透析カテーテル留置法である.
著者
中澤 渉
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.112-129, 2010-09-30 (Released:2012-03-01)
参考文献数
48
被引用文献数
2 1

本稿の目的は,潜在クラス分析により,両親と本人の世代間学歴移動のパターンの変化を,教育拡大と関連づけて明らかにすることにある.教育は社会階層の研究において最も重要な変数の1つであるが,両親の学歴が高いほど本人も学歴が高いという関係以外には,質的な関係はそれほど詳らかになっているわけではない.専門学校や短大が教育拡大の中でどこに位置づけられてきたのかの評価も,定説は存在していない.そこで父・母・本人の3者の教育変数のクロス表から潜在クラスを導き出し,コーホートごとに多く観察される学歴関係のパターンを見出すことにした.データは2005年SSM調査を用い,導かれた潜在クラスが特定の職業階層や文化的背景のもとに見られるかを確認するため,多項ロジット潜在クラス分析を推定した.その結果,男女,いずれのコーホートでも3つの潜在クラスが導き出せた.潜在クラス分析の結果は,教育の拡大は格差を維持したまま進行すること,教育の優位度分布は一定で,進学率の上昇は進学のしやすさの閾値構造の変化で示されるという先行研究を概ね支持するものであった.その上,それぞれの潜在クラスは,父職や文化的資産によって異なる傾向をもっていた.専門学校進学者は男女とも高卒層の多いクラスに多く,女性の短大層は当初は4年制大学の多いクラスに所属していたが,徐々に異なるクラスへと分岐していったことが明らかになった.
著者
今村 健一郎
出版者
日本イギリス哲学会
雑誌
イギリス哲学研究 (ISSN:03877450)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.19-33, 2010-03-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
16

In his discussion of personal identity, Locke uses “consciousness” in three ways. “Consciousness” means “self-consciousness,” “memory” and “the appropriation of past thoughts and actions.” This multiple meaning of “consciousness” makes it difficult to get the clear understanding of his consciousness theory of personal identity. This paper is an attempt to show; firstly, that the principal meaning of “consciousness” is “self-consciousness” in that it does not only accompanies present perceptions but also constitutes memory; secondly, that it is the consciousness as memory that what Locke says appropriates past actions. Through this attempt, it becomes possible to distinguish the central and theoretical part from the marginal and practical part in Lockeʼs theory of personal identity.

3 0 0 0 OA 小学唱歌

著者
伊沢修二 編
出版者
大日本図書
巻号頁・発行日
vol.1, 1892
著者
松岡 豊
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.25-29, 2020 (Released:2020-03-30)
参考文献数
34

多国間のうつ病と魚消費量の関連を検討した生態学的研究をきっかけに,オメガ3系脂肪酸のうつ病に対する影響を検討するコホート研究やうつ病に対するオメガ3系脂肪酸の治療効果を検討する臨床試験が行われてきた。メタアナリシスにより,魚食およびオメガ3系脂肪酸の摂取がうつ病予防に有効であること,特にエイコサペンタエン酸が大うつ病者の治療に有効であることが確認されている。メカニズムに関しては結論が出ていないが,オメガ3系脂肪酸による抗炎症効果が示唆されている。最近発表されたオメガ3系脂肪酸の抗不安効果を検討した臨床試験のメタアナリシスでは,オメガ3系脂肪酸摂取が不安症状軽減と関連することが示された。本稿では,筆者らの研究を紹介しながら,うつ病と不安症のマネジメントにおけるオメガ3系脂肪酸の可能性について述べる。
出版者
大阪市社会部軍事援護課
巻号頁・発行日
vol.第1報 浪速区版, 1939
著者
石井 秀昌 西野 成昭
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:13498940)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.154-174, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
25

自己の利得最大化に反する行動を説明するモデルとして社会的選好の研究が進められてきたが,協調ゲームのように,元々好ましい状態がナッシュ均衡であるゲームに社会的選好が与える影響はわかっていない.本研究では,プレイヤが不平等回避選好を持つことで生じる協調ゲームのダイナミクスの変化を分析する.適応度として効用関数の値を用いるレプリケータダイナミクスを考え,その解析と数値計算を通して,不平等回避の強さがゲームの均衡にも,均衡に至る戦略分布のダイナミクスにも影響することを明らかにする.本研究を通して,協調ゲームでは不平等回避選好が協調状態の実現を阻害し得ること,また社会的選好がゲームに与える影響を理解する上で,ゲームの均衡だけでなくダイナミクスの分析も重要であることを示す.
著者
桑山 哲郎
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.273-277, 2009 (Released:2011-09-28)
参考文献数
12

ランダムドット・ステレオグラムの技術と歴史について解説する.2枚絵のランダムドット・ステレオグラムは1960年に論文発表され,60年代に広く一般に知られるようになった.一方,1枚絵のステレオグラム(Single image random-dot stereogram,オートステレオグラム)の原理は1979年に発明されたが,1990年の学会(SPIE)発表以来広く知られるようになった.ウォールペーパー(壁紙)ステレオグラムについても解説する.
著者
初坂 奈津子
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.40-44, 2017 (Released:2017-07-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
小川 節郎 鈴木 実 荒川 明雄 荒木 信二郎 吉山 保
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.141-152, 2010-05-25 (Released:2010-08-22)
参考文献数
15
被引用文献数
18

帯状疱疹の皮疹消褪後に3カ月以上痛みが持続している帯状疱疹後神経痛患者371例を対象に,プレガバリン150 mg/日,300 mg/日,600 mg/日(1日2回投与)を13週間投与したときの有効性および安全性を無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験にて検討した.いずれのプレガバリン群においても疼痛は投与開始1週後から速やかに軽減し,最終評価時の疼痛スコアは300 mg/日群および600 mg/日群ではプラセボ群に比べ有意に低下した.プレガバリンは痛みに伴う睡眠障害を改善し,アロディニアや痛覚過敏にも有効であることが示された.主な有害事象は浮動性めまい,傾眠,便秘,末梢性浮腫,体重増加などであった.これらの有害事象は用量依存的に発現頻度が高くなる傾向があったが,ほとんどが軽度または中等度であった.以上の結果より,プレガバリンは帯状疱疹後神経痛に対して有用性の高い薬剤であることが示された.

3 0 0 0 OA 秘書類纂

著者
伊藤博文 編
出版者
秘書類纂刊行会
巻号頁・発行日
vol.雑纂 其2, 1936