出版者
巻号頁・発行日
vol.233 越後国長岡之城図,
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.56, pp.17-76, 2020-06

東アジア世界、取り分け、日本や韓半島・朝鮮半島では、古来、様々な自然災害や人為的災 害―大雨、洪水、地震、津波、火山噴火、土石流、雪害、暴風雨、高波、高潮、旱害、蝗害、疫病流行、飢饉、戦乱等々、数え切れない程の災害が人々を襲い、人々はその都度、復旧、復興しながら、現在へと至る地域社会を形成、維持、発展させて来た。文字認知、識字率が必ずしも高くはなかった近代以前の段階でも、文字を自由に操ることのできる限られた人々に依る記録、就中(なかんづく)、災害記録は作成されていた。特に古い時代に在って、それは宗教者や官人等に負う処が大きかったのである。正史として編纂された官撰国史(日本書紀、続日本紀、三国史記等)の中にも、ある種の意図を以って、多くの災害記録が作成されていた。古代王権は、或る種の意図を以って、そうした自然災害を文字情報としての記録に残すことを行なって来た。ここで言う処の「或る種の意図」とは、それらの自然的・人為的な事象の発生を、或る場合には自らの都合の良い様に解釈をし、加工し、政治的、外交的に利用、喧伝することであった。その目的は、災害対処能力を持ちうる唯一の王権として、自らの「支配の正当性、超越性」を合理的に主張することであったものと考えられる。筆者が従前より指摘を行なって来た如く、「咎徴(きゅうちょう)」の語が示す中国由来の儒教的災異思想の反映はその一例である。本稿では、高麗王朝期に、一然(いちねん。普覚国師。1206~1289年)に依り撰述された「三国遺事」を主たる素材として用いながら、自然災害、人為的災害関係記事の内容、 編纂意図や位置付けを、言語文化、文化論の視角より探ってみることとする。「三国遺事」に於いては、如何なる対(自然)災害観や、災害対処の様相が記録されていたのか、いなかったのかを追究することが本稿の目的とする処の1つである。編纂者の属性から、本稿では仏説に基づく形での話題の展開が中心となるが、そうした思想的な面が及ぼしていた影響をも勘案しながら、「眼光紙背に徹する(がんこうしはいにてっする)」、文面の裏側や奥底に秘められた事象をも追及してみたいと考える。その際、日本へ与えた文化的な影響を考慮するといった、比較文化論の手法も導入する。 尚、本稿に於いて使用する「三国遺事」は、昭和3年(1928)9月に朝鮮史学会が編集、 発行した刊本であり、昭和46年(1971)7月に国書刊行会より復刻、発行された『三國 遺事(全)』である。又、「三国史記」は、朝鮮史学会を編者、末松保和氏を校訂者とした第三版、 即ち、末松保和氏が「朝鮮史學會本三國史記」と表現した刊本であり、昭和48年(1973) 2月に国書刊行会より復刻、発行された五版である。

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1923年03月07日, 1923-03-07
著者
上方 宣政
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.488-491, 1999-07-20 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
1

有機化合物の反応では, 用いる触媒や反応温度が変わると異なった化合物が生成することがしばしばある。では, 触媒や反応温度など反応条件が変わると, どうして異なった化合物が得られるのか?これらの実験事実を説明するためには触媒の役割をふまえた反応機構を理解することが必要不可欠である。本稿では, エタノールを硫酸の存在下に加熱すると, 反応温度の違いによって, どうしてジエチルエーテルとエチレンがそれぞれ生成するのか, その機構について解説する。
著者
小泉 雄太 荒堀 喜貴 権藤 克彦
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2018-SE-198, no.27, pp.1-8, 2018-03-02

メモリリークは,不要なオブジェクトが将来増えることはない低脅威リークと,不要なオブジェクトが将来増え続ける高脅威リークに脅威度の観点から分類できる.この分類は一定の基準でまとめられたオブジェクト群 (グループ) にも適用可能である.従来の Staleness 解析のような全てのオブジェクトに対して特定の指標でリークの評価 / 報告をするリーク検出手法では,高脅威リークが低脅威リークの報告に埋没する可能性や,高脅威リークの即時判定ができないなどの問題がある.また,バイナリレベルでの解析においては,型情報のようなグループ化に適した情報の取得が困難な現状がある.本研究の提案手法である Pikelet は,バイナリコードを対象に高脅威のリークを高精度に検出することを目的とした動的メモリリーク検出手法である.高脅威リークの漸次的な特性から,グループサイズの成長過程を測定することで高脅威リークのグループを高精度で検出する.また,バイナリ解析で実現可能なグループ化の手段としてオブジェクト割り付け時の calling context を用いる.オブジェクトのグループ化と,グループの成長から脅威度を導出することで,Pikelet は新たに生成されたオブジェクトの危険度を即時判断し,プログラムに差し迫った脅威をより正確に報告する.実用プログラムを対象とする実験の結果,Pikelet は既存研究に比べて高脅威リークオブジェクト群の検知において精度の向上を示した (同一実行内での計測結果の平均で Recall は 22 ポイント,Precision は 80 ポイントの精度向上を達成した).また,実行オーバーヘッドは既存手法と同程度に収まることを確認した.

2 0 0 0 OA わが血戦記

出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
1944
著者
橋本 みづほ 佐伯 由香
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.61-68, 2003-09-10 (Released:2016-10-25)
参考文献数
33
被引用文献数
2

清拭の皮膚の水分量 ・ 油分量 ・ pHならびに清浄度 (ATP) に及ぼす影響を調べるため, 清拭前から120分後までの経時的な変化を測定し, 一般的な清潔形態である入浴と比較検討した. 対象は20代から40代の健康な女性7名とした. その結果, ①入浴群の水分量は直後に一旦増加した後60分後には有意に減少し, 実験前値より低値を示した, ②入浴群の油分量は120分後まで有意に減少し, 減少程度は清拭群よりも有意に大きかった, ③ pHは両群ともに直後に有意に増加したが清拭群では30分後に戻った, ④ ATPは両群ともに直後に有意に減少したが120分後には戻り, 減少程度は入浴群の方が大きい傾向があった. 以上の結果, 入浴に比較して清拭の方が水分量 ・ 油分量 ・ pH ・ ATPの変化量が少なく, 皮膚が本来持っている機能に与える影響が少ないこと, その一方で清拭の方が除菌効果および皮脂の除去に関する効果が低いことが示唆された.
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.1-36, 2010-12-01 (Released:2019-04-11)

サイエンスウィンドウ2010冬号の冊子体一式(PDF版)およびHTML版は下記のURLで閲覧できます。 https://sciencewindow.jst.go.jp/backnumbers/detail/10 目次 【特集】 人間らしさって何だろう? p.06 長谷川寿一氏に聞く「他者の気持ちが理解できる動物、人間」について p.08 人類の進化と分布を表す概念図 p.10 生物としてヒトはどう進化したのか p.12 「ヒトらしい脳」に人間らしさは詰まってる? p.14 人間らしさはどこまで科学で語れるか? 形態人類学×分子人類学 p.16 石黒浩研究室を訪ねて「ロボットに込める人間らしさ」 p.20 学校訪問 動物に学ぶ子どもたち 横浜市立川井小学校(神奈川県) 【連載】 p.02 似姿違質:ヨーロッパアナウサギ VS ニホンノウサギ p.18 人と大地:ダナキル砂漠(エチオピア) p.25 かがくを伝える舞台裏:「岩波科学教育映画を使った授業」に参加して p.26 いにしえの心:冬の雷 p.27 タイムワープ夢飛翔:進化論/ダーウィンをせかせた男 p.28 イチから伝授実験法:コイルを巻いて電磁石を作ろう p.30 ふるさと食の楽校:ハタハタずし 秋田県男鹿市 p.31 サイエンスのお仕事図鑑:科学的に「聞きやすい声」を追求する アナウンサー p.32 発見! 暮らしのなかの科学:太陽、水、そして植物が砂糖の甘みを生み出した p.34 せんせいクラブ p.36 人と大地:解説

2 0 0 0 OA 弘法大師全集

著者
祖風宣揚会 編
出版者
吉川弘文館[ほか]
巻号頁・発行日
vol.巻8 巻9 巻10, 1911
著者
松尾 美好
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-8, 1998-05-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
8
著者
八耳 俊文
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
青山學院女子短期大學紀要 (ISSN:03856801)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.111-126, 2007-12-10
著者
稲本 守 Mamoru Inamoto
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.65-75, 2017-02-28

On July 12, 2016, the Arbitral Tribunal issued an arbitration award on the South China Sea Dispute between China and the Philippines. It concluded that China’s historic rights to resources in the maritime areas within the so-called “Nine-dash Line” are incompatible with the International Convention of the Law of the Sea (UNCLOS) and have no legal effect. At the same time, the Tribunal acknowledged that all high-tide features in the Spratly Islands are not entitled to an exclusive economic zone and continental shelf and that no overlapping entitlements exist in the maritime zones claimed by the Philippines. After giving the background and general outline of the Award, this paper examines the reasoning of the judgment, in particular the strict standards set by the Court when applying the article 121( 3) of UNCLOS about the status of maritime features. 2016年7月12日に、仲裁裁判所は中国とフィリピンとの間における南シナ海紛争についての仲裁裁定を下した。その中で法廷は、中国のいわゆる九断線内の海域における資源に対する歴史的権利が国連海洋法条約とは両立せず、中国が主張する権利には法的根拠がないと結論付けた。更に法廷は、スプラトリー諸島における高潮線上の島嶼のすべてが排他的経済水域及び大陸棚に対する権限を有せず、フィリピンが主張する海域には権原の重複が存在しないことを認めた。 本稿は本裁定の背景と概要について紹介すると共に、今回の裁定における論拠、とりわけ島嶼の地位に関する国連海洋法条約121条3項を適用する際に設定された厳格な基準について考察した。