著者
中村 匡
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.2-42, 2002-10-20

本稿は"電磁気学への応用を例とした微分形式の入門"であると同時に"微分形式を使った電磁気学の解説"となるのが目標である。われわれのよく知っているベクトル解析は,3次元空間の微積分をdivやrotなどの座標によらない演算子でシステマティックにあつかえるが,1920年頃に数学者のE.カルタンによって定式化された微分形式は,それをさらにすすめて一般の次元でも,特定の座標にずに見通しよく微積分演算をあつかうことを可能にする。従来,この理論は宇宙論や素粒子論の研究者には知られていたが,近年になってひろく他の物理の分野からも注目されるようになってきた。たとえばコンピューターの発展によって可能になった,複雑な曲線座標のもとでの計算機実験などに微分形式は威力を発揮する。本稿ではこの微分形式によって電磁気学を見直してみる。標準的な教科書にある電磁気学の微分形式による表現の他に,「もし3(空間)+1(時間)次元以外の物理があったら電磁気学はどうなるのか」という話題と,「時間と空間を平等にあつかう正準形式」という話題を紹介し,微分形式と電磁気学の両方に対する解説になることを目指した。
著者
斎藤 梨絵 石井 弓美子 根本 唯 熊田 礼子 中村 匡聡 相馬 理央 大町 仁志 玉置 雅紀
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.163, 2020 (Released:2020-12-24)
参考文献数
48

近年、次世代シークエンサーを用いたハイスループットシークエンシング(HTS)によるメタバーコーディング法に基づく革新的な食性解析手法の進展により、大量のDNA情報を用いた種同定による野生動物の詳細な食性が明らかになっている。本研究では、雑食性のイノシシを対象とし、イノシシの胃内容物からDNA抽出を行い、メタバーコーディング法による植物性及び動物性食物の推定法について検討した。 植物性食物の推定に当たり、遺伝子マーカーによる結果のばらつきを評価するため、3つの遺伝子領域(核DNA ITS-2領域、葉緑体DNA rbcL領域及びP6 loop領域)を解析し、比較した。その結果、遺伝子領域により検出される植物種の属構成が異なることが明らかとなった。この要因として、レファレンスとして使用しているDNAの登録配列の登録種や産地などの情報量が、遺伝子領域により異なることが考えられた。 次に、HTS解析による食性解析におけるサンプル間のばらつきを評価するため、同一個体から3回、独立にDNAを抽出し、反復解析を行い、そのデータの類似性を比較することで、実験の再現性を評価した。その結果、独立したDNAサンプル間で属構成に有意な差は認められず、本研究で用いた胃内容物のサンプルは十分に攪拌されており、再現性のある実験結果が得られたと考えられた。 動物性食物の推定には、解析対象種(ホスト種)のDNA増幅を効果的に抑制し、食物として利用している他の動物種のDNAを効果的に増幅する必要がある。本研究では、DNA増幅の過程でホスト種などの特定のDNA増幅を抑制する方法として利用されているDual Priming Oligonucleotide法(DPO法)またはPeptide Nucleic Acid法(PNA法)を用い、これらの抑制効果について検証した。ミトコンドリアDNAのCOI領域を対象とし、イノシシのDNAの増幅抑制効果を検証した結果、DPO法及びPNA法共に、ホスト種であるイノシシの配列の増幅を有意に抑制することが明らかになった。一方で、PNA法はDPO法に比べ、食物としている他の動物性食物のDNA増幅が阻害されにくい傾向にあった。従って、動物性食物の推定には、PNA法がより有効な手法であると考えられた。
著者
中村 匡
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.2-42, 2002-10-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
中村 匡 福井県立大学教養センター
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.2-42, 2002-10-20

本稿は"電磁気学への応用を例とした微分形式の入門"であると同時に"微分形式を使った電磁気学の解説"となるのが目標である。われわれのよく知っているベクトル解析は,3次元空間の微積分をdivやrotなどの座標によらない演算子でシステマティックにあつかえるが,1920年頃に数学者のE.カルタンによって定式化された微分形式は,それをさらにすすめて一般の次元でも,特定の座標にずに見通しよく微積分演算をあつかうことを可能にする。従来,この理論は宇宙論や素粒子論の研究者には知られていたが,近年になってひろく他の物理の分野からも注目されるようになってきた。たとえばコンピューターの発展によって可能になった,複雑な曲線座標のもとでの計算機実験などに微分形式は威力を発揮する。本稿ではこの微分形式によって電磁気学を見直してみる。標準的な教科書にある電磁気学の微分形式による表現の他に,「もし3(空間)+1(時間)次元以外の物理があったら電磁気学はどうなるのか」という話題と,「時間と空間を平等にあつかう正準形式」という話題を紹介し,微分形式と電磁気学の両方に対する解説になることを目指した。
著者
今野 浩太郎 平山 力 中村 匡利 田村 泰盛 服部 誠 河野 勝行
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集 日本蚕糸学会第72回学術講演会
巻号頁・発行日
pp.118, 2002 (Released:2004-02-03)

エリサン(Samia riciniヤママユガ科)は味覚が鈍感であり、たとえ毒性や成長阻害活性を持つ植物でも与えれば良く摂食し、その植物に特有の反応を示すため、植物の毒性や成長阻害活性の検出に大変優れた昆虫である。シダを食害する植食昆虫の種数は、植物1種当たり平均で、被子植物と比較して顕著(1/30)に少ないことが知られているが、その理由については未知であるため、エリサンを用い、ヒメシダ、コウヤワラビ、ゼンマイ、ワラビ、ヒカゲヘゴ等の毒性·成長阻害活性を調べた。その結果、草食哺乳類に対する毒性が知られているワラビが、エリサンに対し中程度の毒性·成長阻害活性しか示さなかった一方で、ヒメシダ、コウヤワラビ·ゼンマイなど、これまでに毒性·成長阻害活性が報告されていないシダに毒性に近い非常に強い成長阻害活性が観察された。特に、ヒメシダ(Thelypteris palustris )の生葉や、生葉粉を栄養価の高い人工飼料に混ぜた餌を与えた場合、エリサンは摂食するが全く成長しなかった。この活性は熱に弱く、100℃数分間の加熱で完全に失われた。また、この活性は水、リン酸緩衝液、アルカリ緩衝液、メタノール、界面活性剤などに対し極めて難溶性で葉残渣画分に残った。これらの性質は、シダが一般的に植食昆虫耐性を持つことの原因とされているファイトエクジステロイド、チアミン分解酵素、青酸配糖体の性質とは非常に異なっており、シダに未知の耐性機構が存在する可能性が示唆された。
著者
水野 貴斗 氏原 嘉洋 中村 匡徳 杉田 修啓
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual58, no.Abstract, pp.311, 2020 (Released:2020-08-05)

毛細血管再充満時間(CRT)とは,トリアージで循環機能を簡易的に判定する指標で,爪を5秒間加圧した後に解除し,爪の赤みが回復するまでの時間である.CRTは,脱水症の判定など循環機能の判定以外への応用も検討された(McGee et al. 1999)が,水分とCRTの関連性が低く,実用には至っていない.また,CRTは体温に影響されることが知られている(Schriger et al. 1988).本研究では,指標に影響を与える要因を把握し,この要因による影響を補正して正確なCRTを計測できれば,水分量の判定も含む他の病状診断に応用できる可能性があると考えた.そこでまず,CRTを定量的に計測するために,一定の力を負荷できる加圧装置を作製し,加圧を解除した後の爪の色の変化を撮影した.このとき,爪の輝度値の時間変化を測定し,得られたデータに指数関数を回帰し,輝度値が一定値に漸近するまでのうち90%変化するまでの時間を本法でのCRTと定義した.また,信頼性の高いCRTの算出方法を決めるために,連続してCRTデータを得た後,画像処理方法を変えてCRTを算出し,各解析法での値のばらつきを評価した.輝度値をRGB色空間とHSV色空間に分解し,各チャンネルの輝度値の変化からCRTを算出したところ,Greenチャンネルで計測毎のばらつきが最小となった.これは,爪上から見られる白から赤への輝度値の変化が,Greenチャンネルで最大となり,ノイズの影響が最小になるためと考えられる.
著者
神崎 雄一郎 門田 暁人 中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.755-767, 2004-06-01
被引用文献数
9

本論文では,プログラムに含まれる多数の命令をカムフラージュ(偽装)することにより,悪意をもったユーザ(攻撃者)によるプログラムの解析を困難にする方法を提案する.提案方法では,プログラム中の任意の命令(ターゲット)を異なる命令で偽装し,プログラムの自己書換え機構を用いて,実行時のある期間においてのみ元来の命令に復元する.攻撃者がカムフラージュされた命令を含む範囲の解析を試みたとしても,ターゲットの書換えを行うルーチン(書換えルーチン)の存在に気づかない限り,プログラムの元来の動作を正しく理解することは不可能である.解析を成功させるためには,書換えルーチンを含む範囲についても解析する必要があり,結果として,攻撃者はより広範囲にわたるプログラムの解析を強いられることとなる.提案方法は自動化が容易であり,要求される保護の強さ,及び,許容される実行効率の低下の度合に応じて,ターゲットの個数を任意に決定できる.
著者
河本 夏雄 行弘 研司 木内 信 阪口 洋樹 和田 旭紘 伊藤 雅信 小瀬川 英一 中村 匡利 池田 真琴 木内 彩絵 桑原 伸夫 金児 雄 比留間 潔 水谷 信夫 浅野 眞一郎 石橋 純 飯塚 哲也 神村 学 志村 幸子 瀬筒 秀樹 冨田 秀一郎
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
蚕糸・昆虫バイオテック (ISSN:18810551)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1_053-1_063, 2019 (Released:2019-05-16)
参考文献数
24

We surveyed the distribution of the wild mulberry silkmoth, Bombyx mandarina, using pheromone traps. Male moths were captured in all the prefectures of Japan except Okinawa Prefecture. In Tokara Islands, B. mandarina inhabits Nakanoshima and Akusekijima Islands while it is absent in Takarajima Island, which lies to the south of the Watase line. No Bombyx moths were captured in Iki, Amami, and Okinawa Islands. In addition, we collected B. mandarina in Hachijo Island for the first time. 1) Institute of Agrobiological Sciences, National Agriculture and Food Research Organization, 1-2 Owashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8634, Japan; 2) Department of Applied Biology, Kyoto Institute of Technology, Matsugasaki, Sakyoku, Kyoto, 606-8585, Japan; 3) Genetic Resource Center, National Agriculture and Food Research Organization, 6585 Kobuchisawa, Hokuto, Yamanashi, 408-0044, Japan; 4) Gunma Sericultural Technology Center, 2326-2 Soja, Soja-machi, Maebashi, 371-0852, Japan; 5) Faculty of Agriculture and Life Sciences, Hirosaki University, Hirosaki 036-8561, Japan; 6) Kyushu Okinawa Agricultural Research Center, National Agriculture and Food Research Organization, 2321 Suya, Koshi, Kumamoto 861-1192, Japan; 7) Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, Sapporo, Hokkaido, 060-8589, Japan.
著者
鈕 龍 [マツ]本 真佑 佐伯 幸郎 中村 匡秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.110, pp.73-78, 2014-06-19

近年,センサ技術や無線技術の飛躍的な進歩に伴い,屋内測位システム(Indoor Positioning System,IPS)の研究が盛んである.また,屋内位置情報を用いた屋内ロケーションアウェアサービス(Indoor Location-Aware Service,InLAS)に注目が集まり,いくつの実用化事例も登場している.しかしながら,現状では,IPSとInLASが密結合しているため,InLASが複雑化し開発効率が低下してしまう.先行研究で,IPSで得られる屋内位置情報をその目的や用途,推定手段に依存せずに,中立的に表現するためのデータモデルData Model for Indoor Location(DM4InL)を提案している.本研究では,DM4InLを基づいて,InLASのための屋内ロケーション問い合わせサービス(Indoor Location Query Services,ILQS)の実現を目指し,ILQSのAPIを検討する.これらのAPIを利用することで,InLASの開発者はIPSの詳細な実装を知らなくても屋内情報を取得することができ,効率的なInLAS開発を実現できる.
著者
増田 哲也 渡邉 雄一 松本 真佑 佐伯 幸郎 中村 匡秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.479, pp.89-94, 2014-02-28

従来多くのコンテキストアウェアサービスでは,表現可能なコンテキストが現在の状況に限定されていた.そこで我々は先行研究において,ホームネットワークシステム(HNS)に蓄積された住宅ログを活用することで,過去の状況も考慮したより高度なコンテキストを表現する手法を提案している.この先行研究では,住宅ログを用いたコンテキスト(ログコンテキスト)の定義と活用について提案を行っているが,具体的なシステムの実装にはいたっていない.そこで本研究では,実際のHNS環境(CS27-HNS)で蓄積している環境センサの値とそのログに対象を絞り,それらを利用した環境ログコンテキストを取得するシステムを設計・実装する.実装においては,ログコンテキストをできるだけ容易に作成・管理できるように,システムをアプリケーション,ログコンテキスト,ログクエリ,DB接続の4つのレイヤで構成した.また実装したシステムを利用して, CS27-HNSにおいて実用的な環境ログコンテキスト「昨日より5℃以上寒い」「ここ数年で最も寒い」を定義し,システムを通して実際に取得できることを確認した.
著者
阪井 誠 中道 上 島 和之 中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2575-2586, 2003-11-15
被引用文献数
11

WebTracerはWebサイトをブラウズするユーザの視線と操作の記録,再生,分析を支援するユーザビリティ評価環境である.WebTracerは,ユーザがどこを注視しつつ操作を行ったかをコンパクトに記録することが可能である.評価実験の結果,WebTracerは既存のビデオ圧縮方式であるMPEG-2やMPEG-4に比べ1/10から1/20のデータサイズで,Web操作画面を記録し再生することができた.また,Webページのメニューが2カ所に分かれている場合は注視点の移動速度が速かったなど,視線とユーザビリティが関連している可能性が示された.WebTracerを用いれば,ユーザビリティの共同研究や,ユーザビリティ評価者と開発者の間でデータ交換することが可能になる.また,視線データを利用して問題のあるページを容易に探せるなど,ユーザビリティ評価を効率的に支援できる可能性がある.WebTracer is a new usability evaluation environment which supports record, reproduction,and analysis of a gazing point and operation while a user is browsing a website.WebTracer can record a user's gazing point and operation compactly.Results of an experimental evaluation showed that the size of the operation history taken by WebTracer was from 1/10 to 1/20 of the size of data recorded by an MPEG-2 and MPEG-4 format.Thus, with its compact form,the result of usability testing with the gazing point can be efficiently shared.It is expected that we can easily share empirical data between researchers.Also,evaluators can easily send the testing results as a feedback to the developers.Moreover, the results shows that a possibility that gazing points related to usability.For example, if the menu of a Web page is divided into two panes,gazing points moved quickly.It seems that WebTracer improves usability evaluation efficiently,since gazing point data helps to find out problems from Web page.
著者
木村 優花 川上 和宜 中村 匡志 横川 貴志 清水 久範 小林 一男 青山 剛 鈴木 亘 羽鳥 正浩 鈴木 賢一 高張 大亮 小倉 真理子 陳 勁松 中山 厳馬 若槻 尊 山口 研成 山口 正和
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.12, pp.1075-1081, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
21

Since it is important that patients take their oral anticancer therapy as prescribed, pharmacists need to assess adherence. In addition, oral anticancer drugs are expensive, and reuse of leftover drugs at outpatient pharmacy clinics is useful in reducing drug costs. The present study aimed to clarify when and why patients have leftover capecitabine tablets, and the cost of leftover capecitabine tablets reused at an outpatient pharmacy clinic, focusing on adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy for gastric cancer. We retrospectively studied patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer between November 1, 2015, and April 30, 2021, at the Cancer Institute Hospital of the Japanese Foundation for Cancer Research. The cost of leftover capecitabine reused by pharmacists was calculated based on the National Health Insurance drug price standard for the study period. This study included 64 patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy. Thirty-seven patients had 152 leftover capecitabine tablets. The most common reasons for leftover capecitabine tablets were nausea and vomiting (21.7%), missed doses (18.4%), and diarrhea (13.2%). The leftover capecitabine tablets for 25 patients were reused at the outpatient pharmacy clinic at a cost of JPY 604142.8 (JPY 24165.7 per patient). The study results suggest that evaluating capecitabine adherence and the reasons for leftover capecitabine tablets at outpatient pharmacy clinics as well as reusing leftover medication can contribute to reducing drug costs.
著者
中村 匡徳
出版者
名古屋工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、X線による可視化と数値流体計算により、実際の鳥呼吸器内の流れを調べ、その流体制御機構を解明することを目標として研究を行ってきた.研究成果として、鳥気管支の第一分岐部上流側において狭窄している部位があり、そこを吸入空気が通過することで慣性力が増加し、後気嚢に導かれることがわかった.これにより、主気管支から分枝する気管支には空気が入らず、流体の主方向が決定されることがわかった.また、気嚢の厚さが変化することで胸腔内圧の変化と気嚢の変形が同調せず,呼吸器内の流体制御がうまくいかなくなることも判明した.
著者
阪井 誠 中道 上 島 和之 中村 匡秀 松本 健一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2575-2586, 2003-11-15

WebTracerはWebサイトをブラウズするユーザの視線と操作の記録,再生,分析を支援するユーザビリティ評価環境である.WebTracerは,ユーザがどこを注視しつつ操作を行ったかをコンパクトに記録することが可能である.評価実験の結果,WebTracerは既存のビデオ圧縮方式であるMPEG-2やMPEG-4に比べ1/10から1/20のデータサイズで,Web操作画面を記録し再生することができた.また,Webページのメニューが2カ所に分かれている場合は注視点の移動速度が速かったなど,視線とユーザビリティが関連している可能性が示された.WebTracerを用いれば,ユーザビリティの共同研究や,ユーザビリティ評価者と開発者の間でデータ交換することが可能になる.また,視線データを利用して問題のあるページを容易に探せるなど,ユーザビリティ評価を効率的に支援できる可能性がある.
著者
三原 悠 門 浩志 黒瀬 亮 辻中 瑛里香 中村 匡志 足立 大也 山内 明日香 深井 邦剛 八田 告
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.265-269, 2022 (Released:2022-04-28)
参考文献数
23

症例は94歳,女性.入院1年4か月前に腎硬化症を原疾患とした末期腎不全に対し,長期型バスキュラーカテーテルを左内頸静脈に留置し血液透析を開始していた.入院2日前に転倒し,右肩を打撲した.右肩の疼痛増悪,血液透析時の血圧低下をきたしたため入院となった.入院10日目に脱血不良のためカテーテル抜去を試みたが,皮下のカフを剥離した状態にもかかわらず強い抵抗を認めた.入院11日目に透視下造影検査でカテーテルにガイドワイヤーを挿入し,血管壁の付着を剥離しカテーテルを抜去した.日本において,長期型バスキュラーカテーテルは血液透析患者の高齢化とともに使用が増加してきており,抜去困難となるケースにおいては慎重に対応する必要がある.
著者
中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
設計工学・システム部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

This paper addresses an issue of spontaneous software evolution, which is a modern form of software evolution observed in social coding platforms such as GitHub. In the spontaneous software evolution, feature additions and modifications of software are achieved by spontaneous proposals from individual developers, not by the request from the project manager. In this paper, we investigate project factors that can boost such spontaneous software evolution. Specifically, we first introduce a governance framework of the spontaneous evolution, inspired by a smart city execution model, and then consider relevant factors that can motivate developers to propose actions. Finally, we discuss necessary features for the governance framework from viewpoints of (1) motivation of developers, (2) individual sense of value, (3) skill and competency, and (4) characteristics, quantity, and deadline.
著者
井垣 宏 瀬戸 英晴 福田 将之 [マツ]本 真佑 中村 匡秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.778-789, 2012-04-01
参考文献数
20
被引用文献数
1

近年,住宅設備の電化や家電機器の増加・性能向上を要因として,家庭における消費電力量増加が重要課題となっている.家庭内の省エネ実現を目的として,ネットワークに接続された電力センサ等を用いた宅内の消費電力量可視化するサービスが研究・開発されている.実際に消費電力量の可視化によってユーザの省エネ行動を促進することができるという実験結果も現れつつある.一方で,既存サービスのほとんどは宅内の消費電力量のログを可視化するものであり,ユーザの在/不在や室温,照度といった環境状態に基づいた電力の消費結果と消費の原因の因果関係を後から細かく振り返ることを目的としていない.本研究では,HNSにおいて取得可能な様々なログを組み合わせることで,ユーザが日々の電力消費をより細かく振り返ることができる「電力消費振り返りサービス」を提案する.また,提案サービスを実際のホームネットワークシステム上で実装し,有用性を確認するための評価実験を行った.実験により,提案サービスを用いて「電力消費超過」,「サービス提供不能」,「環境状態無視」といった分類でのユーザの電力浪費行動全てを具体的な根拠に基づいて発見することができた.
著者
久米出 中村匡秀 新田直也 柴山悦哉
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.20, pp.1-8, 2013-03-04

近年のソフトウェア開発に於けるアプリケーションフレームワークの普及と共に、その正しい利用法を効率的に学ぶ手法がますます重要になっている。フレームワークの学習の障害として、その複雑性と、所謂制御の反転 (Inversion of Control) に特徴付けられる独特な実行形態が挙げられる。我々はこれらの障害を克服するために、フレームワークアプリケーションの内部挙動を抽象化して表現する機能モデル (feature model) と、動的解析を用いたモデリングを提案する。本論文では第三者が開発した実用的なフレームワークアプリケーション内で発見されたフレームワーク利用の誤りを事例として我々の取り組みとその将来課題を説明する。
著者
中村 匡孝 任 智美 西井 智子 前田 英美 阪上 雅史
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.67-71, 2019 (Released:2020-03-31)
参考文献数
7

症例は65歳,男性.味覚異常を主訴に当科受診,味覚機能検査において左側に優位な味覚機能低下を認めた.左顔面の知覚低下,舌のしびれを認め,頭痛の増悪もあったため頭部造影MRIが施行された結果,肥厚性硬膜炎と診断された.ステロイドパルス療法を施行され,開始後数日で味覚異常は消失し,味覚検査も正常範囲となった.画像所見や症状,味覚検査より本症例では左側の鼓索神経と舌咽神経の障害と判断された.一側性味覚閾値上昇,かつ複数の脳神経症状が認められる場合は中枢性疾患を積極的に疑う必要があり,本症例では頭部造影MRIが有用であった.