著者
吉田 成一
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第49回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S37-3, 2022 (Released:2022-08-25)

喫煙による様々な健康影響が懸念されており、男性生殖系への影響も明らかにされている。最近は、副流煙が生じない加熱式たばこの使用が増加しているが、その男性生殖系への影響は不明である。副流煙が生じないが、妊娠中の喫煙は胎児に影響を与えることから、非喫煙者である出生した男性生殖系への影響も不明であり、明らかにする必要がある。そこで、妊娠マウスに加熱式たばこを曝露し雄性首相マウスの生殖系への影響を、成獣の雄性マウスに加熱式たばこを曝露し、雄性生殖系への直接影響を検討した。 加熱式たばこは広く使用されているPhilip Morris社から発売されているIQOSを用い、妊娠マウスに1回4本、妊娠期間中に2回の曝露、あるいは成獣雄性マウスに1回4本、週に1回あるいは5回の曝露を8週間行い、造精機能、精子性状解析などを行い、雄性生殖系への影響を評価した。 妊娠マウスに加熱式たばこを曝露し、雄性出生マウスヘの影響を検討したところ、5週齢のマウスにおいて、精細管障害や造精機能の低下が認められた。15週齢の時点ではこれらの影響が認められなかった。一方、成獣に加熱式たばこを曝露したところ加熱式たばこの曝露により精子性状の悪化が生じた。造精機能への影響は週5回曝露では生じたが週1回曝露では生じなかった。 以上のことから、加熱式たばこは従来のたばこと比べると健康影響が小さいと思われているが、雄性生殖系への影響については、加熱式たばこであっても生じることが示唆された。
著者
吉田 成一 市瀬 孝道
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【背景】妊娠中の喫煙が胎児や出生児に悪影響を及ぼすことは広く知られている。新しく開発された加熱式たばこは副流煙が発生せず、受動喫煙により非喫煙者に健康影響が生じないと考えられている。しかし、妊婦が喫煙した場合、妊婦本人のみならず、非喫煙者である胎児に影響を与えることが考えられるが、妊娠期の加熱式たばこの喫煙が出生児にどのような影響を与えるかについての検討は行われていないため、不明である。そこで本研究では、加熱式たばこと従来の燃焼式紙たばこを妊娠マウスに吸入曝露し、出生児マウスの免疫系にどのような影響が生じるか検討した。【方法】ICR系妊娠マウス30匹を1群10匹とし、加熱式たばこ(IQOS)曝露群、実験用紙たばこ(3R4F)曝露群、対照群の3群に分けた。IQOSの気化蒸気及び3R4Fの主流煙の発生はHCI法を用い、妊娠7、14日目に各たばこを4本分、20分間吸入曝露した。出生マウスが5週齢、15週齢の時点における、免疫系への影響を肺胞洗浄液 (BALF) 中の細胞数、肺における発現遺伝子の解析等により評価した。【結果および考察】IQOSの胎児期曝露によりBALF中の免疫担当細胞数は5週齢、15週齢ともに有意な変動を示さなかったが、5週齢において、IQOS群、3R4F群とも対照群と比較して1.5倍の細胞数となり、増加傾向を認めた (p=0.07, p=0.07)。肺で発現する遺伝子を解析したところ、5週齢においてTh1サイトカインであるIFN gamma mRNA、炎症関連因子であるCOX2 mRNAなどで有意な発現抑制が認められた。これらの影響は、幼若期 (5週齢)の免疫系に何らかの影響を与える可能性を示唆するものであり、3R4Fによる影響と同定であった。以上のことから、健康影響が小さいと考えられている加熱式たばこであっても、従来の燃焼式紙たばこと同様の健康影響が生じる可能性が示唆された。
著者
眞下 苑子 吉田 成仁 森脇 龍 竹上 綾香 藁科 侑希 永井 智 大西 信三 白木 仁
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.79-89, 2021-02-01 (Released:2021-01-13)
参考文献数
41

The purpose of this study was to investigate the injury patterns and risk factors of injuries among high school handball players in Japan. A total of 1299 (709 male and 590 female) subjects who played in the 2018 Japanese National High School Handball Championship participated in this study. The questionnaire on injury experience was distributed two weeks before the championship and was collected at the representation meeting the day before the championship. The main results were as follows: 1) The subjects (n=625, 48.1%) reported experiences of injuries in the previous year. Female had significantly more suffer injuries than male. 2) The main body parts of injuries were the ankle, knee, and finger in traumatic injuries and the lower leg, lumber spine/lower back, and knee in overuse injuries. The main types of injuries were sprain, ligamentous rupture, and fracture in traumatic injuries and stress fracture, other bone injuries, and lesion of meniscus or cartilage in overuse injuries. The main cause of injuries was “contact with another athlete”. 3) Age, female players, and back players were associated with increased the occurrences of injuries. Goalkeepers were associated with decreased the occurrences of injuries. These results indicated that a high prevalence of injuries in high school handball players, and it is important to take preventive measures based on age, gender, and player position.
著者
吉田 成朗 鳴海 拓志 櫻井 翔 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.15-26, 2015-02-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
3

Our research goal is to manipulate human emotions and to virtually evoke various emotional experiences. It is challenging to directly manipulate human emotions within the conventional approach of human-computer interaction. To break through this difficulty, we propose a new method for virtually evoking emotions with an integration of the knowledge of cognitive science and virtual reality. Psychological studies have revealed that the recognition of changes within bodily responses unconsciously evokes an emotion.We therefore hypothesized emotion could be manipulated by having people recognize pseudo-generated bodily reactions as changes to their own bodily reactions. In this paper, we focus on the effect of facial expressions on evoked emotion. We developed a mirror-like system that manipulates emotional states by giving the feedback of deformed facial expressions in real time. The user studies clarified that the feedback of deformed facial expression can manipulate emotional experiences; not only positive and negative affect, but also preference decisions. Moreover, user's actual facial expressions were also changed corresponding to the feedback of deformed facial expressions.

1 0 0 0 七年戦争

著者
吉田成志著
出版者
文芸社
巻号頁・発行日
2009
著者
吉田 成仁
出版者
帝京平成大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

前十字靭帯(ACL)損傷の予防方法を開発することを目的として、筋活動とACL損傷リスクとの関連性を検討した。接地直前50msにおいてつま先接地(FFS)は踵接地(RFS)に比べて腓腹筋(GL)、半腱様筋(ST)、大腿二頭筋(BF)の筋活動量が有意に大きかった。また、接地直後50msではFFSはRFSに比べてBFとGLの筋活動量が大きく、前脛骨筋の活動量が小さかった。このことからFFSによる動作では、接地前後のハムストリングスの筋活動が高く働くことが示唆され、FFSによるカッティング動作はRFSによるカッティング動作に比べ、ACL損傷リスクの低いカッティング動作であることが明らかとなった。
著者
吉田 成章
出版者
広島大学大学院教育学研究科教育学教室
雑誌
教育科学 (ISSN:13476181)
巻号頁・発行日
no.29, pp.43-67, 2012

本稿は、広島大学の「平成23年度 組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」(日本学術振興会)(研究テーマ:コンピテンシー志向のカリキュラムデザインと授業構成-教員養成としての一般教授学の再編に向けて-)によって得られた、2012年2月20日~8月20日までのドイツ・オルデンブルク大学での在外研究の研究成果の一部である。
著者
吉田 成志 吉井 健一 松本 英昭 大貫 淳 曽禰 元隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.11-20, 1997-01-25
被引用文献数
1

マルチDSPシステムは, 高速性と汎用性を備えた計算機として国際的に注目を浴びているが, マルチDSPシステムに演算処理を行わせる上での問題点として, DSP間のデータ通信によるシステム稼動率の低下が挙げられる. 稼動率の低下を防ぐためには, ハードウェア設計段階においてデータ通信時間を考慮したタスクスケジューリングをさまざまな相互結合網に対して行い, 演算処理に最適な相互結合網および並列アルゴリズムを十分に検討しなければならない. そこでデータ通信時間をあらかじめ正確に把握するためのシミュレーション方法が不可欠となる. 本論文では, マルチDSPシステムに演算処理を行わせた場合に生じるデータ通信の正確な時間を, アセンブラプログラムのインストラクションサイクル数から作成した数式を用いて求める方法について示す. 本手法を用いることにより, 使用するDSPの種類, プログラマ, DSP間の接続方式およびハードウェアシステムの仮装・実装にかかわらず正確な通信時間を理論的に求められる. 演算処理の例として行列積算と連立1次方程式の求解を取り上げた結果, 最適なトポロジーを選択することが数式によりシミュレーション上で容易に可能となることを示した.
著者
吉田 成仁
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (スポーツ医学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6262号)
著者
吉田 成孝 板東 良雄 村上 公一
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

KLK6はオリゴデンドロサイトに発現するプロテアーゼであるが、そのオリゴデンドロサイト成熟への関与は不明であった。KLK6ノックアウト(KLK6-KO)マウスの解析により、脊髄でのオリゴデンドロサイト発達の一時的な遅延が見られた。KLK6-KOでは脊髄損傷後のミエリン塩基性タンパク質の発現も少なかった。これらの結果から、KLK6はオリゴデンドロサイトの発達に一定の関与をしていることが明らかとなった。
著者
市瀬 孝道 西川 雅高 今井 透 吉田 成一 定金 香里 岸川 禮子 世良 暢之 世良 暢之
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は日本に風送された汚染黄砂の呼吸器系への影響を、実験動物を用いて明らかにすると共に黄砂現象中の健康被害を、呼吸器系を中心とした疫学調査によって明らかにすることを目的する。我々は動物実験で風送黄砂が卵白アルブミンによって誘発される気管支喘息様病態やスギ花粉による鼻炎を悪化させることを明らかにした。また我々は北九州地域における疫学調査おいて、黄砂が花粉症や目の症状を悪化させることを明らかにした。
著者
市瀬 孝道 吉田 安宏 吉田 成一 山元 昭二
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

1. 肺炎桿菌と黄砂曝露による培養細胞における炎症性サイトカイン・ケモカンの遺伝子発現とタンパク発現:黄砂は肺炎桿菌(Klebsiella Pneumoniae(KP))による肺の炎症を悪化させた(前年度)。このメカニズムを明らかにする目的で、BALB/cマクロファージ(MP)由来のRAW264.7細胞に黄砂と肺炎桿菌を曝露して、Toll-like receptor(TLR)2とTLR4mRNAの発現、炎症性サイトカイン・ケモカインのmRNA発現と培養液中のこれらのタンパク発現を調べた。またTLR2とTLR4の抗体を用いてこれらの発現への影響を調べた。肺炎桿菌を添加したRAW264.7細胞はTLR2mRNAの発現を高めたが、TLR4の発現はむしろ低下した。TLR2とTLR4の抗体を用いて、TLR2とTLR4のmRNA発現を調べた結果、TLR2抗体はTLR2mRNAの発現を抑えると共に、炎症性サイトカイン・ケモカインのmRNA発現と培養液中の炎症性タンパク発現を抑えた。しかし、TLR4抗体はこられの発現を抑えることができなかった。この結果からKPはRAW264.7細胞のTLR2発現を介して炎症性サイトカイン・ケモカイン類の発現を高めていることが分かった。RAW264.7細胞にKPと黄砂を添加してTLR2とTLR4mRNA発現、炎症性サイトカイン・ケモカインmRNA発現と培養液中のタンパク発現を調べた結果、黄砂は肺炎桿菌によるTLR2の発現と炎症性サイトカイン類のタンパク発現を更に高めたがTLR4は低下した。この結果から、黄砂の肺炎桿菌による炎症増悪作用はTLR2の活性化を介して肺の炎症を増悪している可能性を示唆した。2. 黄砂付着細菌の感染実験:日本に飛来した黄砂から分離したBacillus spと黄砂をマウスの気管内に投与して黄砂の炎症増悪作用を調べた。その結果、本実験に用いたBacillus spは病原性が低く、マクロファージ数は増加させるものの、炎症反応の誘導性(好中球数の増加)は低かった。またマクロファージに関連したサイトカインは誘導するが炎症性サイトカイン類の発現は低かった。今後は病原性の強い細菌による感染実験が必要である。