著者
永井 正洋 上野 淳 貴家 仁志 北澤 武 渡邉 雄貴 加藤 浩 福本 徹
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

児童の表現の論理性を向上させるために,デジタルペンとマインドマップを用いる中でエキスパート参加の協調学習を行わせ意見文を書かせる授業実践を行い,その総合的な有効性を研究の前半で示した.しかし,どの足場掛けがより有効であるのかは不明確であった.そこで,児童に意識調査を実施した後,授業についての因果モデルを構築し共分散構造分析にて検証した.その結果「授業での理解度と満足度」には,「マインドマップの好感度」や「エキスパート参加の協調学習での理解度と好感度」が影響を与えること,また,デジタルペンについては,授業の総括的評価には影響を与えず,通常の文具のように学習の文脈に馴染んでいることが示唆された.
著者
奥本 素子 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.11-21, 2009
被引用文献数
4

美術館初心者が美術館での学習につまずく原因の一つに,美術館展示から意味を構築する能力である博物館リテラシーが不足していることがあげられる.そこで,本研究では初心者の博物館リテラシーの不足を補うため,演繹的に作品を解釈できるように作品理解の観点を教授する博物館認知オリエンテーション(Cognitive Orientation of Museum:COM)という博物館学習支援モデルを提案する.本研究では,そのCOMの博物館学習における有効性を明らかにするために,COMに沿った学習教材を開発し,一般的な解説教材と比較し,その効果を検証した.
著者
松田 岳士 近藤 伸彦 岡田 有司 重田 勝介 渡辺 雄貴 加藤 浩
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.47017, (Released:2023-09-18)
参考文献数
20

本研究では,学生が自分自身のすべての学習状況を記録し可視化するシステムの試用版の実証評価を通して,自己主導学習レディネスがシステムの継続的な使用に与える影響を考察した.4大学の1年生から3年生が参加した実証評価における使用継続状況を決定木分析した結果から,自己主導学習レディネスの構成因子のうち,自己責任感が強く,自己効力感も高い学生の中に,外部からの介入がなくても長期間継続して使用する者の割合が高いことが示された.また,様々な状況で効果的な学習ができると考えている程度が高い学生ほどシステムを学習プランニングのツールとみなしておらず,学習記録のモニタリングシステムとして使用する傾向にあった.
著者
脇本 健弘 佐々木 博史 平山 涼也 望月 俊男 Eagan Brendan 結城 菜摘 舟生 日出男 久保田 善彦 鈴木 栄幸 加藤 浩
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.309-324, 2023-06-20 (Released:2023-07-14)
参考文献数
38

本研究は,タンジブル人形劇によるマイクロティーチング支援システム「えでゅーすぼーど」の教師の専門性向上への有効性を検討したものである.本研究では,教員養成課程において実施された「えでゅーすぼーど」を用いたマイクロティーチングにおける学生の談話を分析した.学生は3回のマイクロティーチングに取り組み,2回目に「えでゅーすぼーど」を用いた人形劇によるマイクロティーチングを体験した.学生の談話をEpistemic Network Analysis により分析し,特徴的な変化を抽出し,さらに質的な分析を行った.その結果,「えでゅーすぼーど」を用いた人形劇によるマイクロティーチングでは,教師役の学生が児童役の学生の学習を深めるとともに,授業を円滑に進めるために即興的な働きかけを行っていたことが示された.
著者
加藤 浩一郎 石井 和克 須川 成利
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.105-112, 2006 (Released:2006-06-01)
参考文献数
8

本研究は,特許出願を行うかどうかを判断するための発明評価とその項目について,調査・研究を行い,発明の内容(分野)や企業,特許戦略等にかかわらず各社共通となる評価項目とその重要性を明らかにする。また,本研究は,この結果に基づいて,発明評価をできるだけ共通的かつ客観的に行うためには具体的にどのようにすればよいかを検討する。
著者
横井 輝夫 加藤 浩 藤川 純朗 高田 聖歩 米中 幸代
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.833-835, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
6

〔目的〕体幹の側屈と頚部の立ち直りの有無が嚥下動態に与える影響を明らかにすること。〔対象〕研究に同意が得られた健常者12名(平均年齢21.3歳)とした。〔方法〕安楽にした椅子座位,体幹30度側屈・頚部の立ち直り有りと無しでの3条件について,表面筋電図を用いて,おかゆ10 gを嚥下した際の舌骨上筋群の活動持続時間(嚥下時間の指標)を測定した。〔結果〕舌骨上筋群の活動持続時間は,安楽にした椅子座位に対して,体幹30度側屈・頚部の立ち直り有りとの間では有意差は認められず,体幹30度側屈・頚部の立ち直り無しでは有意な延長が認められた。〔結語〕嚥下時間は体幹の側屈のみでは延長せず,頚部の立ち直りの有無に左右されていた。嚥下時間の延長は,誤嚥の危険性を高めるとされているため,摂食姿勢を整える際,特に頭部の垂直位保持に留意することの重要性が示された。
著者
深山 剛 加藤 浩徳 城山 英明
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.022-037, 2007-04-26 (Released:2019-05-31)
参考文献数
21

本研究は,富山市における LRT 導入と,関連するまちづくり施策の実現に関して,政策プロセスの観点から分析するものである.まず,政策プロセスを4つのフェーズにわけ,それぞれのフェーズにおける関係主体や検討の場,課題のフレーミングや主な論点などをまとめた.続いて,富山市を取り巻くさまざまな関係主体の立場を整理し,富山市によるフレーミングや利害調整を通じた対応のポイントを示した.その結果,政策プロセスにおける合意形成のためには,課題のフレーミング,議論の場のマネジメント,制約条件の活用,個別的な利害調整による対応等が重要であることが明らかになった.
著者
足立 直之 坂井 健一郎 山本 絵理香 加藤 浩
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0986, 2007 (Released:2007-05-09)

【緒言】本研究の目的は,足部の筋緊張を高めた歩行が,足関節より近位の膝関節,股関節,及び体幹筋群へ及ぼす影響を動的表面筋電図解析の視点から検討することである.【対象】対象者は過去に上下肢及び体幹に機能障害の既往歴を有さない健常男性19例(平均年齢:21.9±0.9歳,平均身長:168.8±4.4cm,平均体重:61.6±5.6kg)であった.また,全例には研究の目的を説明し同意を得た.【方法】表面筋電計は,TELEMYO 2400T(NORAXON社製)を使用し,被験筋は,脊柱起立筋,外腹斜筋,腹直筋,大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,大腿直筋,内側広筋,外側ハムストリングス,内側ハムストリングス,前脛骨筋,内側腓腹筋,内側ヒラメ筋とした.自由歩行及び,右側の母趾と第2趾間の付け根にパッドを挟んだ歩行(以下,パッド歩行),最大随意収縮の各筋活動を測定した.統計学的処理は,1標本t検定を用い,自由歩行とパッド歩行との%IEMGの差を検定した.【結果】パッド歩行時の筋緊張の有意な高まりは,全歩行周期において多関節筋が単関節筋に比べ多く認められた.また,遊脚相が立脚相に比べ多く認められた.筋緊張の有意な高まりは,歩行周期の0~6%で内側ヒラメ筋,前脛骨筋,内側ハムストリングス,大腿直筋,大腿筋膜張筋,外腹斜筋,脊柱起立筋,88~92%で内側ヒラメ筋,前脛骨筋,内側広筋,大腿筋膜張筋,外腹斜筋,腹直筋において下肢遠位筋群から体幹筋群までの連鎖が認められた.前脛骨筋の筋緊張の有意な高まりは,歩行周期の大部分で認められた.【考察】パッド歩行では,自由歩行時と比べ筋緊張の高まりが足部から体幹まで連鎖しており,協同して筋緊張が高まっていた筋も認められた.そこで本研究では立脚相と遊脚相に分けて,運動連鎖の特徴を検討した.立脚相は下肢遠位部が床で固定されている状態であるため,運動連鎖の視点から見るとCKCである.CKCは多関節運動,協同運動を行い,運動連鎖を引き起こすため,足部の状態によって,足関節より近位の関節筋群にも影響を及ぼすと考えられる.正常歩行では,遊脚相は下肢遠位部が固定されておらず,自由に運動ができるため,運動連鎖の視点から見るとOKCの状態である.しかし,パッド歩行では,足部の筋緊張が高まったため,下肢遠位部の自由が阻害され,CKCに近い状態になったと考えられる.つまり,足部で高まった筋緊張は,膝関節,股関節及び体幹筋群に運動連鎖を生じさせたと考えられる.臨床において,下肢遠位部の筋緊張が高い患者は,遊脚相では常にCKCの状態である可能性が考えられる.
著者
加藤 浩
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.12-23, 1991

Plato censures the imitative poetry and at the same time makes many mythoi in his dialogues. The purpose of this paper is, therefore, to analyse the usages of mythos and its related terms in the context in which they occur and to consider the relation between mythos and poiesis. In the Protagoras the compound of mythos and logos produced by rhetorike is contrasted with logos gained by dialektike, while in the Gorgias and the Phaedo two escatological mythoi anticipate the horizont which logos will be able to reach. When the Idea of Good and dialektite are introduced in the Republic, the inconclusiveness of the dialogue and the conclusiveness of dialektike become obvious. Mythos of Er is allowed to be told as far as it points to the conclusive horizont which dialektike will ultimately reach and makes the dialogue conclusive. Likewise, mythos in the Phaedrus represents the comprehensive vision of dialektike. Mythos as poiesis is characterized by falsehood. But in the Republic mythos is judged according to two norms which regulate what the poets should tell of gods and men. Thence I infer that mythos of Er indicates the ideal mythos which should be told of men. The poetics of Plato, if possible, will be called philosophical as compared with the technical poetics of Aristotle.
著者
加藤 浩司 渡辺 直 井澤 知旦 北原 理雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.530, pp.185-192, 2000
参考文献数
14
被引用文献数
9 4

This paper attempts to survey and analyze the public use systems of the street space in six European and U.S. cities, through a study of the control on sidewalk cafes, and to suggest the way of making the most of the street space in Japan in order to enhance the attractiveness of the urban environment. To sum up, the conclusions of the study are the following : 1) European and U.S. cities positively promote the public use of the street space, while they prepare the explicit rules to control multiple use of the street space and prevent confusion. 2) European cities control the use of the street space by the strict ordinance, while U.S. coordinate it more flexibly by the guidelines. And the recent policy in European cities tend to control the cityscape more consciously as well as the physical use of the street space.
著者
深井 健司 羽田 清貴 加藤 浩 井原 拓哉 奥村 晃司 杉木 知武 川嶌 眞人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【目的】</p><p></p><p>我々は変形性膝関節症(以下,膝OA)患者の膝関節における立脚初期の衝撃吸収作用に着目し,健常者と比較して膝伸展筋群を過剰に収縮させ衝撃吸収を行っていることを筋電図学的側面から報告した。この時期は床反力後方成分の制動区間に相当し,どのように床からの衝撃力を受けて運動量を変化させているのか明らかにされていない。そこで今回,力学的側面から立脚初期の衝撃吸収作用について床反力前後成分力積値及び床反力入射角度を用いて検討を行った。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>被検者は,膝OA患者14名(平均年齢70.0±7.9歳。以下,膝OA群)と健常成人15名(平均年齢35.0±11.7歳。以下,対照群)で全例女性であった。課題動作は5mの歩行路上の自由歩行とした。計測下肢から一歩目を踏み出し,床反力計を踏むように指示した。一歩目の歩幅の距離は被検者の身長の40%になるように設定し,5回実施した。計測は,赤外線カメラ8台を備えた三次元動作解析装置Vicon-MX13(Vicon Motion Systems社製)と床反力計(AMTI社製)1基を用いて実施した。床反力前後成分は体重で正規化し,後方成分を制動期平均力積値(Braking Mean Amplitude;以下,BA),前方成分を駆動期平均力積値(Propulsive Mean Amplitude;以下,PA)としそれぞれ求め,同時に立脚期時間も算出した。また,床反力前後成分と鉛直成分から初期接地時と後方成分ピーク値時の床反力入射角度を求め,90°以下を制動,90°以上を駆動と規定した。同時に,初期接地から後方成分ピーク値までの床反力入射角度の変化量も算出した。統計学的解析は,Dr.SPSSII for Windows11.0.1J(エス・ピー・エス・エス社製)を用い,2群間の比較は2標本の差の検定,床反力入射角度と角度変化量,BA,PA,立脚期時間との関連性の検討はSpearmanの順位相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>初期接地の床反力入射角度[deg]は対照群で93.26±4.29,膝OA群で86.13±4.01と対照群が有意に高値を示した。角度変化量[deg]は対照群で9.77±4.46,膝OA群で3.33±3.91と対照群が有意に高値を示した。PA[N・s/kg]は対照群で0.29±0.05,膝OA群で0.12±0.09と対照群が有意に高値を示した。立脚期時間[sec]は対照群で0.61±0.02,膝OA群で0.66±0.03と膝OA群が有意に高値を示した。また,初期接地の床反力入射角度は角度変化量とPAに正の相関(r=0.93,p<0.01,r=0.56,p<0.01),立脚期時間に負の相間(r=-0.56,p<0.01)を認めた。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>初期接地の入射角度は膝OA群が小さく,90°以下では制動を示す。膝OA群は,初期接地より前方への加速を制動し,後方成分ピーク値まで角度変化量を減少させたまま維持されていた。これは立脚初期において床からの衝撃力を小さくし,前方への加速の制動を最優先させることで,立脚期後半での推進力を十分に発揮できず,立脚期時間を延長させることで歩行速度を維持している可能性が示唆された。</p>
著者
高田 仁 加藤 浩介 松橋 俊彦 中川 功一 松行 輝昌
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

科学技術商業化の類型として、実践的教育プログラムの有効性に着目する『教育モデル』を確立するために、その教育効果と商業化促進効果、満たすべき要件等を明らかにすることを試みた。その結果、プログラムをきっかけにステークホルダーへの働きかけと共感の獲得が商業化プロセスの前進に有効である可能性を見出した。また、プログラム受講者の教育効果を分析した結果、異なるバックグラウンドの受講者が受講を通じて活発な知識交換を行うことを明らかにした。以上から、科学技術商業化の『教育モデル』の概念化を試みたところ、Galison(1997)の提唱する「トレーディング・ゾーン」を援用して説明できる可能性を見出した。
著者
加藤 浩樹 池田 奈由 杉山 雄大 野村 真利香 由田 克士 西 信雄
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.631-643, 2021-09-15 (Released:2021-09-07)
参考文献数
82

目的 日本では高齢化の進展とともに,循環器疾患に関連する医療と介護に要する社会保障費への国民負担がより一層増大すると予想されている。栄養政策は,国民の食生活改善を通じて循環器疾患を予防する効果が期待される。しかしその費用対効果の評価は,日本ではこれまでに行われていない。本研究は,減塩政策による循環器疾患予防に関する海外の医療経済的評価研究を概括し,日本の栄養政策の公衆衛生学的効果と社会保障費抑制効果の評価手法を構築するための基礎資料とすることを目的とした。方法 循環器疾患予防介入の医療経済的評価に関する代表的なシミュレーションモデルとして,循環器疾患政策モデル(Cardiovascular Disease Policy Model),IMPACTモデル(IMPACT Coronary Heart Disease Policy and Prevention Model),米国IMPACT食料政策モデル(US IMPACT Food Policy Model),ACEアプローチ(Assessing Cost-Effectiveness approach to priority-setting)およびPRISM(Prevention Impacts Simulation Model)を抽出した。各モデルを応用してポピュレーションアプローチによる国レベルでの減塩政策の費用と効果を評価した海外の原著論文を収集し,モデルの概要,構造および応用研究を概括した。結果 5つのモデルの構造としてマルコフ・コホートシミュレーション,マイクロシミュレーション,比例多相生命表,システム・ダイナミクスに基づき,減塩政策による食塩摂取量と血圧の低下を通じて循環器疾患の予防に至る過程がモデルに組み込まれていた。これらのモデルを応用した豪州,英国および米国の研究では,食品業界による義務または任意の市販加工食品中の食塩含有量の低減を中心に,健康増進キャンペーン,容器包装前面の食塩量表示等の減塩政策の費用と効果について,10~30年または生涯にわたる長期のシミュレーションによる評価が行われていた。考察 海外では国の減塩政策による循環器疾患予防の費用と効果について,シミュレーションモデルに基づく医療経済的評価から得た科学的根拠を発信している。日本も減塩政策を中心にシミュレーションモデルを活用し,栄養政策の立案・評価に役立てることが期待される。
著者
柴崎 隆一 青山 和浩 加藤 浩徳 村上 進亮 川崎 智也 新井 洋史 鳥海 重喜 渡部 大輔 和田 祐次郎 坪田 建明 古市 正彦 松田 琢磨 杉村 佳寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本課題は,研究代表者らがこれまでに蓄積したモデル構築やデータ分析に関する知見を活用し,全世界のすべての輸送モードを包含する統合的な国際物流シミュレーションモデルを構築して,世界各地の物流インフラ投資や越境抵抗削減などの実際の諸施策や,船舶大型化や新航路開拓(パナマ運河,北極海航路など)などの技術進歩が,輸送パターンにもたらすインパクトを定量的に予測するものである.
著者
加藤 浩子 池崎 喜美恵
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.41, 2009

<B><目的></B> 環境教育は、これからの持続可能な社会の形成において、重要な役割を担うものである。特に、ゴミ問題は私たちにとって日常的な問題であり、見過ごすことはできない。環境教育について研究している中で、環境先進国であるドイツの環境問題への取り組みと日本の取り組みの違いに関心を持った。ゴミの分別について言えば、ドイツは国で環境対策をしており、どこの地域に行っても分別方法は国で決められているので一定である。 このようなドイツに暮らす日本の子どもたちは、日本に暮らす子どもたちよりも環境意識が高いのではないのかと考え、日頃、環境問題についてどのように考えているのか、どのように行動しているのか調査することにした。日本もゴミの有料化やゴミの分別、レジ袋の有料化などの環境への取り組みは進んできているが、日本より以前に、環境対策に取り組んでいるドイツの環境教育には学ぶべきものが多いと言える。本報告では、ドイツと日本に暮らす子どもたちの環境に対する意識や実態を比較検討し、今後の家庭科における環境教育への示唆を得ることを目的とした。<BR><B><方法></B> 2008年11月から2009年1月にドイツの日本人学校4校(A校、B校、C校、D校)の小学部、2009年2月に東京都の公立M小学校にアンケート調査を行った。対象は家庭科を学習している5、6年生の児童である。ドイツの日本人学校では199名、M小学校では181名の回答を得ることができた。アンケート項目の中で、ゴミの分別方法や分別理由等の項目を環境認識度得点、ドイツでの日常生活の満足度に関する項目を生活満足度得点として計算し、得点の平均点から上位群、下位群に分けて比較検討を行った。<BR><B><結果および考察></B>・ドイツの滞在年数が1年未満の児童は46名、1~3年未満は59名、3~5年未満は58名、5年以上は36名であった。・環境認識度得点の上位群の割合は、日本人学校が6割、M小学校が5割であり、日本人学校の児童の方が高かったが、顕著な差はみられなかった。・日本人学校4校それぞれの環境認識度得点を見ていくと、上位群の割合は、B校が4割、他の3校は6割とB校がやや低い結果となった。生活満足度得点に関してもB校が他の3校よりもやや低い結果となったが、4校とも高い得点結果となった。・ドイツでの滞在期間が長い児童やドイツ語能力が高い児童など、ドイツの生活に同化していると考えられる児童は環境意識がやや高い傾向にあった。・「家庭科が好きか」という問いで、日本人学校では男子7割、女子9割、M小学校では男子6割、女子7割の児童が「好き」と回答した。学年ごとでは、日本人学校の5年生9割、6年生 7割、M小学校の5年生 7割、6年生 6割が「好き」と回答した。・日本人学校の児童もM小学校の児童も、環境意識が高い児童ほど家庭科に対するイメージは肯定的である傾向が見られた。・日本人学校もM小学校も、家族で環境について話す機会がある児童ほど、環境認識度得点が高い傾向が見られた。・顕著な差はみられなかったが、環境先進国であるドイツに暮らす子どもたちの方が、日本に暮らす子どもたちよりも環境意識が高いという結果から、今日の我が国における環境問題解決のためには、環境教育をより充実させる必要性があると言える。
著者
北澤 武 永井 正洋 加藤 浩 赤堀 侃司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.35-42, 2008
被引用文献数
1

本研究は,小学校理科教育を対象として運用しているeラーニングサイト「理科ネット」の電子掲示板「質問コーナー」に,用語間の関係の強さに着目した検索支援システム「PRIUM (Portfolio Retrieval for Investigating Useful Material)」を構築し,それを運用した効果について検証した.その結果,児童は電子掲示板に理科に関する質問を投稿する前に,自分が質問したい内容と同じ質問があるかどうか,PRIUMを使って調べるという情報探索行動を示すことが分かった.さらに,PRIUMを構築する前よりも,構築後の方が過去に投稿された質問と同じ質問をする割合が減少し,「質問コーナー」の利用頻度や質問の投稿数が増加するなどの効果があることが示唆された.
著者
久保田 陽子 伊田 昌功 伊藤 宏一 加藤 浩志 辻 芳之
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.257-264, 2014

日本では諸外国に比し硬膜外麻酔を用いた無痛分娩の普及率は著しく低いが,当院では分娩例の約半数に無痛分娩を施行している.今回,2010年7月から2011年12月の間での無痛分娩症例において,後方視的に自然分娩例と比較し分析することにより,無痛分娩が分娩や新生児に与える影響を明らかにすることを目的とした.無痛分娩群では自然分娩群と比較して,回旋異常発生率・陣痛促進剤使用率・吸引分娩施行率・分娩所要時間(分娩第1期・分娩第2期)が有意に上昇したのに対し,緊急帝王切開移行率・分娩時総出血量は両者で有意差を認めなかった.新生児への影響に関しては,Apgar score,臍帯血pHには有意差を認めなかった.臍帯血BEにおいては両群間で有意差を認めるも,ともに正常値の範囲内であり,以上より無痛分娩が新生児へ悪影響を及ぼすことはないという結果になった.無痛分娩による母体合併症として,当院では2例の硬膜穿刺後頭痛を経験したが,いずれも保存的治療のみで症状は軽快し,うち1例では次回分娩時にも無痛分娩を希望した.以上より,分娩帰結に差がないことを考えれば,痛みのない分娩を選択でき得ることは妊婦にとって大きな助けになると思われる.〔産婦の進歩66(3):257-264,2014(平成26年8月)〕