著者
前田 敦子 中村 宏
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.8, pp.35-43, 2012-02

第一次産業は、国家の食糧安全保障の根幹をなしている。この第一次産業では、自給率の増大、安全安心の構築、更に国際的な協力と競争力の強化が課題となっている。第一次産業のひとつである水産業は、良質なタンパク源である魚介類を供給する重要産業であり、今後も、その維持発展が必要と考えられる。 一方、産学官連携は、2003 年度の国立大学法人化をきっかけに活性化されてきたが、工学系分野と機械製造業分野が主であり、第一次産業における産学官連携 の実態は余り知られていない。しかし産学官連携は、地域振興や社会貢献に寄与すると考えられており、東日本大震災で被災した多くの水産都市の復興にも一役 を担うことが期待される。 我々は、2011 年1 月に全国の漁連、漁協、加工協等に対して、産学官連携の実態を把握するためにアンケート調査を実施した。本稿では、本調査結果を取纏め、水産分野における産学官連携の現状を整理し、今後の産学官連携について考察した結果を報告する。 調査結果によれば、産学官連携という言葉の認知度自体が低く、約半数にしか知られていないことがわかった。そして、産学官連携に対しては、その結果として何らかの収益源に結びつくことが重視され、望まれていることがわかった。以上より、今後水産分野における産学官連携の活発化には、まず産学官連携そのものを周知する必要があり、産業側にとって魅力のある、実益に結びつく産学官連携活動を進める必要があることが示唆された。The primary industries constitute the foundation of national food security. To increase the selfsufficiency ratio, to build safety and security, and to strengthen international collaboration as well as competition in the primary industries present the challenges to tackle. One of the primary industries, the marine products industry, supplies the fishery products as the good source of protein and therefore, is so important that it is considered necessary to be continuously maintained and developed toward the future. On the other hand, while the industry-academia-government cooperation has been being revitalized in the wake of the national universities turning into independent administrative entities, the cooperation being mainly with the field of engineering and machinery manufacturing, the reality of the industry-academia-government cooperation in the primary industries is not well known. However, inasmuch as the industry-academia-government cooperation is considered instrumental to regional development and social contribution, it is expected to take the significant role in reconstructing the fishery cities affected by the Great East Japan Earthquake. In January of 2011, we carried out questionnaire surveys to fishery cooperative associations nationwide in order to grasp the reality of the industry-academia-government cooperation. Attempted in this paper is to report the results of our speculations on the future cooperation among industry, academia, and government while summarizing the survey results and presenting clear pictures on the current state of the cooperation in marine products industry.From the results of our survey, we found that the awareness of the term industry-academia-government cooperation itself was rather lacking and was only known by about one-half of the respondents more or less. In addition, found was that people desire and consider it important that the industry-academia-government cooperation should eventually lead to a certain revenue stream.Thus, it has been suggested that the first requirement for future revitalization of the industry-academia-government cooperation is to make people aware of the cooperation itself and that the activities for the cooperation must be implemented attractively to the industry leading to its practical benefits.東京海洋大学産学・地域連携推進機構
著者
有間 英志 三輪 忍 中田 尚 中村 宏
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-214, no.7, pp.1-6, 2015-01-22

近年,不揮発性メモリや 3 次元積層技術等デバイス技術の進歩によって,これまで以上に大容量のメモリをオンチップに実装することが可能となりつつある.また,この様な大容量メモリをラスト・レベル・キャッシュ (LLC) として用いる利用法が提案され,大幅な性能向上が可能であることが示されてきた.しかし,これまでの大容量 LLC に関する先行研究では,TLB ミスペナルティの影響については,十分な考慮がなされてこなかった.LLC の大容量化に伴い,LLC 上に格納されたデータの内,当該ページアドレスが TLB 上に存在しないものの割合は増大する.その様なデータがアクセスされると TLB ミスが発生し,キャッシュもしくはメインメモリ上に存在する当該ページテーブルエントリへのアクセスが発生する.この TLB ミスペナルティの影響を削減することは,今後 LLC の大容量化がさらに進むにつれて極めて重要となる.そこで本研究では,大容量 LLC 上において,ページテーブルエントリを保持するラインの存在割合を最適化し,ページテーブルへのアクセスの殆どを LLC 上でヒットさせることによって,TLB ミスペナルティの削減を目指す.本稿では,これを行うためのキャッシュリプレイスメントアルゴリズムを検討し評価を行った.
著者
中村 宏樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.829-834, 1996-11-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
26
被引用文献数
2

非断熱遷移は物理・化学・生物の様々な分野で顔を出す状態変化あるいは相変化の重要な基本メカニズムの一つである. その理論的研究は1932年のLandau, Zener, Stueckclbergによる先駆的仕事以来長い歴史を持つが, 多くの未解決な問題が残されたままであった. 最近我々は, 60有余年にして初めてこれら未解決な問題を解決するとともに, 実用上便利でコンパクトな諸公式を導出することに成功した. 例えば, 有名なLandau-Zener公式と同程度に簡単でありながら, それより遥かに精度の良い公式が求められた. しかも, 新しい定性的現象も見出されており, 将来この新理論は各種非断熱遷移現象の解明に大いに役立てられるものと期待される.
著者
小嶺 俊 松崎 昭夫 城戸 正喜 中村 宏 花田 弘文
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.830-833, 1997-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
10

Two patients with compression neuropathy of the superficial radial nerve are presented.Case 1: A 71 year-old female visited our clinic in November, 1995 with a one month history of pain in the dorsum of both hands.Clinical examination revealed paresthsia on the radial half of the dorsum of her hand and tenderness on dorsal area of the distal forearm, where the superficial radial nerve pierced the deep fascia of the forearm. The patient was operated on after failure of conservative treatment for Cheiralgia Paresthetica.At exploration a membranous tissue traversing over the nerve was seen and incised, and a shallow indentation was seen on the nerve under the membrane.After the operation her pain disappeared and has not recurred.Case 2: A 38 year-old male presented in 1991 with dysesthesia on the dorsum of his right hand and a tumor on the dorsum of his right forearm.He also reported pain on the dorsal side of his right hand. Three years later he recognized a small tumor on the dorsal side of his right distal forearm and dysesthesia on the dorsum of his right hand. Examination revealed sensory loss limited to the area supplied by the superficial radial radial nerve and a tumor on the dorsal side of his right forearm.Partial resection of the tumor and neurolysis was carried out, under the diagnosis of a compression neuropathy of the superficial radial nerve due to a forearm tumor.The pathological diagnosis was a nalignant fibrous histiocytoma.The patient's pain disappeared after the operation but recurred one month later. The patient died four months later due to lung metastasis.
著者
市川 遼 坂本 龍一 中村 宏 並木 美太郎
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2020-OS-148, no.3, pp.1-7, 2020-02-20

メモリアクセスのパターンを解析することは,アプリケーションのパフォーマンス改善において非常に重要である.しかしメモリアクセスは頻繁に発行され,そのログが膨大になってしまうため,実行時間に影響を与えずにトレースを得ることは困難である.そこで本発表では,ハイパーバイザと Intel Optane DC Persistent Memory を用いたメモリトレースシステムを提案する.BitVisor を拡張した LVisor によって,Optane DCPM の持つ高速な大容量ストレージを解析用途に利用する方法を検討した.
著者
横山 遼 坂本 龍一 中村 宏
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2020-OS-148, no.9, pp.1-9, 2020-02-20

複数の物理マシンにまたがって動作するマイクロサービスによるアプリケーションで,通信オーバーヘッドが問題となっている.物理マシン間通信削減のためマイクロサービスを少数マシンに集約配置すると,リソース使用量に偏りが生じ一部のマシンがボトルネックとなりスループットが低下しうる.本研究ではリソース使用量の複数マシンへの配分と物理マシン間通信の削減をアプリケーションに合わせたバランスで行う,マイクロサービスの物理マシンへの最適配置アルゴリズムを提案する.その後,既存のマイクロサービスアプリケーションにも容易に導入可能な最適化システムおよび評価環境を実装した.ベンチマークを用いた性能評価では,マイクロサービス動作環境のデファクトスタンダードである Kubernetes スケジューラと比較してより均一なリソース使用量配分および通信時間削減を果たし,スループット・レイテンシ共に改善を果たした.
著者
天野 英晴 並木 美太郎 中村 宏 宇佐美 公良 近藤 正章 鯉渕 道紘 黒田 忠広
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

誘導結合チップ間無線インタフェース(Through Chip Interface:TCI)を用いて小規模なチップを多数結合し、多様な大規模システムを構築する「ビルディングブロック型計算システム」のチップブリッジを用いたシステム統合方式について研究する。既に開発された複数のLSIチップを、チップ自体をブリッジとすることにより組み合わせ、様々な機能、性能、エネルギー要求を満足するシステム構成の構築法を確立することを目的とする。具体的には、安価なボンディングを用いて多数のチップを組み合わせる積層手法、ソフトウェアからアナログ技術までを駆使して性能、電力をチューニングする手法、チップ内のスイッチとアクセラレータを統合する機構について研究する。2018年度は、TCIを用いたIP(Intellectual Property)の動作検証と、実チップテストを行うためのTCITesterチップを開発した。このチップは、ルネサスエレクトロニクス社65nmプロセスを利用して、3mm X 3mmのサイズで実装した。TCIを装備する様々なチップの上に装着し、その電気的特性を計測し、連続運転試験を行うことができる。他のチップ上に積層するのに先立ち、開発したTCI Tester同士を積層し、TCI IPの転送可能周波数、電源ドロップを計測し、TCI IPを組み込む場合の指針を得た。また、TCI IPを装備したKVSチップ、SNACCチップ、CCSOTBチップそれぞれの単体性能を実チップで計測した。また、積層を行った場合の発熱の時間経過を計測するTHERMO2の積層を行った。様々なチップ積層の可能性を探るため、熱解析ツールの改良を行った。
著者
中村 宏
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.89, no.970, pp.1230-1235, 1969-07-01 (Released:2008-11-20)
参考文献数
18

雨の激しい暗夜,実験用送電線に定格電圧の数割高い電圧を印加すると,電線は夕だちのような激しい放電音を発生しながら淡い真珠色の長大なネオンのように輝く。第5.1図は4導体の2回線送電線のコロナ放電の情況を撮影した写真である。もっとも,この写真はカメラのシャッタを約2分間開放して撮影したものだから,何万回とくり返えされた放電の光の集積を示しているものであり,肉眼ではこれほど詳明には見えない。暗闇になれた目でじっとひとみをこらしていると,あたかも電線の周囲にたくさんのほたるが群れているかのようにちかちかと光って見えるのである。望遠レンズを使ってこの放電の様子を詳しく観察すると,電線表面の放電には第5.2図に示すように,(i) 電線からほとばしり出るように,先端が枝分れしながら激しく光る強い放電(ii) 淡い光を発しながら比較的安定して持続する弱い放電の2種類があることがわかる。さらに,ストロボスコープによってこの放電を正負に分離して観測すると,(i) は正半波において発生する正コロナであり,(ii)は負半波において発生する負コロナであることが確認される。次に,シンクロスコープによってこれらの放電の波形を観測すると第5.3図を得る。負コロナパルスは波頭長0.01μsに達するきわめて急しゅんなパルスであり,正コロナは波頭しゅん度は負コロナより低いが,振幅は数倍に達するきわめて強い放電であることがわかる。(1)送電線のコロナ雑音は,このようなコロナパルスが送電線上の何百万箇所かで,1秒間に何万回かくり返えして発生することによって生ずる高周波雑音である。コロナパルスの波頭しゅん度から考えると,そめ雑音の周波数スペクトルは数十メガヘルツ以上の高い周波数にまで広がっていることが予想されるが,実際上は受信機の内部雑音以下の強さの雑音は問題にならない。このため,電線から発生するコロナ雑音が電波障害上の問題となるのは,主として中波のラジオ受信機(受信周波数540kHz~1.6MHz)に対してであり,テレビジョン放送(使用周波数90~222MHz,590~770MHz)およびFM放送(使用周波数76~90MHz)に対してはほとんど問題にならない。また,ラジオ放送でも都市近郊のように放送局からの電波が強い所では,じゅうぶん信号対雑音比が確保されるから受信障害とはならない。受信障害は放送局から非常に遠く離れている地方や山にさえぎられて放送電波がよく届かない弱電界地域において,放送波に対して雑音の割合が大きくなった場合にのみ発生するのである。
著者
本間 さと 中村 宏治 本間 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.118, pp.49-52, 1993
被引用文献数
1

体温は容易に家庭で計測できる生体情報であるが、発熱の有無以外の健康管理にほとんど利用されていない。体温は測定する部位で異なるだけでなく、時間的変動もあり、明瞭なサーカディアンリズムを示す。深部体温リズムは生物時計の指標となり、交替勤務後のリズム調節などの他に、季節性うつ病や睡眠相後退症候群などの睡眠障害の診断および治療効果判定に有用である。また、患部と健常部の深部体温の比較で末梢循環障害の診断、薬物治療の効果判定が容易になる。そこで、サーミスタにより直腸温と膀胱温を、深部体温計により前額温と足底温を、放射温度計により鼓膜温を連続測定し、生理的な体温の時間空間的な変動を調べ、体温の在宅計測による体内異常の発見や、健康の評価への応用を考えた。
著者
廣野 哲 中村 宏 朴 泰祐 中澤 喜三郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.1850-1858, 1996-10-15
参考文献数
9
被引用文献数
1

大規模科学技術計算においては データ参照に時間的局所性が少ないためにキヤッシュが有効に働かない. このような計算においても高い実効性能を達成する擬似ベクトルプロセッサPVP-SWを我々は提案している. また データがランダムに参照され データ参照に空間的局所性も少ないリストベクトル処理においてもPVP-SWは有効であることが過去に報告されている. しかし 過去の報告では リストベクトルの内容に重複がないことが保証された場合のリストベクトル処理についてのみ論じている. 本論文では このような保証がなく 従来のべクトル型スーパーコンピュータではベクトル化できない一般のリストベクトル処理においてもPVP-SWが効率良く処理を行えることを示す. 計算機シミュレーションによる性能評価結果より PVP-SWが高い実効性能を達成することが確認できた.In large scientific/engineering applications, data caches do not work effectively because of little temporal locality. We have proposed "Pseudo Vector Processor based on Slide-Windowed Registers (PVP-SW)" for these applications. This processor realizes high performance even in list vector processing which has little spatial locality due to random data accesses. However, previous reports assumed that none of the list vector data is the same. In this paper, we focus on more general list vector computation without this assumption. Such list vector computation can not be vectorized in ordinary vector supercomputers. We show that PVP-SW is also effective even in such list Vector processing. Performance evaluation reveals that PVP-SW achieves high performance even in general list vector processing.
著者
林 遼 高田 遼 坂本 龍一 近藤 正章 中村 宏 児玉 康弘 新 善文
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2017-SLDM-179, no.27, pp.1-6, 2017-03-02

ネットワークルータにおいて,ルーティングやフィルタリングの処理を行うために,IP アドレスから該当する情報を検索する必要がある.その実装に現在広く用いられている TCAM ( 3 値連想メモリ) は高コストかつ高消費電力であり,今後ネットワークに接続されるデバイス数の増加が見込まれるなか,その消費電力削減は重要な課題である.ハッシュテーブルの利用などの代替手法もあるが,ハッシュ競合など解決すべき問題がある.本稿では,ニューラルネットワークを用いた IP ルックアップ方式を検討し,その性能と電力を評価する.
著者
礒崎 総一郎 中村 宏 鈴木 智郎 植村 俊郎 若菜 弘之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.277-282, 1993

A new type of traffic terminal has been constructed at Yokohama bay recently. It is composed of 2-storied house on a floating pontoon and moored by pile-fender system. There are ticket counter and waiting lounge on the first floor and restaurant on the second floor. Since the floating type was applied to the passengers terminal station for the first time in Japan, We examined the relation between comfortability and motion of the terminal. Several interesting results, such as people who are easy to get seasick have tendency to estimate the motion of the structure excessively, are obtained.
著者
中村 宏樹
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.841-843, 2008-03-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。講義
著者
中村 宏 位守 弘充 中澤 喜三郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.669-680, 1993-04-15
被引用文献数
2

レジスタウィンドウ方式を用いてベクトル計算を高速に処理する新しい擬似ベクトルプロセッサを提案する。提案するプロセッサは、スーパスカラ方式を前提としているが基本的にスカラアーキテクチャであり、ベクトル命令やベクトルレジスタを有するものではない。スカラプロセッサではキャッシュミス時の主記億アクセスペナルティによる実効性能の低下が問題となる。ここで提案するプロセッサでは、データキャッシュの代りにレジスタウィンドウ方式により拡張した浮動小数点レジスタを採用し、さらに主記憶アクセスをパイプライン化することでこれを解決する。1つのベクトル命令の処理内容は複数のスカラ命令を垂直マイクロプログラム的に便用することにより擬似的に処理される。これらの特徴により、提案するプロセッサは既存のスカラアーキテクチャとの上位互換性を保つことが可能である。本論文では、提案するプロセッサのアーキテクチャとその処理原理を説明し、ベンチマークを用いた性能評価結果を示す、評価した結果、提案するプロセッサは主記億アクセスペナルティが20CPU Cycleの時に、拡張を行わないスカラプロセッサに対して約10借の性能、キャッシュヘのプリフェッチを行うプロセッサに対しても約1.4倍の性能を達成することがわかった。また、30CPU Cycle程度までの主記億アクセスペナルティをほぽ完全に隠せることがわかった、また、レジスタウィンドウの構成方法の相違による性能への影響についても検討した。これらの評価結果より、提案するプロセッサは主記億アクセスペナルティによって実効性能が低下することなく、高速にベクトル計算を処理できると結論できた。