著者
戸川 直希 佐藤 翔輔 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_493-I_498, 2018 (Released:2018-11-10)
参考文献数
10

防災訓練に参加することによる効果・効用については,様々な側面から評価されている.2016年は8月には台風第10号,11月には福島県沖で発生した地震に伴う津波等の災害があった.本研究では,これらのイベントにおいて,それ以前に参加した防災訓練時の経験が活かされたかや,訓練通りの行動ができたかといった,実災害時の対応行動への効果を評価した.その結果が次の3点である.1)訓練時の想定と実災害が一致する場合には一致しなかった場合に比べて,訓練時の経験がより活かされていた傾向がある.2)訓練時の想定と実災害が異なっていても訓練時と同様の行動がとれる可能性がある.3)津波災害時は高齢なほど,台風災害時では若いほど訓練時の経験が活かされて,訓練通りの行動ができていた.
著者
中村 和芳 須加原 一昭 一安 秀範 江崎 紀浩 堀尾 雄甲 浦本 秀志 松岡 多香子 今村 文哉 小松 太陽 天神 佑紀 松本 充博 杉本 峯晴 興梠 博次
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.223-229, 2015-03-25 (Released:2016-10-29)

背景.メンソールタバコが原因と示唆された急性好酸球性肺炎(acute eosinophilic pneumonia : AEP)の2例を経験した.症例1. 16歳.男性.非メンソールタバコを2年間喫煙していたが1カ月間の禁煙後, 1カ月前からメンソールタバコの喫煙を再開した.突然の発熱と呼吸困難のため受診し,胸部X線写真およびCTにて右肺優位にすりガラス陰影,小葉間隔壁の肥厚,両側胸水貯留を認めた.症例2. 18歳男性.メンソールタバコの喫煙を開始し, 3週間後,乾性咳嗽,発熱のため受診した.胸部X線写真およびCTにて両肺にすりガラス陰影,小葉間隔壁の肥厚,両側胸水貯留を認めたため入院となった. 2症例とも気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid : BALF)中に著明な好酸球増多を認めたためAEPと診断し,ステロイド投与により解熱し,呼吸困難,すりガラス陰影は速やかに消失した.結語.メンソールタバコによると推測されるAEPの2例を経験した. AEPの原因としてメンソールタバコが考えられ,重要な症例と考えられたため文献的考察を含めて報告する.
著者
今村 文 稲毛 博美 Fumi Imamura Hiromi Inage
出版者
日本女子体育大学
雑誌
日本女子体育大学紀要 (ISSN:02850095)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.73-78, 2002-03

【1. Purpose】In recent years, modern dancing has tended to interact with other art fields. The interaction with music has been particularly close and fruitful. For dance education, it is important to develop the basic ways in which children can be made sensitive to music. This study focuses on childhood, and researches the relation between dancing and music in an actual class taught by a dancer. 【2. Method】Target: The children's dance class 1) Completion of the questionnaire by the teacher 2) Measurement of music use time in class 3) Analysis of the video of the class 【3. Results and Analysis】The rate of music use time in class showed high numerical value and CD and cassette use is evident. In addition, frequent use of voice (the teacher also sang) was also considered to be music. In this study, no significant difference was seen between individual teachers' teaching methods. However, individual preferences were noticed in music selection. Each teacher use a wide range of music and strives to develop a feeling of rhythm by being put in the rhythm of the music and giving an enjoyable class. Students' movements were strongly influenced not only the rhythm of the recorded music but also the teacher's counting. 【4.Postscript】Songs sung by the teacher can communicate her breathing pattern. The merger point of music and dance can be found here. And, all dancing is influenced by this point, not only children's. The dance teacher must use both live vocal and recorded music with a sense of purpose.
著者
SUPPASRI Anawat 山下 啓 LATCHAROTE Panon ROEBER Volker 林 晃大 大平 浩之 福井 謙太朗 久松 明史 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_1597-I_1602, 2017
被引用文献数
2

2016年11月22日にMw 6.9の福島県沖地震による津波が発生した.震源は福島県沖であったが,最大津波高は宮城県において観測された.宮城県では地震発生から約2時間後に仙台新港において水位1.4 mの第2波目の津波の観測により,津波注意報から津波警報に切り替えられた.本稿はその特徴を理解するために,津波数値解析と現地調査を行った.数値解析では震源から仙台湾に到達する津波伝播の様子を再現し,断層の走向と仙台湾の地形の影響によって生じた津波の屈折および反射等により仙台新港における津波が高くなることを説明できた.また断層走向が90度の場合でも,仙台新港における津波波形を比較的良好に再現できた.他方,現地調査では,宮城県東松島市宮戸地区で最大T.P.+4.0 mまで遡上したことが分かった.また,ドローン画像より,仙台市蒲生地区の津波浸水域を推定できた.
著者
長野 真紀 今村 文彦 Maki NAGANO Fumihiko IMAMURA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2018
巻号頁・発行日
2018-11-27

1950年代に南米ドミニカ共和国に移住した日本人移民を対象に、生活学と文化人類学の視点から、居住環境の持続性と民族固有の文化的アイデンティティの保持・継承について明らかにすることを目的とする。 ドミニカ共和国へ入植後、現在まで全移民の約1/5にあたる家族が残留して生活を営んでいる。彼らの定住化を支えた要因の一つには、ドミニカ社会との相互交渉の中で日本人としての生活、行動、文化を強く規定してきた民族的な生活思考がある。それは、日系人社会においてどのような機能を果たし、表現され、受け継がれてきたのか、移民集落の中で育まれてきた生活文化継承の実態把握と約60年にわたる生活の記憶、移民母村となる日本での暮らしの記憶を辿りながら、日本人の生活文化と、その背後にある暮らし方の原理を探る。 移住の経緯、入植地の環境、生活習慣、住まいの形態、移民母村について調査・分析し、一時的な居住目的とは異なる、現地に定住することを決意した海外移民の暮らし方を読み解き、民族的文化と移住先の文化を互いに補完し合う地域や暮らしの特性を捉え直した。 なお、本研究では在ドミニカ共和国日本国大使館を通じて、各コロニア(集落)に居住する日本人と連絡調整を行い、研究を展開することができた。
著者
佐藤 翔輔 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_1309-I_1314, 2020

<p> 極近地津波であった2019年6月18日山形県沖の地震にともなう津波からの避難行動について,山形県鶴岡市温海地区と新潟県村上市山北地区を対象にした質問紙調査とその分析を行い,当日の津波避難行動の傾向や課題を明らかにした.温海地区では約9割とほとんどの住民が津波避難行動を実施した.一方で,想定される津波到達時間よりも前に避難を完了できたのは,避難を実施した人のうち,温海地区で約3割,山北地区で約2割にとどまった.両地区で多くの住民が避難していたのは,津波情報(津波注意報)よりも,ゆれそのものから津波発生を想起したことと,50年以上前に地域で発生した津波よりも,近年発生した東日本大震災を契機にした意識の向上や備えの実施が関係していたことが明らかになった.</p>
著者
長野 真紀 今村 文彦 黄 國賓 Maki NAGANO Fumihiko IMAMURA Kuo-pin HUANG
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2016
巻号頁・発行日
2016-11-25

本研究では、福佬(Ho-lo)人の移住文化を対象に、その歴史と暮らしの変遷、居住環境について分析・考察した。研究対象地は周囲を海に囲まれた環境下にあり、独自の伝統文化や習俗、空間構造を継承している。このような地理的・文化的環境の中で、東アジアの結節点となる台湾領域中国福建省金門島及び八重山諸島石垣島を主対象に捉え、研究を展開した。 金門島では、血縁による結びつきが重視され、同一氏族により形成された宗族的つながりを強く持つ単姓村と、多数の氏により形成される複姓村に分類される。対象集落は、海岸線に沿った緩やかな台地に立地し、1315 年頃に福建省厦門からの移住者が開墾した農漁村集落である。住居は四合院で構成され、一定の領域内で中規模な空間を形成しているが、宗族ごとに住居の向きが異なり、それぞれに方向軸を持っているため各時代の空間形成の発展性を読み取ることができる。 また、集落は明確な境界域を定めず、人口増加に対応しながら空間を拡張している。これは、島に福佬人しか居住していないこと、地形条件に対する制限が少ないことが要因として考えられる。台湾本島や石垣島では、住居の周囲は自然地形や植栽などにより空間を補っている場合が多い。
著者
早川 哲史 今村 文彦
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.51-66, 2002-05-31
参考文献数
19
被引用文献数
3
著者
鈴木 介 今村 文彦
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.521-538, 2005-02-28
参考文献数
12
被引用文献数
1

The purpose of the present study is to develop and improve the simulation model of tsunami attack evacuation by including the experience, recognition, and knowledge of the people in each area affected by tsunamis. Firstly, we carried out two field surveys to clarify various factors that influence selection of evacuation routes for making a synthetic judgment model. We determined regional knowledge, altitude, road information, road signs, following process, and functions on the route to be major factors in the route selection. A comparison with results of a field survey in the case of a tsunami evacuation drill at the coastal village in Sendai city shows that with the improved model, we obtained more than 80% agreement on selection of evacuation routes and time to the safety area. Secondly, we designed a questionnaire to be distributed at the time of the drill, which provided us with information to determine route selection process, parameters and initial conditions of the evacuations. Furthermore, the improved model, including means of evacuation, such as by foot or in vehicles, is developed and applied to this area. In the case assuming that all residents evacuate at the almost same time in the night, it is suggested that most traffic congestion occurs on the major roads, which long time it takes people to complete the evacuation.
著者
佐藤 翔輔 今村 文彦
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.383-396, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
11

本稿では,2018年西日本豪雨災害を対象に,発災当時に発信されていた「# 救助」ツイートに対する内容分析を,先行研究として実施した2017年7月九州北部豪雨の事例と比較しながら行った。その結果はつぎのようにまとめられる。1)「#救助」ツイートで,場所や人数等の具体的な状況を記述している「救助要請」のニーズを発信していたツイートは,分析対象の2,171件のうち,16.5 %とごくわずかであり,「救助要請」を実際に求めているツイートが埋没し,ハッシュタグ「#救助」による検索か゛困難て゛あった状況か゛定量的に確認された。2)「#救助」は付与されているものの,「救助要請」て゛はない, 「#救助」の存在や注意点を紹介するニュース記事とそのリンクや,一般ユーザーからの善意の投稿は依然として多く存在していた。「#救助」ツイート のうち,真に「救助要請」を行っていた発信の比率は,西日本豪雨災害では九州北部豪雨災害に比べて倍程度となり,やや検索・抽出しやすい状況になったものの,被災地外の不急の発信は依然として多いことが明らかになった。
著者
今村 文彦 杉浦 康平 齊木 崇人 松本 美保子 山之内 誠 黄 國賓 さくま はな 尹 聖喆 曽和 英子 Fumihiko IMAMURA Kohei SUGIURA Takahito SAIKI Mihoko MATSUMOTO Makoto YAMANOUCHI Kuo-pin HUANG Hana SAKUMA Seongcheol YUN Eiko SOWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

本報告は、アジアンデザイン研究所の活動としてアジアの山車文化についてデザイン的視点から調査、研究を進めるものである。研究所では開設以来、アジア各地域でみられる祭礼の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社会や環境との関係性などについて、継続的に取り組んできた。2013年度は第2 回国際シンポジウムを開催した。アジア各地に分布する舟形の山車とそこにみられる蛇や鳥のモチーフやデザインの象徴性、神話性をめぐって、ミャンマー、タイ、日本からの報告を中心に活発で意欲的な議論を重ね、アジアの山車の構成原理についての興味深い知見を得ることができた。さらに山車イメージと密接に関連する山や木の造形を巧みに表現しているインドネシアの影絵ワヤン・クリに用いられるグヌンガンについて、現地で調査を実施し、その造形的特徴、使用法や構成原理等が明らかになった。また日本で活躍するバリ島の人形遣い(ダラン)を招き、バリ島のワヤン・クリについての研究会および上演会を開催した。これらの一連の活動により、アジアの山車と山、木などとの関連性について把握し、アジアのデザイン語法を解明する手がかりを得ることができた。
著者
今村 文彦 杉浦 康平 齊木 崇人 大田 尚作 松本 美保子 山之内 誠 黄 國賓 佐久間 華 曽和 英子 Fumihiko IMAMURA Kohei SUGIURA Takahito SAIKI Syosaku OTA Mihoko MATSUMOTO Makoto YAMANOUCHI Kuo-pin HUANG Hana SAKUMA Eiko SOWA
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

本報告は、アジアンデザイン研究所の活動としてアジアの山車文化についてデザイン的視点から調査、研究を進めるものである。研究所では開設以来、アジア各地域でみられる祭礼の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社会や環境との関係性などについて、継続的に取り組んできた。本年度は、開催を予定していた国際シンポジウムを都合でとりやめ、そのための準備などを中心に活動を行なった。アジアの舟形の山車についてその造形的な特徴として鳥や龍(蛇)などが多用されるが、そのための研究会を開催した。またタイ南部のチャプクラ祭の現地調査を実施し、ナーガ(蛇)のモチーフで飾られた舟形山車、ミャンマーのインレー湖でのパウンドーウー祭にでる伝説の鳥「カラウェイ」を模した鳥形の黄金船など現地での取材も実施した。また、国内の太鼓台調査(岡山県倉敷市乙島の千歳楽)、中国浙江省前童鎮の鼓亭調査も継続して行ない、さらに理解を深めた。これらの一連の活動により、アジアのデザインについていくつかの重要な知見を得ることができた。これらの成果をもとにさらに継続的な調査を続け、社会構造、空間構造とも関連づけて、総体的に祭礼の仕組みと山車の造形を把握していく予定である。This report deals with the main research theme of Research Institute of Asian Design (RIAD), focusing the cultures of mountain floats in Asia from design-centered approach. We want to make clear design technique (language) of mountain floats from their wide variety of forms, symbolic meanings, cosmology and their relationship of society and natural environments.We made some preparations for 2nd international symposium, because the symposium was postponed next year. We could find frequently characteristic motifs of sacred bird and dragon (or snake) in mountain floats of Asia. So, overseas researches are made at southern region of Thailand and central district of Myanmar in order to certificate the symbolic meanings and structures of float.We had also investigations of new year festival in Qiantong, Ninbo city, China and Senzairaku in Okayama Prefecture, which is another type of mountain floats in Japan.