著者
加藤 浩徳 志摩 憲寿 中西 航
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-28, 2011 (Released:2011-11-04)
参考文献数
48
被引用文献数
1

本論文は,山梨県を事例に交通システム成立の経緯を整理するとともに,その経緯と社会的要因との関係を分析するものである.同県の広域交通ネットワークの発展経緯を,近世以前,明治~戦前,戦後の3つの時代区分にしたがって整理した.山梨は,元来,山々に囲まれた地域であるため,近隣地域とのアクセスが不便であった.しかし,古来より道路網が整備されており,一時は,富士川を通じた舟運も栄えた.明治時代に入り,近代化が進められると,鉄道が整備され,舟運は衰退した.戦後は,観光農業と製造業が盛んとなり,東京という巨大市場へのアクセス向上のため新笹子トンネルや中央高速道路が開通された.これらの経緯を踏まえつつ,交通に関連する社会的要因を,国内動向,政治・政策,産業・宗教に分類し,これらと交通システムとの相互関係を時代別に分析した.
著者
坂 真智子 飯島 和昭 西田 真由美 狛 由紀子 長谷川 直美 佐藤 清 加藤 保博
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.141-149, 2008-06-30 (Released:2008-07-17)
参考文献数
20
被引用文献数
14 13

米の加工および調理による計11種の農薬の残留濃度変化に伴う調理加工品への移行率(玄米に残留する農薬量に対する生成試料中の残留農薬量の比率,%)について,プレハーベスト処理試料(Pre, 9薬剤)とポストハーベスト処理試料(Post, 4薬剤)を調製して調査した.また,玄米に残留する農薬の濃度に対する生成試料中の残留農薬濃度の比(以下,本報告では加工係数と称する)も求めた.Preの結果は以下のとおりであった.精米工程において,玄米に残留していた農薬のうち40~106%が糠とともに除去され,白米に残っていたのは10~65%の範囲であった.白米の加工係数は0.11~0.73を示した.これらの数値は,薬剤間の差が大きかった.加水分解性,水溶解性,蒸気圧,log Powなど各農薬の物理化学的性状の一要因と移行率との間に相関は認められなかった.調理加工における農薬の残留濃度変化を調査することは,基準値設定に役立つばかりでなく,食品における農薬の残留実態を認識する上で重要である.
著者
加藤 康子
出版者
新潮社
雑誌
新潮45
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.88-92, 2017-08
著者
山下 勝弘 柏木 史郎 加藤 祥一 伊藤 治英 亀田 秀樹
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.469-474, 1998

高血圧性脳内出血患者の長期予後と理学療法の現状について検討した.山口県の北部地域において1990年から1996年までの7年間に高血圧性被殻,視床出血に罹患した330人を対象とした.患者の平均年齢は66.2歳で,男女比は1.4:1であった.発症からデータ集計までの平均期間は3.8年で,長期予後はBarthelindex(BI:10~29点)で評価した.<BR>多変量解析では,長期予後は出血の大きさと理学療法の積極性に有意に相関した(p<0.05).被殻出血では小出血,中等大出血,大出血の80%,40%,11.1%が長期予後良好(BI:29点)であり,視床出血ではこれらの割合が,75%,51.6%,14.3%であった.一方,長期予後が不良(BI:10~28点)の患者では,理学療法を積極的に継続している患者は,わずかに22%であった.<BR>高血圧性脳内出血患者では,特に長期予後不良の患者で理学療法が積極的に行われておらず,患者の長期予後改善に向けて理学療法に対する積極的な取り組みが必要である.

1 0 0 0 開国史話

著者
加藤祐三著
出版者
神奈川新聞社
巻号頁・発行日
2008
著者
高倉 保幸 山本 満 陶山 哲夫 高橋 佳恵 大住 崇之 大隈 統 小牧 隼人 河原 育美 加藤 悠子 若林 稜子 草野 修輔
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.B0014, 2006

【目的】脳出血で最も高い割合を占める被殻出血では、血腫の進展を示すCT分類や出血量、意識障害と予後との相関が高い事が知られているが、急性期病院の平均在院日数である発症後3週での予後との関係は明らかにされていない。また、臨床的には急性期の機能的予後にはCTにおける脳浮腫の程度と相関が高いという印象を持っているが、その評価基準は確立されていない。本研究の目的は、急性期被殻出血の機能的予後を予測する指標について検討することである。<BR>【方法】対象は当院にて初回発症で理学療法を行った被殻出血47例とした。年齢は60.1±10.7歳(平均±標準偏差)、性別は被殻出血が男性32例、女性15例であった。予後予測の因子として検討した項目は、脳卒中の外科学会によるCT分類(以下CT分類)、総出血量(長径×短径×高さ÷2)、出血径(長径)、脳浮腫、発症時意識(JCS)、発症翌日意識(JCS)とした。脳浮腫の判定は独自に3段階の評価基準を作製、いずれのレベルでも脳溝の狭小化がみられないものを1、脳溝の狭小化がみられるものを2、モンロー孔のレベルから3cm上部での病巣側の脳溝が消失しているものを3とした。基本動作能力の判定には11項目からなる改訂された機能的動作尺度(以下FMS)を用いた。FMSの検査時期は21.9±2.0日であった。各因子とFMSおよび因子間におけるスピアマンの相関係数を算出し、基本動作能力の予測に有用な因子を考察した。<BR>【結果】各因子およびFMSの結果をみると、CT分類の中央値はIII、総出血量の平均は36.8ml、出血径の平均は4.7cm、浮腫の中央値は2、発症時意識の中央値はII-10、発症翌日の意識の中央値はI-3、FMSの平均は14.8点であった。FMSとの相関は、CT分類では0.64(p < 0.01)、総出血量では0.61(p < 0.01)、出血径では0.57(p < 0.01)、脳浮腫では0.55(p < 0.01)、発症時意識では0.14(p = 0.34)、発症翌日意識では0.29(p = 0.45)となった。また、浮腫との相関は、CT分類では0.40、総出血量では0.50(p < 0.01)、出血径では0.54(p < 0.01)となった。<BR>【考察とまとめ】機能的予後を予測する指標としてはCT分類、出血量、脳浮腫が有用であることが示された。出血量では総出血量を算出する方が指標としての精度は高くなるが、長径により代用する方法も簡便で有用であると考えられた。新たに作製した脳浮腫の評価は予後と有意な相関を示し、CT分類や出血量と強い相関を示さないことから評価指標としての有用性が示された。意識はリハ開始前の死亡例が除かれていることおよび発症3週間という短期間で調査であることから相関が低くなったと考えられたが、発症日の意識よりも発症翌日の意識を指標とする方が有用であることが示唆された。<BR>
著者
沼田 宗敏 加藤 邦人 輿水 大和
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.592-597, 2010-05-05 (Released:2010-11-05)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

This paper proposes a robust and fast Hough transform by which a set of lines can be detected by the use of high-speed M-estimator. This proposed method is one of the matching methods that is similar to the least squares (LS) method, however, the proposed method does not use the conventional parabolic function for the error function, and instead, does use the 2nd order B-spline basis function so that the following extreme advantages could be provided : The ill effect caused by the outlier will be drastically decreased in the proposed method, and in addition, the estimated line becomes just the same as those given by the LS fitting when no outlier exists. Furthermore it was possible to reduce the computation cost by introducing the successive usages of the rectangular filter.
著者
矢野 佳子 近藤 三隆 甲村 稔 武鹿 良規 加藤 俊男
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.990-997, 2013 (Released:2014-10-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1

症例は57歳女性.腹痛,背部痛を主訴に近医受診し,超音波検査で巨大腹部腫瘤を指摘され,当院に紹介された.腹部CTでは肝,膵,胃を圧排する23cm大の巨大な囊胞性腫瘤で,3D-CT angiographyでは左胃動脈,右胃大網動脈が腫瘍の栄養血管で,胃GISTを疑い開腹した.腫瘍は局所切除困難にて,胃全摘術を選択した.腫瘍径は23×20×12cm,重量は2,800g,内部は壊死物質と血液で満たされていた.免疫染色でc-kitとCD34が陽性で,胃GISTと診断した.術後補助化学療法を施行せず3年2カ月無再発生存中である.遺伝子解析にてエクソン11の遠位領域の挿入型変異で,比較的予後良好な稀な変異の型と考えられた.遺伝子解析は,囊胞化し巨大化した胃GISTの予後を決定する独立した危険因子になりえ,治療方針や予後の予測に重要と考えられた.本邦報告17例を集計し,文献的考察を加えて報告する.
著者
加藤 秀雄
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
社会科学論集 = SHAKAIKAGAKU-RONSHU (The Social Science Review) (ISSN:05597056)
巻号頁・発行日
no.148, pp.81-111, 2016

Ⅰ 桐生市産業の変遷と現在の基本的特質1.工業統計調査からみた桐生市産業の変貌2.桐生市繊維関連団体データからみえてくる特徴3.周辺3市域からみえてくる現桐生市域の特徴Ⅱ 桐生市産業の発展の歩みと諸課題1.和装織物業の挑戦2.アパレル産業を構成する桐生繊維企業の取り組み3.その他の繊維関連企業4.工業団地に立地する機械金属工業等Ⅲ 地域産業の発展に向けての分析視角1.和装織物企業の発展課題と産地問題の行方2.日本アパレル産業と桐生繊維産業の比較分析3.地域産業の発展に向けての立地政策の課題
著者
加藤 秀雄
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
社会科学論集 = SHAKAIKAGAKU-RONSHU (The Social Science Review) (ISSN:05597056)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.81-111, 2016

After the Second World War, the Kiryu textile production region developed as a production center and exporter of textiles. Kiryu then underwent great changes caused by various events including the Textile Industry Problem between Japan and the United States and the Nixon Shock. It is known that during the same period, the neighboring regions of Isesaki, Ota, Tatebayashi, Ashikaga, and Sano were quick to attract automotive and electrical industrial factories. However, Kiryu was able to undergo only a small degree of industrial development. This difference was due to geographical constraints of Kiryu, and the influences of the formerly powerful fiber production industry. This historical difference is the cause of the modern challenges to Kiryu City’s industrial development. These points will be further researched to present the current condition of Kiryu City’s industry and challenges for future industrial development. This paper will analyze the current condition of industry in Kiryu City and determine analytical perspectives for future research.
著者
加藤 聡
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.136-141, 2007-10-30

白内障 1.病態,疫学 糖尿病下で高血糖状態が続くと,血液房水柵を通って房水中のグルコース濃度が上昇し,水晶体内にも自由に移行する。糖尿病状態では,本来の解糖系が働かずポリオール代謝系が使用され,グルコースの多くはソルビトールに変化し,水晶体内でソルビトールが増加する。水晶体膜は生体膜としてソルビトールの通過を阻止する一方,ソルビトールは水と親和性が高いので細胞外の水分を細胞内に引き込む。そのため,水晶体細胞が浮腫に陥り,細胞自体が膨化し,水晶体線維を中心とした構造は破壊され,白濁すると考えられている(浸透圧説)。浸透圧説が白内障の成因に関与することは疑いがないが,それだけでは説明がつかないところもあり,他の因子も白内障の成因に加味されていると考えられる。 糖尿病に合併する白内障には,真性糖尿病白内障と仮性糖尿病白内障がある。真性糖尿病白内障は,40歳以下の1型糖尿病患者にみられ,両眼性で急速な進行を呈する。一方,仮性糖尿病白内障は,老人性白内障との鑑別が難しいため頻度の報告についてはばらつきが大きく17.4~89.0%1~4)とされているが,明らかに糖尿病による白内障は25%程度,糖尿病患者に白内障が合併しているものが67%程度と報告されている4)。