著者
筆保 弘徳 塚本 修
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.443-451, 2000-06-30
被引用文献数
2

台風9810号において, 進行方向の西側約150kmまでの九州南部から中国地方の地域で1.0〜7.5hPaのPressure Dipが観測された.特に台風経路に近い地域ではPressure Dipが起こる直前に気圧の急上昇(気圧の鼻)がみられ, それと同時に気温・露点温度の急低下, 突風, 一時的強雨が起こっていた.気圧の鼻やPressure Dipの起こった時刻で等時線を引いてみると, レーダー合成図でみられたレインバンドと気圧の鼻が良く一致し, 高層解析から高度2km付近でリチャードソン数の小さい層が確認された.これらの解析より, 気圧の鼻はレインバンドの通過に伴う現象, Pressure Dipはそのレインバンドに対応した内部重力波と考えられる.

3 0 0 0 OA 三字経

著者
王伯厚 編
出版者
玉山堂
巻号頁・発行日
1873
著者
加藤 邦夫 上原 孝雄 中村 和男 吉岡 松太郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.289, pp.119-129, 1980-03-30
被引用文献数
12

以上の解析結果よりえられた知見を述べ, まとめとする。(1) 群集対向流動のすれ違い性状 対向流動の特徴は, 対向する群集のすれ違いに伴い, 各歩行者が対向者との接触を避けるように同方向者同士寄り合い, 帯状のグループとなって交互に層を形づくる現象である。このような群集の層化現象が円滑な流動を可能にするとみられる。グループの形成状況は, はじめ先頭者に同方向者が追従する形で楔状を呈することが多いが, 次第に引き伸ばされ層状に近づく。すれ違いのはげしい部分, および小さいグループ程層化の傾向が強い。(2) 群集中における歩行者間の相対位置 異方向者との間の相対位置の分布は, 半径が約2mの円状となる。密度が高くなると側方は接近して楕円状となるが, 進行方向には衝突を回避するよう常に2m位の間隔を保つ。同方向間では, 密度が上ると前者に追従しやすいように前方を縮め, またその密度条件下で自己の領域をなるべく確保しうるように同方向者が互い違いに並ぶ形になり, 相対位置の分布は円形に近づく。(3) 層化グループ占有領域 密度状態, および両方向流の構成比によって, グループの大きさに差ができるが, すれ違いのはげしい部分において方向別に層化された各グループの占有領域の幅員は, 一般に1〜1.5m程度のものが多く, これは同方向者が寄り合って1人ないし数人幅の層となり, すれ違い歩行するのに都合のよい幅員と考えられる。(4) 流動密度と流速, および流率の関係 今回観測された流動密度は, すれ違い時に一時的, 局所的に3.5人/m^2に達することもあったが, 全領域にわたって高い密度状態はえられず, 両方向含めて平均0.9人/m^2以下で自由歩行程度のものであった。この状況では構成比, およびその混り具合にかかわらず, 全域についての流動密度と流速, および流率との対応関係は, 一方向流動の場合と大きな相異は見られず, 両方向流動はかなり円滑に流れており, 層化現象が能率のよいすれ違いを可能にしていると考えることもできる。(5) 層化現象の指標 層化の現象を客観的に示す指標として, 異方向者混入度(エントロピ), および同方向者の位置と方向の分散度(エントロピ)は, 低密度状態, および両方向群集の勢力差が大きい場合を除けば, 層化をある程度表現しうるものと思われるが, さらにより高い密度状態で確かめる必要がある。(6) 群集間の干渉による進路決定特性 群集対向流動状況においては, 2次元空間上でその各部分における歩行者の進路方向は, その群集の本来の目的地方向を基本として, 前方の対向者の高密度部分, および対向者の領域とみられる部分と衝突することのないように回避し, 直前に同方向者がいればそれに追従する方向へ修正されることが明かになった。これらの性質によって, 層の形成や同方向者の層の結合現象などの解釈が可能となる。また, 進路決定にとって直前の対向者の影響が大きいことも明かとなったが, その作用形態に対する一定の傾向を把握するには至らなかった。
著者
赤間 啓之 三宅 真紀 鄭在玲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.78, pp.63-70, 2007-07-27
参考文献数
13

赤間ら(2007)は、フランス革命期の思想家、カパニスとメスメールの思想的類似性を論証するため、彼らのテキストをもとに、キーワード中心の意味ネットワークを作成し、グラフクラスタリングの技法であるMCLを適用した。本論考では、単語の共起データを取る際、単語インスタンスをすべて取り扱う漸進ウインドウ法(IAW)を使用すると、それに基づく意味ネットワークのクラスタリング結果が、キーワード中心のものと比べどう異なるものになるか分析する。By using the MCL (Markov Cluster Algorithm) known as a graph clustering method, Akama et al. (2001) measured the similarity of thinking between two contemporary thinkers, Cabanis and Mesmer. But the previous data under the form of semantic network were obtained by selecting beforehand the keywords as hubs around which the neighboring words were taken as dangling vertices. This study propose as an alternative to the keyword-based clustering a new windowing method called Incrementally Advancing Window (IAW) that generates co-occurring word pairs that can be used as inputs to the Incremental Routing Algorithm. Here we compare these two types of co-occurrence and/or adjacency data matrix by applying to each of them the indexes as weighted curvature, modularity Q and F measure.
著者
加藤 信哉
巻号頁・発行日
2014-04

平成26年4月22日に開催されたコアスタッフ勉強会after連絡会のプレゼンテーション資料
著者
岩倉 成志
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

近年、交通施設整備の事業採択の判断は、費用対効果分析の結果に左右されるが、その信頼性は、交通需要の予測値、時間価値や大気汚染、騒音等の社会的費用原単位の精度、建設費と建設期間の見通しに依存することが大半である。一般に、交通行動モデル、社会的費用原単位ともに実行動データを用いて作成することが望ましいとされているが、被験者に知覚バイアスが発生している状態でパラメータを推定し、知覚バイアスの発生構造を同定しないまま将来予測を行ったり、社会的費用を推定すれば、誤った分析結果となることは自明であり、それをもとにした交通ネットワーク計画は社会的に大きな損失をもたらす。筆者は、習慣的行動による情報探索の低下が、知覚バイアスを発生させる大きな要因と考えている。よって、本研究は、(1)習慣的行動メカニズムの検討を行った後、各種の事例に基づいて、(2)知覚バイアスの発生を確認した上で、(3)習慣的行動を強める要因を把握し、(4)習慣性の強さ(習慣強度)を測定する方法を検討する。さらに、(5)習慣形成要因と習慣強度、知覚バイアスとの因果連鎖を分析し、(0)知覚バイアスを考慮した離散選択モデルを構築することを目的とする。本年度は、供用後5年を経た鉄道新線を対象に需要の定着過程のデータ収集と分析とを行った。時系列の需要総量を把握するために、都市交通年報の断面交通量データおよび東京都交通局の所有する輸送需要データを取得した。平成14年度に都営大江戸線利用者、非利用者を対象に実施したインターネットを用いたアンケート調査の同一被験者にパネル調査を行い、経路利用および、知覚誤差の経年変化と習慣的行動との関係を把握した。インターネット調査では平成14年度インターネット調査の被験者(モニター)と同一の被験者が対象となるため、(株)アサツーディケイのインタニネット調査システムKNOTsを利用した。このデータ取得が研究補助のうちの大半である。取得できたパネルデータは、通勤目的トリップを104サンプル、私事目的トリップを101サンプル取得することができた。これらのデータにより、新しい交通ネットワーク供用後の転移速度と速度を決定づける習慣的行動との関係の解明を行った。こうした実行動と知覚状況に関する実データの解析とともに、知覚誤差の減少とともに、新規路線の需要定着が進む交通行動モデルの理論画からの検討を行った。複数の方法の検討を行ったが、特に経路選択行動とサービス水準の知覚値を同時決定する同時方程式モデルの体系で検討を試みた。
著者
森松 秀樹
出版者
早稲田大学人間科学学術院
雑誌
人間科学研究 (ISSN:18800270)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.116-116, 2013-03-25
著者
池田 勝佳
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、①トップダウン的な手法による有機分子層のナノドメイン化と②ボトムアップ的な分子積層技術それぞれを確立し、両者を組み合わせた分子集積構造作成に関する技術開発を行うことで、単一分子では発現しない機能性が分子集積によって発現する可能性について検討を行ってきた。①については、チオール分子の単層膜における電気化学還元脱離と金ナノ粒子の単分子層表面への吸着に伴う電気2重層の空間変調を組み合わせて、ナノサイズの分子層ドメインを電極表面に構築する手法について詳細な検討を行った。その結果、分子層ナノドメインのサイズが本手法で制御可能であることが確かめられた。分子層ドメインサイズによって分子集合体に協奏的に発現する機能性の制御が期待される。また、②については、有機単分子膜上に金属錯体を配位結合によって固定する積層法に関して、様々な有機分子層を用いて系統的に検討を行い、分子集積法の基盤技術を確立した。分子集積による機能性発現については、昨年度に見出した金電極上の有機単分子膜における特異な電気化学応答について、更なる検討を加えた。金基板の面方位によって有機単分子層の分子密度を変え、電気化学電位による基板-分子間相互作用の変調によって駆動される分子膜構造の変化をラマン観測した。その結果、分子密度の高い時にだけ、特異な分子構造変化(2面角変化)が発現することが明らかになった。また、基板表面が原子・分子レベルで構造規制されていない粗表面では、このような電極電位に依存した2面角変化は全く確認されず、分子間相互作用によって発現する分子集積構造に特有の現象であることが確かめられた。以上のことから、分子間相互作用を適切に制御した分子ナノドメインにおいては、単一分子とは異なる性質を創発でき、精密な分子集積によってその機能を設計できる可能性が示された。
著者
木村 太一
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

我々は滑膜肉腫細胞株におけるスフィア形成細胞群で有意に高発現しており、幹細胞性遺伝子発現と高い相関の見られる細胞表面抗原Aを同定した。表面抗原Aは滑膜肉腫細胞株から高い造腫瘍能、自己複製能、多分化能を有する細胞集団を分離・濃縮可能であり、滑膜肉腫幹細胞マーカーであることが判明した。表面抗原Aの発現の有無と悪性度との関連を検討するために、42例の滑膜肉腫症例を用いた免疫組織化学的検討では、表面抗原A陽性症例では有意に全生存期間の短縮が見られた。さらに表面抗原Aの特異的阻害剤による腫瘍増殖抑制効果の検討から、2種の滑膜肉腫細胞株で有意な増殖抑制効果を有する事が判明した。本研究において我々は初めて滑膜肉腫幹細胞の存在を明らかにし、分離・濃縮を可能とする表面抗原Aを同定した。さらに表面抗原Aの阻害剤による滑膜肉腫の増殖抑制効果、臨床検体における予後不良因子であることも解明した。このことは滑膜肉腫における新規治療標的を探索する上で極めて重要な発見であると考える。