- 著者
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澤田 昂大
五十嵐 祐
- 出版者
- 一般社団法人 社会情報学会
- 雑誌
- 社会情報学 (ISSN:21872775)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.3, pp.177-189, 2020-07-01 (Released:2020-08-27)
- 参考文献数
- 32
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)において,私たちは様々な情報を発信し,周囲の人々とのコミュニケーションを行っている。その一方で,SNSで個人情報を含むセンシティブな内容を発信することは,プライバシーの懸念を高めうる。この問題に対処するため,多くのSNSでは利用者が情報の公開範囲に一定の制限を設けることのできるプライバシー設定機能が実装されている。本研究は,大学生のTwitterユーザーを対象として,ツイートの非公開設定機能の利用動機尺度を作成し,学年,性別および非公開設定機能の利用動機がプロフィール欄における個人情報の記載行動に与える影響について検討を行った。探索的因子分析の結果,「公開範囲のコントロール」,「不利益の回避」,「社会的影響」の3因子が抽出された。また,これらの下位尺度得点を含めた重回帰分析の結果,「公開範囲のコントロール」はプロフィール欄における名前の匿名化を促し,「社会的影響」は個人の特定を容易にしうる情報の記載を促進していることが示された。さらに,学年が上がるにつれてさまざまな情報の記載が抑制されていることや,女性がより積極的に情報の記載を行っていることも示された。