著者
石井 一夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.190-191, 2022-03-15

機械学習を,アルゴリズムをきちんと理解した上でゼロからプログラミングして実装してみたい方は少なくないに違いない.本書はそのような野心的な読者の夢を叶えてくれるかもしれない.本書は,回帰分析,分類モデル,カーネルモデル,ニューラルネットワーク,強化学習,教師なし学習など,機械学習の全般的な分析法について,原理的なことから丁寧に説明し,Pythonでの実装を示している.分かりやすさを優先して数式的な記述や説明を省いたりせず,Pythonのソースコードについても丁寧に説明されている.機械学習の中身やプログラミングの実装に関し,ブラックボックスな部分が少ないという面で,お薦めの書籍である.
著者
伊豆原 月絵 高木 麻里 澁谷 摩耶 齋藤 久美子 百武 真友美 イズハラ ツキエ タカギ マリ シブヤ マヤ サイトウ クミコ ヒャクタケ マユミ Tsukie IZUHARA Mari TAKAGI Maya SHIBUYA Kumiko SAITOU Mayumi HYAKUTAKE
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.85-94, 2010-01-29

大阪樟蔭女子大学と神戸ファッション美術館の学館協働事業として、神戸ファッション美術館の収蔵品について、平成19年度より18世紀のフランス宮廷衣装のドレスの織物・刺繍・装飾・縫製の復元を行っている。復元研究の最終目的は、第一次資料を基に、美意識を支えた縫製・構成技術、ドレスのフォルムから身体のフォルムを、また、染織の色彩と紋様から意匠や象徴性などを解明することで、往時の求められていた美意識を明らかにすることである。復元研究では、19世紀末以前の衣装を対象とする服飾美学、服装史、構成学の既往研究のほとんどが、美術館、博物館の展示ボディに着装されたドレス表面の計測結果や図像資料から、また、欧米の文献を基にパターン(構成図)作成を試み、復元製作をしているのが実情である。なぜなら、現存する歴史衣装は少なく、華やかなるロココ時代の宮廷衣裳にいたっては、日本のみならず世界でも数十点に満たない。したがって、第一次資料を基にした復元研究は、少ないのが現状である。このようなことを鑑み本論文では、復元製作において、最も重要な情報収集として、18世紀のドレスの文献調査に併せて、保存状態の優れた神戸ファッション美術館所蔵の18世紀に製作された女子のフランス宮廷衣裳を第一資料とし、計測調査(1着のドレスの計測した箇所は、10,000箇所以上)とその記録方法に重きを置き、第二次資料作成の方法について述べた。
著者
松田 治 マツダ オサム
雑誌
流通經濟大學論集
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.41-58, 1982-11
著者
山本湧輝 熊本忠彦 灘本明代
雑誌
2014年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014-09-10

Twitterはその手軽さからユーザの感情が表れやすい。ツイートの中には、顔文字や叫喚フレーズが多く含まれ、ユーザの感情をより表している。そこで本論文ではこれら顔文字や叫喚フレーズをTwitter特有表現と呼び、その特有表現を考慮したツイートの感情抽出手法を提案する。
著者
大石 高典 山下 俊介 内堀 基光 Takanori OISHI YAMASHITA Shunsuke UCHIBORI Motomitsu
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.63-75, 2013-03-21

2011年度放送大学学長裁量経費による研究助成を得て、放送大学に保管されている放送大学特別講義『HUMAN:人間・その起源を探る』の一部素材映像のアーカイブ化を行った。一連の作品は、撮り下ろし現地取材に基づく単発のシリーズとしては、放送大学のみならず、日本におけるこれまでで最大の教育用人類学映像教材作成プロジェクトであった。未編集のものを含む当該講義取材資料のうち約40%に当たる部分のアーカイブ化を行うとともに、当時現地取材や映像資料の作成に関わった放送大学関係者と自らの調査地に取材チームを案内した研究者らを中心に聞き取り調査を行った。「ヒューマン」シリーズ撮影から、既に15年以上が経過しているが、狩猟採集民、牧畜民、焼畑農耕民など、アフリカ各地の「自然に強く依存して生きる人びと」に焦点を当てた番組の取材対象地域では、取材後も撮影に関わった研究者自身やその次世代、次次世代におよぶ若手研究者が継続的に研究活動を行っている。これらの研究者との議論を踏まえれば、「ヒューマン」シリーズのラッシュ・フィルムの学術資料としての価値は、以下にまとめられる。(1)現代アフリカ社会、とくに生態人類学が主たる対象としてきた「自然に強く依存」した社会の貨幣経済化やグローバリゼーションへの対応を映像資料から考察するための格好の資料であること。(2)同時に、ラッシュ・フィルムは研究者だけでなく、被写体となった人びとやその属する地域社会にとっても大変意味あるものであり、方法になお検討が必要であるものの対象社会への還元には様々な可能性があること。(3)映像資料にメタデータを付加することにより、調査地を共有しない研究者を含む、より広範な利用者が活用できる教育研究のためのアーカイブ・データになりうること。本事例は、放送教材作成の取材過程で生まれた学術価値の高い映像一次資料は、適切な方法でアーカイブ化されることにより、さらなる教育研究上の価値を生み出しうることを示している。このような実践は、放送大学に蓄積された映像資料の活性を高めるだけでなく、例えば新たな放送教材作成への資料の再活用を通じて、教育研究と映像教材作成の間により再帰的な知的生産のループを生み出すことに貢献することが期待される。
著者
勝又 悦子 勝又 直也 Etsuko Katsumata
出版者
同志社大学一神教学際研究センター
雑誌
一神教学際研究 = Journal of the interdisciplinary study of monotheistic religions : JISMOR (ISSN:18801080)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.25-42, 2019-03-31

本稿では、herut(自由)、支配者像、デモクラシーの語源でもあるdimosディモス(民)の用法分析を通して、ラビ文献においてデモクラシーの源流が観察されるか否かを考察する。個人としての完全な自由や支配者と大衆の完全な平等主義が当然とされている様相を見出すことはできない。むしろ、自由とは、何かしら法規によって限定されるものであり、支配者は支配者然として行動することが要望されていることが窺われる。さらに、本論を通して窺えるのは、ユダヤ文学においては、ディモスという術語から民主主義に関する議論が誘発される気配はないということである。それゆえ、19世紀のドイツユダヤ学の学者がしばしばそうしてきたようにユダヤ教と理想的な民主的なユダヤ教を同一視する傾向には十分注意する必要がある。
著者
鋤柄 増根
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-46, 2006-01-10

性格記述用語(136語)の反対語を大学生177名に調査した.その結果,相互に反対語どおしの関係にある対と,反対語がなかったり,拡散してしまうものがあった.この結果は,性格記述用語が表すと考えられる性格特性次元が双極性か単極性かに関連しており,反対語どおしの関係にある対は双極性を表す性格次元であり,反対語のない刺激語が表す次元は単極性であるといえる.この結果は性格次元の構造を明らかにするのに利用できるだけでなく,質問紙法で反応の偏りである黙従傾向を防ぐのによく使われる逆転項目の作成にも利用できるものである.
著者
顧 姍姍
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際日本文学研究集会会議録 = PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON JAPANESE LITERATURE (ISSN:03877280)
巻号頁・発行日
no.34, pp.39-53, 2011-03-31

Couplet expressions are the most prominent rhetorical feature in Chinese poetry literature. They frame poems. As Chinese poetry literature developed, different variations of couplet appeared. Among them, Kakku-tsui (couplet of every other line) is a relatively unique pattern. Usually, couplet consists of two consecutive lines, but Kakku-tsui is formed as follows; one by the first line and the third line, or by the second line and the fourth line. The origin can be traced to ‘Shi Jing’ and Kakku-tsui is also used frequently in ‘Pianli wen’ as well as in Chinese poetry in the Chinese oldest anthology ‘Wen Xuan’ compiled during Liù Cháo. At the beginning of the Tong Dynasty, it’s regarded as an important formality and manner by several reviews of Shangguan Yi. ‘Shi Jing’ and ‘Wen Xuan’ were introduced to Japan in an earlier time and were textbooks for Daigaku-ryo designated by Yourou Code. Moreover, Shangguan Yi’s book is quoted by Kukai and the form of ‘Kakku-tsui’ is found in ‘Bunkyohifuron’ (before 820). Descriptions of Kakku-tsui are found in other books. Though we can see a lot of Kakku-tsui in ‘Pianli wen’ compiled in anthologies of Chinese poetry in the first half of the 9th century (‘Ryoun-syu’, ‘Bunka-syurei-syu’ and ‘Keikoku-syu’), it has never been used in Chinese poems.Kakku-tsui was finally begun to use as an expression method of Archaistic Poetry in the latter half of the 9th century when Sugawara-no-Michizane and Shimada- Tadaomi were on active. This is attributed to the frequent use by Bai Juyi and the popularity of ‘Hakushi-monjyu (bunsyu)’ after Jouwa period, so we can presume the strong influence of Bai Juyi. However, if we compare the Kakku-tsui written by Michizane and Bai Juyi, there is similarity but also there is notable difference. In this presentation, I want to explain how Japanese poets in the 9th century absorbed the formality and manner of Chinese poetry through Chinese books and shaped Japanese style Chinese poetry by investigating the reality of Kakku-tsui.
著者
川原 一郎 浜田 智弘 金 秀樹 高橋 進也 高田 訓 大野 敬 小板橋 勉 三科 正見
雑誌
奥羽大学歯学誌 (ISSN:09162313)
巻号頁・発行日
vol.38巻, no.4号, pp.219-223, 2011-12

68歳男。口底部の腫瘤を指摘され、精査・加療目的に受診した。口底部に境界不明瞭な腫瘤を認めた。パノラマX線写真では、下顎前歯部に骨吸収を認めた。CT、MRIでは、口底部に境界不明瞭な病変を認めた。PET-CTでは、口底部に集積を認めた。臨床診断は口底部悪性腫瘍であった。腫瘤部より生検を施行し、扁平上皮癌の病理組織学的診断により、全身麻酔下に両側上頸部郭清術、下顎骨辺縁切除術、腫瘍切除術、植皮術を施行した。術後は、疼痛管理目的にNSAIDsの錠剤を粉砕して胃管より投与した。術後12日、突然の大量下血とともに意識消失した。上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁に血管露出を伴う潰瘍を認めた。出血性消化性潰瘍の診断のもと、エタノール局注による内視鏡的止血治療を施行した。止血後はランソプラゾールおよびクエン酸第一鉄ナトリウムの投与を開始した。その後再出血することなく、術後35日目、経過良好で退院した。