著者
伊藤 哲朗 奥村 徹 沼田 宗純
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.319-326, 2018-07-01 (Released:2018-08-01)
参考文献数
1

2015 年に発生したパリ同時多発テロにおいては,劇場やカフェ,レストランでのテロリストの銃撃により,多くの死傷者を出す事態となったが,フランス政府及び医療機関の迅速的確な危機管理対応および医療体制により,死傷者とりわけ死者の発生を最小限に食い止めることができた.また,フランスで開催されたEURO2016 サッカー大会においても危惧されたテロの発生を封圧した.2020 東京オリンピックを控えテロの脅威が高まる我が国においても,事件発生時の危機管理体制及び医療体制を考えることは極めて重要であり,フランスの事例及び教訓に学ぶ.
著者
信田 卓男 福岡 里江子 圓尾 拓也 伊藤 哲郎 川村 裕子 武田 晴央 杉山 大樹 石川 剛司 山田 徹 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
一般社団法人日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.58-63, 2010 (Released:2010-12-15)
参考文献数
25

犬のリンパ腫107例に対して、L-アスパラギナーゼとプレドニゾロンにより初期導入を行い、その反応を分析した。評価可能であった104例のうち、寛解率は92.3%(完全寛解27.9%、部分寛解64.4%)であった。皮膚型リンパ腫より多中心型リンパ腫の方が、有意に寛解率が高かったものの(p=0.045)、ステージ、サブステージ、ステロイド投与歴による差は認められなかった。臨床的に有意なアナフィラキシー反応や膵炎は認められなかった。以上のことから、L-アスパラギナーゼとプレドニゾロンによるダウンステージを目的とした導入は、有効であると考えられた。
著者
山川 博美 伊藤 哲 中尾 登志雄
出版者
日本生態学会暫定事務局
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.219-228, 2013
参考文献数
39
被引用文献数
3

伐採後の森林再生に及ぼす散布種子(伐採後に新たに散布される種子)の効果を明らかにするため、照葉樹二次林に隣接する伐採地において、伐採直後から6年間の種子の散布範囲および種子数をシードトラップによって調査した。伐採地へ散布された種子数は、隣接する照葉樹二次林およびスギ人工林と比較して明らかに少なかった。種子散布様式で比較すると、風散布型種子は伐採地に限らず隣接する照葉樹二次林およびスギ人工林でも少なかった。伐採地において重力散布型種子は林縁でのみで散布され、林縁から10m以上離れた地点ではほとんど散布されていなかった。被食散布型の種子は伐採地での散布が確認されたが、照葉樹林の林冠を構成する高木性木本種は少なく、多くは低木性木本種で、その6割以上をヒサカキおよびイヌビワの2種で占めていた。しかしながら、伐採地において、被食散布型の種子は伐採からの時間経過に伴って、散布される種子数および種数が増加する傾向がみられた。さらに、種子の散布範囲も伐採から3年目程度までは林縁から15m付近までの木本種が多かったが、伐採5年目以降は林縁から35m地点まで種子が散布されるようになり、種子の散布範囲が広がっていた。以上の結果から、暖温帯における散布種子による更新は、風散布型木本種がほとんどなく、重力散布型および被食散布型の木本種が主となる。そのなかで、伐採後の森林の再生を短期的な視点で捉えると、重力散布種子の散布は林縁周辺に限定され、被食散布型種子も伐採直後に伐採地内に散布される種子数は少ないことから、散布種子による更新は非常に難しいと考えられる。しかしながら、長期的な視点で捉えると、伐採からの時間経過とともに伐採地への散布種子数および種数の増加していることから、被食散布型種子による更新が可能となるかもしれない。ただし、本研究は母樹源となる照葉樹林が隣接する伐採地であることを考慮すると、特に辺り一面に人工林が卓越するような森林景観では、過度な期待は避け方が無難であろう。また、伐採後の更新において萌芽などの前生樹のみの更新では更新する樹木が伐採前の前生樹の分布や萌芽力に依存し種組成が単純化する恐れがあるため、伐採後に散布される種子は、長い時間スケールのなかで多様性を高めるための材料として重要であると考えられる。
著者
植松 夏子 柴原 弘明 岡本 妙子 木下 早苗 眞野 香 青山 昌広 西村 大作 伊藤 哲 吉田 厚志
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.764-769, 2012

直腸癌術後仙骨転移による坐骨神経痛に対し緩和ケアチームが介入した。娘の結婚式を控え,早急な疼痛緩和と,レスキューの人工肛門からの投与経路変更が必要であった。投与していたフェンタニル貼付剤25.2mg/72hrを16.8mg/72hrへ減量し,モルヒネ注射薬3.6mg/hrを新たに併用した部分的オピオイドローテーションと,患者自己調節鎮痛ポンプによる経静脈的経路へのレスキュー投与経路の変更により,患者は疼痛なく,家族も安心して結婚式に参加することができた。今回行なった部分的オピオイドローテーションは,①比較的短時間に行なえる,②異なるオピオイドを新たに加えるため鎮痛が期待できる,③オピオイド変更による副作用が全量オピオイドローテーションより少ない,といった利点がある。癌患者の疼痛緩和での薬剤調整は,患者と家族の視点で立案することが肝要である。
著者
伊藤 哲史
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.02, pp.182-187, 2015-01-15
著者
呉 宣児 高木 光太郎 榊原 知美 余語 琢磨 伊藤 哲司 奥田 雄一郎 竹尾 和子 砂川 裕一 崔 順子 片 成男 姜 英敏 周 念麗 渡辺 忠温
出版者
共愛学園前橋国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本の大学と中国、韓国、ベトナムの大学がペアになり交流授業を行い、集団間の異文化理解が起こりやすい授業の方式や素材の検討を行った。授業の素材としては、映画、イラスト-によるストーリ、公的な場所での規範・ルールなどが有用であることを確認した。また異文化理解へのプロセスを検討する分析概念として 「歪んだ合わせ鏡」「対の構造」「対話の接続と遮断」「情動反応」などの用語が有効であることが示された。
著者
行武 潔 HAVNES R. 吉本 敦 寺岡 行雄 加藤 隆 尾崎 統 HAYNES Richard TORRES Juan 伊藤 哲 EVISON David 庄司 功 斯波 恒正 CERDA Arcadi PAREDES Gonz BROOKS David HAYNES Richa 古井戸 宏通
出版者
宮崎大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本年度は、これまでの研究成果を踏まえて37カ国からなる国際研究集会を開催した。1) まず、国産材は低廉・均質な外材に押されて市場競争力を失ってきていること、また、日本の造林費が他国の5〜10倍にも達していること、その結果、利用可能な林齢に達してきた人工林の伐採が遅れ手入れ不足となってきていること、国産材の生産増加が期待できず持続可能な経営が非常に困難となってきていることが指摘される。2) 近年の環太平洋地域の木材貿易をめぐる変化に、(1)世界的に環境保護の動きが強まる中で天然林材あるいは2次林材を主な原料基盤としてきた国々が、環境規制の強化による伐採量の大幅な減少や原料コストの上昇により丸太や製品輸出に占める比率を大きく後退させ始めたこと、(2)対照的に、チリやニュージーランド、南アフリカなど外来樹種の導入による短伐期の人工林資源の造成を進めてきた国々からの加工製品の輸出が、原料供給力の拡大と加工部門への積極的投資を背景として急速に増加し始めていることがあげられる。3) 国内8地域の製材市場と海外の輸出入モデルによる空間均衡モデルを構築してシミュレーション分析を行った。まず、輸送費用削減効果をみたが、国産材の供給増加はみられない。これは、国内各地域の国産材供給関数が全て価格に対して極めて非弾力的であるため、輸送コストを下げてもその効果が現れないことによる。次に、米材丸太輸入減少効果をみると、国産材製材の供給増加よりも製材輸入の増加をもたらす。これは環境保護等の影響で米材丸太輸入規制があっても、国産材供給の増加は期待できないことを物語っている。4) 森林セクターモデルの課題として、まず林業政策の性質を熟知して政策決定に関わる因子を結合し、モデルを修正・拡張することがモデル構築に必要不可欠であること、今後マルチ市場レベルでの空間均衡モデルの開発などが中心になってくることが示唆される。
著者
伊藤 哲 中村 太士
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.31-40, 1995-03-15
被引用文献数
17

森林動態における地表変動攪乱の位置づけを明確にし,森林動態研究の一つの方向性を示すことを目的として,地表変動攪乱の様式と更新過程の特徴を整理した。一般に地表変動と呼ばれる現象は,上部から下部への一連の物質流下現象であって,少なくとも洗掘(または削剥)と堆積という二つの要素からなるヘテロな空間を構成する。したがって,地表変動を林分レベルでの森林動態や植生パターン成立,種多様性などの説明原理として位置づける場合,内部にこのようなヘテロ性を包含する一連の流下現象を一つの単位として扱うには無理があり,洗掘(または削剥)・体積域の区分が地表変動の最も基本的な空間単位として重要であると考えられる。また,地表変動由来の攪乱は森林の階層構造の下層から上層へとその影響が広がるため,林冠の破壊を伴わない場合でも,林床の構造や更新基盤に大きな影響を与えうる。攪乱の性質と影響評価方法を1)物理破壊強度,2)生育・再生環境への影響度,および3)攪乱後の次期攪乱体制への影響度という視点から分類することで,他のタイプの攪乱との比較や森林動態における総合的位置づけが可能である。一つの森林内で,これらの影響度がそれぞれに異なる地表変動が発生することによって,攪乱を受けたパッチは異なる再生過程を経る。このことは,森林群集の種多様性や群集タイプの多様性をはじめとする構造的な不均質性を高める一つの原因となっていると考えられる。したがって,サイズ,強度や生育環境への影響度に関し幅広いレンジをもつ地表変動は,森林群集の多様性に大きく貢献していると考えられる。今後,地表変動攪乱を森林群集の長期的な動態や安定性の要因として位置づけるためには,個々の攪乱の影響評価とともに,攪乱によって形成される林縁の効果や地表変動の発生の時間的・空間的集中性の評価,解析が必要である。
著者
原 聖樹 岩重 力 伊藤 哲夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.65-68, 1974-08-01

Catopsilia scylla (Linnaeus)は,♂ の前翅が純白色,後翅は橙黄色,♀は前翅乳白色,後翅暗黄色で,表面前後翅の対照があざやかな美しいシロチョウである.分布は,南ビルマからマレイ半島・マレイ群島をへてフィリピン・オーストラリアにおよんでいる.Corbet&Pendlebury (1947)によれば,ボルネオ島から未知であったが,1968年8月に森下和彦氏がサバ州Inanam(海岸線平野部)で2♂♂を採集され,この島にも分布していることが明らかになった(森下,1970).1972年12月26日〜73年1月10日,筆者らは昆虫調査団を編成してボルネオ島北東部のサバ州(マレーシア領)でキナバルカンアオイ?の探索を行なったが,その際多数の本種を目撃し,同地ではけっして珍しいものではないことを確認できた.普通種ながら分布上の問題を含む種のように考えられるので,とりあえず問題提起の意味をかねてその概要を報告しておく.
著者
佐藤 敏彦 信田 卓男 圓尾 拓也 川村 裕子 山田 徹 伊藤 哲郎 武田 晴央 杉山 大樹 石川 剛司 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.20-24, 2012-12-19 (Released:2012-12-19)
参考文献数
17

人の肺癌では、腫瘍随伴症候群として好中球増加症や単球増加症を伴う白血球増加症が報告されている。しかしながら、犬では腫瘍随伴性白血球増加症の報告は少ない。今回、初診時の血液検査にて好中球を主体とした白血球増加症を示した犬に対し、種々の検査を行った結果、巨大肺腫瘤を認め、肺腫瘤の摘出術を行った。術後の病理組織学的検査にて肺腺癌と診断されたが、腫瘍の摘出とともに劇的な好中球数の回復がみられ、肺癌による腫瘍随伴性白血球増加症と診断した。