著者
久高 潤 糸数 清正 平良 勝也 仁平 稔 岡野 祥 中村 正治 岩永 節子 富永 正哉 大野 惇
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-15, 2008
被引用文献数
2 14

海ぶどうの細菌学的汚染状況を把握し,効果的な衛生対策を確立するために調査・研究を行った.沖縄県内16か所の養殖場で各生産段階や製品など11か所における腸炎ビブリオおよび海洋細菌の汚染実態調査を実施した.調査の結果,養殖海水中の海洋細菌数は,養殖により平均10<sup>3</sup>から10<sup>6</sup> cfu/mLまで増加した.一方,海ぶどうの海洋細菌数は母藻から出荷の段階,あるいは出荷7日後まで平均10<sup>7</sup> cfu/gと高い菌数で推移した.腸炎ビブリオは使用海水56%,母藻25%,製品19%から検出されたが,<i>tdh</i> は増菌液,分離株のいずれからも検出されなかった.今回の調査結果を踏まえ,今後,各養殖工程に適した具体的な消毒方法,殺菌装置の評価・改良等についてさらなる検討が必要である.
著者
本吉 洋一 勝田 豊
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.44-81, 2011-03-28

第51次隊は,越冬隊28名,夏隊34名,さらに同行者28名の合計85名で構成された.新南極観測船「しらせ」の就航に伴い,搭載ヘリコプターの更新や,コンテナ主体の輸送方式など,新しいシステムがいくつか導入された.「しらせ」は2009年11月10日に晴海埠頭を出航したが,その際,観測隊同行者5名が「しらせ」に乗船して出発した.それに先立ち,11月5日に設営先遣隊5名が成田空港を出発し,ドロンイングモードランド航空網(DROMLAN)を利用して,11月13日に昭和基地入りを果たした.また,11月10日には,セール・ロンダーネ山地調査隊のうち10名が成田空港を出発し,DROMLANを利用して11月20日までにプリンセス・エリザベス基地(ベルギー)に集結した.観測隊本隊は,11月24日に成田空港を出発,25日にはフリーマントル港にて「しらせ」に乗船し,外国人同行者も合流した.「しらせ」は11月29日にフリーマントル港を出航し,海洋観測を実施しつつ12月15日に氷縁に到着した.12月18日に昭和基地第一便が飛び,20日までに緊急物資および準備空輸,内陸ドームふじ旅行隊,沿岸調査チームの一部を送り出した後,「しらせ」は一旦昭和基地沖を離れクラウン湾に回航した.12月23日から25日までクラウン湾にてセール・ロンダーネ山地調査隊の隕石チーム5名と物資を送り出した後,「しらせ」は再び昭和基地を目指した.例年になく厚い氷と積雪に苦労したが,1月10日に昭和基地接岸を果たした.以後,2月13日の昭和基地最終便までの間,第51次越冬成立に必要な物資と越冬隊員の交代を滞りなく完遂した.昭和基地および周辺露岩域では,無人磁力計ネットワーク観測,南極湖沼における生物観測,GPS観測・重力観測などが実施された.設営系では,「しらせ」の輸送システムに対応したコンテナヤード整備作業,自然エネルギー棟基礎工事,電離層40mデルタアンテナ建設,第1廃棄物保管庫・仮作業棟解体工事などが実施された.なお,「しらせ」の昭和基地接岸が遅れたこともあり,昭和基地での一部の夏作業は実施することが出来なかった.第51次隊は,昭和基地方面での活動の他に,セール・ロンダーネ山地およびドームふじ基地方面での野外オペレーションも実施した.セール・ロンダーネ山地地学調査隊は,DROMLANを利用して地質・地形チームが11月中に現地入りした.その後,「しらせ」によって隕石チームが12月下旬に合流し,ベルギー隊の隊員も含め,合計17名が山地内に展開した.調査終了後,地質チームはDROMLANにより帰国の途につき,2月15日に成田空港に帰国した.地形・隕石チームは,2月2日にDROMLANによりS17経由で「しらせ」に収容された.内陸ドームふじ旅行隊は,第50次越冬隊3名を含む合計8名で構成され,12月19日に「しらせ」からS16に移動,22日にS16を出発しドームふじ基地を目指した.1月8日にドームふじ基地に到着,以後1月25日まで浅層氷床掘削やコア搬出を行いドームふじ基地を出発,2月11日にS16から「しらせ」に収容された.「しらせ」は2月13日に第51次夏隊・同行者および第50次越冬隊を乗せて昭和基地を離岸し,以後,アムンゼン湾リーセル・ラルセン山,ケープダンレーでの観測,さらに中国・中山基地訪問などを実施した後,3月17日にシドニーに入港した.観測隊は3月19日成田空港に帰国した.「しらせ」は4月9日,晴海埠頭に帰港した.
著者
中西 渉
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.358-361, 2016-03-15

高校の教科「情報」の置かれている状況や,そこで行われているプログラミング教育の様子について報告する.学習指導要領や教科書におけるプログラミングの扱い,愛知県高等学校情報教育研究会で実施されたアンケート結果の他,筆者の勤務校における実践の変化について報告し,プログラミング教育に対して期待する考えを述べた.
著者
西尾 久美子 NISHIO Kumiko
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.49-62, 2010-12
被引用文献数
1

本論は、宝塚歌劇という日本独特の興行組織がなぜ発展・定着したかについて、トップスターのキャリア形成と興行の仕組みに焦点を当てて考察するものである。100年近い伝統のある宝塚歌劇団のメンバーは、宝塚音楽学校の卒業生であるという限定がある。そのため宝塚音楽学校在学中の10代後半の早い時期からスター候補生を見出し、劇団に所属後も技能進捗に応じた場を与えて育成することが可能になっている。また、この仕組みは、ファンがスター候補生を見つけることを容易にし、スター候補生をファンが応援し、自分たちで育て上げ退団まで見送ることにつながっている。さらに、スターになったタカラジェンヌは自ら退団という節目を選択するというキャリア形成の流れができている。このスター選抜システムと退出をうながす二つの機能が興行の仕組みに織り込まれていることによって、組織内の新陳代謝も促され人件費の高騰も抑えることができている。宝塚劇団の運営は、トップスターのキャリア形成と興行の形態が結びつくビジネスシステムになっているからこそ、その長期的継続につながっているといえる。This paper is considered paying attention to the structure of personnel training about how the Takarazuka, a performance organization peculiar to Japan expands. The Takarazuka is established in 1913 and she must graduate the Takarazuka music academy attached to the opera to be a member of the opera. This system is the foundation of the star selection system that the opera and also enthusiastic loves of the opera can find a future star and support her since before she enters the opera. There is also a career development mechanism that the members in the opera who are not to be a star have make a choice whether she drop out of the opera. Management of the Takarazuka opera has the personnel system which brings up the star performers continuously and this connects with the succeed of a show and make the Takarazuka a tradition of about 100 years.
著者
高木 博史
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.61-70, 2010-03-31

2007年末に、「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定されて以来、初めての改正が行われた。特に介護福祉士に関する改正で、「准介護福祉士」の規定が盛り込まれたことは、日本の介護労働事情に大きな影響を及ぼすことになる。 なぜならば、「准介護福祉士」資格は「介護福祉士」との関係において「下位資格」に当たるものであり、一般的にも低待遇が課題となっている介護現場において、さらに「低賃金・低待遇」の条件下での労働を強いられることになるのではないかという懸念が生じるからである。そこで、「介謹福祉士」と「准介護福祉士」 と同様の関係性を持っと考えられる「看護師」と「准看護師」 の関係を比較材料とし、その実態を明らかにすることで「准介護福祉士」の再考を促す問題提起としたい。
著者
中谷 仁
雑誌
東京医科大学雑誌 (ISSN:00408905)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.438-443, 1994-07-01
著者
細江 宣裕
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.16, 2016-08

英国の欧州連合(European Union, EU)離脱の影響を2種類の応用一般均衡(computable general equilibrium, CGE)モデル—規模に関して収穫一定の従来型モデルと、企業の異質性と規模の経済を考慮したMelitz型のモデル—を用いて分析する。EU離脱後に再設定される貿易障壁によって、英国と英国以外のEU諸国間の貿易は大きく落ち込む。規模に関して収穫一定のモデルを用いると、英国はわずかな経済厚生上の利益、または、損失を被ることが予想されるが、規模の経済のあるモデルを用いた場合には、無視できない規模の損失が発生することがわかる。その損失は、英国がEU離脱から得られる便益の中での最大と期待されているEUへの財政拠出金の金額と同程度に達する。英国の産業は、とくに繊維・衣料、鉄鋼・金属製品、自動車・輸送機械部門において、大きく輸出を減らすことを通じて生産を減少させる。The impact of Brexit is investigated using two computable general equilibrium (CGE) models, featuring conventional constant-returns-to-scale (CRS) technology and increasing-returns-to-scale (IRS) technology with firm heterogeneity, à la Melitz. The imposition of trade barriers would trigger a significant contraction of the bilateral trade between the United Kingdom (UK) and the rest of the European Union (EU). While a CRS CGE model predicts that the trade barriers would benefit or only marginally harm the UK's welfare, the IRS model predicts a larger loss through firm exit and loss of varieties, comparable to the expected saving of the UK's contribution to the EU budget. Among the UK industries, the textiles and apparel, steel and metal, and automotive and transportation equipment sectors would suffer most severely from their sharp fall in exports.JEL Classification Codes: F13, F17, C63本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金(16K03613)を得て進められた。http://www.grips.ac.jp/list/jp/facultyinfo/hosoe_nobuhiro/http://id.nii.ac.jp/1295/00001511/