著者
野村 直也 橋本 剛
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2018-GI-39, no.4, pp.1-7, 2018-02-23

近年のゲーム AI は AI 自身が評価関数を生成する汎用的な学習法が成果をあげており,代表的なものとして Deep Q Network (DQN) などがある.これらの手法は様々なゲームに適用可能であるが,画面の情報量が多いものや操作が複雑なゲームでは学習が進まないという問題があり,さらに広い範囲のゲームに適用できる手法が必要とされる.本研究では複雑なゲームの一つとして弾幕シューティングゲームを取り上げ,このゲームに適用可能な学習手法を提案することで,更に汎用的な手法について考察する.弾幕シューティングゲームにおける人間のプレイの性質に着目すると,人間は画面全体を見ておらず,初心者は視野が狭く,上達するに連れ視野が広くなっていくという性質があると考えた.ゲーム序盤は観測範囲が狭く,徐々に観測範囲が拡大していくという性質を学習システム内に組み込むことで複雑なゲームに適応させる.本研究では観測範囲を狭くして学習の効率化が図れるか実験を行い確認した.観測範囲を狭めて学習させたところ,従来の手法よりも高いスコアを獲得した.また,観測範囲の変化量の妥当性や,その他のゲームへの適用について考察を行った.
著者
川越 泰博
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.61-94, 2015-10-30

明の太祖洪武帝が崩御すると、国都南京に築造された孝陵に埋葬された。本来はここ南京に以後の皇帝たちの陵墓も置かれるはずであったが、洪武帝亡き後起きた靖難の役に勝利すると、太宗永楽帝は北京に遷都し、その陵墓長陵をも北京西北の昌平県の天寿山に建造した。以後の皇帝たちも歴代それに倣い、天寿山にその陵墓を造築した。このように、皇帝陵は南京と北京に分岐したが、ともに共通していることは、それぞれの皇帝陵のために護陵衛が付設されたことである。本来、文字通り、陵寝を保護する衛所という役割を課せられた護陵衛であるが、宣徳年間になると、親軍衛・京衛・外衛と同じように、鄭和の西征、兀良哈征討のような外征、鄧茂七の乱や四牌楼の戦いのような中国内部で起きた変乱にその鎮圧軍として出軍した。それは、宣宗宣徳帝が王府護衛や護陵衛のような特殊衛所の軍事力をも取り込み、それを一般衛所化しようとしたためである。その結果、護陵衛の軍事活動の範囲は飛躍的に拡大した。
著者
吉高 淳夫 西田 謙太郎 平嶋 宗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1467-1476, 2009-05-15

人の視線には,興味や関心などの心的な状態が現れることが知られている.このため,視線からこれらの情報を抽出し,人とコンピュータとのインタラクションを円滑にする視線インタフェースや,インタラクティブシステムの操作性に対するユーザビリティ評価で利用する試みが行われている.しかしながら,傾注状態(何かを見ている状態)の検出に関しては,傾注の有無を視線の停留時間により判別するにとどまっているのが現状である.傾注には,対象が単に視界に入っている状態,視界中から興味の対象となる物体を探す状態,特定物に傾注して詳細な情報を得る状態など複数の状態があると考えられ,傾注の状態をより細かく識別することは視線に基づくインタラクションの高度化に貢献すると考えられる.本論文では,傾注状態をさらに分類して認識することを目標とし,複数の注視状態があることが知られている絵画鑑賞活動に着目する.絵画鑑賞における眼球運動には,視界中から興味の対象となる物体を探す「拡散的探索」と特定物に傾注して詳細な情報を得る「特定的探索」がある.本論文では注目時の状態のうち,「特定的探索」時の視点を検出する手法について検討し,停留時間に加えて停留の発生頻度を用いる検出法について考察した.さらに,この検出手法を実装し,小規模ではあるが実験的に本手法の有効性を確認し,本手法が傾注状態を複数の状態に分類できる可能性を示した.
著者
藤原 優花 中村 聡史
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.120-128, 2022-08-25

オンラインゲームにおいて,聴覚や視覚のハンディキャップにより,自身の実力と関係ないところで不利になる人がいる.特定の色が見えづらい色覚多様性者は,色の情報の読み取りに時間がかかるため,色による判断が迫られるゲームにおいてハンディキャップを背負っている.色覚多様性者のゲームプレイを支援するために,色覚タイプに合わせた配色を使用する色覚サポートのような配慮も行われているが,全ての色覚タイプに対応しておらず,サポートする部分にも限界がある.我々はこれまでの研究において,D型模擬フィルタを実現し,選択肢の中で異なる1色を選択してもらう実験や背景色を考慮した実験を行い,一般色覚者とD型色覚者両者にとって識別しやすい色や両者にとって識別する時間が近い色を明らかにした.しかし,実際のゲームにおいて有効かどうかを明らかにしていなかった.そこで本研究では,これまでの我々の研究で得られた結果から仮説をたて,Among Usを用いた実験を実施し,色のハンディキャップにおける制御が可能かに関する検討を行った.その結果,配色次第では一般色覚者も色覚多様性者もゲームの有利不利制御が可能であることがわかった.
著者
堤 聡 木村 秀 松本 大資 古川 尊子 松岡 裕 木原 歩美 浜田 陽子 湯浅 康弘 石倉 久嗣 沖津 宏 阪田 章聖 山下 理子 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.124-127, 2011-03-25

リポイド肺炎は脂肪を貪食したマクロファージが出現する肺炎であるが,一般に無症状であり胸部異常陰影にて偶然見つかることが多い.今回診断に苦慮し胸腔鏡下肺生検にて診断しえたリポイド肺炎を経験したので報告する.症例は79歳,女性.僧房弁狭窄症に対する弁置換術後のフォローアップ中に,胸部X 線像で右中肺野にすりガラス陰影の出現を認めたため当科へ紹介された.明らかな自覚症状や各種検査での異常所見を認めなかったため経過観察としていたが,初診から8カ月後に肺野陰影の増強と拡大を認めたため胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織像では肺胞内に浸出物と泡沫状マクロファージを多数認め,最終的にリポイド肺炎の診断を得た.症状に乏しい胸部異常陰影の鑑別疾患のひとつとしてリポイド肺炎は考慮する必要がある.
著者
松倉 信幸 Nobuyuki MATSUKURA
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 = Journal of Suzuka Junior College (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.93-103, 1998-01-01

Functional linguistics has been playing an important role for developing discourse analysis, pragmatics, and language acquisition. Therefore the point I wish to emphasize is that functional linguistics has also been furthering teaching methods for communication. This paper is intended as an investigation about the history of communicative language teaching based on functional linguistic theory, the relation between functional linguistics and communicative teaching, and English education which lays great emphasis on communication.
著者
谷 勇介 石月 亜由美 尾熊 洋子 石井 俊夫
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.45-49, 2011-03-31

本研究は,大腿骨近位部骨折術後の歩行能力関連要因の検討および受傷前歩行能力の早期再獲得(術後4週間以内)に影響する要因について検討した.対象は大腿骨近位部骨折術後患者15例であった.歩行能力の関連要因として患側荷重率,疼痛,患側・健側の等尺性膝伸展筋力,握力を測定した.歩行能力の分類には順位尺度を用い,歩行補助具の補助が大きい順に平行棒,歩行器,四点杖,T字杖,独歩とした。測定日は各歩行補助具で監視歩行が20m以上可能となった日と術後1週毎とした.歩行能力と各関連要因との相関を求め,術後4週以内に受傷前歩行能力を獲得した者(以下,獲得群)8例と獲得できなかった者(以下,非獲得群)7例に分け比較した.歩行能力と各関連要因は患側荷重率で強い相関(rs=0.70,p<0.01)を認めた.獲得群と非獲得群の比較では,獲得群で術後1,2,3週目の患側荷重率が有意に高値を示した(p<0.05 ).本研究において,大腿骨近位部骨折術後の歩行能力の獲得に最も関連する要因は患側荷重率であり,術後1週目の患側荷重率は受傷前歩行能力の早期再獲得を予測する指標になり得る可能性が示唆された.
著者
柳沢 進也 高橋 和司 安田 昂樹 田邉 一寿 種岡 優幸 細谷 竜平 小芝 力太 齋藤 祐太 野田 隆文 齋藤 孝道
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.473-474, 2018-03-13

WebサーバがWebブラウザから,端末の特定に繋がる情報(以降,特徴点と呼ぶ)を採取するBrowser Fingerprintingという手法がある. Browser Fingerprintingはユーザの許可を得ずに行うことが可能であるので,対策ツールを用いて特徴点の偽装を行うユーザもいる.しかし,多くの対策ツールで有効性は示されていない.そこで本論文では,Firefox,Chromeそれぞれで特徴点の偽装を行うアドオンを対象に,特徴点がどの程度偽装できるのかを調査した.その結果,特徴点の一部を偽装できるアドオンと,全く偽装ができていないアドオンが明らかになった.
著者
田中 邦裕
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.650-651, 2022-11-15