著者
今井 久代
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.37-64, 2019-09-30

"The Tale of Genji" has "Itooshi" with 386 examples including derivatives. However, this word is difficult to grasp because of the differences between (1) two conflicting senses and (2) the synonym "Kokorogurushi." In this paper, it was noted that "Itooshi", like "Kokorogurushi", is "the emotion of A who is in contact with B who is in a difficult state". "Itooshi" is an emotion with "guilt" that makes A realize that he is not the same as B. I argued that the sympathy with "guilt" is the difference between "Itooshi" and "Kokorogurushi".『源氏物語』には「いとほし」が、派生語も含めて386例存在する。しかしこの語は、 ①対立的な二つの語義、②類義語「心苦し」との違いにより、語義がつかみにくい。 本稿では、「 いとほし」が、「心苦し」と同様に、「 つらい状態にあるBに接している Aの心情」であることに注目した。「 いとほし」は、AにBと一心同体ではないことを 意識させる、「罪悪感」を伴う感情である。「負い目」を伴う共感であることが、「 いとほし」と「心苦し」の違いであると論じた。
著者
永田 俊彦 石田 浩 若野 洋一 上田 雅俊 今井 久夫 山岡 昭
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.465-471, 1992-06-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2

本邦における5%硝酸カリウム配合歯磨剤の象牙質知覚過敏に対する臨床効果を調べるために, 74名の被験者を対象に37名を試験群, 37名を対照群として, 擦過刺激試験, 冷気刺激試験, 自覚評価の3種類の診査項目について二重盲検法を行なった。試験群すなわち硝酸カリウム配合歯磨剤使用群では, すべての診査項目において反応や症状の改善または消失が著明に認められた。その診査数値の減少率は使用後4週, 8週, 12週において, すべて対照群よりも有意に高かった。試験群で症状が改善した被験者数は, 2週目で44%, 4週目以降では80%を越え, 症状が消失した被験者は, 8週目で42%, 12週目で56%に達した。また, とくに問題となるような副作用は認められなかった。これらの結果から, 5%硝酸カリウム配合歯磨剤が, 象牙質知覚過敏の症状緩和に適した歯磨剤であることが明らかとなった。
著者
石塚 庸三 今井 久雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-7, 1992-01-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16

X線写真用定着廃液中の銀は, ビス (チオスルファト) 銀 (I) 酸イオンの形で溶解している。本報では, これらの廃液から銀を回収するために, 過酸化水素法, 電解法, 銅板浸漬法により, 所定条件下における析出物を得て, それらの組成形態について比較検討した。析出物は, 過酸化水素法, 電解法では硫化銀, 銅板浸漬法では銀単体と微量の酸化銅 (I) として同定された。過酸化水素法では, 廃液中に存在するS2O32-および [Ag (S2O3) 2] 3-量に与える過酸化水素の添加量の影響を, それぞれの析出物の組成形態 (Ag/S: モル比) をもとに検討した。理論量の過酸化水素を添加して生成する析出物には, 廃液中の銀がほぼ完全に含まれ, 回収されることが見い出された。硫化銀を直接水素処理 (300~700℃, 3h) しても銀単体は得られない。硫化銀を, 硝酸溶液 (1: 1) ついで塩化ナトリウム溶液で処理をして得られた塩化銀からは, その融点 (455℃) 付近で水素処理 (400℃, 3h) すると, ほぼ純粋な銀の単体が回収された。
著者
生田 宏一 谷一 靖江 原 崇裕 今井 久美子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

IL-7は胸腺や骨髄のストローマ細胞や上皮細胞が産生するサイトカインであり、リンパ球の増殖・生存・分化・成熟に不可欠である。しかしながら、リンパ組織におけるIL-7産生細胞の分布と機能については不明の点が多い。我々は、この問題を明らかにするために、まずIL-7-GFPノックインマウスを作製した。IL-7-GFPマウスでは骨髄ストローマ細胞、胸腺上皮細胞、腸管上皮細胞とともに、リンパ節やパイエル板のT細胞領域ストローマ細胞やリンパ管内皮細胞でGFPが発現していた。さらに、DSSにて大腸炎を誘導すると大腸上皮細胞におけるGFPの発現が上昇した。したがって、IL-7-GFPマウスは生理的ならび病的状態におけるIL-7産生細胞を明らかにするために有用であることがわかった。次に、我々はIL-7-floxedマウスを作製した。このマウスをFoxN1-Creトランスジェニック(Tg)マウスと交配し、胸腺上皮細胞でのみIL-7を欠損したコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを得た。FoxN1-Cre IL-7flox/floxマウスでは胸腺の全細胞数とγδT細胞数が1/15に減少した。一方、腸管上皮細胞でのみIL-7を欠損したVillin-Cre(Vil-Cre) IL-7flox/floxマウスでは、小腸のαβIELにほとんど変化がなく、またγδIELも30%程度減少しているもののかなりの数が残っていた。これらの結果から、胸腺上皮細胞が産生するIL-7が胸腺細胞の増幅と生存に大きなはたらきをしていることが明らかとなった。さらに、小腸のγδ型上皮内リンパ球が著しく減少したことから、この細胞集団が胸腺に由来することが示唆された。次に、Albumin-Cre(Alb-Cre) Tgマウスと交配し、肝細胞でのみIL-7を欠損したcKOマウスを得た。このマウスでは成体肝臓のNKT細胞とT細胞が減少し、胎児肝臓におけるB細胞の分化が低下していた。この結果から、肝細胞が産生するIL-7が肝臓におけるNKT細胞の維持やB細胞の分化に一定のはたらきをしていることが明らかとなった。
著者
中島 早苗 分部 利紘 今井 久登
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.105-109, 2012

本研究では匂いの同定しやすさ(同定率),快・不快(感情価),日頃嗅ぐ頻度(接触頻度)が匂いからの無意図的想起の生起要因となるかを検討した.74名の参加者にさまざまな匂いを提示して,<i>SD</i>評定を求めた.その後,評定中に自伝的記憶を意図せずに想起したかを尋ねた.その結果,接触頻度の高い匂いほど無意図的想起が生じやすかった.しかし同定率や感情価は無意図的想起の有無と関連がなかった.この結果は,匂いからの無意図的想起では言語表象を介した活性化が生じないこと,無意図的想起は手がかりの種類によって想起過程が異なることを示唆する.
著者
神田 浩 上田 雅俊 今井 久夫
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.443-455, 1997-12-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
23

加圧回転式ブラッシングの代表的方法あるローリング法における歯ブラシ線維の損耗が, ブラッシング時の歯みがき圧およびプラークの除去効果にどのような影響を及ぼすかをin vivoおよびin vitroの両面から検討した。すなわち, in vivo実験では, ローリング法を被験者に行わせ, 歯ブラシ線維の損耗と歯みがき圧との関連性について経週的に観察を行った。その結果, 頻回使用により, 歯ブラシが損耗する (歯ブラシ線維先端の位置の変化, 形態学的変化ならびに歯ブラシ線維の硬度試験) と歯みがき圧が増加することが確認できた。また, in vitro実験では, 独自に考案したin vivoにおけるローリング法と同じ動作が可能なブラッシングマシンを使用し, 歯ブラシの損耗が実験的プラーク除去効果にどのような影響を及ぼすかについて客観的に評価した。その結果, 歯ブラシが損耗する (歯ブラシ線維の硬化の低下) と, 実験的プラークの除去効果 (実験的プラークのscratching areaの面積%, 実験的プラークをほどこしたmetallic plateの重量差) が低下する傾向が確認できた。これらの結果から, 歯ブラシの形態変化のみならず, プラーク除去効果の面からも, ローリング法用歯ブラシの使用限界は, 使用圧の大小にかかわらず, 3から4週程度と考えられ, 主観的判断によりとらえられていたことが, より客観的に評価できたといえる。
著者
桒原 淳 今井 久子 出繩 二郎 櫻井 日出伸
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.21-00003, (Released:2021-09-20)
参考文献数
16

臨港道路「霞 4 号幹線」の整備では,高松海岸や干潟の多様な機能の保全を目指し,各種の環境保全対策を実施した.これらのうち,整備に伴い撤去した範囲の海浜植生を復元する,全国的にも少ない技術事例を報告する.復元する植生の配置は,整備撤去範囲外に残る海浜植生との連続性や地形条件を考慮して決定した.また,復元に使用する海浜植物は,復元群落の面積と植栽密度から必要数量を算出し,整備撤去範囲外の海浜植生から調達した.また,復元工事の施工時には,施工業者に対し,復元作業手引書に基づいた現地指導を行った.
著者
梅田 純子 三本 嵩哲 今井 久志 近藤 勝義
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.81-87, 2017

訂正<BR><BR><p>本誌,第63巻第12号(2016)1002-1008頁に掲載された論文は,著者修正前の原稿で誤って掲載されました.著者より修正の申し出がありました.修正後の論文をここに改めて全文掲載します.</p>
著者
今井 久美子
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2006-03-23

新制・課程博士
著者
塩崎 功 村上 晃生 谷口 博幸 川上 康博 今井 久 稲葉 秀雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.579, pp.163-176, 1997-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

川浦ダム・川浦鞍部ダム周辺地山の透水性を評価するために, 初期湛水時にダム周辺地下水の水質・同位体調査を行った. イオン濃度の調査結果から, 川浦ダム監査廊内ボーリング孔, 川浦鞍部ダム左岸ボーリング孔の一部で調整池水の到達が確認された. イオン濃度の時間変化から求められた監査廊内への調整池水の流下時間は7~20ケ月と長く, ダム基礎岩盤の透水性は基礎処理によって十分改良されていることが示された.トリチウム, 酸素-18, 重水素の同位体データを用いた多変量解析結果より, イオン濃度からは判定できない仮排水路トンネル湧水への調整池水の到達が示された. 本調査の結果, 調整池水の到達を知るための指標として, 現場測定可能な電気伝導度および硝酸イオンが有効であった.
著者
横田 哲士 中村 浩 多田 弘幸 菖蒲 敬久 片山 聖二 川人 洋介 近藤 勝義 吉田 悟 今井 久志 川上 博士 富沢 雅美 中島 裕也
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.158-159, 2015

溶接における重大欠陥のひとつである割れの発生機構の解明は重要な課題である.大型放射光施設Spring8を用いてX線位相差法による透過観察およびレーザ溶接時における割れの発生過程の撮影を行い,割れの発生速度や割れ発生時に周辺で起こる溶融池の変化について報告する.
著者
今井 久登
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

これまでの展望記憶研究では,事象ベースの展望記憶において手がかりが呈示されることを自明の前提としてきた。このため,日常場面では,あてにしていた想起手がかりがないことをしばしば経験するにも関わらず,その際の不随意的な想起については研究されてこなかった。そこで本研究では,事象ベースの展望記憶において,予想していた外的想起手がかりが呈示されなかった場合の不随意的想起の性質を解明することを目指した。そのためにまず,記憶日誌法を用いて日常場面における「し忘れ」経験を集め,その特徴を分析した。その結果,このような想起の頻度は全体の約10%であり,注意拡散やリラックス状態で生じやすいということが明らかになった。これらの特徴は自伝的記憶の不随意的想起と同様であることから,手がかりなしでの不随意的想起のメカニズムは,展望記憶と自伝的記憶とで共通であろうと推測された。次に,事象ベースの展望記憶課題において想起手がかりを呈示しないという,これまで行われてこなかった新たな条件を設定した実験研究を行ったところ,展望記憶課題の遂行特徴が,時間ベースの展望記憶における時計チェック曲線と類似したJ字型になることが分かった。この結果は,事象ベースの展望記憶と時間ベースの展望記憶は別個のシステムではなく,手がかりなしで展望記憶課題を自発的に想起するというプロセスを共有していることを示している。また,展望記憶課題の遂行成績とワーキング・メモリ容量の個人差の間に相関がなかったことから,展望記憶の想起には必ずしもワーキング・メモリを必要としないということも明らかになった。これらの成果を踏まえ,処理コンポーネントの枠組を援用して時間ベースの展望記憶と事象ベースの展望記憶との関係について整理するとともに,既存のモデルを拡張して,手がかりなしでの展望記憶の不随意的想起をも含んだ動的で一般性の高い展望記憶モデルを提示した。
著者
今井 久美子 大橋 洋平 柘植 知彦 吉積 毅 松井 南 岡 穆宏 青山 卓史
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.S050, 2006 (Released:2006-12-27)

Endoreduplicationは有糸分裂をせずにDNAの複製を繰り返して細胞のploidy(倍数性)が上昇する細胞周期で、特に植物では様々な組織の発生・分化に関わっており、例えばシロイヌナズナでは成熟ロゼット葉を構成する細胞のほぼ8割で起きている。植物体ではこの現象によって上昇するploidyは組織に応じてほぼ一定の範囲内に制御されているが、動物では癌化に関連して無秩序に起こる場合が多く、主に細胞周期の異常としてそれが起こる原因についての研究が進められてきた。植物においても、通常の細胞周期からendoreduplicationへの切り替わりに関する因子を中心として解明が進んでいるが、一方でその終了に関わる因子については存在の有無についても良く分かっていなかった。我々は植物サイクリンA2がendoreduplicationの終了に関わる主要因子であり、DNA複製の繰り返しを阻害していることを確認した。植物細胞はそのタイプに応じてendoreduplicationの促進・抑制因子のバランスを調整して巧妙にploidyを制御していると考えられる。
著者
今井 久登 石井 幸子
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.139-160, 2007-09

In this article, we report on an experimental investigation of the spontaneous, uncued recall of prospective memories (memories for activities to be performed at a later time). Einstein & McDaniel (1990) developed an experimental paradigm for investigating prospective memory, in which participants were required to perform both an ongoing task (e.g., remembering words presented on the PC screen) and a prospective memory task (e.g., pressing a designated key whenever they saw a particular word, such as rake). They also claimed that there are two types of prospective memory: one is event-based prospective memory recall, which is triggered by another event ("I will give a message to John when I meet him"), and the other is time-based prospective memory recall, which is to be done after a particular period of time has elapsed (I will call Mary in 30 minutes") or at a certain time ("I will watch TV at 7:00 PM"). We examine the nature of the Einstein and McDaniel's paradigm and show that several important aspects of prospective memory have been left unstudied; specifically, spontaneous, uncued recall. We consider that it is caused by the cue-oriented nature of the paradigm. Furthermore, considering the prospective memory function in our everyday life, we cast doubt of the validity of the dissociation between time-based and event-based prospective memory. To investigate these two issues, we conducted a task-content oriented experiment which was a refined version of Einstein and McDaniel's paradigm. Thirteen undergraduates (9 male and 4 female) were presented 4 photographs on the PC screen simultaneously, and were required to judge which one of these four belonged to a different category (ongoing task). They were also required to stop the ongoing task when a photograph of envelopes was presented during the ongoing task and to call the experimenter in order to answer a questionnaire in an envelope before the experiment finished. Six participants were randomly assigned to an uncued condition, in which the photograph of envelopes was not actually presented (a photograph of a compass was presented instead) and 7 participants to a cued condition. The result showed that, although the expected recall cue was not presented, all the participants in uncued condition spontaneously remembered the prospective memory task. Furthermore, it was revealed that spontaneous recall did not occur randomly; instead, it frequently occurred near the end of the ongoing task, which is similar to the U-shaped clock-checking curve in the time-based prospective memory research (Ceci et al., 1988). These results suggest that participants in the uncued condition performed their event-based prospective memory task as a time-based one, and support our claim that prospective memory has both a time-based and event-based nature.
著者
吉川 一志 谷本 啓彰 岡崎 定司 柿本 和俊 淺井 崇嗣 橋本 典也 木下 智 池尾 隆 今井 久夫 小正 裕
出版者
THE ACADEMY OF CLINICAL DENTISTRY
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.426-431, 2005

スポーツを行う際, 選手同士が激突したり, 器具や用具による負傷が起こることがある.それらの不測の事故による歯, 顎骨など口腔内の外傷を防ぐためにマウスガードの装着が提唱されているが, 野球など選手間の連携のために発声するスポーツにおいては.マウスガードの装着により発声が困難になることに対する危険も危惧される.<BR>今回われわれは, (財) 日本高等学校野球連盟の協力を得て, 第21回AAA世界野球選手権大会に参加した日本選抜チームの選手に対してマウスガードを作製し, その装着感, 機能性, 不具合についてアンケート調査により検討したので報告する.第21回AAA世界野球選手権大会に臨む高校球児18名に対して, 印象採得後, ジャスタッチ (ハイブラークラレメディカル社製) を用いて, マウスガードを作製し, マウスガードを装着した状態で, 練習, 試合を行い, 使用後, 装着感, 発声, 機能性, 不具合について支障がないかアンケート調査を行った.以前マウスガードをつけたことがあるかとの質問に対して, 78%の選手が使用したことがないと回答した.マウスガード使用時の問題点については会話しにくいとの回答が21%を占め, つばがよく出るが8%, 違和感があるが4%となった.しかし野球をプレイ中に口腔内の外傷から歯を守るためにマウスガードは必要かという質問に対しては, 78%の選手が必要であると回答し, また今後も積極的にマウスガードを使用したいと思いますかとの質問に対しては, 67%の選手が使用したいと回答した.今回のアンケートの結果から, 選手もマウスガードに対して高い関心を持っており, 外傷を防ぐなどの目的で積極的にマウスガードを使用する必要があると感じていることが明らかになった.