著者
島 正吾 吉田 勉 立川 壮一 加藤 保夫 三木 知子 日高 恵一 谷脇 弘茂 伊藤 哲也
出版者
社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.500-509, 1984 (Released:2009-03-26)
参考文献数
28
被引用文献数
3 3

Platinum and its compounds have characteristics that make them excellent oxygen sensors, and in recent years they have come to be used in large amounts in the manufacture of internal combustion engines. Recently, there have been detected among workers engaged in making platinum oxygen sensors, dermatitis and bronchial asthma which appear to be ascribable to exposure to chloroplatinate. This is a study of their etiology from the viewpoint of industrial hygiene and clinical medicine. The results obtained are as follows:1. Platinum-induced allergic disorders developed in a worker who applies about 50% chloroplatinate to zirconia porcelain. Although the concentration of platinum in the air was 2 μg/m3 or less as determined by ACGIH, the worker was directly exposed to the dried powder of ammonium chloroplatinate with relatively high concentration; while the exposure was intermittent and topical, it resulted in aspiration of the powder.2. Bronchial asthma observed in 2 of 16 workers (12.5%) was reactive in a skin drop test with 1% chloroplatinate, and typical bronchial asthma was induced in an environmental provocation test carried out in a room where platinum sensors are made. Parameters obtained from periphero-hematological and immuno-serological tests were within the normal range.3. The main symptoms revealed by physical examination of workers exposed to chloroplatinate contact dermatitis in 11 (78.6%), pharyngeal irritation in 6 (42.9%), nasal obstruction in 2 (14.3%), frequent sneezing, coughing, and sputum in one each. Diameter of the redness developed in a skin drop test with 1% chloroplatinate administered to 14 workers was 10 mm or more in 7 cases (50%).VC, %VC, FEV 1.0, FEV 1.0%, PF/Ht, V25/Ht and MMF were within the normal range in a pulmonary function test.Although periphero-hematological test results and leukograms were within the nomal range, an immuno-globulin test revealed abnormally high IgE level in one patient.There was also observed an increased IgE level in one anamnesis of bronchial asthma. Immunoglobulin levels other than IgE were approximately within normal range.
著者
馬場 弘二 伊藤 哲男 佐野 信夫 谷口 裕史 杉山 律 福留 和人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.285-295, 2006 (Released:2006-04-21)
参考文献数
17

トンネル覆工コンクリートの耐久性向上を図る上で,ひび割れの発生を低減することが重要である.本研究では,覆工コンクリートの乾燥収縮に起因するひび割れの抑制手法を検討することを目的に,ひび割れ発生に影響を及ぼすと考えられる要因のうち,養生条件,使用材料および拘束条件を取り上げ,覆工コンクリートを模擬したモデル試験体を用いたひび割れ発生程度の比較試験による評価を行った.その結果,養生条件では,散水養生が,使用材料では,膨張材がひび割れ抑制に有効であること,また,防水シート敷設による拘束低減効果が大きいことも明らかとなった.さらに,覆工コンクリート背面および脚部の拘束条件の違いによる影響について,実トンネルを模擬した2次元FEMによる応力解析を行い検証した.
著者
飯塚 宏之 江連 裕一郎 伊藤 哲也 長谷川 淳 板谷 聡子 長谷川 晃朗 デイビス ピーター
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.86, pp.49-52, 2005-05-19
参考文献数
9
被引用文献数
1

屋内テストベットにおいて, 無線マルチホップネットワークを構成し, TCP上で動作するFTPと, UDP上で動作するTFTPの2つのファイル転送プロトコルを使用し, 性能比較実験を行った.その結果, FTPを使用した場合, 端末間で激しい無線帯域争奪が行われ, 不安定な経路を持つ端末が安定な経路を持つ端末のファイル転送の終了を待たなければならないという不公平性が発生し, 端末間にスループットの格差が見られた.一方で, TFTPによるファイル転送はFTPより転送速度は遅いが, 無線マルチホップ環境ではFTPに比べて安定したデータ転送レートを維持することができ, 公平であることがわかった.
著者
飯塚 宏之 江連 裕一郎 松本 晃 伊藤 哲也 長谷川 淳 板谷 聡子 長谷川 晃朗 デイビス ピーター
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.405, pp.83-86, 2005-11-10
参考文献数
5
被引用文献数
8

無線通信端末だけで無線マルチホップネットワークを構成した場合と, 無線通信端末をアクセスポイントに収容しアクセスポイント間通信に無線マルチホップネットワークを利用し階層化した場合について, FTPとTFTPのスループットとその時間変動に注目し, 屋内テストベッドにて実験を行った.その結果, 無線通信端末だけで構成する場合には各クライアントでのスループットにばらつきがあること, アクセスポイントで階層化するとそのばらつきが抑制されること, および, アクセスポイント間の経路が不安定になることが確認された.これらの現象とその解析結果, および, 無線マルチホップネットワーク上のアプリケーションに与える影響について報告する.
著者
伊藤 哲哉 中島 葉子
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.57-61, 2020

 薬剤性L‐カルニチン欠乏症は医原性に生じる二次性L‐カルニチン欠乏症の一種である. 原因となる薬剤としては, 抗てんかん薬, 抗菌薬, 抗がん剤, 局所麻酔剤, イオンチャンネル阻害剤, AIDS治療剤, 安息香酸ナトリウムなどの報告があるが, 長期投与を必要とする抗てんかん薬や, カルニチン欠乏のリスクが高い乳幼児期に投与される薬剤には特に注意が必要である. バルプロ酸ナトリウムの副作用として肝障害や高アンモニア血症が知られているが, これらはカルニチン欠乏やカルニチン代謝の異常が大きく関与すると考えられており, L‐カルニチン投与を行うこともある. また, ピボキシル基含有抗菌薬では腸管からの吸収後に生じるピバリン酸がL‐カルニチンと結合して尿中へ排泄されるためL‐カルニチン欠乏を生じる. 副作用として, L‐カルニチン欠乏からくる低血糖, 意識障害, 痙攣などの重篤な症状が報告されているが, これらの副作用は長期投与ばかりでなく短期間の服用でも認める例があるため, 抗菌薬投与の必要性やその選択について十分吟味したうえで適正に使用することが重要である.
著者
伊藤 哲
出版者
The Japanese Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史学会年報 (ISSN:04534786)
巻号頁・発行日
vol.32, no.32, pp.48-59, 1994 (Released:2010-08-05)

This article intends to reconsider the relationship between stoic philosophy and the theory of self-command in The Theory of Moral Sentiments.Hitherto, in Western studies, it has been thought that Smith had treated stoic philosophy consistently from the first edition to the sixth edition. However, in my view, concerning the theory of self-command, Smith seemed to criticize stoic philosophy in the sixth edition.In the first edition (1759), Smith comprehended that the virtue of perfect self-command was regarded as stoical heroism or, as it were, stoic virtue. In addition, he realized that the impartial spectator had to maintain a stoic magnanimity. Moreover, in the second edition (1761), according to the supplement of Epictetus' quotation in Part III, Smith emphasized stoic virtue as a means towards of the perfection of human nature. Therefore, with regard to the perfection of human nature, Smith recognized self-command as an integral part of the theory of virtue. However, in the sixth edition (1790), Smith evidently criticized the stoical apathy, which is not true self-command but lack of sensibility. Smith noticed that it was so dangerous to restrain the natural course of passions, and that the habitual most perfect self-command, though it was acquired via many hardships, might tend to fall into insensibility. Hence, Smith pointed out the proper relationship between self-command and sensibility in practical morality.
著者
伊藤 哲司
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-11, 1991-07-20 (Released:2010-02-26)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

本研究の目的は, 2者の相互作用場面でのノンバーバル行動の分析から, ノンバーバル行動の基本的な表出次元を検討することである。被験者の組合せの条件は (男性同士, 女性同士) × (初対面, 友人) の4つで, 各条件5組ずつを用いた。各被験者ペアには, 「アルバイト」について15分間会話をするよう教示し, その場面をビデオカメラによって録画をした。教示前の場面および15分の会話場面から2分ずつをサンプリングし, 8項目のノンバーバル行動 (視線・笑い・前傾姿勢・後傾姿勢・横向き・発話・沈黙・うなずき) と8項目のユニット的ノンバーバル行動 (相槌・笑い反応・話-反応・沈黙共調動作・模倣共調動作・追従共調動作・同時共調動作・反響姿勢) の頻度・総時間・平均時間 (反響姿勢を除いたユニット的ノンバーバル行動とうなずきは頻度のみ) を測定した。全行動変数の因子分析から, コンタクト・リラックス・接近・回避の4因子が抽出された。また, これらの因子に負荷の高い行動間の継起パターンを記述した継起分析から, 個人内で非コンタクト因子 (コンタクト因子の負の負荷の高い行動群) からコンタクト因子, コンタクト因子からリラックス因子, 回避因子から接近因子へ, それぞれ行動が連鎖しやすいことが見い出された。これらの結果を考察して, “コンタクト-非コンタクト”“リラックス-緊張”“接近-回避”の3次元をノンバーバル行動の基本的な表出次元と仮定した。これらの次元は, 心理的指標 (感情評定・相手の人物評定など) との相関から, それぞれ特徴づけられた。また, ノンバーバル行動の重要な機能を反映していると考えられる関与度は, 重回帰分析によって3次元の得点から73.4%が説明された。これらのことから, 仮定した3次元はノンバーバル行動の表出を説明するものとしての妥当性が支持された。ユニット的ノンバーバル行動を除いて分析した結果は, 全行動変数からの結果とほとんど違いはなかった。継起分析の結果から, 個人間では同一行動が繰り返される傾向が示され, 多くのノンバーバル行動がしばしばユニット的ノンバーバル行動を形成していることが示唆された。これが, ユニット的ノンバーバル行動から独自の意味を見い出すことができなかった原因であると推測された。
著者
溝口 拓朗 伊藤 哲 光田 靖 山岸 極 平田 令子
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.63-70, 2018-12-25 (Released:2019-02-02)
参考文献数
21

人工林主伐後の土砂移動と植生発達の相互作用について,土砂移動を植生回復の抑制要因とみる考え方と,回復した植生を土砂移動の抑制要因とみる考え方の両面からとらえ,これら二つの仮説を検証することにより,スギ人工林皆伐後約1年間の土砂流出と植生回復の関係を明らかにした。100年生スギ人工林伐採後約1年間の土砂移動量,降雨量,植被率を調査した。各計測期間の平均植被率と降雨で基準化した土砂移動量(土砂移動レート)の間には,全測定期間を通して明瞭な関係は見られず,決定木分析でも土砂移動量の大小を明瞭に区分できるような植被率の閾値は検出できなかった。これに対して,各計測期間で標準化した植被率増加速度は,生育期間中は土砂移動量の絶対量が小さいときに大きい値を示す傾向が認められた。決定木分析でも,土砂移動量が22.25(g/m/day)を下回ると,標準化後の植被率増加速度が大きくなることが示された。以上のことから,皆伐直後の植被率が小さく土砂移動量が大きい段階では,土砂移動が植生発達との相互作用を支配する要因になっており,植生によって土砂移動が抑制される効果よりも,土砂移動が植生発達を抑制する効果の方が大きいことが明らかとなった。また,土砂移動および植生発達の空間的な不均一性は林道開設による不安定土砂の生成や林地の枝条残材の影響を受けることが明らかとなった。
著者
伊藤 哲雄 松田 武久
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.132-136, 1989-02-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
2

本研究は熱変性や化学変性を受けやすい細胞・組織あるいは生理活性物質と共存下で、生理機能や活性を損傷せずに包理あるいは接着できる医療用光硬化性樹脂を開発することを目的とした。分子設計したプレポリマーはポリオール両末端をキャップしたジアクリレートであり、ポリオールの分子量や組成、あるいは光重合開始剤や増感剤および重合性モノマーを選択することによって広範囲に物性を制御できた。ここで開発した光硬化性液状樹脂は、光照射によって水の存在下でも数分以内にゲル硬化物が得られ、硬化物は柔軟なエラストマーであり組織に対する密着も良好であった。これらの特徴を生かした医療分野への応用として外科用接着剤、創傷治癒母材およびドラッグデリバリー母材としての可能性を明らかにした。