著者
中北 克己
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, 1975-09-15

酸素欠乏とは, 今まで地下水で飽和されていた砂レキ層中に地下水位の低下のため空気が浸透すると鉄塩類が酸化して空気中の酸素をうばい, 極めて酸素濃度のうすい空気ができることをいう。このため空気が流通しやすく砂鉄分を多く含む砂レキ層で起こり, 粘土・ローム層で起こることはまれである。酸素欠乏の状態は無酸素の地層を掘れば必ずといってよい位い起こり, 近くで圧気工法が行なわれている場合や低気圧通過時には特に危険度が高い。また古井戸や古い建物の地下室, マンホールなどへ入るときも注意を要する。対策は次のとおりである。(1)検知器を使用し, 酸素濃度21%以下となったら作業を中止する。(2)送風機によりたえず新鮮な空気を送る。停電の対策も考慮する。(3)非常用の空気ボンベ, マスクを用意する。万一事故が起きたら無防備で現場へ近づかないことで, 至急に救急車を呼んで処置をしてもらうのがよい。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1483, pp.34-39, 2009-03-23

2009年に入り、経済指標が発表されるたびに、日本の深刻さを突きつけられる。そこに必ずつけられる枕詞は「過去最悪」だ。 米欧発の金融危機に始まった世界経済の混乱は、米国の個人消費の落ち込みを経て、日本へと波及した。最初に影響を受けたのが、輸出だ。 2009年1月の貿易統計の輸出は、前年同月比45.7%のマイナス。
著者
舟島 なをみ 杉森 みど里 定廣 和香子 亀岡 智美
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.37-45, 1996-03
被引用文献数
1

本研究は,看護教育制度が大学教育へと移行しつつあるオーストラリア・カナダ・アメリカを対象にその促進要因と阻害要因とを明らかにすることにより,わが国における看護婦養成教育制度改革の基礎資料とすることを目的としている。歴史的研究のデザインを用い,上記3ヶ国の1960年度以降の教育制度改革に関わる文献を分析した。その結果,看護教育制度大学化の促進要因としてオーストラリアから7要因,カナダから4要因,アメリカから4要因が抽出された。また,阻害要因としては,オーストラリアからは7要因,カナダから4要因,アメリカから4要因が抽出された。これらの促進要因のうち,【看護と看護婦養成教育に関する調査・研究報告】【看護婦職能団体の活動】【財政援助を含めた行政府の協力】といった3要因は,3カ国すべてに共通していた。一方,阻害要因においては,【医師をはじめとした他職種および病院協会からの反対】,【看護職能団体を含めた看護職内部の意見対立】といった2要因が3カ国すべてに共通していた。これらの結果から,今後,看護婦養成教育施設や,看護職能団体の活動に関する調査研究の必要性が示唆された。
著者
近藤 春生 コンドウ ハルオ KONDO HARUO
出版者
西南学院大学学術研究所
雑誌
西南学院大学経済学論集 (ISSN:02863294)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.103-124, 2014-12

我が国では,特にバブル崩壊後の1990年代に景気対策として公共投資が積極的に用いられてきたにも関わらず,景気回復が思わしくなかったこともあり,公共投資の有効性や,社会資本の効率性について懐疑的な見方がなされるようになって久しい。しかしながら,2012年の総選挙で約3年ぶりに政権に復帰した自民党は「国土強靭化」をスローガンに,再び公共投資を増額する意向を示している。少子高齢化を背景に,我が国の財政状況はより厳しくなることが予想され,効率的な予算配分を実現するためには,公共投資(もしくは社会資本)の質を高めることは喫緊の課題であるといえる。また,不況局面に入ると,特に公共事業への依存度が高い,非都市圏において,地域経済対策として公共投資を求める声も依然として聞かれ,公共投資(社会資本)が地域経済にどのようなインパクトを与えているかを分析することは今なお重要であると考えられる。公共投資を含む公的支出や社会資本と地域経済の関係について実証的に分析したものとしては,例えば,土居(1998),林(2004a,b)や近藤(2011)があげられる。これらの研究では,都道府県単位のパネルデータを用いて,社会資本を含んだ生産関数の推定や,ベクトル自己回帰(VAR)モデルによる分析を行っている。ただし,公共投資の効果や社会資本の効率性は,その内容(産業基盤か生活基盤か,道路か住宅か)によっても大きく変わるであろう。そこで,本稿では,地域経済への貢献がしばしば期待され,事業規模が最も大きい道路に着目して,社会資本ストックとしての道路資本と地域経済との関係について,都道府県単位のパネルデータを用いたVARモデルによって明らかにすることを試みる。具体的には,道路資本と生産量,民間資本,雇用との相互関係を明らかにする。また,道路の種類による違いを考慮すべく,国道と地方道に分けて分析するほか,地域および時期による違いも考慮に入れるべくサブサンプルを用いた分析も行うこととする。本稿の構成は,以下の通りである。第2節では,社会資本や道路資本の経済効果に関する先行研究を概観し,論点整理を行う。第3節では,実証分析の枠組みとデータを説明し,推定結果について述べる。第4節はまとめである。
著者
奥野 圭子 Okuno Keiko
出版者
神奈川大学経営学部
雑誌
神奈川大学国際経営論集 = Kanagawa University international management review (ISSN:09157611)
巻号頁・発行日
no.48, pp.157-170, 2014-10

現在、いわゆる世界的な大競争時代であり、世界中の企業が生き残りをかけて基盤、財政力、技術等の国際競争力を拡大しようとしている。これは、わが国の企業も同様であり、市場の低成長下における生き残りをかけた企業戦略の手段としてM&A(Mergers and Acquisitions)も活発化している。 しかし、この活発化にともないインサイダー取引や相場操縦、虚偽記載等のような違反行為も増加した。悪質な場合には、既存の刑事罰で処することができるが、これを科すほどに至らない違反行為が問題となっている。これは、証券市場の公正性と投資者の信頼を著しく害する行為であるにもかかわらず、処分を受けない違反行為者が後をたたないためである。 そこで、国家はこれらの行為を抑止するために、金融商品取引法(以下、金商法)上に行政措置として金銭的な負担を課す課徴金制度を設置し、金融市場、資本市場等の公正性および透明性を確保することとした。これに対し、日本経済団体連合(以下、経団連)等では、課徴金はもともと独占禁止法上で不当利息の剥奪と位置づけられていたため、違反行為抑止を名目に改正毎に厳しくなる当該制度に「かえって萎縮を招く」との批判の声が高まっている。 本件は、金商法の課徴金制度について示された初の司法判断である。このため、本件に関する一連の司法判断を追うことによって、金商法上の課徴金制度の立法目的、目的遂行のための手段等が明確となるであろう。その上で、金商法上の課徴金納付命令の違憲性についての考察を試みる。判例評釈
著者
Giuliani Rudolph W. 井上 裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1282, pp.96-99, 2005-03-07

問 政治家から投資家への転身。一見、唐突にも見えますが、ご自身の中では貫くものがありますか。 答 今、市長時代の仲間らとともにジュリアーニ・パートナーズという投資会社を運営しています。私の投資事業には、市長時代を含めた私の職業人としての哲学が色濃く反映されています。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.611, pp.24-33, 2014-12-01

2020年に東京で開催されるオリンピックを見据えて、無料Wi-Fiに対する企業や自治体の投資熱はしばらく続きそうだ。しかし利用者が増えている先行事例の陰で、「想像以上に利用者の伸びが鈍い」「本業への波及効果が見えるのには程遠い」と担当者が打ち明けるサ…
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.611, pp.18-23, 2014-12-01

[パート1:事例編] 「子供にせがまれた親が、よく一緒に立ち寄っている」「お店の前で、携帯ゲーム機を持った子供が盛り上がっていた」─。 無料のWi-Fi(無線LAN)サービスに注力したことで、こんな光景が見られるようになった店舗がある。コンビニエンスス…
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1305, pp.66-68, 2005-08-29

お目当ては「世紀の売り尽くしセール」。今秋からの建て替え工事を控え、他店よりも2週間ほど早く夏のセールに突入し、バーゲン客の先取りに動いた。その賑わいぶりに、品物を納入するアパレルメーカーが「売れ過ぎ」とうれしい悲鳴を上げたほど。今9月中間期は、減益予想から一転、最高益を更新しそうな勢いだ。
著者
大田 英明
出版者
Japan Association for Comparative Economic Studies
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.59-66, 2010

2008年秋の金融危機以降,EU に新たに加盟した欧州移行諸国は,直接投資および資金流入の激減と急速な資本流出によって打撃を受けている。こうした中,IMF による通貨制度設計、経済調査・分析能力,さらに従来の緊縮プログラムを緊急時の政策として適用することが問題点としてあらわれている。EU 新加盟国は通貨制度,自由化の見直し,資本取引の監視・監督体制の強化をEMU参加の前に再検討する必要がある。