著者
阿部 隆 立木 孝 村上 裕 遠藤 芳彦 伊藤 俊也
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.110-117, 1990

Kemp & Bray製作のILO88を用いて内耳性難聴者90名154耳のclickに対するeOAEを測定し, 内耳性難聴の程度との関連を検討した。 (1), eOAE波形が認められかつ再現性が40%以上の場合をeOAE (+) とすると, 0.5k-4kHzの4周波数平均聴力が35dB未満の81耳では, 94%の確実性でeOAE記録が可能, 35dB以上の73耳及び40dB以上の63耳では, 89%及び92%の確実性でeOAE記録が不能であった。 1kHzと2kHzの2周波数平均聴力が40dB以上の64耳では, 94%の確実性でeOAE記録が不能であった。 (2), eOAE記録可能の84耳では, 内耳性難聴の程度とeOAEパワー (total echo power及びFFT解析図のhighest peak power) の間に負の相関 (r=-0.44) が認められた。 以上の結果から, ILO88を用いて, 4周波数平均聴力レベル35-40dB以上の内耳性難聴のスクリーニングが可能と思われた。
著者
國武 久登 津田 浩利 高木 良心 大野 礼成 黒木 義一 吉岡 克則 鹿毛 哲郎 伊藤 俊明 小松 春喜
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.105-110, 2006-06-15
被引用文献数
4

北部ハイプッシュブルーベリーの暖地栽培技術の開発を目的として,シャシャンボの台木としての可能性を検討した.3年生実生のシャシャンボに'バークレー','ブルークロップ'および'アーリーブルー'を接ぎ木したところ,活着率は85.7〜100%であった.また,接ぎ木活着の品種間差異を調査するために,ブルーベリー41品種(ハイブッシュブルーベリーおよびラビットアイブルーベリー)をシャシャンボに接ぎ木したところ,すべての品種で接ぎ木が可能であった.接ぎ木部分の不親和症状は接ぎ木4年後でも観察されなかった.シャシャンボ台に接ぎ木した'アーリーブルー'の新梢の第一次伸長量や果実垂は白根殊に比べ有意に高かった.しかしながら,新梢の第一次伸長は,ラビットアイブルーベリー台('ホームベル','ティフブルー')と比較してシャシャンボ台が劣っていた.果実の糖および有機酸分析を行った結果,含量および組成比に台木による大きな差異は認められなかった.以上の結果から,シャシャンボほブルーベリーと接ぎ木親和性があると推測され,南九州などの暖地において北部ハイプッシュブルーベリー栽培の台木として期待できると推測された.
著者
伊藤 俊夫
出版者
北海道帝國大學法經會
雑誌
法經會論叢
巻号頁・発行日
vol.7, pp.123-158, 1939-03
著者
石倉 直弥 伊藤 俊明 齋藤 邦夫
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2014年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.249-252, 2014 (Released:2015-01-30)

受注生産を行っている中小製造業では、原価の見積りと実績の差が大きいことが問題となっている。受注ごとに毎回製造するものが異なるため、図面を基に使用設備を想定し原価を見積もる。この際、中小企業では見積り基準やルールがない場合が多く、原価の算出は担当者の属人的なノウハウに依存している。このため見積り結果は見積り担当者によって偏りが存在すると考えた。ある中小企業の協力を得て見積りと実績の誤差率を計算したところ,平均誤差率29.7%,標準偏差109.1,最大誤差率1820%,最小誤差率-36.6%であり,差異のばらつきが大きいことが確認された。今後、見積りと実績の差異を詳細に分析し見積り精度改善につなげていく予定である。
著者
安藤 喜代美 宮嶋 秀光 伊藤 俊一
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、現代家族が直面しつつある墳墓の継承問題と、そうした継承を支えてきた寺院・檀家を中心にしたコミュニティの変質と家族のメンタリティを探求するものである。質的調査であるインタビュー調査と量的調査であるアンケート調査を用いた結果、寺院・檀家との関係は、その結びつきが墓制の変化とともに家族から個人へと変化する傾向があり、墓制の変容は日本型近代家族そのものの変化と関係性があり、この変化が墳墓の継承問題に顕在化していると推測される。
著者
伊藤 俊洋 宇田 郁子 伊藤 佑子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

近年、日本では、若者の科学嫌いが進行しており、この傾向は大学生にも及んでいる。われわれは、大学一年生の化学教育コースに、興味深く楽しい内容が盛り込まれた教材を提供することを目指し、演示実験を取り入れることを試みた。本研究では、講義担当者が基礎的な自然科学の講義をするときに、学生に興味をもたせ、科学の本質に迫ろうとする意欲を引き出す道具として有効な演示実験キットを作成した。25の実験項目のほとんどは、ノーベル賞と直接または間接的に関係をもっているが、ノーベル賞創設以前の業績の中で、すべての自然現象の根幹と関わる業績の一部も対象とした。演示実験に必要な器具と試薬をコンテナにまとめて実験キットを作成し、テキストとDVDを付けることにより、初めての人にも取り入れ易い教材とした。テキストの各実験項目は、ノーベル賞との関連、実験の概要、材料と方法(器具・試薬、準備、演示)、注意事項、チェックリスト(観察ポイント、原理または解説、日常生活との関係、歴史、参考文献)にわけて記述した。以下に実験項目を示す。1.セルロースとニトロセルロースの燃焼の比較2.都市ガスシャボン玉の燃焼3.都市ガスの爆発4.トリチェリの真空:大気圧の測定5.水の沸騰6.卵の吸引7.ペットボトルの圧縮8.復氷の現象9.表面張力の観察10.s-p軌道による水分子の三次元模型11.金箔からの吸収光の漏光12.中間子による陽子と中性子の相互変換13.加速器の原理14.フラーレン15.ナイロンと電気伝導性ポリマーの違い16.無機陽イオンの系統分析17.鉄粉の発火18.化学平衡の移動19.有機染料による染色20.カラムクロマトグラフィーによる色素の分離21.脂質二重膜モデルの検証22膜を通過するリポタンパク質:保護コロイドの観察23.DNA二重らせんモデルの作成24.チマーゼによる発酵の観察25.酵素の結晶化
著者
横山 ゆりか 伊藤 俊介 長澤 夏子 横山 勝樹 中村 佳甫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

場所愛着に関する研究はいくつかあるが、いずれも戸建を中心とした住宅や古い既成住宅地域を対象とした研究である。本研究では、戦後郊外に面開発されてきた比較的新しい計画住宅団地とその周辺地域に対する愛着の醸成について考察する。同一県内に異なる時期に開発され、計画の異なる2つの住宅地を対象とし、居住者の大人と子どもにプレイス・アタッチメントを問う計量的・質的調査を行った。その結果、住民の入居時期と年齢層によって異なる愛着の状態が形成されている実相を示し、それを反映した研究手法が地域のプレイス・アタッチメント研究に今後求められることを明らかにした。
著者
伊藤 俊之 芦崎 能広 木村 淳一 森垣 努
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.96, pp.85-90, 2006-09-15

ブロードバンドの普及により、ビデオ通話を用いて遠隔相談や遠隔手続きを実施する環境が整いつつある。我々は従来対面で実施していたこれ等の業務を遠隔で実現する、アイコンタクトを用いた高精彩映像による遠隔相談システムや、TV会議システムを用いた遠隔手続きシステムを開発した。遠隔相談システムでは、相談業務を円滑に実現するアイコンタクトを用いた高臨場感なビデオ通話機能等を、遠隔手続きシステムでは手続き業務を円滑に実現する高品質なビデオ通話機能などを実現した。開発したシステムをデモシステムや実システムとして運用し、遠隔相談業務や遠隔手続き業務が実際に運用可能なことを確認した。With the expansion of broadband networks, remote consultation and contract systems, using high quality video communication, have become increasingly possible. We develop "Faca-to-Face" Video Call Center System for remote consultation and contract system. It realizes high realistic video communication for consultation and contract. We also evaluate that these systems could be applied as remote consultation and contract services.
著者
相馬 秀廣 高田 将志 舘野 和己 小方 登 伊藤 俊雄 白石 典之
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、QuickBird, Coronaなどの高解像度衛星画像をベースとして,地理学・歴史学・考古学・第四紀学などが連携した文理融合的研究を通して,点から線さらに面への空間的視点,および,過去から現在あるいは現在から過去への時間的視点の両側面から,囲郭・集落(居住拠点跡),耕地・耕地跡(生産活動),水利用(灌漑水路跡),それらの空間的関係(施設配置,シルクロード,交通路),さらに放棄後の景観変化などを例として,中央アジアから中国,モンゴルにかけての乾燥・半乾燥地域を主な対象として,遺跡立地と景観復元に関わる方法論,衛星考古地理学的研究法を確立することを目的とした.2012年度は、2011年度に引き続き,モンゴル南部オムノゴビ県のサイリン・バルガスン遺跡および周辺地域において,モンゴル科学アカデミー考古研究所の協力を得て,研究分担者の白石を中心として、囲郭の詳細,灌漑水路跡の有無確認などの現地調査を8月に実施した.また、6月には、研究分担者の小方が「1960年代に撮影された偵察衛星写真の遺跡探査・歴史的景観復原における有用性」のタイトルで、京都大学で開催された日本文化財科学会第29回大会で、成果の一部を発表した。しかしながら、研究代表者相馬の予期せぬ急逝により当該研究の遂行が不可能となったため、残念ながら本研究課題は、8月11日をもって終了することとなった。
著者
伊藤 俊一 阿部 純一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.241-247, 1988-10-31 (Released:2010-07-16)
参考文献数
11

This experiment was conducted to investigate the function of connectives in text comprehension. Twenty six subjects were instructed to read six texts, each containing several target sentences. Eighteen target sentences were provided, and each of the subjects was presented half of the target sentences in their original form, i.e., with a connective (Connective condition, C), and the other half, without a connective (No-connective condition, NC). After reading, subjects were asked to recall all the target sentences. In recall, all the sentences preceding the target sentence were presented as a cue. Recall rate was higher for the C condition than for the NC condition. The result indicated that connectives facilitate text comprehension. This effect was seen most clearly in three connective categories called jyunsetsu (e. g., causality), gyakusetsu (i.e., adversative), hosoku (i.e., supplement) in Japanese.
著者
伊藤 俊彦
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.209-219, 1996 (Released:2006-11-25)
参考文献数
22
被引用文献数
8 27

氷点下の気温になる冬季間,北海道足寄町螺湾のシオワッカ冷泉からの弱い流れの中で,ikaiteが生じている。積雪の少ない年には,氷に閉じこめられた産状でikaiteからなる輪縁石ダムが見られた。海洋,湖沼以外である流水域におけるikaiteの生成はこれまでは知られていない。先年の夏に同地域から,calciteといっしょにmonohydrocalciteの生成が知られたところから,冬のikaiteの生成が予想された。シオワッカ冷泉石灰華からはikaiteからの転移鉱物のvateriteを加えると,aragoniteを除き,自然界での炭酸カルシウム塩鉱物のほとんど全てが得られた。本地における夏から冬の間の炭酸カルシウム塩鉱物の生成の過程を,産状から考察した。これらの鉱物の生成における必要条件は,水質のほか,水温(ikaite,calcite),地表面の濡れ(monohydrocalcite:伊藤,1993),など,それぞれによって異なる。また,シオワッカ冷泉の水質,ikaiteおよびvateriteのX線粉末回折線値,ikaiteから転移した後の方解石の化学組成を示した。     Ikaiteが冷たい海域,深海堆積物から次々と発見されたことから,1982年来,これまで源鉱物の明らかでなかったglendoniteや玄能石と呼ばれてきた方解石仮像の源鉱物がikaiteであるとする説が多く出されてきた。しかし,ikaiteの結晶形と一般的な大きさはこれまでに知られている方解石仮像と一致しない。ここでは,方解石仮像に特徴的な四角錐に対応する結晶形が,走査型電子顕微鏡で観察されたikaiteの結晶面の組み合わせによって導かれることを示した。Ashoro-cho 足寄町,Rawan 螺湾,Shiowakka シオワッカ,Konbumori 昆布森
著者
伊藤 俊一
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

・室町幕府は、設立当初より寺社本所領や遠隔地武家領の保護という土地所有秩序の維持・再建を目指していたが、内乱の継続により、前線の守護に権限を与えざるを得ず、政策が実施されないという問題を抱えていた。・守護の在京は南北朝内乱期当初より断続的に見られるが、貞治年間以降の在京は、在京が継続すると共に、在京奉行人の登場に象徴される守護の在京政務機構の整備を伴っており、それ以前とは質が違う。・在京奉行人は、人夫や兵根米の徴収、役夫工米や即位段銭の徴収、寺社本所領をめぐる紛争処理などの業務を担当した。・在京奉行人の登場により、寺社本所領主はこのルートを通じて、所領・所役の問題を直接に守護へ訴えることができるようになる。守護関係者と寺社本所関係者との間の日常的な接触も増える。・守護の在京政務機構の登場により、室町幕府の命令が守護によって遵行されないという問題に一定の解決がもたらされ、室町期荘園制の秩序が安定した。・守護在京制の確立により、京都は幕府を中心に、寺社・貴族などの諸権門、各地方への足がかりを持つ守護とその配下が集住し、利害を調整する場となった。そのような「在京人」社会を統御する存在として「室町殿」が立ち現れたと考えられる。・以上の成果は、室町期荘園制の成り立ちと室町幕府の性格を再考する重要な契機と成り得る。