著者
田中 善大 伊藤 大幸 高柳 伸哉 原田 新 染木 史緒 野田 航 大嶽 さと子 中島 俊思 望月 直人 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.58-66, 2014

本研究では,保育所の年長児に対する縦断調査によって,保育士が日常業務で作成する「保育記録」を心理学的・精神医学的観点から体系化した「保育記録による発達尺度(Nursery Teachers Rating Development Scale for Children: NDSC)」と学校適応との関連及びNDSCを用いた小学校での適応の予測について検討した。単一市内全保育所調査によって386名の園児に対して保育所年長時にNDSCを実施した後,小学校1年時に教師評定による小学生用学校適応尺度(Teachers Rating Scale for School Adaptation of Elementary School Students [All student version]: TSSA-EA)を実施した。相関係数の分析の結果,NDSCと学校適応との関連が示された。重回帰分析の結果,学校適応の下位尺度である学業面,心身面,対人面,情緒面のそれぞれの不適応を予測するNDSCの下位尺度が明らかになった。重回帰分析の結果に基づくリスクの分析の結果,重回帰分析によって明らかになった下位尺度が,学校適応のそれぞれの側面を一定の精度で予測することが示された。
著者
進藤 智則 堀切 近史 伊藤 大貴
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.845, pp.55-64, 2003-04-14

知ってますか? 今度の「ASIMO」は走るんですよ。勢いがすごいから,止まるのに100mも必要なんだって(笑)——4月2日に開かれた報道機関向けの内覧会で,こんなウワサが流れた。 実際にホンダが展示したのは,従来と比べ歩行速度を2倍に高めた試作機で「走っている」といえるほどではなかった。
著者
伊藤 大幸 辻井 正次 望月 直人 中島 俊思 瀬野 由衣 藤田 知加子 高柳 伸哉 大西 将史 大嶽 さと子 岡田 涼
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.211-220, 2013

本研究では.保育士が日常の保育業務の中で作成する「保育の記録」を心理学的・精神医学的観点から体系化した「保育記録による発達尺度(NDSC)」(中島ほか,2010)の構成概念妥当性について検証を行った。4年間にわたる単一市内全園調査によって,年少から年長まで,延べ9,074名の園児についてのデータを得た。主成分分析を行ったところ,9つの下位尺度が見出され,いずれも十分な内的整合性を持つことが示された。9尺度のうち,「落ち着き」,「注意力」,「社会性」,「順応性」の4尺度は月齢との関連が弱く,子どもの行動的・情緒的問題のスクリーニングツールであるStrengths and Difficulties Questionnaire(SDQ)との関連が強いことから,生来の発達障害様特性や不適切な養育環境による不適応問題を反映する尺度であることが示唆された。逆に,「好奇心」,「身辺自立」,「微細運動」,「粗大運動」の4尺度は,月齢との関連が強く,SDQとの関連が弱いことから,子どもの適応行動の発達状況を反映する尺度であることが示唆された。このようなバランスのとれた下位尺度構成によって,NDSCは,配慮が必要な子どもの検出と早期対処を実現するとともに,現在の子どもの発達状況に適合した保育計画の策定に貢献するツールとして有効性を発揮することが期待される。
著者
伊藤 大介
出版者
宮城歴史科学研究会
雑誌
宮城歴史科学研究 (ISSN:03893227)
巻号頁・発行日
no.45, pp.15-31, 1998-04
著者
杉浦 俊彦 黒田 治之 伊藤 大雄 本條 均
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.380-384, 2001-05-15
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

特殊な形状から近赤外分光分析法による糖度測定の実用化が遅れているブドウ果実について, 比重と糖度との相関関係の有無を検討した.供試した果房の比重は, 水を使わずに体積が測定できる音響式体積計を利用して測定した.それぞれの果房の糖度は全果粒を採取して搾汁し, 屈折糖度計で求めた.1. '巨峰'の果房における比重と糖度の関係は収穫年次や産地が異なっても安定し, 同一直線上にのった.2. '巨峰'の比重と糖度の関係は16°Brix程度から23°Brix程度の広い範囲で高い相関係数(r=0.981<SUP>***</SUP>)が得られ, また回帰線の実測値と推定値の誤差(標準誤差)は0.35°Brixと低くかった.3. 'キャンベルアーリー', 'ネオマスカット'および'甲州'における果房の比重と糖度の間にも高い相関が認められた.4. 比重と糖度の間における回帰直線の傾きには品種間で有意な差はみられなかった.5. 以上の結果から, 比重測定によるブドウ果房の非破壊糖度測定の可能性が示唆され, また比重測定に音響式体積計が活用できる可能性が示唆された.
著者
下村 五三夫 伊藤 大介 Shimomura Isao Ito Daisuke
出版者
国立大学法人北見工業大学
雑誌
人間科学研究
巻号頁・発行日
no.4, pp.13-62, 2008-03 (Released:2016-11-22)

From the viewpoints of cultural anthropology and experimental phonetics, this paper dealt with a mysterious and little known game called rekukkara or rekuhkara performed by Sakhalin Ainus. This game is conducted by a pair of women, facing each other in a mouth-to-mouth distance, in the following way. One partner sends her guttural voice sounds into the mouth cavity of the other through a tube made of their hands. The guttural voice being applied into the receiver’s mouth can be modulated by the volume alteration of the mouth cavity. Similar games are recognized only among Chukchas and Canadian Inuits. In the framework of ‘speech synthesis by vocal tract simulation’, we proved that rekukkara is a kind of speech synthesis game. The key secret is for the voice receiver to hold her glottis shut and conduct some pantomimed articulation while the sender is sending her guttural voice into her mouth cavity. We argued that the game might be originated in the speaking jews-harp cultures and black-smith shamanism, one or both of which we can recognize among Ket, Sayan-Altaic, Tuvan, Buryat, Yakut, and Tungusic players of orally resonating instruments. We also pointed out that there is a correlation found between the bellows blowing air into the furnace at a black-smith’s work place and the guttural voice flowing into the mouth cavity of the game player. In the period of Mongolic domination, ancestors of the Sakhalin Ainu, who happened to move from the island to the Coast districts of now Russia, might have acquired from Tungusic players how to make orally applied noises transform into speech sounds. We also discussed the etymological question of a metallic jews-harp called kobuz, whose etymology is still unknown. Based on Tang dynasty 唐代 phonological reading of the eight names 渾不似,胡不兒,火不思,虎拍子, 琥珀 思,虎撥思,胡撥四,呉撥四cited in an Edo.period archive Geiennisshou .苑日 渉, we attested that the word 胡不兒belongs to Bulghar Turkic while the other seven variants to General Turkic. The phonological notation for 胡 不兒 is γοpur, whose ending 兒 /r/ seems to be a plural marker {-r} in Bulghar Turkic. The ending 兒/r/ contrasts with all the other endings 似, 思,子,四, whose phonetic value of the period of Tang dynasty is /s/, whose voiced variation /z/ is also a plural marker in General Turkic. Therefore, kobuz and its phonetic variations may be Turkic words, which can be decomposed into the two components, *kob- (noun) + -uz or -ur (plural marker). We conducted spectrographic analysis on the sound archives of rekukkara recorded by Bronislaw Pilsudski, a Polish exile to Sakhalin island from 1887 to 1903. We compared their sonograms with those of the sound recordings of the same game collected by NHK in 1950s and the sound recordings of its Chukcha and Inuit versions collected by K. Tanimoto in 1979 and 1992, respectively. We recognized that there appear speech synthesizing processes in the sonograms of the speech samples from Ainu sound archives compiled by NHK, which reinforces our hypothesis that the throat-exchange game rekukkara might have originated in speaking jews-harp cultures combined with black-smith shamanism in southern Siberia. As to the question of whether the Ainu rekukkara can be related with the Chukcha and Inuit versions, the answer solely depends on whether their sound recordings reveal the speech synthesizing processes in their sonograms.
著者
岩田 茂樹 武永 康彦 笠井 琢美 伊藤 大雄
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、ゲーム情報学全般にわたる研究のうち、(1) And-Or 木のコンピュータによる探索、と (2) ゲームやパズルの複雑さに関する研究を行う、ことを目的とする。And-Or 木(ゲーム木)のコンピュータによる探索では通常、評価関数が用いられる。ゲーム木の自然なモデルを定め、ゲーム木のある深さにおいて深さ優先探索により探索する局面数を考える。完全な評価関数に確率 p(0<p<1) で近い評価関数を用いたときは、完全な評価関数と比べて、ゲーム木の深さの多項式倍の数の局面数を探索することを示した。ゲームやパズルの複雑さの研究では、いくつかのゲーム・パズルの計算複雑さを明らかにした。
著者
伊藤 大雄 石田 祐宣 松島 大 石田 祐宣 松島 大
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

リンゴ園で微気象観測ならびに乱流計測を長期間実施し、複数の解析手法により蒸発散量を明らかにした。また、群落内貯熱量や融雪潜熱量の推定手法を考案するとともに、渦相関法における熱収支インバランス問題を追究し、得られた成果を蒸発散量の計算プロセスに反映させた。その結果、土壌水分推定法の開発には至らなかったが、月別の作物係数をもとにした蒸発散量の高精度推定を可能にした。更に衛星画像を利用した日射量推定法や、これを利用した蒸発散量推定法を考案し、蒸発散速度の広域的推定に展望を開いた。
著者
伊藤 大雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.458-469, 2006-06-01

フランク・ハラリイによって提案された一般化三並べとは,指定されたサイズの正方盤面上に2人で交互に石を置いていき,指定された生物(図形)を自分の石で先に作ることを競い合うゲームである.ゲームの性質上,両者が最適な手を打つ限り,先手が勝つ(勝ち型)か,引き分ける(負け型)かどちらかである.これまで多くの生物について,勝ち型か負け型かが明らかにされてきた.本論文では,これまで得られた主な結果や主要な技法について解説し,未解決問題を紹介し,今後の発展の方向について述べる.
著者
池田 隆政 伊藤 大雄 吉田 亮
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.87-92, 2010 (Released:2010-01-26)
参考文献数
23

ニホンナシ短果枝葉の飽和光下光合成速度(光合成能力)の季節変化を携帯型光合成測定装置を用いて調査した.予備試験の結果,光合成能力の測定のためのチャンバー内条件として通気速度500 μmol・s−1,光合成有効放射束密度1,500 μmol・m−2・s−1が適当であった.また,光合成速度は午前9時以降減少することから,測定は9時までに終了することとした.ニホンナシ‘幸水’(露地栽培)および‘ゴールド二十世紀’(露地およびハウス栽培)短果枝葉の光合成能力は,満開後30~60日に最高値(15~20 μmol・m−2・s−1)に達し,その後収穫期あるいはその直前までほぼ同じ値が維持された.着果負担のなくなった収穫期後は次第に低くなり,10月以降は急激に低下した.葉肉コンダクタンスの変化は,光合成能力とほぼ同様であり,光合成能力は,主に葉肉活性に影響されていることが示された.以上の結果より,ニホンナシ短果枝葉の光合成能力は着果期間中高いレベルが維持されていることが明らかになった.
著者
横田 雅也 築地 立家 藤井 愼二 伊藤 大雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.58-61, 2001-01-01
被引用文献数
1

縦横Nますに王将を除く各駒がO(N)枚ずつ配置されている盤面が与えられたとき, 詰み手順があるかどうかを判定する問題を一般化つめ将棋問題と呼ぶ.伊藤らはその計算複雑さがNP困難であることを証明した.本論文では盤面とともに手数の上限を単進数で与えたときの一般化詰め将棋問題がPSPACE完全であることを証明する.
著者
伊藤 大介 小林 徹郎 山崎 美和恵 南 繁夫
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.520-529, 1956-08

最近,CosmotronやBevatronのような高エネルギー加速器によるπ-N相互作用に関する実験の結果,π-N衝突の全断面積σ_<t0t>(-σ_<elastic>+σ_<inelastic>)に第二、第三の極大が存在することが略々確かになった。周知の通り、O.2 Bev前後に於ける第一の極大は、I=J=3/2 stateの共鳴散乱として解釈されているものであるが、第二、第三の極大も果して"物理的核子"の特別な状態の共鳴現象によるものであるか、或は他の機構によるものであるか、先ず明らかにされなければならぬ問題である。この問題に関して、先ずC.N.Yangは 0.8 Bev附近に於ける第二の極大が"物理的核子"の特定の状態の共鳴による散乱であると解し得るためには、共鳴状態のJが相当大きなものでなければならぬことを示している。第二極大の発生機構を考察する場合、第一極大の場合と著しく事情が異るのは、後者の場合にはなかった非弾性衝突(即ち中間子の多重発生等)の存在である。第二極大の起る0.8 Bev附近ではσ_<elastic>&ap;σ_<inelastic>である。このような大きな非弾性散乱の存在は当然弾性散乱にも大きな影響を及ぼすはずである。武田氏は、入射中間子が、核子の固有場の中間子と衝突し、これを共鳴的にたヽき出すと考えて、第二極大の存在を説明しておられる。またSternheimerが分散公式を用いて、前方散乱の振巾をを計算し、高エネルギーに於ては、Dispersive Partに比し、Absorptive Partが非常に大きく、第二極大附近で特にAbsorptive Partが大きくなつていることを明らかにした。これ等の分析の結果から、第二極大の発生機構は、第一極大の場合と異り、非弾性衝突が非常に大きな役割を演じていることが判明して来た。非弾性衝突の存在によつて、弾性散乱の受ける影響は、Shadow Effectとして知られている。我々は以前に1.4 Bevに於けるπ-N衝突は、影散乱のみとして、説明出来ることを示した。即ち1.4 Bev程度の高エネルギーでは、非弾性衝突の断面σ_<inel>を正しく与えええる理論さえあれば、弾性散乱の断面σ_<el>はその影散乱として求まり、全断面σ_<t0t>=σ<el>+σ<inel>も実験と一致するのである。換言すればこのような高エネルギーでは、非弾性衝突が近似的にπ-N衝突の全体を支配しているので、その理論的考察は非弾性衝突の解明に集約されることになる。若し高エネルギー領域で成立ったこのような近似が第二極大の起る0.8 Bevまで成立つならば、第二極大解明の鍵は非弾性衝突にあることになる。この可能性を吟味することが本論文の目的である。結果を要約すれば、π-P衝突で、実測された非弾性散乱の断面積σ^<exp>_<inel>を用い、これから影散乱のみという近似で計算したσ_<elastic>及びσ_<t0t>は、第1図に模式的に示すように、1.0 Bev以上では実験と一致する。しかし1.0 Bev以下では実験と合わなくなる。弾性散乱の角分布も1.0 Bev以上では影散乱のみとして実験とよく合うが1.0 Bev以下では合わなくなるかもしれない(現在比較できる正確な実験は1.0 Bev > E_π > E_<th>間に存在しない)1.0 Bev以下ではσ_<inel>が減少しはじめるのと、低エネルギーの場合と同じ機構による散乱が生き残っているので影散乱のみという近似は成立たなくなるのであろう。しかし第1図に示すように、1.0 Bevに於ける影散乱として計算したσ_<el>,σ_<t0t>は既にthresholdに於けるσ_<t0t>より大きい。而も1.0 Bevに於けるσ_<t0t>もσ_<el>も低エネルギーまで延長すれば結局thresholdに於けるσ_<t0t>に接続しなければならぬのであるから、σ_<t0t>にもσ_<el>にも1.0 BevとE_<threshold>の間に少くも一回極大が存在するはずである。このようなわけで、第二極大の存在の説明には非弾性衝突、即ち、多重発生過程が重大な役割を演じていることを知ることが出来る。実際1.0 Bev以上で多重発生の正しい理論を構成することだけで、第二極大の存在を間接的に示すことが出来ることになる。しかし、第二極大の直接の分析のためには、E_<th>&harr;1.0 Bev間のπ-N相互作用を分析しなければならない。この領域の分析は非常に困難であろうが、逆に、核子の構造に対して多くの情報は期待出来ると予想される領域でもある。これについては追々分析をすすめる予定である。