著者
岡崎慎一郎 金崎浩司 和田健司 石丸伊知郎
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

本稿では,結像型二次元フ-リエ分光法技術を用いて,小型で除震不要な近赤外分光システムを試作し,コンクリ-ト表面の全塩化物イオン濃度の二次元イメ-ジングの適用性に関する検討結果について,報告を行うものである。検量線の作成時においては,フリーデル氏塩と思われるピ-ク波形において,他の物質に由来するものの影響が含まれていたため,波形のピ-ク分離を行った。また,試験体断面の塩化物イオン濃度における二次元イメ-ジングが,短時間でかつ高精度で行えることを確認した。また,屋外の測定を実施し,概ね問題なく塩化物イオン濃度の二次元イメ-ジングが可能であることを確認した。
著者
和田 健太郎 佐津川 功季
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.56-72, 2017 (Released:2017-03-20)
参考文献数
36

本稿は,1起点多終点ネットワークを対象に,動的配分理論に基づくMacroscopic Fundamental Diagram(ネットワークの車両存在台数とトリップ完了流率の関数関係)の解析法を構築する.具体的には,まず,渋滞パターンを与件とした動的利用者均衡モデルに対する逆問題を定式化する.逆問題は線形方程式系で記述されており,ネットワークのマクロな性能を表すトリップ完了流率と,よりミクロな状態である渋滞パターンとを解析的に関係づけることができる.この解析式の感度分析を行うことで,待ち行列の延伸によるトリップ完了流率の低下が生じる渋滞パターンとそのメカニズムを明らかにする.
著者
ガイタニディス ヤニス 小林 聡子 西住 奏子 和田 健 吉野 文
出版者
千葉大学国際教育センター
雑誌
国際教育 = International education (ISSN:18819451)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-73, 2016-03

[要旨] 本稿は、筆者ら5名が共同で取り組んだ、参加者の言語的文化的多様性を前提とした協働学習に関する実践研究を報告するものである。「日本」を題材とする4つの学部生向け教養科目(「時事から日本を考える」、「現代日本の宗教と社会」、「バイリンガリズムと言語学習」、「異文化交流演習」)を取り上げ、担当教員がどのように学習の場を設定したか、またその結果どのような気づき、学びがあったかを談話データ、コメントシート、フォローアップインタビューなどをもとに分析した。本研究では、協働学習を学生間の対話のプロセスを重視する学習形態を表すものとして捉え、知識、言語、経験など参加者の多様性・差異を肯定的に見なすとともに、それによって生じる学習過程における葛藤にも注目した。「座談」、「協働論証」と名付けた対話の手法、対等な参加を促すための仕掛けの必要性と具体例を紹介するとともに、今後の課題について述べた。[Abstract] This paper is a report of a joint research project on collaborative learning in a multilingual andmulticultural class environment. The report is composed of four case-studies of liberal arts coursesat undergraduate level. Each course convener uses records of in-class student discussions, commentpapers and follow-up interviews to analyse how the learning locus set up in advance impacted onthe learning experiences and outcomes of the course participants.In this research project, collaborative learning is considered to be a form of learning that 1)emphasizes the process of student interaction, 2) takes an affirming stance towards student diversityin terms of linguistic, experiential and knowledge levels and differences, and 3) pays particularattention to the tensions arising from such diversity in the process of learning. Through specificexamples, the report discusses methods of interaction such as zadan (round-table conversation) orcollaborative argumentation and focuses on the necessity of introducing learning techniques thataim for student participation on even grounds.
著者
中田 翔 石田 茜 佐藤 駿 田中 優貴 鈴木 聡 Pradeep Abeygunawardhana 西山 成 和田 健司 石丸 伊知郎
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.65-66, 2014

我々は,無限遠補正結像光学系の光学的フーリエ変換面に,直方体と傾斜プリズムによる透過型位相シフターを挿入した,波面分割型空間的位相シフト干渉法を提案している.これは,スマートフォンなどの結像光学系に,薄い傾斜ガラス板を挿入するだけで,ワンショット(1画像)で1ライン上のフーリエ分光イメージングが可能になる.近赤外領域の分光断層イメージングにより,皮膚などの生体膜表面や内部の成分計測を目指している.
著者
坂井 康一 和田 健太郎 小野 晋太郎 貝塚 勉 杉町 敏之 平沢 隆之 大口 敬 須田 義大 中野 公彦 大石 岳史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.57-62, 2018-03-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
3

高速道路ネットワークの整備が進む中,道路を賢く使うには,ITS 技術を活用した運用施策の実施が求められている.一方で,実施例のない施策の場合,ドライビングシミュレータ等の仮想実験環境を用いて,施策の効果・安全性等の事前評価を行う必要がある.本研究では,高速道路ネットワーク機能を最大限利用するための運用施策の事前評価のため,道路運用施策,評価すべき項目,仮想実験環境に必要な機能・性能,要素技術・理論モデルについて検討を行った.
著者
大塚 正人 GURUMURTHY Channabasavaiah 三浦 浩美 佐藤 正宏 和田 健太 高橋 剛
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第108回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.P-83, 2015 (Released:2015-09-15)

【目的】近年,CRISPR/Cas9系を含めたゲノム編集技術の開発によって,簡便にノックアウト(KO)マウス等のゲノム編集マウスを作出できるようになってきた。現行法では,(1)過排卵処理を施した雌マウスを雄マウスと交配して受精卵を採取する,(2)CRISPR関連核酸を受精卵へ直接顕微注入する,(3)顕微注入処理した胚を偽妊娠マウスの卵管へ移植する,という3つのステップを経て作製する方法が一般的である。しかしながら,これらは熟練した技術とmicromanipulatorという高価な設備を必要とするため,誰もが容易に実施できる環境にある訳ではない。そこで我々は,採卵,顕微注入,移植の手間を省くことが可能な,新規ゲノム編集マウス作製法「Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery (GONAD)法」を考案した。【方法】麻酔処置を施された妊娠雌マウスから2細胞期受精卵を有する卵管を体外に露出させ,ガラスピペットを用いてCRISPR関連核酸溶液を卵管内に注入し,その後,直ちに卵管全体に対し電気穿孔法を施す。術後,卵管を雌マウスの体内に戻し,そのまま発生させる。【結果】本手法の妥当性を確認するために,まず,本技術によってRNA導入が可能であるかを検証した。GONAD法を用いてeGFP mRNAの導入を試みたところ,卵管上皮細胞および着床前胚でのeGFPの発現が観察された。そこで,次にCRISPR関連RNA(Cas9 mRNAとsgRNA)の導入を試みた。その結果,着床前胚において複数の内在性遺伝子,およびeGFP遺伝子のKOに成功した。また,着床後胚においてもeGFP遺伝子のKOにも成功した。これらの結果から,卵管内の受精卵に核酸を直接導入することにより,採卵や顕微注入,移植という一連の高度であるが,煩雑な工程を全てスキップしてゲノム編集マウスを簡便に作製できることが示された。
著者
和田 健太郎 瀬尾 亨 中西 航 佐津川 功季 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_1139-I_1158, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
80

本稿では,道路上の交通流ダイナミクスを記述する標準的な枠組みであるKinematic Wave (KW)理論の近年の発展について解説を行う.具体的にはまず,KWモデルの従来の解析法を概説しその限界を述べた上で,交通流の変分理論(VT)を解説する.また,様々な座標系(Euler座標系,Lagrange座標系)で記述される交通流モデルがVTの枠組みにより相互に関係づけられることをみる.続く章では,上記の単一道路区間(リンク)でのモデルをネットワークに拡張するための理論について記述する.ここでは,多車線道路や交差点を対象に,複数のリンクの境界面における交通流を決めるための条件や手法を解説する.
著者
和田 健
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、戦時体制下にさしかかる1930年代後半を中心に、生活習俗に関わる改善指導が、どのような文脈のもとで策定されていたかを検討するものである。特に農山漁村経済更生運動における更生計画書に与えた生活改善事項記述の影響を考察することを中心に行った。そのため、生活改善同盟会が刊行した指導書について、分析を行っている。本年度は昨年度に引き続き、通俗教育の官製運動である生活改善運動のなかで刊行された『生活改善の栞』および『農村生活改善指針』に記載された衛生および衣食住に関わる生活改善指導の記述について考察を行った。『生活改善の栞』はおもに、都市部に居住する中産階層を対象とした生活のあり方を示したものであり、例えば衣食住に関わる記述において、特に婦人服、児童服の奨励と指導、また食に関しては、例えば食べきれない食事の提供をやめることを提唱、住環境については、下水関係のあり方と間取りについて詳細に改善事項を提案している。『農村生活改善指針』でも、そのような衣食住の生活改善について記されているが、特に衛生面での記述に紙幅を割いている。例えば寄生虫が堆肥を経由して野菜などの収穫物により蔓延しないよう、堆肥のあり方と便所の改善(内務省式改良便所)については詳細に記している。いわゆる不衛生から来る病気(回虫、トラホームなど)の予防のあり方について詳細に記している。本年度は、両指導書に見られる「衛生」に関わる記述を中心に比較して、人々の日常生活に「衛生思想」が埋め込まれる感覚について、および「衛生的」とされることばの受容について、あわせて考察を行った。また生活改善同盟会設立の趣旨の中に「国民の覚醒を促し思想を善導する」と記されているが、「思想を善導」することと、旧来より人々が行ってきたさまざまな民俗慣行との関わりについて衛生思想の観点から分析を行った。
著者
大塚 正人 和田 健太 佐藤 正宏 三浦 浩美
出版者
東海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

従来のゲノム編集マウス作製法では、(1)受精卵の回収、(2)CRISPR関連試薬の顕微注入、(3)注入卵の偽妊娠マウスへの移植、という熟練した技術と高価な設備を要する3つのステップが必須であった。今回、受精卵を有する妊娠メス卵管へのCRISPR関連試薬の注入、続く卵管全体へのin vivo電気穿孔を行うことで、上述した3つのステップ全てを省いてゲノム編集マウスが作製できる新手法「GONAD」の開発とその応用を進めた。
著者
木目沢 司 和田 健之介 レイ トーマス 下原 勝憲
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.439-440, 1997-09-24

デジタル生態系Tierraにおいては仮想生命体(デジタル生物)自身が進化することによって環境が変化し, その変化した環境に適応できた個体がより多く子孫を残す。Tierraにおいて進化するプログラムの具体的な機能は自己複製に関するもののみであり, それ以外の機能の創発は見い出されていない。本研究では自己複製以外に仮想的なモデル世界での適応機能を持ったシステムを検討する。仮想3次元空間で形状が成長・進化する生物(樹木)をつくり, 形態形成を記述した遺伝コードの進化の可能性を検討した。すなわち, Tierraにおけるエネルギー資源のアナロジーの代りに仮想的な日光を, 物質・空間資源のアナロジーの代りに樹木を成長させるためのフィールド(土地)を与え, これらの資源をめぐってより環境に適応した樹形を生成する個体がより多く生き残るシステムを作成した。以下では, 本研究で使用したシステムを説明し計算結果を示す。
著者
原田 昌和 山本 学 和田 健 神木 茂樹 明楽 修身 住吉 増彦 黄 祖冷 森田 展雄 坂本 忠幸
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.657-663, 1988
被引用文献数
13 3

Odontogenic keratocyst has been reported by many authors as a specific entity of odontogenic cysts since first described by Philipsen.<BR>Histopathologically, keratinization of the epithelial lining and formation of micro cyst; clinically, higher incidence of recurrence are characterized. Three hundred and sixty odontogenic cysts operated in the Department of Oral Surgery from 1966 to 1984 were studied. A representative histopathologic section from each cyst was screened, using the criteria for odontogenic keratocysts as stated by Pindborg.<BR>Of the 360 cases, 24 fullfilled the histologic criteria for odontogenic keratocysts, for a 6.7 per cent incidence. Of the twenty-four patients, one was diagnosed as basal-cell nervous syndrome, and had five cysts. Of the 24 patients, six had cyst recurrence for a rate of 32 per cent. One patient each had recurrence after one year five months, after three years, after three years four months, after three years five months, after four years six months and one four years ten months after the primary operation. Recently, some investigators have pointed out that odontogenic keratocyst may be benign cystic epithelial neoplasia. In our study, this opinion has been taken into account in view of the higher incidence of recurrence, but no histologically precise feature was obtained.
著者
大塚 紘雄 君和田 健二 上原 洋一
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.629-636, 1994-12-05
被引用文献数
6

桜島噴火から噴出した新鮮火山灰に腐植の給源と思われるススキ,ササ,カシワの植物遺体を添加し,反応速度を高めるために加湿して培養し,腐植酸の生成過程を追跡した.さらに,腐植酸の生成に関して反応速度論的解析を試みた.結果を要約すると次のとおりである. 1)培養による植物遺体の色の変化は,新鮮火山灰・水添加区(新鮮火山灰+植物遺体+水)では,培養日数が増加するにしたがい,黄色から褐色,黒褐色へと変化した.植物遺体区(植物遺体+水)も黄色から,赤黄色を経て黒褐色に変化するが,その速度は新鮮火山灰水添加区より著しく遅かった.新鮮火山灰・水無添加区(新鮮火山灰区+植物遺体)では黒褐色にはならなかった. 2)新鮮火山灰・水添加区の色は,90℃,75℃,65℃の順に早く黒褐色に変化した. 3)90℃培養ススキの腐植酸の形態変化は,新鮮火山区では202日間でA型に達したが,植物遺体区(ススキ+水)ではB型にとどまった.75℃についても,同様なパターンがみられた. 4)ササの腐植酸への形態変化のパターンもススキの場合に類似し,培養の初期にΔlog K の大きな現象が起こった後に,RFの増加が始まった.しかし,カシワではΔlog K の現象変化が小さく,培養の初期からRFの増加が起こった.しかし,カシワにおいても,ススキ,ササと同様に,新鮮火山灰・水添加区ではA型の生成が早かった. 5)75℃培養区の微生物測定の結果,微生物の影響はほとんどないと判断した.したがって,ススキ,ササ,カシワの各植物遺体の腐植酸はすべて,(1)新鮮火山灰と水が存在する無菌的条件下で,培養温度が高いほど早くA型腐植酸を生成できること,(2)水が存在しないと,腐植酸の腐植化の程度は進行しないこと,(3)新鮮火山灰は腐植化の程度を進行させることが明らかとなった. 6)反応速度論的解析によって,ススキの新鮮火山灰区,35℃では約150年でRF80以上のA型腐植酸になることを推定した.ススキを有機物の給源とする土壌では,植物遺体中のA型腐植酸の基質量と反応速度が十分に大きく,活性化エネルギーはササよりも小さい.ススキはA型腐植酸が容易に生成できる条件を備えていることが明らかとなった.