著者
樋口 忠成
出版者
千里地理学会
雑誌
ジオグラフィカ千里 = Geographica Senri
巻号頁・発行日
vol.1, pp.219-234, 2019-03-30

デトロイトは近年人口減少により衰退するラストベルトの最大都市である。デトロイト大都市圏が人口のピークを迎えた1970年から人口は停滞・減少し,その大都市は雇用の喪失とともに人口減少に見舞われた。本稿では,衰退するデトロイト大都市圏で人口分布がどう変化しているかを分析した。デトロイト大都市圏では,中心市の急速な人口減少がみられ,郊外では人口が増加しているものの,それは中心市の人口減少を補うほどではなく,大都市圏の衰退が進んでいることと,主要な郊外都市でも人口減少に見舞われることが多いことがわかった。また1970年頃の人口の大きな動きはデトロイト市内の黒人人口の急増に伴う郊外へのWhite Flightであり,郊外の白人専用居住地域とデトロイト市内の黒人専用住宅地域という人種的分断が地理的分断と重なっていた。現在ではデトロイトからの黒人の郊外化Black Flightに伴い,デトロイト市の空洞化がさらに進行しているものの,白人専用だった郊外住宅地での人種的融合が進行している状況が確認できた。
著者
篠原 資明
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
巻号頁・発行日
2011-03-25

まぶさび展 会場:京都大学総合博物館 会期:2011年1月19日(水)~3月13日(日) 主催:京都大学総合博物館、京都大学大学院人間・環境学研究科 共催:京都市、長浜市
著者
宮宇地 俊岳
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2009-03-23

新制・課程博士
著者
福井 正美
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.425-430, 1983
著者
岡部 光明
出版者
明治学院大学国際学部
雑誌
明治学院大学国際学研究 = Meiji Gakuin review International & regional studies (ISSN:0918984X)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.105-122, 2016-03-31

本稿では、日本語として未だ使われることが多くないインテグリティ(integrity)に焦点を合わせ、その概念、構成要素、機能などを分析した。その結果、次の主張をした。(1)インテグリティとは、語源的に首尾一貫性を基本的意味として持っており、それに正直、誠実、公正などの倫理的意味や、説明責任などの要素も加わった複雑な概念である。(2)インテグリティを体得すれば a)どのような状況にも安心して対応できる、b)第三者からの信頼感が高まる、c)日々の生活を単純化できる、などのメリットがある(本稿ではこれらをシェリングの自己管理モデルを応用して分析した)。(3)インテグリティは、個人についてだけでなく、職業上のインテグリティ、組織のインテグリティなど多くの面で重要な規範になっており、それらが満たされる組織や社会は健全な良い社会になる。(4)日本では、インテグリティの概念を普及させる余地が依然としてかなり大きく、それは大学教育で達成すべき大きな目的の一つでもある。
著者
眞崎 睦子
出版者
生協総合研究所
巻号頁・発行日
2010-01

第6回生協総研賞研究奨励助成事業研究論文集. pp.1-13.
著者
矢部 直人 有馬 貴之 岡村 祐 角野 貴信
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻 観光科学専修
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.3, pp.17-30, 2010-03-30

本研究では、GPSを用いた行動調査について既存の研究動向を整理し、課題を展望した。また、GPSを用いた行動調査の分析手法について、さまざまな可視化の手法に注目してその有効性を検討した。GPSを用いた既存の研究については、CiNiiより「GPS」、「行動」という言葉を含む研究を検索し、対象とする論文を抽出した。GPSを用いた研究は、情報・通信、建築・土木といった分野で多く行われている。2000年にはアメリカがGPS の精度を向上する施策を実施したため、GPSを用いた研究の数・分野とも2000年以降に本格的に増加する傾向にある。研究の主な内容は、1)GPSの利用可能性、2)人間を対象とした行動調査、3)動物を対象とした行動調査、4)分析手法の提案、5)システム開発などの応用、といった5分野に分けることができる。2000年以降の研究の増加に伴って、行動調査にGPSを用いる有効性が実証され、様々な分析手法も提案されてきた。しかしながら、しばしば膨大な量となるGPSのデータを分析する手法については、まだまだ洗練されていない。これは、分析方法が各学問分野の中のみで参照されており、学問領域を超えて参照される機会が少ないことが一つの要因であると考えられる。膨大な量のGPSデータから、観光者の行動パターンなどの有益な知見を引き出すためには、さしあたり探索的な分析手法が有効であろう。そこで、GISソフトを用いてデータを可視化することで、パターンを発見する手法について検討を加えた。2次元、3次元および多次元の可視化手法については、それぞれ対話的な操作を繰り返すことで有益な行動パターンの発見につながる。また、観光者の行動を文字列に変換することで、配列解析などの計量的な分析方法を援用することが可能になる。今後は、観光行動に関する分析手法について、実証研究を進める中で知見を蓄積していく必要があろう。
著者
北川 和秀 Kazuhide Kitagawa
出版者
学習院大学文学部国語国文学会
雑誌
学習院大学国語国文学会誌 (ISSN:02864436)
巻号頁・発行日
no.65, pp.7-20, 2022-03-15

佐々木隆先生古稀記念特輯号
著者
鈴木 晃志郎 鈴木 亮
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻 観光科学専修
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.2, pp.85-94, 2009-03-30

首都大学東京の南側斜面にある松木日向緑地は、十分な維持管理が行われていないため近年ササや竹林が繁茂し、荒廃が進んでいる。この背景には、大学側が管理のための予算を継続して取ってこなかったこと、維持管理のための組織体制が学内で統一できていないことが関係している。松木日向緑地は、大学移転前までは地域の里山であり、人々の生活と密接に関わりのある入会地的性格をもった緑地であった。しかし大学側は、移転当初から地域住民の立ち入りを禁止し、圃場のみ技術職員を配置して維持管理にあたらせた。これに熱心な教職員の緑地保全活動も加わった。しかしながら、こうした大学側の対応は、地域住民の生活から松木日向緑地を遠ざける結果へと結びついた。大学側の対応は、植生の維持管理についても、業者への委託によって不定期におこなわれる下草刈りにとどまった。自発的な緑地の維持管理主体を喪失したことが、現在の状況を生み出す要因になったといえる。今後は、教職員・学生のみならず、エコロジーに対する意識の高い地域住民を取り込み、三者が一体となった組織的かつ持続可能な緑地保全の在り方を探っていく必要があろう。