著者
加藤 浩 三輪 眞木子 近藤 智嗣
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、博物館学習における効果的な学習支援の学習支援モデルを構築し、その効果を検証することを目的とした。本研究では、提案する学習支援モデルとして、自立的な解釈の前提となる、展示のテーマ、見るポイント、作品間の関連性をあらかじめ学習させることによって、展示室での自立的な展示解釈を支援するCognitive Orientation of Museum(COM)モデルを構築した。その効果検証のため、千葉県立美術館の常設展「浅井忠とバルビゾン派」をテーマにし、COMモデルの教授過程にのっとったCOM教材を開発し、実際の美術館において美術鑑賞初心者を対象に効果検証実験を実施した。その結果、COM教材を利用すると、教材利用後は展示鑑賞の見るポイントが絞れ、さらに鑑賞体験を重視する傾向が生まれることが明らかになった。また教材利用後、鑑賞体験を行うと、展示室滞在時間が延び、独自の解釈が増え、鑑賞後は満足感が高まり、再来館への動機付けが高まることが分かった。COMモデルにのっとったCOM教材が事前学習に効果的なことが明らかになったので、次に館内支援と連動させる館内外における連携的学習支援システムを開発した。館内外における連携的学習支援システムは国文学研究資料館の特別展「源氏物語-千年の輝き-」をテーマにし、ウェブベースのCOM事前学習教材とPDAベースの館内ナビゲーション教材を開発した。その後、実際の資料館において国文学資料に詳しくない初心者を対象に効果検証実験を行った。COM教材と連動させる館内ナビゲーション教材は、事前のCOM教材で学習した内容の中で、利用者の興味に従いテーマを選択すると、解説する展示、紹介順、解説内容が変化する仕組みになっている。実験で本システムを利用してもらった結果、館内ナビゲーション教材は展示鑑賞中の行動に沿って開発しなければならないという課題が見つかった。
著者
口田 圭吾 菊地 彩 加藤 浩二 日高 智 鈴木 三義 三好 俊三
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.23-29, 2003-02-25
被引用文献数
9 8

胸最長筋の皮下脂肪側において,筋間脂肪が胸最長筋内に大きく入り込んでくぼみのあるもの(いわゆる'ハート芯')は,枝肉の価値を低下させる一因であるとされる.本研究では,画像解析による新たなハート芯評価方法について提案すること,ならびに黒毛和種のハート芯形成に対する種雄牛の影響を検討することを目的とした.枝肉横断面撮影装置によって撮影された第6~7肋骨間の胸最長筋画像を2値化した.2値画像について胸最長筋の境界線を検出し,膨張処理ならびに細線化処理を行い,なめらかな胸最長筋の輪郭線を得た.胸最長筋の長径より上部(皮下脂肪側)について,凸部を結んだ凸多角形を描き,凸多角形と胸最長筋の輪郭線が作る領域について,その面積,パターン幅等を測定した.得られた画像解析形質のうちから3変数を用い,肉眼で判定したハート芯の程度を分類変数とする線形判別分析を行ったところ,その判別率は,97.0%と極めて高く,画像解析によりハート芯の程度を数値化することを可能とした.237頭(種雄牛32頭)の黒毛和種産肉能力検定間接法の材料牛について,ハート芯の程度を肉眼で調査したところ,38頭においてハート芯が確認された.画像解析により評価したハート芯の程度に対する種雄牛の効果は高度に有意(P<0.01)であり,特定の種雄牛からの後代にハート芯の出現頻度が多い傾向が認められ,ある1頭の種雄牛については,後代6頭すべてがハート芯の形状を呈した.
著者
藤原 康宏 加藤 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.703, pp.97-100, 2005-02-26
被引用文献数
6

協調学習における評価では、学習コミュニティを構成する学習者同士が評価を行うことは有用な方法の1つである。しかし、実際には他の学習者全員の評価をすることは困難である場合が多く、それぞれの学習者が何人かを選択して評価する必要がある。本稿では、その選択方法を考えるために、学習者xが学習者yを評価するときに、「学習者yもまた学習者xを評価する場合」と「学習者yは学習者xを評価しない場合」で学習者xの行う評価に差があるかについて実験を通じて考察する。今回は、大学教養教育における情報処理入門科目のレポートを、Web課題提出評価システムを使って、学習者間で評価させた。実験の結果、相互評価をする際に、評価する相手によっても評価されるか、評価されないかが、評価に影響を与える場合があることが分かった。
著者
望月 俊男 久松 慎一 八重樫 文 永田 智子 藤谷 哲 中原 淳 西森 年寿 鈴木 真理子 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-33, 2005
被引用文献数
11

本研究では, 電子会議室で協調学習を行う学習者の発言データをもとに, そこで各学習者が発言している議論の内容とプロセスを可視化するソフトウェアi-Beeを開発した.i-Beeは任意の期間を単位として, 各学習者がどのようなキーワードをもとに発話したのか, 相互関係をまとめたマップを提示する.また, 過去にさかのぼってマップの変化の過程を確認できる.ある大学の授業で, i-Beeを利用して電子会議室上で議論を行い, その有効性を検討したところ, 学習者がi-Beeを見ることで, 自分自身や他の学習者の議論への関わりや, その時点までの関わりの変化の特徴に気づくことができることが分かった.また, 学習者がこれまで関わってこなかった学習者や話題にアクセスしたり, 議論への関わり方をリフレクションすることを促すリソースとなることが示された.