著者
山中 盾
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.905-915, 2000-08-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
27
被引用文献数
1

正常成人男性3名を対象として声帯振動のEGG(電気声門図)波形, PGG(光電声門図)波形,超高速度ディジタル撮影装置(以下HSDI)による撮像を同時記録し,声帯振動の1周期における撮像と各波形との対応に関して比較して,声帯振動パタンの解析におけるEGG,PGGの有用性について検討した.被験者ごとに話声位で3段階の音程と3段階の強弱をつけて行い,合計27の発声を記録した.各発声のデータ毎に声門面積波形(GAW),声門横径波形(GWW),EGG波形,differentiated ECiG波形,PGG波形,differentiated PGG波形,音声波形と同期信号を同じ時間軸の上にグラフ化して示し,各波形のパタンを比較した.GAWとGWWの解析から,声帯遊離縁を基にした声門閉鎖パタンと声門開大パタンには発声様式の違いに対応した変化があることが確認された.声門閉鎖時のEGG波形はいくつかのパタンがありHSDI撮像で観察された声帯遊離縁の動きによく対応していた.しかし声門開大時のEGG波形と声帯遊離縁の動きとは閉鎖時ほど明らかな一致が見られなかった.EGG波形は遊離縁の接触の仕方により決まり,EGGは声帯振動パタンの推測に実用的かつ有用であると考えられた.一方PGGとGAWとの間には時間のずれが認められ,PGG波形だけで閉鎖期始点と開大期始点を決定することは難しいと考えられた.従って,PGG波形は開放期の有無や周波数の測定などには有用と考えられるが,1周期毎の声帯振動パタンを推測するには難点があり,声帯振動の解析に適用するには今後も検討を要する.
著者
白幡 和也
出版者
酪農学園大学
巻号頁・発行日
pp.1-90, 2012

In the present study, the distributions and dynamics of perchlorate in atmospheric and aquatic environment in and around Lake Toya, Hokkaido, Japan was investigated. The perchlorate concentrations in atmospheric aerosol were in the range of 0.03-0.21 ng/m^3 from july to October when the fireworks events are held every night, while those after the end of the events were less than the detection limit (< 0.01 ng/m^3). Since the firework events started in May, the perchlorate ware detected in the lake waters collected at the southern part of Lake Toya, while those before the beginning of the events ware less than the detection limit (< 0.33 μg/L). Especially, the concentrations of perchlorate in the lake water were observed locally in the range of 2-7 μg/L, which were exceeded the U.S. drinking water quality standard (2 μg/L). After the end of fireworks events, the perchlorate in lake water collected at lakeside could be observed in the range of 0.33-1.65 μg/L. In addition, perchlorate was detected in the range of 0.5-2.1 μg/L in waters collected around the center (Nakashima), the southern part (Takarada) and the downstream (Shinzan-numa) of the lake throughout the year. From these results, it was concluded that the fireworks is the main source of perchlorate around Lake Toya and the emitted perchlorate is wholly diffused in the water through the water circulation of Lake Toya. Furthermore, the perchlorate was detected in the water after the end of fireworks event, showing that perchlorate was detected in the water after the end of fireworks event, showing that perchlorate is resistant to decomposition in the aquatic environment.

2 0 0 0 OA 香樹院語録

著者
徳竜 著
出版者
無我山房
巻号頁・発行日
1908
著者
陸軍省 編
出版者
陸軍省
巻号頁・発行日
vol.〔本編〕, 1907
著者
六車 由実
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

H19年度は下記の内容の調査・研究を行った。(1)事例の収集および基礎的データベースの作成人柱伝説およびその比較対象としての人身御供伝説、またそれに関係する伝説資料を、『日本昔話通観』『日本の伝説』『全国昔話資料集成』『日本昔話大成』『日本民俗学』『旅と伝説』『郷土研究』『民族学』の悉皆調査によりピックアップし、都道府県別に分類してファイリングした上で、各資料のナンバリングおよびa(人柱伝説)、b(人身御供伝説)、c(そのほかの関連伝説)に分類して、エクセルにて基礎的なデータベースを作成した。この際、資料の収集およびファイリング、ナンバリングには、院生1名および学生2名のアルバイトを使用した。(2)個々の事例についての資料収集および聞き書き調査上記の作業と並行して、H19年度においては、以下の地域に実際に行き、聞き書きを行うとともに、図書館等の郷土資料のなかから関連資料の収集を行った。・8月16日〜19日秋田県横手市増田の人柱伝説と増田の盆踊り・9月2日〜4日静岡県富士市松岡の護所神社に祀られる人柱・3月12日〜17日香川県高松市、丸亀市、琴平町、徳島県徳島市の人柱(3)これまでの調査・研究から見えてきた人柱伝説を考察する際の課題本調査を始める前の予想では、人柱伝説は人間が自然に対抗するために作り出した人神(守り神)であり、川神や水神などの自然神の存在が希薄化する一方で、人柱による人神への信仰が高まったと考えていた。しかし、今回調査した事例のなかには、水神やそれに値する川除大明神といった自然神と人柱を祀った神とが共存し、両者が補完的な関係に位置づけられているものがいくつかあった。人柱に立った者の霊が人神として祀られているというのは間違いではないだろうが、それまでの自然神との関係をより慎重に検討していく必要があろう。
著者
山本 幸正 Yukimasa Yamamoto 湘北短期大学 Shohoku College
巻号頁・発行日
no.30, pp.143-154, 2009-03-31

1950 年に発表された「抹香町」以降、徐々に醸成されていった川崎長太郎のブームは、平野謙が「新事態」と呼んだように、マスメディアの時代における文学について再考を促すものだった。本稿は、『自選全集』にも収録されず読まれないままになっている川崎の作品が、先行作品のメタ言説となっていることを明らかにし、次いでその作品を享受した女性読者を分析することで、1950 年代における小説(家)と読者の関わりの一端をあきらかにすることを試みたものである。
著者
竹村 諒太 本田 真己 深谷 哲也
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.57-66, 2019-04-05 (Released:2019-04-26)
参考文献数
29

トマトやその加工品に豊富に含まれるリコピンは強力な抗酸化能を有している 。しかし,植物中のリコピンはtrans体として存在し,trans体リコピンは体内吸収性が低いことが知られている。一方で,トマト加工品には,cis体リコピンが豊富に存在し,体内に吸収されやすいことが報告されている。また,最近の研究では,リコピンはオリーブオイル,たまねぎと一緒に加熱されると,trans体からcis体への熱異性化が促進されることが報告されている。そこで我々は,家庭において一般にトマトと一緒に調理されている野菜からリコピンの熱異性化を促進する野菜を調査したところ,たまねぎに加えてにんにく,ブロッコリー,キャベツがリコピンの熱異性化を促進することを明らかにした。さらに,たまねぎ,またはブロッコリーを使用した一般的なトマト料理の加熱調理がリコピンの熱異性化に及ぼす影響を調査した。その結果,トマト料理の加熱調理においてもたまねぎ,またはブロッコリーの使用は,リコピンの熱異性化を促進した。

2 0 0 0 OA 国事雑抄

著者
森田柹園 [著]
出版者
石川県図書館協会
巻号頁・発行日
vol.上, 1932
著者
中村 努
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.55-74, 2021 (Released:2021-04-13)
参考文献数
37
被引用文献数
5

本稿では,台湾島嶼部の地理的条件と地域固有の歴史的経緯から多様な空間スケールのケア供給体制が構築されてきた過程と,現在のケアの利用行動からケア供給体制が抱える課題を明らかにした。台湾本島との隔絶性が高い緑島では,1990年代以前,衛生所による一次医療が展開されるのみで,その他のケアニーズはもっぱら近居の家族による支援によって対処せざるを得なかった。一方,民主化が進展した1990年代後半以降は,民間診療所の開設と,東南アジアからの介護労働者の受け入れによる高齢者介護や生活支援サービスの確保が確認できた。こうして,複数のアクターがローカル・スケールのみならず,グローバルなレベルに及ぶ広域で重層的なローカル・ガバナンスを形成することによって,台湾の島嶼部におけるケア供給が図られてきた。しかし,台湾政府は時間的,地理的制約を克服するために有効とされる,遠隔画像診断と救急搬送の活用に消極的であった。ケアサービスの利用行動を検討した結果,島内では家族や外国人労働力が在宅介護を支える一方,休職や家族の分断を伴った島外への受療行動が確認できた。こうした政府の役割を代替あるいは補完しようとするアクターで構成されるローカル・ガバナンスは,台湾固有のケア規範に加えて,緑島固有の歴史的経緯とも密接に関係しており,外国人介護労働者の人権に対する法的整備や,身近な地域でケア供給が完結する体制の整備が課題であることも明らかになった。

2 0 0 0 OA 結毦録 3巻

著者
松岡玄達
出版者
和泉屋文助[ほか1名]
巻号頁・発行日
vol.[2], 1759
著者
橋本毅彦
出版者
日本流体力学会
雑誌
ながれ (ISSN:21854912)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, 2014-06