著者
金崎 圭吾 和田 健太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.I_911-I_918, 2023 (Released:2023-05-12)
参考文献数
20

本研究は,高速道路サグ・トンネル部における Capacity Drop (CD) 現象を内生的に記述する連続体交通流モデルに基づく待ち行列モデルを構築し,渋滞発生確率の特性を解析する.構築するモデルは,CD 現象の考慮に加え,到着需要のゆらぎと交通容量のゆらぎを区別して 2 段階で渋滞発生確率を記述するものである.それぞれの段階についてモンテカルロ・シミュレーションを行い,(i) CD 現象は渋滞発生確率の分布をより需要が低い範囲にシフトさせること,(ii) 渋滞発生確率の分布形状を主に決めるのは交通容量のゆらぎであること,を示す.
著者
和田 健太郎 岩見 悠太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.I_899-I_909, 2023 (Released:2023-05-12)
参考文献数
26

本稿は,都市における通勤ラッシュに関わる時間集積の経済・不経済にテレワークが与える影響を分析する.具体的には,時間集積の経済・不経済を扱う Takayama1) の通勤均衡モデルをテレワーク(特に在宅勤務)を含むモデルへと拡張し,その均衡状態と社会的最適状態を理論的・数値的に分析する.そして,(i) テレワークの普及は始業時刻の集積を引き起こす(時差出勤と整合しない)こと,(ii) テレワーク導入により各企業・個人の生産性が向上する状況では社会全体の厚生が導入前より低下しうること,を明らかにする.
著者
和田 健太郎 金崎 圭吾 西田 匡志 平井 章ー
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.A_326-A_334, 2023-02-01 (Released:2023-02-24)
参考文献数
10

本研究は,小仏トンネルに渋滞対策として導入された音声注意喚起(速度回復情報提供)システムによって,なぜ渋滞発生時交通量,渋滞発生後捌け交通量等の交通性能の改善がもたらされたのかを考察する.具体的には,近年提案された最新の交通流理論(Jin, 2018; Wada et al., 2020)に枯づく実証分析をシステム導入前後のデータに対して行い比較する.そして,(i) 渋滞発生時/渋滞発生後捌け交通量の改善はボトルネック区間における「安全車間時間の短縮」という共通のメカニズムにより説明できること,(ii) 渋滞中のボトルネック下流の加速度向上は必ずしも捌け交通量の改善には繋がっておらずさらなる改善の余地があること,を示す.
著者
甲斐 慎一朗 和田 健太郎 堀口 良太 邢 健
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.A_280-A_287, 2023-02-01 (Released:2023-02-24)
参考文献数
9

本研究は,近年提案された連続体交通流理論に基づき,国内複数のサグ・トンネルにおける交通容量低下 (CD: Capacity Drop) 現象の分析を行ったものである.具体的には,高速道路会社が 2019 年の 1 年間で集計した渋滞イベントデータを参考に,渋滞区間(および渋滞イベント)を選定し,ETC2.0 プローブデータおよび車両感知器データを用いてモデルのキャリブレーションを行った上で,安全車間時間,ボトルネック下流端における加速度パラメータ等を推定する.そして,理論の汎用性を確認するとともに,推定されたパラメータの傾向を分析し,ボトルネック区間がサグのどこで顕在化するかはまちまちであること,安全車間時間の大小が概ね渋滞発生後捌け交通量 (QDF: Queue Discharge Flow rate) の絶対レベルを決めていること,を示す.
著者
澤 亮治 和田 健太郎 藤嶋 翔太 図斎 大 府内 直樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

限定合理的な人々が相互依存しあう社会における制度設計の分析手法の確立を目指す。制度設計の一手法であるEvolutionary Implementation(進化的制度設計)は、人々が相互作用しあう状況を進化ゲームによりモデル化し、人々の行動遷移を考慮した動的な制度の設計が可能である。大規模な社会システムの設計に適していると考えられるが、一様なプレイヤーの仮定など、手法の適用を困難とする制約がある。数理解析・シミュレーション技法により適用上の課題を解決し、この手法の汎用化を目指す。
著者
和田 健志郎 岩元 悠輔 中山 龍一 柿崎 隆一郎 文屋 尚史 片山 洋一 岸本 万寿実 成松 英智
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.580-584, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)
参考文献数
10

症例は58歳,男性。新型コロナウイルス感染症とARDSに対して人工呼吸,veno venous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)管理となった。酸素化の改善が得られたものの,低コンプライアンスが改善せず,カテーテル関連血流感染の治療に難渋したため,来院第98病日に通常のVV-ECMOから透析用カテーテルと遠心ポンプを用いたextracorporeal CO2 removal(ECCO2R)に移行した。分時換気量の低下,食道内圧の変動の低下から,ECCO2Rによる二酸化炭素除去は呼吸努力を軽減し,肺保護換気戦略を可能にしたと考えられた。ECCO2Rは二酸化炭素の除去のみを目的とした体外循環であるが,本邦には専用のデバイスが存在しない。本症例では透析用カテーテルと遠心ポンプを併用した方法で安全に施行できた。また,ECCO2Rの適応は定まっていないが,長期ECMO後の離脱困難症例に対して有効な可能性がある。
著者
大澤 義明 城所 幸弘 栗野 盛光 小林 佑輔 櫻井 一宏 小林 隆史 和田 健太郎 高野 祐一
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

EVシフトが進めば、大幅な税収減となり新たな財源の確保が必要となる。一方で、インフラ維持管理費用が深刻な問題となる。走行距離など移動経路に応じて課税する受益者負担の考え方はわかりやすく身の丈にあったインフラ量を誘導する。道路修繕更新費用の一部が走行税で賄われる受益者負担課金を想定し、地方自治体まちづくりに与える影響を分析し、社会最適化などの理論モデルを構築する。
著者
岸川 知樹 和田 健太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.I_1109-I_1119, 2022 (Released:2022-05-18)
参考文献数
11

鉄道における保安装置・自動運転の性能向上により,今後極めて高速に車両同士の連結・解結が可能となることが期待される.本研究では,高速車両連結(解結)技術,つまり,柔軟に車両編成数を変えることができるシステムを前提として,新たな高頻度鉄道運行スキームを提案する.具体的には,郊外方向では急行列車が駅に停車する度に新たな各駅停車列車を生成(切り離し)する,その反対に,都心方向では多数の各駅停車列車が急行停車駅で 1 本の急行列車に連結される運行スキームを考える.この提案スキームを表現する連続体近似に基づく数理モデルを構築し,従来型運行スキームとの比較を通して,提案スキームの特徴や優位性を明らかにする.
著者
板橋 昂汰 和田 健太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.I_1045-I_1055, 2022 (Released:2022-05-18)
参考文献数
14

本研究は,ネットワークへの需要分布が上位選択(交通モード選択や住宅立地選択等)により内生化された,タンデムボトルネック・ネットワークにおける出発時刻選択問題の特性を理論的に考察する.具体的にはまず,上位選択に制約のない単純な同時選択均衡を考え,2 つのボトルネックに限定した均衡状態パターン(どの地点で需要・渋滞が発生するか)が上位選択固有の費用(効用)差,隣接ボトルネックの容量比によって分類できることを示す.そして,このパターン分類が,一般的なボトルネック数の問題や上位選択に制約を加えた問題の分類にも有用であることを明らかにする.また,均衡状態と社会的最適状態との関係についても議論を行う.
著者
和田 健太郎
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.368-375, 2016 (Released:2016-04-22)
参考文献数
37
被引用文献数
2
著者
和田 健 駒走 聡昭
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.202111, pp.163-166, 2022

<p>テクノロジーを活用して、事業の業績や範囲を根底から変革させようとするデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を集める中、企業活動にて生じるデータを資産とし、業務PDCAサイクルを改善させるフィードバックにデータを活用する日本企業はまだ多くない。このままでは日本企業が世界のデータ利活用トレンドに乗り遅れてしまう事が危惧される。本稿では、DXの特徴及び従来のIT戦略との特性の違いを整理した上で、今後DX推進に取り組む日本企業が直面する課題を「5つの壁」と分類したフレームワークを提案する。</p>
著者
和田 健太郎 臼井 健人 大口 敬 井料(浅野) 美帆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.85-96, 2017

本研究は,需要のランダム到着を考慮して,系統信号路線の総遅れ時間の期待値を評価する手法を提案する.この手法は交通流の変分原理(VT)に基づく.需要のランダム到着を考慮したVTでは,交通流ダイナミクスは時空間領域のネットワークにおける確率的な最短経路問題の解として記述されるが,その厳密な求解は困難である.そこで,以下の二つを組み合わせた近似解法を提案する:(i) 最短経路の持つ特性による解(経路)集合の縮小;(ii) Clark近似による多重積分の解析的な評価.モンテカルロ計算との比較を通して,提案手法が精度よく遅れ時間の期待値を計算できることを示す.また,提案手法の有用性を示す応用例として,駒沢通りにおける信号最適化のケース・スタディを示す.
著者
和田 健史 浦下 周一 上木原 健太 坂口 健 平山 亮 鈴木 龍介
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.295-297, 2021-09-30 (Released:2021-09-30)
参考文献数
7

症例は39歳男性,左上肢の脱力感および痺れを主訴に受診.CT検査にて異常な左第1肋骨が左第2肋骨に付着し,鎖骨と第1肋骨の間で左鎖骨下動脈が挟まれて瘤化しており,動脈性胸郭出口症候群の診断に至った.また左上腕動脈も血栓閉塞しており,血栓除去術を行ったのち,左鎖骨下動脈の人工血管置換術を施行した.異常な第1肋骨と左鎖骨下動脈瘤周囲は強固に癒着しており,切除は困難であったため狭窄部位を避けて人工血管を通して経路変更による血行再建を行った.胸郭出口症候群における異常な肋骨の切除は時に神経損傷や胸膜損傷等の合併症を来すことがあり,本術式は安全かつ有効な治療の選択肢となり得るため報告する.
著者
和田 健太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_21-I_39, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
83

本稿では,動的交通均衡配分モデルの解析理論の近年の進展について解説する.渋滞の時空間進展と利用者行動の相互作用から生じる,複雑な交通ネットワーク流の見通しのよい解析を可能とする移動座標系アプローチに対象を限定し,車両を流体近似する伝統的なモデルと最近進展している粒子型のモデルを対比的に紹介する.その中で得られる,それぞれのモデルの特徴や関係,均衡解の数理特性に関する成果を踏まえ,双方の優位性を活かした今後の発展の方向性について述べる.
著者
和田 健
出版者
千葉大学国際教養学部
雑誌
千葉大学国際教養学研究 = Chiba University journal of liberal arts and sciences (ISSN:24326291)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-79, 2019-03

[要旨] 本稿では地域振興施策として提唱される「二地域居住」や「移住」による新旧住民の関係を構築する民俗学的方法の可能性について検討したい。具体的には、転入する側(新住民)が、転入する場であるむら(村)における民俗慣行をどう捉えるべきかを検討する。また古くからそこに住む人たち(旧住民)が、今まで伝承してきたむらの運営を新住民にいかに理解してもらえるかについても考える。新住民にとって、旧来の民俗慣行で懸念となるのが、近隣のつきあいに関わる暗黙のルールである。特に草取りや水源の清掃などの共同作業を欠席する場合、どのような罰則(出不足金の金額など)があるのかなどは気になるといわれる。しかしそれぞれのむらで行われている罰則内容をデータとして考えるのではなく、そのむらの「村柄」を理解し有機的なつきあいの中でその意味を考えるべきである。村柄を理解する民俗学的方法の可能性について、千葉県鴨川市川代区を事例に若干の考察を試みたい。
著者
和田 健司
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第48回石油・石油化学討論会(創立60周年記念東京大会)
巻号頁・発行日
pp.100, 2018 (Released:2018-12-17)

担体の金属酸化物の種類や結晶構造が、担持イリジウム種の触媒活性に及ぼす顕著な影響を活かして、種々の有機化合物合成反応に有効な固体イリジウム触媒を開発した。例えば、{010}面を豊富に有するアナターゼを活用して、2-ニトロアニリン類と第一級アルコールからのベンゾイミダゾール合成反応に優れた活性を示す担持イリジウム触媒を開発した。一方、イリジウム錯体と酸化セリウムの組み合わせによって、アルケニルシラン合成反応に優れた活性・選択性を示す固体触媒がその場調製できることを、明らかにした。