著者
大山 陽生
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.221-226, 1987-03-31

わが国の演能空間は近代以後において、建物の中におさめられる傾向が現れたか、かつては屋外でおこなわれた。舞台、橋掛り、楽屋が完備したものでも観客は屋外で観賞した。一方、ヨーロッパでは今世紀に入って演劇、オペラの屋外上演志向が強まってきた。日本の代表的な演能空間6つを選び詳細な調査を行って、ヨーロッパの野外劇場や野外劇が行われる広場と比較しながら、新しい空間創造のための資料つくりを行った。
著者
山中 英生 原澤 拓也 西本 拓弥
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.A_15-A_21, 2017

国・警察による「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では,自転車専用通行帯や車道混在を中心とした自転車ネットワーク形成方針を示している.一方,自転車利用者の多くは車道通行に不安を感じており,車道部の自転車通行空間の普及には &ldquo;安全感&rdquo; 確保のための街路交通条件を明らかにすることが肝要と言える.本研究は、自転車の車道走行時の安全感に影響を与える要因を明らかにすることを目的としている.そのため,東京都内の街路交通特性の異なる街路 </tt>22 <tt>区間についてビデオクリップ・アンケートを用いて、サイクリストの安全感とその要因への意識を調査し、安全感に影響を与える要因及び街路交通特性との関係を分析した.その結果,「追い越され」の要因が高く,レーン設置,通行帯幅確保が安全感向上に寄与することが明らかになった.
出版者
新建築社
雑誌
新建築 (ISSN:13425447)
巻号頁・発行日
vol.73, no.13, pp.122-128, 1998-12
著者
直井 工 Veilleux C. C. Garrett E. C. 松井 淳 新村 芳人 Melin A. D. 東原 和成 河村 正二
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.32, pp.42-42, 2016

<p>霊長類は3色型色覚の進化に伴い、嗅覚を退化させたと解釈されてきたが、近年の全ゲノムデータの整備に伴い、恒常的3色型色覚の狭鼻猿類と多型的色覚の広鼻猿(新世界ザル)類の間ではORの機能遺伝子数や偽遺伝子数に大きな違いがないことがわかっている。新世界ザルは食性や色覚の多様性が顕著であるため、嗅覚と食性や色覚との関連を検証するのに適している。しかし、全ゲノムデータの公開されている少数の種を除いて、新世界ザル類のOR遺伝子レパートリーは未解明である。そこで本研究は、新世界ザル全3科と多様な色覚型を網羅して、フサオマキザル(オマキザル亜科:3アリル2-3色型色覚)、セマダラタマリン(マーモセット亜科:3アリル2-3色型色覚)、アザレヨザル(ヨザル亜科:1色型色盲)、チュウベイクモザル(クモザル亜科:2アリル2-3色型色覚)、マントホエザル(ホエザル亜科:恒常的3色型色覚)、ダスキーティティ(ティティ亜科:3アリル2-3色型色覚)を対象に、各1個体の高純度ゲノムに対して、真猿類のOR遺伝子の全571orthologous gene groupのターゲットキャプチャーと次世代シークエンシングを行った。一方、種内変異を調べるために、ノドジロオマキザルとチュウベイクモザルの野生群を対象に、リガンド感受性の幅が異なることが他の哺乳類で知られている、一部のOR遺伝子(OR1A1,OR51L1,OR2A25)に対して、PCRとサンガーシーケンシングを行った。本発表ではその経過について報告する。</p>
著者
小泉 丈晴 山崎 博子 大和 陽一 濱野 惠 高橋 邦芳 三浦 周行
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.205-208, 2002-09-15
被引用文献数
3

アスパラガス促成栽培における若茎の生育に及ぼす品種, 低温遭遇量, 株養成年数および性別の影響を検討した.曲がり症は, 低温遭遇にともない発生率が低下し, 曲がり症を発生した若茎に立枯病の病徴である導管褐変がみられなかったことから, 促成栽培における曲がり症は休眠覚醒が十分でないことにより発生すると推定された.2年生株の供試品種いずれにおいても, 販売可能若茎重および若茎収穫本数は低温遭遇量が多い区で増加した.'バイトル'および'ウェルカム'は, 低温遭遇量が少なくても曲がり症発生率が低下し, 販売可能若茎重および若茎収穫本数が増加し, 'グリーンタワー'および'スーパーウェルカム'より休眠が浅いと考えられた.'グリーンタワー'の1年生株の雄株および雌株並びに2年生株の雄株では, 曲がり症発生率および販売可能若茎重から判断すると, 伏せ込み開始時期は2年生株を用いた従来の栽培よりも約2週間の前進が可能であることが示された.
著者
遠藤 瑞輝 白須 未香 Williamson R. E. Nevo O. Melin A. D. 東原 和成 河村 正二
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.32, pp.43-43, 2016

<p>霊長類は、視覚や聴覚、嗅覚といった感覚を通じて外界の情報を認知している。中でも視覚に関する知見は多く、3色型色覚を持つ霊長類は、遠方の果実などの食べ物を見分ける際に有利であると考えられてきた。しかし、近年の研究から従来の視覚重視の考えに疑問が持たれるようになってきた。オマキザルやクモザルの野外観察の結果、自然界で背景となる葉と視覚上のコントラストが低い果実ほど頻繁に匂い嗅ぎを行い、果実の成熟を判断しているという結果が得られている。しかし、霊長類が食する果実の匂い成分が、成熟に応じてどのように変化しているのか、またこれらの匂いが霊長類の果実の選好性にどのように関与しているのかは、未知である。匂いの他にも、果実は、成熟に応じて色や大きさ、固さなどの様々な性質を変化させることが知られており、霊長類が、果実採食においてどのような特徴を重視し、選択するのかを解明することは、霊長類がどのような感覚を使って採食するのかを理解するうえで非常に重要である。そこで私たちはコスタリカのグアナカステ保全区内サンタロサ地区において、色覚多様性が既知であるノドジロオマキザル(<i>Cebus capucinus</i>)が実際に食する果実の採集を行った。果実は、シリカ母材のカーボングラファイト含有である吸着剤とともに密閉したオーブンバッグに入れ、匂いを捕集した。果実1種につき成熟段階ごとに3段階に分け、それぞれ5回ずつ匂い捕集を行った。現在、4種の果実の成分分析、及び分析結果を基にした主成分分析までが完了している。その結果、いくつかの果実において、成熟段階に応じて果実の揮発性有機物(VOC)の総量や組成が変化していることわかった。また、種によっては熟度による色の変化よりも匂いの変化の方が大きいという結果も得られている。今後より詳細な解析と検討が必要だが、今回の分析の結果、果実の匂いが霊長類の採食行動に大きな手掛かりとなっていることが予想される。</p>
著者
横田 肇
出版者
Hokkaido University(北海道大学)
巻号頁・発行日
2017

Hokkaido University(北海道大学). 博士(文学)
著者
岡本 隆
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.154, pp.117-139, 1989-06-30
被引用文献数
1

Nipponitesおよび近縁種Eubostrychoceras japonicumについて, 層序学的な形態変化をできる限り詳細に検討したところ, 各々の系統では, 時代と共に少しずつ, しかしながら段階的に殼表面の彫刻が変わっていくことが明らかになった。一方, Nipponitesの系統で最も原始的な形態型の殼彫刻やその他の形質は, 同時代のEubostrychocerasのそれと, ほとんど区別できない。両者は, 殼の三次元的構造が全く異なっており, これらの中間的形態も知られていないが, 前者は後者から派生したことが強く示唆される。本研究で示されたデータは, 先に筆者によって理論形態学的に帰結された, "Nipponitesは, Eubostrychocerasから全く突然に(中間型なしに)生じた"という仮説を, 比較形態学的および層序学的側面から支持するものである。
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイオビジネス (ISSN:13464426)
巻号頁・発行日
no.48, pp.18-20, 2005-05

奇しくも札幌での開催となった、今年の日本農芸化学会。大会2日目の3月29日に開かれたシンポジウム「遺伝子組み換え食品の安全・安心の現状と課題」は立ち見が出るほどの盛況となった。 「奇しくも」と書いたのはほかでもない。
著者
瀬口 昌久
出版者
名古屋工業大学技術倫理研究会
雑誌
技術倫理研究 (ISSN:13494805)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-28, 2007

法律で義務づけられた障害者用施設等を完了検査後に撤去して営業していたホテル東横インの不法改造問題は、経営倫理の欠如や単なる法令違反に尽きない大きな倫理的問題を提起した。それはハートビル法や建築基準法などの法令違反にとどまらず、バリアフリーやユニバーサルデザインという社会の根幹的なデザインに関わる倫理問題である。本論は、まず東横イン不正改造問題の事例を検証し、次に「ユニバーサルデザイン政策大綱」の理念のもとに「ハートビル法」と「バリアフリー法」が統合された「バリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」の可能性と問題点を、「障害をもつアメリカ人法」との対比を軸に考察する。