著者
鈴木 もとこ 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.1799-1807, 2017-11-15

今後ロボットが家庭に普及するために,人間とペットとロボットの3者が良い関係を築くことが大切である.我々は人とのインタラクションを目的に作られたロボットがペットと家庭で共生するために,ロボットにペットが好む行動をさせ,ペットがロボットをより好むようにすることを目標とする.本研究では,犬の世話行動をするロボットに注目した.世話行動をするケアロボットと世話行動をしないノンケアロボットの2台を用意し,ロボットが世話行動を行った後に犬がどちらのロボットをより好むか調査した.具体的には,ロボットが行う犬の世話行動は,飼い主へのアンケート結果をもとに餌やりとボール遊びの2種類とした.結果,犬は餌やりの世話行動をするケアロボットをノンケアロボットよりも有意に好むことが分かった.一方でボール遊びの世話行動については,ロボットとボール遊びをする犬としない犬の2群に分けられ,ボール遊びをする犬はボール遊びの世話行動をするケアロボットをノンケアロボットより有意に好むことが明らかになった.この知見は今後,家庭におけるロボットのペットに対する関わり方の指針となることが期待される.It is important for human beings, pets and robots to establish a good relationship in order for robots become popular to homes in the future. We are supposed to coexist between humans and robots that were made for human interaction at home. Then, let the robot take actions preferred by the pet and aim to make the robot more preferably by the pet. In this research, we focused on robots that take care of dogs. We used two robots that take care actions robot and non-care action robot, and surveyed which robot the dog likes more preferably after the robot takes care action. Specifically, the behavior of robot was two types of feeding and ball play based on the questionnaire result of the owner. As a result, it became clear that the dog significantly prefers the care robot which takes care of bait feeding than the non-care robot. On the other hand, as for the behavior of taking care of the ball play, it is divided into two groups: a dog which play ball with a robot, a dog which does not play ball with a robot. It became clear that dogs playing balls significantly prefer care robots to take care of ball playing than non-care robots. It is expected that this finding will be a guide for how robots are involved in pets at home.
著者
鈴木 克幸 原 康之 本間 理 髙屋 快 白幡 康弘
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.307-310, 2015-03-31 (Released:2015-06-11)
参考文献数
16

症例は56歳,男性。心窩部痛・嘔吐を主訴に前医を受診し,胸腹部造影CT検査所見で最大径50mmの巨大脾動脈瘤と完全内臓逆位を指摘され,手術目的に当科紹介となった。完全内臓逆位という破格があり,動脈瘤が直径50mmと大きいため開腹手術を選択した。脾動脈瘤と膵臓との癒着が高度であり,脾動脈瘤の切除は膵損傷および術後膵液漏の危険性が極めて高いと判断し,脾動脈結紮+脾臓摘出術を施行し,術後合併症なく経過した。脾動脈瘤は比較的まれな疾患であり,最大径50mm以上の報告例は極めて少ない。また,完全内臓逆位を伴う脾動脈瘤の手術例の報告はない。今回われわれは完全内臓逆位を伴う最大径50mmの脾動脈瘤に対して手術を施行したので,文献的考察を加え報告する。
著者
川野 紀子 田代 充生 田口 雅史 木原 康之 芳川 一郎 宿輪 和孝 山崎 雅弘 久米 恵一郎 大槻 眞
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.1627-1633, 2008 (Released:2008-11-05)
参考文献数
19

症例は73歳男性.排便時の肛門部痛を主訴に来院した.直腸Rb部に直径4cm大の一部黒色を呈する隆起性病変を認め,肝転移をともない,直腸肛門部悪性黒色腫(Stage IV)と診断された.dacarbazine,nimustine,cisplatin,tamoxifenによる多剤併用化学療法(DAC-Tam療法)に加えinterferon-βの局所投与を施行したところ,1コース終了時には疼痛の消失と原発巣の縮小,肝転移の消失を認めた.計6コース施行後に,直腸腫瘍からの出血コントロールに対する放射線治療を併用した.化学療法を合計8コース施行し,初回治療開始後24カ月経過した現在も生存中である.
著者
高増 広大 田原 康之 清 雄一 大須賀 昭彦
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2016-SE-191, no.2, pp.1-8, 2016-03-07

近年,スマートフォンの普及率が世界的に増加しているのに付随してスマートフォンアプリケーションの需要が高まっており,開発が進められてきている.そのため同じ課題を解決できるアプリケーション,すなわち類似したアプリケーションが多数出現している.そこでユーザはアプリケーションを利用して目的を満たす事は最低限の条件として,アプリケーションのコンテンツや使い易さ等,自分がこだわる観点でのアプリケーションの選定を行いたくなると考えられるが,多数の中からの選定は困難である.本研究では,ユーザが目的を達成する為にアプリケーションを導入するという前提で,ユーザのこだわりを考慮した推薦システムを提案する.そのために,通常アプリケーションの入手先となるアプリストアに投稿された他のユーザのレビューコメントに自然言語処理手法を適用する.具体的には,コメントから類似アプリケーションの特徴を表すと考えられる単語を抽出し,ユーザはそこから興味を持った単語を選ぶ.アプリケーションのレビューコメントにおいて単語の評価がネガティブかポジティブかを判定することにより,アプリケーションのその単語に関する評価値を算出し,ランク付けして推薦する.算出した評価値を,実際にアプリを使用した被験者による評価と比較し,またレビュー内に出現する単語に対するネガティブ・ポジティブの判定を,人手で作成した正解データと照らし合わせる事でシステムの評価を行った.
著者
原 康之 川岸 直樹 中西 史 武田 郁央 宮城 重人 佐藤 和重 関口 悟 佐藤 成 大内 憲明
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.048-052, 2013-03-10 (Released:2014-10-03)
参考文献数
12

An indocyanine green (ICG) test is a reliable and convenient examination that has been generally used for evaluating the liver function for hepatectomy, especially in patients with hepatic cirrhosis. We routinely perform an ICG test a preoperative examination for the donor of the living donor liver transplantation (LDLT). Here we report a rare case of living donor with Gilbert's syndrome and a constitutional ICG excretory defect.A 32-year-old woman became a donor candidate of LDLT for her 7-month-old nephew with fulminant hepatic failure. Preoperative examination tests showed no abnormal values except a marked delay of ICG retention rate at 15 minutes (69.2%) and hyperbilirubinemia; total bilirubin was 2.5 mg/dl, and indirect bilirubin was 2.3 mg/dl. The patient was diagnosed as Gilbert's syndrome with constitutional ICG excretory defect but was still entitled as an appropriate living donor. Left lateral segmentectomy was performed for the donor, and there were neither perioperative nor postoperative complications. Laboratory tests of the donor showed no remarkable change during a two-year course after surgery. The recipient was discharged 87 days after the transplantation without severe complications.This case report showed that left lateral segmentectomy could safely be performed on the living donor with Gilbert's syndrome and constitutional ICG excretory defect. However, more data collections and deliberations are required to decide whether a volume extraction of grafts, i.e., right or left lobe, is applicable to this donor.
著者
原田 英治 五十里 洋行 後藤 仁志 菅原 康之 松藤 慶之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_487-I_492, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
16

波打ち帯での遡上波の打上げと打下げの相互干渉は,砕波を伴う複雑な自由水面の変化をもたらす.また,透水性を有した斜面での浸透・滲出流の存在は,底面掃流力に影響するが,ドライベッドへの打上げは底面掃流力の急変をもたらすため,漂砂量の見積に大きな影響をおよぼす.本研究では,複雑な水表面境界と移動床境界を追跡するため,波動場計算にMPS法を採用し,移動床計算にDEMを用いたMPS-DEMカップリングによる数値シミュレーションを実施する.計算で得られた礫浜斜面における浸透・滲出流による圧力勾配力の位相別岸沖分布から,海浜変形計算に対する浸透流の重要性が示された.また,特に掃流力が強く,顕著な浸透流が見込まれる領域では,浸透流を考慮した漂砂量予測の重要性が示唆された.
著者
木原 康之 鈴木 達也 菅野 貴皓 深尾 隆則 津坂 優子 札場 勇大 佐藤 太一 横小路 泰義
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.803, pp.2362-2372, 2013 (Released:2013-07-25)
参考文献数
13

We have already proposed the method to transfer human skill to a robot through direct teaching. By using the method, we can automatically extract human skill including sensory feedback to adapt to environmental variation. However, we have not discussed what trajectory is robust against environmental variation. In this paper, we discuss the robustness condition of robot trajectories against environmental variation and how to derive the robust trajectory. We propose a method to determine whether a trajectory is robust or not. The method considers the probability of the environment variation uses the parameter space expression of trajectory in order to derive the robustness condition. We confirm the effectiveness of the proposed method through a case study on a typical assembly task, peg-in-hole.
著者
ミン テイ グェン 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.386, pp.19-24, 2010-01-15
被引用文献数
1

本論文の目的は,日本語Webページの文中に現れる行動の基本属性(行動主,動作,対象,時刻,場面,場所)と行動間の遷移を自動的に抽出することである.しかし,先行研究では,抽出のための準備コストが大きいことや,抽出できる行動属性が少ないこと,適用可能な文の種類が少ないこと,行動属性間の係り受け関係を十分に考慮されていないこと,そしてプライバシーなどといった問題がある.そこで本論文では,条件付確率場(Conditional Random Fields)と自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)を用いて,行動属性と行動間の遷移を自動的に抽出する手法を提案する.提案手法では,人手でラベル編集,初期インスタンスの作成,行動のドメインの定義などの必要がなく,一回のテストで文中に現れる行動属性と行動間の遷移を漏れなく全て抽出でき,高い精度が得られる(行動:88.9%,基本行動属性:90%以上,行動間の遷移:87.5%).
著者
三代 謙仁 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1791-1799, 2011-11-01
参考文献数
19

近年,食や環境への意識の高まりから野菜作りやインテリアグリーンに関心が集まっている.しかし,都市の限られた環境で緑を育てるのは容易ではなく,その環境に適した植物を選択するには専門的な知識が必要ということもあり,不用意に繁茂させたり,逆に枯らしてしまうケースも多い.また,インテリア/エクステリアとしては周辺環境との調和が気になるが,成長時の生い茂った姿を想像するのは素人には難しい.そこで本論文では,携帯電話のセンサを用いて,植裁スペースの環境(日照,温度,気温等)に適した植物を推薦するエージェントシステムの開発について述べる.また,本システムでは,推薦した植物の成長した姿を3DCGで表示するという拡張現実手法を用いて,周辺の景観とマッチするかどうかを視覚的に確認することもできる.これにより,植物や園芸に関する特別な知識がなくとも,環境に適しており,かつ周辺の景観との調和のとれた植物を選ぶことが可能となる.今回の実験では約70%の精度で適した植物を推薦できることを確認できた.
著者
グェンミン テイ 伊藤 雅博 川村 隆浩 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.70, pp.39-44, 2011-05-19

本研究の最終目的は,計算機がユーザの状況を把握し,それに応じて皆の経験に基づく最適な行動パターンを推薦することである.これを実現するために,皆の経験に基づく行動パターンの集合知(行動パターンの構成要素,行動パターン間の関係)が必要である.そして,これらの行動パターンの表現,参照,更新の方式が必要である.しかし,皆の経験に基づく行動パターンの集合知を人手で構築するには膨大なコストがかかる.そこで,本論文は行動パターンの集合知である意味ネットワークの自動構築手法を提案する.まず,webコーパスから取得した行動文の中に現れる行動属性を自動的に抽出する.次に,抽出された行動データ(行動属性と行動属性間の関係)をN3で記述する.最後に,行動主と行動間の関係(遷移関係,因果関係)で,行動間のリンクを付け,意味ネットワークを構成する.
著者
田中 俊行 グェン ミンティ 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1751-1761, 2011-11-01

インターネットの普及に伴い,Web上には商品やサービス(対象物)に対する多くの評判情報が蓄積されている.しかし,誰でも発信できるが故に,情報は膨大となり,それら全てに目を通すことは利用者にとって多大な負担となる.そのような背景から,レビューから意見を自動的に抽出する研究が盛んに行われており,意見を<対象物,評価視点(属性),評価値>の三つ組と捉え抽出する研究も行われている.しかしながら多くの研究は,評価視点や評価値の抽出に辞書を用いており,ジャンルごとに必要となる辞書の構築のためのコストは小さいとはいえない.また,単に辞書を用いてマッチングを行っただけでは,精度が上がらないのが現状である.そこで本論文では,教師あり学習を用いて,レビューサイトから意見を抽出する手法を提案する.提案手法は,従来の手法のように大規模な辞書をあらかじめ用意する必要がないため,コストを大幅に抑えることが可能である.実験の結果,辞書をあらかじめ用意しない既存手法と比較して,最大で適合率は約26%,再現率は約47%向上した.また,既存研究では個別の辞書を必要とするような他ジャンルに対して本手法を適用した結果,ほぼ変わらない精度で抽出することができ,他ジャンルへの適用の可能性を示すことができた.
著者
佐藤 大輔 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1773-1782, 2011-11-01

本論文では,閲覧中のWeb上のニュース記事に対する意見を個人のブログから収集し,その本文中の主張部分を抽出して提示するシステムの提案を行う.現在ニュースサイトにコメント欄が用意されているところは少なく,検索エンジンを用いても個人の意見のみを収集するのは容易ではない.そこで個人の意見を述べやすい場であるブログに着目してニュース記事に関連した意見を集め,主張を抽出する.本研究では主張とは意見の中で筆者が強く述べている主観的な部分を指す.開発中の主張提示システムの中で,本論文では主張抽出に焦点を当てる.主張抽出には人手により主張であるとされた文章から形態素解析を利用して特徴的な抽出ルールを設定した.本システムによりユーザはニュースサイトを閲覧すると同時に意見の多角的な見方が可能になり,より深い洞察が得られるようになる.評価実験において人手による正解との適合率を求めたところ70.0%となった.
著者
浜本 一知 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1812-1824, 2011-11-01

ライフログなどの個人情報を提供し,プロバイダより情報推薦などの個人サービスを受ける場合,多くの個人情報を提供することで更に品質の高い個人サービスを受けることができる反面,情報の漏えいや流用などによるプライバシ侵害の危険性も増える.そこで本論文では,ユーザごとに設定する希望匿名度に対応する属性を開示する前に,匿名度に影響を及ぼす二つの要素,(1)プロバイダのユーザ背景情報,(2)コミュニティの状況,をチェックし匿名度に反映させることで開示属性を調整し,結果,無用な情報開示を避けることを特徴とするプライバシ保護エージェントを提案する.(1),(2)それぞれにおいて,課題を分析し,解決への提案手法について述べ,(1)は事例モデルによる実験的机上検証,(2)は歩行者モデルを用いたコミュニティを想定し机上検証により,提案手法の妥当性と有効性を確認した.
著者
グェン ミンティ 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.166-178, 2011 (Released:2011-01-06)
参考文献数
31
被引用文献数
2

In our definition, human activity can be expressed by five basic attributes: actor, action, object, time and location. The goal of this paper is describe a method to automatically extract all of the basic attributes and the transition between activities derived from sentences in Japanese web pages. However, previous work had some limitations, such as high setup costs, inability to extract all attributes, limitation on the types of sentences that can be handled, and insufficient consideration interdependency among attributes. To resolve these problems, this paper proposes a novel approach that uses conditional random fields and self-supervised learning. Given a small corpus sample as input, it automatically makes its own training data and a feature model. Based on the feature model, it automatically extracts all of the attributes and the transition between the activities in each sentence retrieved from the Web corpus. This approach treats activity extraction as a sequence labeling problem, and has advantages such as domain-independence, scalability, and does not require any human input. Since it is unnecessary to fix the number of elements in a tuple, this approach can extract all of the basic attributes and the transition between activities by making only a single pass. Additionally, by converting to simpler sentences, the approach can deal with complex sentences retrieved from the Web. In an experiment, this approach achieves high precision (activity: 88.9%, attributes: over 90%, transition: 87.5%).
著者
石川 冬樹 田原 康之 吉岡 信和 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1614-1629, 2004-06-15

連携プロセスを手軽に,プラットフォームに依存しない形で記述するBPEL(Business Process Execution Language for Web Services)のように,分散コンポーネントの動的な連携のためのWebサービス技術への取り組みがさかんに行われている.Webサービス連携は今後,無線接続されたモバイルデバイスで構成されるようなパーベイシブネットワーク等様々な環境に適用されていくと考えられる.しかしそのような環境においては,比較的低速で不安定な無線通信路等の資源制約の問題に対処する必要がある.本研究ではこの問題に対しモバイルエージェント技術を適用し,Webサービス連携を行うモバイルエージェントの動作記述のための枠組みを提案する.この枠組みでは,連携ロジックをBPELを用いて記述し,それに対し移動およびクローニングというモバイルエージェントの物理的なビヘイビアをルール記述として付加する.この分離により,BPEL記述を変更することなしに環境条件に応じて物理的な振舞いを追加したり変更したりすることができる.本論文では特に,形式言語Mobile Ambientsを用いてこの枠組みの意味定義を行い,またBPELの意味論が保存されていることを示す.Research on the Web Service technologies for dynamic integration of distributed components has recently commenced, including BPEL (Business Process Execution Language for Web Services) for specifying an integration process easily and platform-independently. Web Services integration is to be applied in various environments, for example, pervasive networks with wireless mobile devices. However, in such environments it is necessary to deal with constraints in resources, such as the relative narrowness and instability of wireless connections. This work adopts the mobile agent technology in response to this problem and presents a framework for description of agents' behaviors for integration. In this framework, the integration logic is described using BPEL, and physical behaviors of mobile agents, including migration and cloning, are added to the BPEL description as simple rules. This separation makes it possible to add or change physical behaviors according to environmental conditions without modification of the BPEL description. This paper especially concentrates on formal definition of the semantics of our framework using a formal language, Mobile Ambients, and proves preservation of the BPEL semantics.
著者
土肥 拓生 吉岡 信和 田原 康之 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1299-1311, 2005-09-01

近年, ネットワークの拡大に伴い情報の流通速度の高速化が進んでいる. それに伴いソフトウェアが扱うべきデータも大量・複雑になり, 環境の変化に対する変更も頻繁に生じるようになってきている. そのため, すべてを人間が把握した上で処理することは難しくなり, それを補うために自律性・協調性などの人間的な要素がソフトウェアにも求められるようになる. そして, マルチエージェントシステムはこのようなソフトウェアに対する解決策の一つとなる. マルチエージェントシステムにおいて重要な要素の一つは協調性, すなわち, インタラクションである. しかしながら, 既存の実装言語では表現力が不足しており, インタラクションの設計と実装の隔たりが大きい. そこで, 本論文では, インタラクションを実装するために必要な要素を検証するとともに, その理念に基づいて設計したインタラクション記述言語IOM/Tを提案する. IOM/Tを用いることにより, 設計をもとにインタラクションを開発することが容易になる.