著者
久保 輝一郎 加藤 誠軌 白崎 信一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1767-1771, 1962-11-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3

α,β,γ-FeOOHの空気中での熱分解過程を高温X線回折,示差熱分析,熱天秤,電子顕微鏡などによって追跡した結果,三者とも約50~240℃で吸着水が離脱するが,続いておこる1分子の結晶水(2FeOOH=Fe2O3・H2O)の離脱とα-Fe2O3への結晶化過程では,三者でその生起温度範囲と結晶化学的挙動に著しい違いが誌められた。なお,γ-FeOOHの脱水によってはX線的には直接α-Fe2O3に変化し,γ-Fe2O3の生成は認められなかった。高温X線回折図形から計算した粉末の格子面間隔変位は,脱水過程では脱水自体による格子面間隔の縮小あるいは膨張により,また結晶化・焼結過程では格子の熱膨張だけによると考えられ,後者は出発物質のオキシ水和鉄の種類によってその値に多少の差が認められ粉末の構造敏感な性質の一つと考えられる。この際,Tammann,Mansuriらの考えた絶対温度での自己拡散の顕著になる温度と融点との比を0.5(無機化合物の場合)にとると格子の熱膨張および自己拡散の顕著になり始める温度はほぼ一致する。
著者
水元 紗矢 島田 周輔 神原 雅典 石原 剛 加藤 彩奈 大野 範夫 鈴木 貞興 小笹 佳史 浅海 祐介 吉川 美佳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI1300, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】変形性膝関節症において、異常な膝回旋運動を呈しているという報告を散見する。膝回旋はわずかな運動であり、回旋を評価することは難しい。内外側ハムストリングスは膝屈曲においては共同筋だが、回旋では拮抗筋となるため筋活動をみることで膝回旋運動を推察することができる。我々は第45回の本学会で下肢アライメントと歩行時筋活動との関係について、Q-angle高値側は内外側ハムストリングス筋活動比(M/L比)が低いと報告した。臨床において足位や後足部アライメントが脛骨回旋異常を引き起こしている症例を経験することから、今回足位および後足部回内外アライメントがM/L比に与える影響について検討したので報告する。【方法】対象は膝に障害のない健常男性10名(平均年齢27.5歳±1.9歳)の左膝10肢である。足位と後足部アライメントを変化させた条件下で、片脚スクワットを行なわせた際のM/L比を比較検討した。課題運動は片脚立位から膝屈曲60°の片脚スクワットである。上肢は胸の前で固定し、反対側の下肢は膝屈曲位、膝内外反および股関節内外転中間位で後挙させた。スクワットは屈曲2秒、屈曲保持2秒、伸展2秒の計6秒間とし、計3回行った。被験者には十分練習を行った上で計測した。筋活動の算出にはスクワット伸展2秒間の大腿二頭筋(BF)、半腱様筋(ST)、半膜様筋(SM)の筋活動を計測した。筋活動の記録には表面筋電計(Megawin Version2.0、Mega Electronics社)を用いた。得られた筋活動のRoot Mean Square(RMS)振幅平均値を算出し、計3回の平均値を各筋のRMSとした。さらに膝屈曲45°での最大等尺性収縮を100%として正規化し、%RMSを算出し各筋の%RMS を求めた。ST、SMに対するBFの割合をそれぞれST/BF比、SM/BF比とした。足位は、床に対して足長軸を進行方向に向けた位置をtoe 0°、それより5°外側に向けた位置をtoe-outとした。後足部アライメントは、入谷の方法をもとに2mmのパットを用いて回内位(PR)、中間位(NP)、回外位(SP)を誘導した。検討項目は、ST/BF比とSM/BF比を以下に示す3通りの方法で比較検討した。1.(1) NP・toe0°とNP・toe-out、(2) NP・toe0°とPR・toe0°とSP・toe0°、(3) NP・toe-out とPR・toe-out とSP・toe-outとした。2.NP・toe-outでのST/BF比とSM/BF比を検討した。各筋の%RMSを比較した。統計学的解析には、二元配置分散分析法と多重比較検定、対応のあるt-検定を用いた。有意水準は5%未満とした。【説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、被験者には研究の主旨を十分に説明し同意を得た上で計測した。【結果】1-(1) toe0°とtoe-outではST/BF比、SM/BF比とも有意差を認め(P<0.05)、toe-outでBFの活動が高くなった。1-(2) toe0°では、ST/BF比でPRとSP間に有意差を認めた(P<0.05)。1-(3) toe-outでは、SM/BF比でNPとPR間に有意差を認め(P<0.05)、PRでBFの活動が高まり、SMの活動低下がみられた。2. toe-outでのST/BF比とSM/BF比は有意差を認めなかった。【考察】 本研究により、荷重位での足位および後足部アライメントによりM/L比が変化することが示された。Scott.K(2009)はtoe-outでのエクササイズにてM/L比の減少が起こると報告しており、本研究の結果もそれを支持する結果となった。toe-outにてBF筋活動が高まることは、内旋方向へ誘導される下腿の運動を制御した結果ではないかと考えた。toe-out・PRにおいてSM/BF比は減少を認めたが、ST/BF比は有意差を認めなかった。この理由としては、STとSMの筋機能の違いによるものと考えた。SMは筋形状とレバーアームの関係により浅屈曲で筋活動が優位になり、STは深屈曲で筋活動が優位となる。回旋作用としてはSMに比べSTで作用が高い。本研究ではスクワット60°屈曲位で行ったことから、SM筋活動の抑制が起きたためSM/BF比に有意差を認めたと考えた。【理学療法学研究としての意義】本報告で、足位および後足部アライメントの変化によるST/BF比、SM/BF比の基礎的データが得られた。足位および後足部アライメントが内外側ハムストリングスの筋バランスに影響を与えることが示された。スクワット運動や荷重位でのエクササイズにおいて、足位や後足部アライメントを考慮する必要があると考えた。
著者
加藤 逸郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.726-729, 1998-11-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

硫酸工業は歴史が古く, 当初の硝酸式硫酸製造方法は現在全て接触式に切り替わった。原料は環境問題等から硫化鉄鉱から回収硫黄および製錬ガスに変わった。触媒は圧力損失の減少および接触面積の拡大を図ったリング触媒が登場した。SO_3吸収工程の吸収熱は廃棄されていたが, 高濃度・高温度硫酸でSO_3を吸収し, 発電に利用する技術が開発された。硫酸冷却器は従来のイリゲーションタイプに代わってステンレス製電気防食式のシェル・チューブタイプのものが普及しつつある。
著者
加藤 博子
巻号頁・発行日
2006-03-27

名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(文学) 学位授与年月日:平成18年3月27日
著者
高良 武博 大湾 知子 加藤 種一 上原 勝子 津波 浩子 佐久川 廣美 備瀬 敏子 久田 友治 新里 敬 健山 正男 比嘉 太 佐久川 廣 草野 展周 斎藤 厚
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.267-273, 2004-05-10 (Released:2010-07-21)
参考文献数
13
被引用文献数
5

MRSA分離患者が多かった病棟において, 看護行為前後の手指衛生行動としての手洗いと手指消毒を経時的に参与観察し, 接触伝播に対する防止対策を検討した.看護行為全体に対する直接看護行為の割合は46%で, 診療・治療の介助が16.2%, 排泄ケアが9.8%と高く, 手指衛生行動の実施率は排泄ケア前後が46.6%と最も高かった. それらの行為後では流水による手洗いが多く, 実施場所はナースステーションが多かった. 手指衛生行動の必要場面の実施率は行為前より行為後が高く, 診療・治療の介助前が12.5%, 介助後が30%, 排泄ケア前が11.1%, ケア後が55.6%であった. しかし, MRSA患者に対しては排泄ケア, 入浴介助時の手袋着用率は高いが, 取り外し後の手指衛生行動の実施率は低かった. 手指衛生行動の関連要因では, 直接看護行為後に必要な手指衛生行動の実施率は看護経験年数と正の相関を認めた. 以上の結果より, 手指衛生行動の教育・啓発活動としては, ケア前後及び手袋取り外し後の手指衛生行動の遵守強化, 連続看護行為時の手指消毒の推奨, 手洗い設備としては, 看護行為場所から手洗いシンクへの移動時の接触伝播防止として, 各病室の手洗いシンクへの石鹸やペーパータオルの設置が必要である. 今後, 手指衛生行動の評価には看護行為実践時の経時的観察が必要であり, 看護行為及び手指衛生行動を経時的かつ迅速に評価できる観察・評価表を考案した.
著者
若山 俊隆 丸山 直子 加藤 綾子 水谷 康弘 東口 武史
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

患者によって異なる外耳道の3Dマップを個別に取得し,最適化された音を鼓膜に伝えることができれば,うつ病や認知症の抑制に貢献できる.研究対象となる外耳道の緩やかなS字を描くような湾曲した細い管の形状を計測する方法は,医療分野にとどまらず産業分野においても必要不可欠な医術であるが,これを達成する方法は確立されていない.このような研究背景から,本研究では三次元音響解析からハウリングを起こしにくい発振器の最適な位置と角度を明らかにする外耳道完全3Dマップを作成するために,極細径の新規な円管ビーム光源と三次元動作解析により,湾曲した外耳道を形状計測できる光スキャナの開発を目的にしている.本研究では,従来の樹脂を用いた外耳道の型取りをなくし,光計測で瞬時に型取りするパラダイムシフトを起こす.このような研究目的を達成するために,本年度は細径の内管の内壁の三次元形状を計測するための方法を提案し,直径3 mmの細径光スキャナを開発した.本手法によって従来までは困難であった外耳道の形状計測を可能とした.さらに本方法に多関節アームを導入することで湾曲した外耳道の3Dマップを達成した.実験サンプルには外耳道模型を購入し、形状計測を行った.得られた光スキャナの結果をマイクロフォーカスX線CTの結果と比較すると計測エリア全体で0.5 mm以下の一致となった.通常、マイクロフォーカスX線CTでは被爆がある.また、シリコンなどの印象材では外耳道を傷つける恐れもあるが、本手法は非侵襲かつ非接触にこれらを計測することを実現した.その一方で,提案した方法の問題点も山積していることも明らかになった.次年度以降はこれらの問題点を突破することを目指す.それと共に取得された外耳道の形状から補聴器への応用を考えていく.
著者
星野 真由美 渡邉 揚介 後藤 博志 小野 賀功 加藤 廉 上瀧 悠介 九鬼 直人 上原 秀一郎 越永 従道
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.86-90, 2020

<p>症例は日齢0女児.他院にて妊娠初期に妊娠が確認されたが,その後未受診となっていた.在胎36週6日に自宅分娩となったため,母児ともに救急搬送となった.児は腹壁破裂を認め,日齢1にSilo形成を行い,脱出臓器を徐々に腹腔内に還納後,日齢10に腹壁欠損部への臍帯充填によるsutureless腹壁閉鎖法を施行した.術後敗血症などの重篤な合併症はなく日齢78に退院となった.未受診妊婦から出生した児は予後不良とされるが,腹壁破裂のように合併奇形が少なく,生存率が高い疾患の場合は,出生後の処置が適切であれば,自宅分娩であっても救命可能であると思われた.未受診妊婦の出産は非常にハイリスクであるが,腹壁破裂の母体の特徴から未受診で妊娠経過を過ごし,出生前診断されないまま,自宅分娩や飛び込み分娩にて出生することは今後も起こりうる事象であり,妊婦健診および胎児診断の重要性については女性のみならず,男性へも教育するシステムの充実が急務である.</p>
著者
加藤 浩
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.12-23, 1991-06-30 (Released:2017-05-22)

Plato censures the imitative poetry and at the same time makes many mythoi in his dialogues. The purpose of this paper is, therefore, to analyse the usages of mythos and its related terms in the context in which they occur and to consider the relation between mythos and poiesis. In the Protagoras the compound of mythos and logos produced by rhetorike is contrasted with logos gained by dialektike, while in the Gorgias and the Phaedo two escatological mythoi anticipate the horizont which logos will be able to reach. When the Idea of Good and dialektite are introduced in the Republic, the inconclusiveness of the dialogue and the conclusiveness of dialektike become obvious. Mythos of Er is allowed to be told as far as it points to the conclusive horizont which dialektike will ultimately reach and makes the dialogue conclusive. Likewise, mythos in the Phaedrus represents the comprehensive vision of dialektike. Mythos as poiesis is characterized by falsehood. But in the Republic mythos is judged according to two norms which regulate what the poets should tell of gods and men. Thence I infer that mythos of Er indicates the ideal mythos which should be told of men. The poetics of Plato, if possible, will be called philosophical as compared with the technical poetics of Aristotle.
著者
加藤 吾郎
出版者
大東文化大学大学院日本文学専攻院生会
雑誌
日本文学論集 (ISSN:03858731)
巻号頁・発行日
no.41, pp.9-18, 2017-03

本論文は近世文学に登場する楽器が、作品にどのような影響を与えているのかを考察したものである。今回は主として曲亭馬琴の著作を取り上げた。『南総里見八犬伝』や『椿説弓張月』・『美濃旧衣八丈綺談』等である。馬琴の作品に描かれている楽器には音響効果としての役割以外にも意味がある。ではその意味とは何かという点を追及した。取り上げた楽器は笛、琴の二種である。
著者
桑折 章吾 加藤 優 高間 康史 Kori Shogo Kato Yu Takama Yasufumi
雑誌
SIG-AM = SIG-AM
巻号頁・発行日
vol.04, no.02, pp.9-14, 2013-07-29

本稿では,検索エンジンを用いた情報検索におけるユーザ行動を分析した結果について報告する.我々は,「動向に関する問い」を対象とした検索エンジン構築を目指し,その基本的検索機能について検討を進めている.既存検索エンジンを用いた検索でも,ユーザは異なる意図に基づく基本的検索を組み合わせて目的を達成しているとの考えに基づき,本稿では検索意図の観点からユーザの情報検索行動を分析し,得られた結果に基づき動向に関する基本的検索機能について考察する.
著者
加藤 京里
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.10-18, 2012-01-15 (Released:2016-08-01)
参考文献数
27

本研究は,入院患者に対する後頸部温罨法について,生理学的指標,主観的睡眠および快感情との関連を明らかにすることを目的とした.入院中の女性 (61.8 ± 22.2歳) 6名を対象者とし,連続した3日間,就寝前に 40℃ 10分間の後頸部温罨法を実施した. 後頸部温罨法を実施後,実施前に比較して手掌皮膚温が有意に上昇した (p=0.039)鼓膜温は有意な変化は認められなかった.対象者は後頸部温罨法によって温かさと気持ちよさを感じていた.温罨法施行中の快には,唾液アミラーゼが低下するような休息的快と,唾液アミラーゼが上昇する活動的快が含まれた.夜間の主観的睡眠状況については,研究前と研究3日目の比較において OSA睡眠調査票得点における総得点 (p=0.011),疲労回復得点 (p=0.008) が上昇し,睡眠の改善をみせた. 後頸部温罨法は,唾液アミラーゼの上昇を伴う活動的快と唾液アミラーゼの低下を伴う休息的快が生じ,手掌の皮膚温上昇をもたらし,睡眠を促す可能性があることが示された.
著者
加藤 優 高間 康史
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.115-118, 2012 (Released:2013-07-25)

Web上には,過去に作成され,そのまま放置されているWebページが膨大に存在している.これらのページは,過去を知るためのリソースとしての活用が期待できる.本稿では,過去の流行・動向に着目し,動向に関する問いに対して行う検索をコンテクスト検索として定義して,その検索手法を提案する.提案手法では,検索ボリュームと検索ヒット数をWebコンテクスト情報として扱い,これに基づいて情報検索を行う.ゲームを対象アイテムとして評価実験を行い,手法の有効性を示す.
著者
加藤 節
出版者
岩波書店
雑誌
思想 (ISSN:03862755)
巻号頁・発行日
no.770, pp.p42-55, 1988-08
著者
Locke John 加藤 節
出版者
成蹊大学
雑誌
成蹊法学 (ISSN:03888827)
巻号頁・発行日
no.61, pp.183-288, 2005