著者
那須 將 深町 加津枝 森本 幸裕
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.619-622, 2011
被引用文献数
1

Shinsen are offerings offered at Shinto shrines on the occasion of shrine festivals. We investigated shinsen offerings made at Kyoto's Kamo-wake-ikazuchi-jinja (also known as Kamigamo Shrine) between June 2009 and May 2010. We surveyed all offered items and investigated which biological resources were used, and how and from where they were supplied. We found that totally 2243 items were offered. There were 137 different kinds. 105 kinds of biological resources were used as ingredients. Some of the supply routes for shinsen ingredients were based on ancient customs. The Adogawa region in northern Shiga Prefecture, for example, was a supply area for the shrine based on a system through which the shrine bestowed the region with river fishing rights and rice farming land as a compensation for its supply of ayu fish (Plecoglossus altivelis altivelis) used as items in shinsen offerings. Through shinsen offerings, a great variety of biological resources were used in a sustainable way. We found, however, that some biological resources used in shinsen such as the futabaaoi (Asarum caulescens) are difficult to obtain today.
著者
杉山 貴士
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.67-79, 2006

本稿は、性的違和を抱える同性愛の高校生へのインタビューを通して、高等学校における彼らの性的自己形成過程の一端を検討するものである。ジェンダー規範に包含される異性愛中心性は、高等学校の明示的カリキュラムにおける同性愛の封印と、隠れたカリキュラムによる同性愛嫌悪により支えられている。高等学校において、彼らは (1) 自己受容の困難、(2) 自己イメージ形成の困難、(3) 情報アクセスの困難、(4) 自己開示・人間関係づくりの困難、(5) 事故回避の困難に直面し、結果として、いじめ、不登校、家出などの教育問題を導いていた。特に、同性愛に関する情報へのアクセスを、学校外部にしか求められない状況は、同性愛の高校生が問題予知力を備える性的自己決定能力を育むことが保障されずに性的自己決定を迫られること示しており、現状の高等学校は同性愛の生徒の「性の学習」を奪うことになる。本稿は、高等学校での同性愛の封印解除と積極的なセクシュアリティ教育の必要性を提起するものである。
著者
中川 隆太郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.509-514, 2015-12-01

2000年代半ば以降,欧米を中心として世界的にオープンデータ政策が活発化するなかで,著作権やEUのデータベース権などをめぐり,各国で様々なライセンスデザインの取り組みが重ねられている。本稿では,オープンデータとライセンスデザインというテーマについて,まず前提として,なぜパブリック・ライセンスが基本形となるか説明したうえで,議論の中心となるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスやEUのデータベース権について紹介しつつ,従前の状況を敷衍する。そのうえで,CC4.0の登場によりオープンデータとライセンスデザインの問題が新たな局面を迎えていることを指摘し,最後に「CC4.0時代」における今後の展望と課題を論じる。
著者
渡辺 智暁 野口 祐子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.151-155, 2010-04-01

本稿では,オープンアクセスの法的な課題として,著作権の利用許諾(ライセンス)の果たす役割について述べる。学術文献を共有し,情報の活用を促進する上では,著作権は障害になりかねない。これを解消する一つの手段がライセンスである。多様なライセンスが互換性を考慮しないままに開発・利用されると,再利用や複数の著作物の組み合わせによる利用の妨げとなるケースがあるため,ライセンスの標準化や互換性の確保が重要である。興味深いことに,再利用や組み合わせ利用に配慮することが特に重要な科学データベースについては,そもそも著作権を放棄し,パブリック・ドメインに帰属させることが望ましいとする立場も存在している。
著者
石原 賢一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.319-349, 2006-01

論文はじめに一 ザカフカースの社会主義組織とイラン二 バクーからの観察 : レスールザーデの立憲制認識 (1) 第一次立憲制成立以前 (2) 第一次立憲期三 ラシュトでの観察 (1) レスールザーデのイラン到着の時期と意味 (2) ロシアの脅威 (3) ギーラーンとザカフカースの連関関係 (4) サッタール委員会とモジャーヘディーン四 イラン・アゼルバイジャンでの観察 (1) サッタール・ハーンとの会見 (2) 経済的視点からみた英露の政策むすびにかえて
著者
松村 康平
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.389-390, 1991
著者
北畠 潤一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.437-447, 1981
被引用文献数
1

以上述べた所を要約すると,次の事実が明らかになった.<br> 1. 最初,住宅地化は丘陵の中部以南で著しく,近鉄奈良線沿線とそれに交差する十字型を核として面的開発が急進した.同時に,南東・南西部でも緩慢な点的開発がおきた.中期は中・北東部で急速に,そして後期には中部の南端と西寄りの地域にも開発前線が延びていった.その間,住宅地はまず量的に増大し,住宅は高級化し,近代的で美しいものとなった.山麓線も北西部を除く全域が住宅地化した.<br> 2. 奈良盆地の北西部丘陵の人口は4倍に膨張し,3万余世帯,10数万を擁する大住宅地域が形成された.新住宅地は初め鉄道に強く依存した.そして,次第に最寄駅との間の時間距離を増大し,地域的に拡散した.しかし,新住宅地が完成に近づき,人口が増すと道路は改修され,バス路線の延長・増発も実現し,約半数近くの新住宅地は最寄駅と9分以内で結ぼれたが,奈良市内の一部には14分程度,その他ごく少数だけ20分以内の地域が残っている.<br> 3. 新住宅地の小地形的環境をみれば,丘陵北部は中・南部より起伏量・谷密度が大であり,海抜高度は低く,日陰斜面が卓越する.そのことが鉄道沿線にもかかわらず北部の開発を遅らせた一因であろう.中部の海抜高度は大であり,起伏量は小で,谷密度は中位,そして日向斜面に恵まれている.加えて大阪との近接性が強く,戦前から点的開発がみられた.南部は起伏量・谷密度が小で日向斜面も多い.しかし,大阪,京都,旧奈良市街地へは乗り換えを要し,また付近は近郊園芸農業地域であり,地価も高く,中部ほどの住宅地化をみなかった.<br> 4. 総じて,初期の開発前線は海抜高度が高く,起伏量・谷密度の小さい日向斜面に延びた.しかし,中期以後は海抜高度が低く,起伏量・谷密度の大きい日陰斜面にも波及した.奈良盆地の北西部丘陵における住宅地化は大資本と進歩した工法でなされたが,小地形的環境は造成の比較的容易な地域で始まり,次第に困難性の多い地域へと進んでいった.
著者
伊藤 由貴 イトウ ユキ
出版者
大阪大学国文学研究室
雑誌
語文 (ISSN:03874494)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.99-85, 2015-06
著者
永浜 敬子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1734, pp.125-127, 2014-03-24

「ごちそうさん」のヒロイン、め以子の生家は下町の洋食店、開明軒。ドラマに登場するオムライスが話題になり、そのモデルではないかと噂されたのが、昭和初期創業の「日本橋たいめいけん」だ。NHKによると開明軒に明確なモデルはないとのことだが、バターの…
著者
丘 華 久保 明雄
出版者
九州産業大学
雑誌
九州産業大学工学部研究報告 (ISSN:02867826)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.41-48, 2004-12-20
被引用文献数
2

As a manufacturing technical education practice, the authors have tried to introduce the problem-based learning into the graduation study course for the last two years. This paper presents the progress and results. In the graduation study course, the students were encouraged to find out a useful theme that can resolve a practical problem and perform the research independently. The teachers provided some advices to help the students if necessary, through periodic discussions in an equal position. The students applied LEGO mind storms as a tool producing a mechatronics device to verify the idea, and furthermore improving the properties of the device through repeated prototypes until the development purpose was achieved. The authors aim at promoting the creative abilities of the students through such the course. From the opinions of the students who passed the course, it can be concluded that the students not only actively struggled but also found satisfactions in the courses. The result also illustrates that LEGO mind storms is an effective tool for the problem-based learning type of manufacturing technical education.
著者
石井 香里
出版者
神戸大学大学院人間発達環境学研究科
雑誌
神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要 (ISSN:18822851)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-76, 2009-09-30

セクシュアリティを含む生活上の問題は人権問題であるとの認識の下、セクシュアル・マイノリティの中でも特に女性カップルの生活に焦点をあて、彼女らの日常生活を描き出し、そこから女性が同性のパートナーと生活していくうえで、現実の生活においてどのような問題に直面しているのか明らかにし、合わせて問題解決に向けての当事者としての立ち位置ないしは姿勢や立場について検討、考察した。インタビューから同性パートナーと暮らしている本研究の対象者が、アイデンティティの問題やカミングアウトの問題、墓や生活保障の問題など、様々な生活上の問題を抱えていることが明らかにされた。次に、彼女らの抱えている「生きづらさ」について、「私」、「私と他者」、そして「私と社会」との関係において考察した。研究を通して、セクシュアリティに関連した様々な日常的な「生きづらさ」を抱えながらも、問題を先送りにし、誰かが世の中を変えてくれることを期待しないで待つ、という当事者の姿勢の一側面が明らかにされた。