著者
稲垣 厚子
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
no.3, pp.22-27, 2011-03-31

本漢字教材は、欧州の非漢字系日本語学習者を対象として、CEFRのA1,A2,B1レベルの「読み」「書き」技能における漢字の取り扱いを明確にし、学習者が漢字の運用力を自己評価できるようになることを目的とする。学習者は、CEFRのCDSに準拠したタスクを通して実生活で漢字を使って何ができるかを認識し、自己の学習段階を診断することができる。これによって新たな学習の動機付けにもつながると考えられる。
著者
石井 健一
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.25-36, 2011-12-25
被引用文献数
1

5つのSNSサービス (Facebook、mixi、モバゲータウン、グリー、Twitter) について、個人情報の開示が利用にどのような影響を与えているのかという視点から分析をおこなった。その結果、既知の友だちが多く個人情報の開示度が高い「強いつながりのSNS」 (Facebook、mixi) と、既知の友だちが少なく個人情報の開示度が低い「弱いつながりのSNS」 (モバゲー、グリー、Twitter) に分かれることが確認された。「強いつながりのSNS」は既知の対人関係、「弱いつながりのSNS」はネット上の対人関係と結びついていた。個人情報のうち属性情報の開示はSNSの利用頻度や友だちの数と有意な相関があったが、識別情報の開示は、既知の友だちの数のみに有意な相関があった。コミュニケーション不安やプライバシー意識とSNS利用の間には有意な関連はみられなかった。
著者
井上 正子
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.88-89, 2015-03-28

Recently Vietnamese Japanese learners have been rapidly increasing, and various kinds of problems have been found with their pronunciation. This is a longitudinal study of raising consciousness to Vietnamese learners that have difficulty in pronouncing "su" including devoiced vowel /u/ from "desu" or "masu". Giving simple advice repeatedly in the class lead them to raise consciousness of their pronunciation problems in around 3 months, and pronunciation of devoiced "su" not only in the end but also in the middle of words in 10 months. A practice report on a trial of teaching pronunciation is presented in this research.
著者
山科 健一郎
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.385-401, 1998-10-30
被引用文献数
2

Various suggestive documents and associated sketehes are collected for understanding the pre-eruptive and the earliest stages of the 1914 great eruption of Sakurajima volcano, southwestern Japan, in Taisho era. Based on these records, the premonitory process to the eruption was reviewed especially with respect to the occurrence of many earthquakes which resulted in repeated rock falls with dust clouds, unusual upwelling of water and hot spring, and emission of volcanic smoke in the morning of January 12. Although there are many descriptions on the beginning of the remarkable eruption, they are sometimes inconsistent with each other. In the present paper, it is proposed that the valcano started to erupt around 09 : 58 on January 12 (Japanese Standard Time) at 200 m in height in the western slope of the mountain. In several minutes, a line of craterlets was formed between 200-500 m in height in the WNW-ESE direction. The development of a subsurface fissure in this direction resulted in another outbreak in the southeastern slope probably around 10 : 05. For the better understanding of this important eruptive event, discoveries of additional references are still desired.
著者
佐藤 翔
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.492-498, 2013-12-01

図書館公式ブログやTwitterの普及により,発信される情報の量が増え,それらを網羅的に追うことは難しくなっている。その中で従来以上に情報の取捨選択の重要性が増している。図書館系ニュースサイトは読者に代わって一次ニュースからの取捨選択を担う,エージェントとなりうるものである。読者は自身の嗜好をはてなブックマークやTweetを通じてフィードバックすることで,ニュースサイトを自分に適したものへと育てていくことが可能である。
著者
今泉寿明
雑誌
臨床精神医学
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1713-1720, 1992
被引用文献数
1
著者
森 義信
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 (ISSN:13417843)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-29, 2005

人類の歴史は,コミュニケーションの形態上の変遷という観点からみてみると,当初は長いあいだボディ・ランゲージの段階にあり,ついでオーラル・コミュニケーションがこれに加わり,最終段階で文字文化が加わったと言える。手は,こうしたあらゆる段階で,重要な役割を果たしてきたし,いまも果たしている。(1)手と腕は物理的な次元で攻撃と防御の道具であり,指先と手は物を巧みに作り,操る。(2)手は,感情や意志を巧みに表現し,ときには言葉以上の表現力をもっている。(3)手は,身体のうちでもっともシンボリックな機能を果たす部分であると言える。(4)手と指は,数をかぞえて表示もできるし,文字の代わり,眼の代わりもする。こうした機能性のゆえに,古来,手には奇跡を起こす力があるとの信仰がうまれた。キリスト教世界では,イエスはライ病患者に手を触れて癒したとされ,また,中世フランスの国王は,「王の病気」と呼ばれたルイレキの患者に手で触れて,治癒する力をもっていたとされる。また,聖遺物崇拝の習慣がある西欧では,聖人の手や腕が切り取られて箱に収められ,手にかかわる病を治癒したり技量を上達させたりする霊験があると信じられてきた。かくするうちに,手そのものが身体から切り離された形で,絵画に描かれ彫塑にほられ,信仰の対象としてシンボル化されてきた。ユダヤ教やキリスト教における「神の右手」,イスラム教の「ファーティマの手」は,そうした一例である。ここには,信じるからこそ,手のもつ超自然的な力の恩恵に浴することができるという,共同幻想の世界があった。手は法行為の世界でも重要な役割を果たしてきた。西欧の古代・中世法においては,奴隷=手で捉えられたものは,奴隷主の手を経て解放されなければならなかった。宣誓は右手を挙げて行なわれ,契約や和解,承諾や合意に際しても,手は重要な役割を果たしている。このように手は,人格の表象,法的行為能力のシンボルとして機能していた。それゆえにまた,ゲルマン系の部族法典は,人が法律に違反したり,契約を破ったりすれば,手の切断をもって罰すると規定している。それは単なる刑罰としての身体切除を意味したのではなく,「民事的な死」の宣告であり,当該者は以降,法律業務に就けなかったのである。手の切断は一種の法的無能力を作り出したのである。宗教改革以降,手への信仰は廃れ,法律行為における手の役割は減少し,これにともなって手への刑罰も激減したものの,反面,近代以降,対面式のコミュニケーションや演技の世界における手の象徴的使用は,一向に衰えを見せていない。
著者
Monteagudo Canales Alberto
出版者
日本・スペイン・ラテンアメリカ学会
雑誌
日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌 (ISSN:13449109)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.63-75, 2021

<p>日本のエンターテインメント文化において、「ソード・アート・オンライン」ほど、国内外から大きな注目を集めている物語世界はない。本考察では、同名のアニメの前半16話分に焦点を当て、文化的にも年代的にも異なるスペイン文学の最高峰『ドン・キホーテデ・ラ・マンチャ』と比較分析する。つまり、アニメの主人公である桐ヶ谷和人が、そのアバターであるキリトに、ときには歪んで、ときには忠実に反映される点で、アロンソ・キハノとその分身であるドン・キホーテの関係をベースに読み解く試みである。さらに、このアニメのキャラクターを分析することで、このアニメシリーズが、スペイン黄金時代のテクストにおいてすでに生み出されていた現実と外見の概念に対する考察を深化することも可能ではないか。このアニメは、スペイン黄金世紀とは異なる社会史的・時間的条件の産物であるにもかかわらず、幅広くバロック的感覚を備えており、日本の大衆文化に慣れ親しんだ観客が、17世紀スペインの文学的形象を再考・再発見する一助となるであろう。</p>