著者
戸部 暢 加藤 哲治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.547, pp.75-86, 1996

本研究は, 厚い凍土壁を地下水が貫流している場合の凍結閉塞現象を論じたもので, 平板状の開口部内の凍土の成長を表わす計算式を新しく導出した. また, この場合の凍土壁の閉塞条件を明示し, 凍結閉塞しない場合には, 通常, 2個の平衡凍土面が存在することを示した. 実施工への応用として, 本研究の理論を適用したものを例示した.
著者
加藤 哲弘
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-12, 1983-06-30

In der hermeneutischen Asthetik Gadamers ist die Erfahrung der Kunst als die totale Vermittlung des Werksinns erfasst. Er kritisiert die vulgare Auffassung, Kunst unmittelbar und unbewusst zu erleben, und behauptet, dass diese Auffassung nichts anders als die Abstraktion von der Kunsterfahrung sei. In diesem Sinne kann man sagen, dass Gadamer die Asthetik gegen die Irrationalisierung schutzt. Aber Gadamers Hermeneutik hat auch ihre Grenze. Sie zeigt ihren parteilichen Charakter darin, dass sie durch die Rehabilitierung von Autoritat und Tradition die klassische Kunst privilegiert und damit die Moglichkeit schwerzuverstehender Kunst ausschliesst. In der Erfahrung der Kunst, wie Bubner in Bezug auf Kants Lehre von der asthetischen Idee erlautert, gibt es zwei konstitutive Momente, namlich die Herausforderung der Auslegung und die Ablehnung endgultigen Zugriffs. Daher reduziert Gadamer die Kunsterfahrung auf eines der beiden Momente, wobei notwendigerweise ein Moment auf Kosten der anderen geht. Es ist zwar richtig, die Kunsterfahrung als Vermittlung aufzufassen. Aber man darf nicht vergessen, dass diese Vermittlung unabschliessbar ist. Erst dadurch, dass man in diesen schwankenden Vermittlungsprozess der Kunst eintritt und darin bleibt, kann die reflektierende Bewusstmachung und Uberwindung der irrationalen Tradition in der Asthetik, die noch heute unsere Verfassung der Forschung bestimmt, erreicht werden.
著者
加藤 哲弘
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.25-35, 1992-09-30

Aby Warburg is well-known to us as the founder of modern iconology, but as a matter of fact, in contrast with Panofsky's authorized and internationalized version of iconology, his way of interpretation has been looked upon as rather idiosyncratic. It has not always been justly appreciated. In this paper, I try to make clear the hitherto unnoticed actuality of Warburg's hermeneutics of image by examining his famous concept of "Pathosformel". In connection with this, I emphasize the follwing three points : First, Warburg's original idea of iconology has a remarkably close relation to the standpoint of reception aesthetics. Warburg leaves to the contemporary public the casting vote for determining the meaning of this formula. Second, Warburg shares an interest in the social function of image with the "New Art Historians". They both try to get away from the influence of the aestheticism of mainstream autonomy aesthetics. Third, Warburg gives us some useful hints for overcoming the modern rationalism in interpretive methods. In his practice of the historical interpretation of imagery, a rare kind of coexistence between the irrational and the rational can be found.
著者
加藤 哲文
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.17-28, 1988-08-27
被引用文献数
2

3名の無発語自閉症児に音声による要求行動を形成した。訓練プログラムは、非音声的反応型(指さし)を形成した後に音声的反応型(分化発声)に移行する、場面般化、訓練効果の維持のチェックという内容からなっている。また、反応型の移行には「修正版時間遅延法」を用いた。訓練設定は、被験児の手の届かない位置に4種類の菓子を並べ、側にいる実験者が被験児の要求行動の自発に対して要求物を充足するというものであった。訓練の結果、非音声的反応型による要求行動自発の機会を十分に保証する手続き(即時対応)によって、後の時間遅延法による要求充足の留保手続きが嫌悪事態にならず、分化発声による要求行動を形成することができた。さらに、般化及び維持も2名は良好であったが、他の1名は不十分であった。このような3名の被験児の反応パタンは、各々の被験児の現在及び過去の要求行動に対する強化史の観点から考察された。
著者
伊藤 博明 田中 純 加藤 哲弘 木村 三郎 上村 清雄 足達 薫
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ヴァールブルクが晩年に取り組んだ、未完の学問的プロジェクトである『ムネモシュネ・アトラス』に所蔵された全パネルについて共同して詳しく読み解き、その成果は図書として刊行するとともに、2回のシンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙」と「ムネモシュネ・アトラス展」において公表した。ヴァールブルクの研究を批判的に受け継ぎ、文化系統学、イメージ人類学、神話の構造分析、世俗世界のイコノロジーなどについて方法論的考察を深め、その成果は7名の外国人研究者を含んだ国際シンポジウム「思考手段と文化形象としてのイメージ――アビ・ヴァールブルクから技術的イメージ・図像行為まで――」において発表した。
著者
加藤 哲郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の成果は、書き下ろし単著『「飽食した悪魔」の戦後ーー731部隊と二木秀雄「政界ジープ」』(花伝社、2017年)中に発表した。同書第3部「731部隊の復権と二木秀雄の没落」中に第2章「シベリア抑留と米ソ情報戦」を設け、「ドイツ240万人、ハンガリー50万人、日本60万人の強制奴隷労働」「洗脳教育と民主運動」「帰還者米軍尋問ーー陸軍プロジェクト・スティッチと空軍プロジェクト・リンガー」「陸軍プロジェクト・スティッチで見つかった『ソ連スパイ』352人」「『人間GPS』としての米空軍プロジェクト・リンガー」等について、詳述した(269-284頁)。
著者
山野 英嗣 尾崎 正明 稲賀 繁美 川島 智生 加藤 哲弘 河上 繁樹 中川 理 並木 誠士 廣田 孝 前田 富士男 増田 聡 藪 亨 新見 隆 出川 哲朗 中川 克志 松原 龍一 池田 祐子 小倉 実子 牧口 千夏 中尾 優衣 河本 信治
出版者
独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本近代における建築、デザイン、工芸を対象としながらも、ジャンルを超え、そして国境を超えた動向について総合的に検証したものである。研究成果は、最終的に一冊の図書としてまとめた他、研究代表者が所属する美術館においても展覧会やシンポジウムを開催し、研究成果を広く発信した。東西の文化交流、そしてジャンル間を交差する表現への注目など、時宜を得たテーマとして、建築、デザインそして工芸の各領域において、新たな視点が提言されたと思われる。
著者
佐伯 英明 三浦 邦夫 五十嵐 信寛 小川 弘良 清水 世紀 和田 郁生 鈴木 隆志 原田 忠 森田 隆 加藤 哲郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.1058-1062, 1982-08-20

症例は妊娠第15週の36歳の女子で,肉眼的血尿を主訴として当科を受診した。膀胱鏡を施行したところ,膀胱左側壁に巨大な腫瘤を認めたので生検を行ない,移行上皮癌と判明した。患者は既に3子を有しているので,人工流産を施行し,泌尿器科的精査および治療を進めていつた。膀胱造影では左側半分を占める巨大た陰影欠損を認め,骨盤部動脈造影で腫瘍血管に富む腫瘍を認めた。術前に,マイクロカプセル化されたマイトマイシンCを合計40mg使用して2度にわたつて腫瘍支配動脈の化学塞栓を行ない,化学塞栓後の膀胱造影で腫瘍が中等度縮小した時点で膀胱全摘除術および回腸導管造設術を施行した。肉眼的には大小2個の腫瘍が認められ,組織学的にはgrade I, stage Aの移行上皮癌であつた。術後5ヵ月という短い経過ではあるが,転移や再発の徴候はない。妊娠に悪性腫瘍が合併することは稀れであり,殊に尿路悪性腫瘍が合併することは極めて少ない。妊娠に合併した膀胱癌の症例は欧米の文献に7例を認めるが,本邦では最初の報告ではないかと思われた。血尿が認められれば妊娠の有無にかかわらず即時にしかも適切な検索が行なわれなけれぼならないことを強調し,かつ,妊娠中の膀胱癌の治療法および妊娠と悪性腫瘍との関係について若干の考察を加えた。
著者
若林 上総 加藤 哲文
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.2-12, 2013-07-31

研究の目的 発達障害のある生徒が在籍する高等学校の学級において、学業達成を支援するために、相互依存型および非依存型集団随伴性にパフォーマンス・フィードバックを組み合わせた介入を実施し、その効果、ならびに介入受容性を検討した。研究計画 ベースライン条件、相互依存型集団随伴性にパフォーマンス・フィードバックを組み合わせた条件、非依存型集団随伴性にパフォーマンス・フィードバックを組み合わせた条件によるABCデザインを2クラスで実施した参加者間マルチベースラインデザイン。場面 定時制高校の授業内で行われた漢字テストの場面。参加者 高校1年生の2クラスとそこに在籍する発達障害のある生徒4名。独立変数の操作 相互依存型および非依存型集団随伴性にパフォーマンス・フィードバックを組み合わせた介入。パフォーマンス指標 学級全体の強化基準への達成率、漢字テストの得点、および介入受容性尺度得点。結果 相互依存型および非依存型集団随伴性にパフォーマンス・フィードバックを組み合わせた介入条件は、学級全体のテスト得点の増加に影響を与えたことが考えられた。各介入条件の介入受容性得点も高得点を示した。結論 相互依存型および非依存型集団随伴性にパフォーマンス・フィードバックを組み合わせた介入条件により、発達障害のある高校生を含んだ学級全体の学業達成を促進した。また、この介入条件の社会的妥当性も示された。