著者
渡邉 啓子 長尾 宣夫 戸田 龍樹 黒沢 則夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.143-143, 2008

現存する生ごみ処理装置の一つに、好気固相反応槽(堆肥化処理装置)があり、主に微生物が有機物分解を担っている。我々は、これまでの研究においてクローン解析法やDGGE法といった、非培養法による微生物相の解析を行ってきた。これらの手法は難培養性微生物も解析する事が出来るが、個々の微生物の生理学的性質を調べるためには、環境DNA全てを解析し、生理活性に関与している遺伝子を調べる、もしくは微生物を分離する必要がある。また、非培養法と古典的培養法とを併用して微生物相の解析を行った研究において、培養法で得られた種にも関わらず、非培養法では検出されなかったという報告がある。従って、これを補うためにも、両者を併用することは微生物の解析を行う上で重要であると考えられる。そこで本研究では、非培養法であるクローン解析法とともに、培養法による微生物の分離を行い、生ごみ処理機における各微生物の役割を考察することを目的とした。
著者
米田 健 林正薫 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.36, pp.59-65, 1993-05-14

さまざまな分散マルチメディアアプリケーションの共通基盤となるマルチメディア論理デバイスモデルの設計と実装について報告する.そのモデルでは,マイク,スピーカ,カメラ,ウインドウ,ファイル,ネットワークチャネル,オーディオミキサをすべて統一的に論理的なデバイスとして扱い,各デバイスを容易に生成,削除,結合することができる.デバイス同士は1対1,1対多,多対1,多対多と柔軟に結合することができる.またデバイス間の結合の際に必要となるマルチメディアネゴシエーションについても述べる.提案されるモデルを用いてプロトタイプ会議システムを構築し,マルチメディア論理デバイスモデルの有用性を確認した.To develop distributed multimedia applications easily and efficiently, a multimedia logical device model is proposed in which not only cameras, microphones and speakers but also files, windows and network channels are uniformly treated as logical devices. According to the model, a MMC (Multimedia Control) server which runs as a user-level process on a UNIX system is implemented. The MMC server provides logical device operation services such as creating, destroying, connecting, disconnecting, and using such device operation services, a prototype multimedia teleconferencing system is developed and it is proved that MMC can supports a wide range of distributed multimedia applications.
著者
平山 豪 中井 検裕 中西 正彦
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.595-600, 2003-10-25
被引用文献数
6

昨今、地球温暖化をはじめとする地球規模の環境問題が大きく取り上げられてきた。その中でも多くの人が住む都市の環境悪化が課題として注目されている。都市の環境悪化の例を挙げればヒートアイランド現象・大気汚染・ごみ問題・都市型洪水・エネルギー問題等々きりが無く、またこれらの原因は非常に多岐にわたり、その解決は困難を極めている。その中でも都市内における緑の喪失は多くの問題の原因であり、いかに緑地を確保していくかが大きな課題である。しかし、高密度に利用されている現在の都市においては新たに緑地を創出する為の土地はほとんど無い。そのため、新たに新規緑地を創出できる場としての屋上が注目され始めている。この様な背景を受け、行政は屋上緑化推進のために様々な施策を設けているがそれらがどの程度の効果又は害をもたらすか、屋上緑化推進の目的を本当に果たしているかは未だ明確に把握されていない。本論文では屋上緑化を義務化した屋上緑化義務条例と屋上緑化面積と引き換えに容積率を与える容積率割増制度を対象として取り上げる。 また、既存研究によると屋上緑化の経済的な効果にのみ着目すれば断熱材の利用や配色の工夫など代替的な方法でより安く・効果的な方法がある事が示され、屋上緑化の有効性が疑問視されている。しかしそれらの屋上緑化の評価には、本来緑地が持つ安らぎ・豊かさ感といった生理・心理的な効果は考慮されていない。ゆえにこれからの屋上緑化施策を考えるにはこの生理・心理面の効果を考慮に入れた経済的評価が必要であると思われる。 東京全体で屋上を緑化できる平坦屋根面積は屋上開発研究会によると約2000haと港区に匹敵する面積であり、その中でも宅地の占める割合が大きく、住宅の屋上緑化は東京における今後の緑地増加に対して大きな役割を果たすと思われる。よってその効用を明らかにする事は重要である。 そこで本研究では住宅の中でも、今後都心部おいて増加が予想され、しかも緑化義務条例・容積率割増制度の対象となり易い集合住宅に着目し、屋上緑化のなされた集合住宅の住民・周辺住民を対象とした仮想市場法(CVM)により生理・心理面を含めた屋上緑化による効用を定量化し、この結果を踏まえた上で、現在行政が行っている2つの屋上緑化推進施策と両制度併用時の評価を行なう事を目的とする。 結果として、まずCVMにより定量的に把握した。住民の平均WTPは679円・周辺住民の平均WTPは179円であった(抵抗回答は除く)。また分析により住民が利用可能な屋上緑地の方がその効用が高まり効果的であり、屋上緑化が効果的な地域は市街地等緑の不足が問題視されている地域であると考えられる。 次にそれに基づいて施策への評価を行った。「屋上緑化の義務化」制度(緑化率20%)にはある程度の妥当性が認められたが、指定容積率による段階的な緑化率の設定等改善の可能性もあると考えられる。「屋上緑化に対する容積率の割増」制度(緑化率50%、容積率50%増)は建物経営者にとって魅力的な制度となっており多くの適用が予想されるが、その結果として住民・周辺住民にとってマイナスの効果を及ぼす危険性があると思われ、高い指定容積率の建物に絞った適用が考えられる。また義務化制度のある東京都において容積率割増制度(緑化率30%、容積率30%増)を併用することは住民・周辺住民にとってマイナスの効用しか与えなく、さらには本来の屋上緑化推進という目的を果たし切れていないと思われる。
著者
滝 巌
出版者
広島大学水畜産学部
雑誌
広島大学水畜産学部紀要 (ISSN:04408756)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, 1963-12

近年著者の入手したタコ類4種を記載した. これらは昨年(1962) 日本動物学会大会(岡山}で発表し要旨は動物学雑誌71巻397-398頁に載っている.1) テナガヤワラダコ胴部などの破損した標本2点で,銚子沖産.全長約200mm,套長約50mmで体は亜寒天質で半透明,腕は細長く側扇し吸盤は1列に並ぶ.交接腕(右第3腕)の舌状片は糸状に細い.外套関口は2部に分かれ,歯舌の中央商は9歯尖,第I側歯は6歯尖,第2側歯は7歯尖を有するのでフクロダコ族に所属するが,既知のどの科にも属せしめることができないのでテナガヤワラダコ科とテナガヤワラダコ属を設け,フクロダコ科・クラゲダコ科との関係について,も考察した.2) ヤワハダダコ土佐足摺岬沖と紀南礁で採れたもので全長約115mm,套長約36mm.未成熟個体で皮下に極めて軟かい寒天質層がある.腕は比較的短かく吸盤は小形で傘膜は広い.ハワイ・セイロン島南・アラビア海・ペルシャ湾で採れており日本は新分布地である.3) センベイダコ標本2個で和歌山県南部沖産.既知のメンダコと比べると傘膜は狭く背軟骨はゆるい弧状に曲がる点その他多くの点で異るが,Opisthoteuthis pluto, O.persephone (どちらも大豪洲湾産),O. extensa (スマトラ附近産)と比べても背軟骨・鰹葉数・鰭形・触毛翰・体色などで異る.4) オオメンダコ鹿島灘で採れた5個で,北米加州で1949年IC知られた種IL同定しうる.甚だ大形で成熟雄には腕全長の中央部と左右の第1腕の先端部近くと合計2個所IC大形吸盤がある.太平洋の東西2地方IC同一種を産することは注目される.
著者
山下 泉
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.560-563, 2008-05

IPM防除体型による施設栽培での新害虫コナカイガラムシの発生とその対策。高知県の促成栽培ナスや促成栽培ピーマンでは、主要害虫のミナミキイロアザミウマやアブラムシ類などに対して、タイリクヒメハナカメムシ、コレマンアブラバチなどの天敵類や防虫ネット、黄色蛍光灯などを利用した総合的な害虫防除対策が普及しつつある。このような防除体系を導入している栽培圃場において、これまでの化学合成殺虫剤を中心とした防除体系による栽培圃場では発生の見られなかったコナカイガラムシ類が1990年代後半から発生するようになり、排泄物に発生するすす病による果実や植物体の汚れ、落葉や吸汁による生育抑制などの被害が顕在化し問題となってきた。そこで、発生種および防除対策などについて検討を行った。本稿では、天敵類を利用した総合的害虫防除体系による栽培を行っている圃場で発生しているコナカイガラムシ類の発生種、促成栽培ピーマンでの発生状況と防除対策などについて述べる。