著者
菊池 城治 雨宮 護 島田 貴仁 齊藤 知範 原田 豊
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.151-163, 2009-10-20 (Released:2017-03-30)

警察や一般市民の間で,声かけなどのいわゆる不審者遭遇情報は,より重篤な性犯罪などの前兆事案として捉えられているものの,実証的な研究はこれまでなされてきていない.本研究では,犯罪学における近接反復被害の分析手法を応用し,声かけなどの不審者遭遇情報とその後の性犯罪発生との時空間的近接性を検証する.A都道府県警察における3年間の不審者遭遇情報(1,396件)と屋外での性犯罪(599件)の認知データを地理情報システム(GIS)とシミュレーション手法を用いて時空間的に解析したところ,声かけなどの不審者遭遇情報と性犯罪は時間的にも空間的にも近接して発生していることが分かった.具体的には,声かけなどの不審者遭遇情報発生後,少なくとも1ヶ月にわたって発生地点から1kmの範囲において性犯罪の発生件数が有意に高いことが示された.この結果に基づいて,本研究の限界を踏まえつつ,実証データに基づく警察活動への考察を行う.
著者
柳原 良江
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1697号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2003/3/15 ; 早大学位記番号:新3373
著者
田中 啓治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.607-615, 2018-06-01

直観とは,普通の人には困難な問題を短時間にほとんど無意識に解くエキスパートの能力のことである。筆者らの研究グループは将棋のプロ棋士またはアマチュア高段者の脳活動を測定し,次の具体手の直観的決定には大脳基底核が,攻めるか守るかの戦略の直観的決定には帯状皮質が重要な働きをすることを見出した。長い訓練を経てエキスパートになると,普通の人では原始的な行動で働くこれらの進化的に古い脳部位が,高度に認知的な問題解決に使われるようになる。
著者
芳原 達也 荻野 景規 小林 春男
出版者
山口大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

現在、地下水及び河川汚染で社会的問題となっているトリハロメタンジクロロホルム,)クロロブロモメタン,クロロジブロモメタン,ブロモホルム等)およびトリクロロエチレン,1,1,1ートリクロロエタンおよびテトラクロロエチレン等々の有機塩素系溶剤は、脱脂洗浄、樹脂溶解、塗脂溶解、塗料のシンナ-、リ-ムバ-、冷媒、ドライクリ-ニング等の目的で広範囲に使用されており、その使用量も非常に多い。毒性としては、中枢神経系に対する抑制作用、三叉神経、末梢神経障害、肝臓障害、腎臓障害、心臓血管系障害など多くが報告されている。また近年は環境汚染物質としてフロン等とともに、西暦2000年までに使用禁止物質として世界的に規制されつつある。しかし、これらの物質の生体内吸収、排泄、代謝などに関する生体内動態については解明されていない部分が非常に多い。そこでこれらの有機塩素系溶剤の中で、最も普遍的に用いられているトリクロロエチレンの着眼して、この溶剤の生体内動態および代謝について麻酔犬を使用し実験的に詳細に検討し、以下の結論を得た。まず、トリクロロエチレン(TRI)の腸管からの吸収を観察するために、私たちは麻酔犬での閉塞性腸管吸収システムを開発し、手術犬で腸管の3部位(空腸、回腸および大腸)に、それぞれ3濃度(0.1,0.25,0.5%)のTRIを投与し、TRIとその代謝産物である、遊離型トリクロロエタノ-ル、トリクロロ酢酸、抱合型トリクロロエタノ-ル血液、尿、胆汁および残留液で測定した。投与後2時間で、投与量の85〜90%のTRIが、すべての部位で吸収された。さらに、これらの部位間での吸収率には差は認められなかった。次に、尿および胆汁から投与後2時間で排泄された、未変化体およびその代謝産物の割合は、すべての群で吸収量に対し、非常に低い値であった。
著者
鳥居 フミ子
雑誌
日本文學
巻号頁・発行日
vol.77, pp.32-43, 1992-03-15
著者
木村 佐千子
出版者
獨協大学
雑誌
獨協大学ドイツ学研究 (ISSN:03899799)
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-37, 2005-03

In diesem Beitrag wird die Entstehungsgeschichte der Nationalhymnen der deutschsprachigen Länder (Deutschland, Österreich, der Schweiz und Liechtenstein) sowie der europäischen Hymne dargestellt. Texte (mit Übersetzung ins Japanische) und Noten sind beigegeben.
著者
利根川 佳子
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート (ISSN:09115552)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.54-66, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
46

サハラ以南アフリカでは、NGOに対して規制的な法制度が2000年代以降制定されている。本稿では、エチオピアとケニアの二カ国を事例とし、NGOに関連する法規制の比較検討に基づき、NGOと政府の関係性と現在の市民社会スペースの状況を明らかにすることを目的とする。両国ともに、政権に影響があるような、人権やガバナンスなどに関連する活動を行うNGOの活動領域の縮小化を政府は試みているが、ケニアの場合はそのような活動を行うNGOをおもな対象としているのに対し、エチオピアの場合、2009年の「慈善団体および市民団体に関する布告」のもと、NGO全体が対象となったことが大きく異なる。さらに、エチオピアにおいては、国際NGOを含め国内で活動するNGO全体の活動領域が縮小化された一方で、ケニアにおいては、政府の規制的な対応にもかかわらず、NGOは人権やガバナンスに関連する活動を継続している現状がある。
著者
吉田 香澄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.533, pp.221-227, 2000
被引用文献数
1 2

This paper is a study on materials that were used for elements of polychromatic religious architecture in Tuscany in the late medieval period. This study concentrates on distinguishing types of colors used for polychromy and examining the relationship with the distribution of quarry areas. Since materials used for polychromatic architecture were from neighboring quarry areas, the selection of materials was limited and color in polychromy was determined according to this selection. Serpentine was an exception because it was not taken from neighboring quarry areas but used because of its necessity.
著者
吉田 雅夫 京谷 英寿 安野 正純
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.p17-23, 1975-02
被引用文献数
1

1969年より農林省果樹試験場(平塚市)において,Prunus属果樹の類縁関係を調べるとともに品種および台木の育種に役立つ基礎資料を得るため,スモモ亜属を中心に種間交雑を行い交配親和性を調査した。 1) ウメとアンズは植物学的にきわめて近縁であり,一般にいずれを母樹に選んでも相互によく交雑した。しかし,ヨーロッパ系アンズとウメは交配親和性が低かった。 2)スモモにウメあるいはアンズの花粉を交配した場合,かなり高い結実割合が得られた。スモモはウメおよびアンズとかなり近縁であると考えられる。 3) スモモにモモの花粉を交配した場合,スモモ亜属の花粉よりは劣ったが,ある程度結実することが認められた。スモモに中国オウトウとソメイヨシノを交配した場合はほとんど結実せず,交配親和性は認められなかった。 4)得られた結果は雑種個体の育成に役立つばかりでなく,核果類品種の結実安定をはかるための受粉の問題にも示唆を与える。
著者
志水 照匡
出版者
金沢大学
雑誌
社会環境研究 (ISSN:13424416)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.105-120, 2004-03
著者
山崎 幹泰
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.51, pp.463-466, 2008-07-27

明治32〜大正2年まで、山中温泉へ温泉客を誘致するため、馬車鉄道が利用されていた。今回、加賀市内に当時の客車が二両、現存していることが確認された。そこで、この二両の実測を行い、同時に同鉄道に関する資料の収集を行った。二両に共通する特徴は、唐破風形の屋根、前後の扉、ロングシート型の座席であり、異なる点は車体の長さと、和風洋風の意匠の違いが見られる点である。また、御者台と台車は、ともに失われていた。
著者
渡部 俊彦
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.81-90, 2007-03-01

1848年にアメリカで発生した叩音事件から科学者らによる心霊現象の研究、近代心霊研究が始まった。欧米を中心として、心霊現象や死後の霊魂存在を実験によって探求する研究が行われ、イギリスでは心霊研究協会(SPR)が生まれた。さらに、霊魂存在や霊魂との交信の可能性を認めるスピリチュアリストが生まれた。ここから、新しい人生指導原理であるスピリチュアリズムが誕生した。欧米の心霊研究は浅野和三郎によって日本に紹介され、彼は心霊科学研究会を設立し日本スピリチュアリズム(日本神霊主義)を生んだ。脇長生が日本神霊主義を発展させた。さらに桑原啓善がイギリスの霊界通信の内容を加味させて、ネオ・スピリチュアリズムを作り出した。