著者
坂本 貴志
出版者
日本シェリング協会
雑誌
シェリング年報 (ISSN:09194622)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.50-59, 2017 (Released:2019-08-06)

Agostino Steuco zufolge geht es in seinem Traktat ‚philosophia perrenis‘ um die Einsicht in die Weisheit, die am Anfang Adam zugeteilt wurde, und die aber nach der Erbsünde, zwar in einer Art der Verartungen, dennoch in den Erinnerungen an den Ursprung, den Nachkommen verkündet wurde. Zu dieser uralten traditionellen Denkweise der ‚philosophia perrenis‘, die auf den gesamten Wiederaufbau dieser Weisheit zielt, zählen neben den (Neu)Platonikern und den Philosophen der Renaissance vor allem Kircher, Leibnitz, Gottsched und Herder, indem alle nach dem einzigen Ursprung der Offenbarung auf der Erde im Hinblick auf die anderen Religionen sowie auf die möglichen Wesen der Bewohner auf den anderen Planeten suchten. Goethe hält von dieser zu monogen tendierten Denkweise Distanz, indem er eine Offenbarungsreligion als ein symbolisches Medium auffasst, durch das die Menschen wie bei der Natürlichen Religion zu einem über alle Erdkörper erhabenen Gott geführt werden. Goethes West-Östlicher Divan sowie seine poetische Figur ‚Mütter‘ in Faust bieten für diese These reichliche Beweisgründe dar.
著者
下野 恒 柿木 滋夫 坂本 三哉 安田 寿一 岡田 了三
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.630-635, 1984-06-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
15

多発性筋炎に拡張型心筋症様の所見を合併した1例に心筋生検を施行した.症例は57歳男性,労作時の息切れ・動悸を訴えて近医受診.心不全症状は軽快したが,重篤な不整脈が頻発するため当科入院となる. CPK 570IU/lと高値, 胸部写真で CTR 54%,肺うっ血認めない.心電図は左軸偏位,心室性頻拍,多源性心室性期外収縮,心房細動,上室性頻拍および異常Q波を呈し,UCGで左室の拡大およびhypokinesisを示した.骨格筋生検で慢性ミオパチーと炎症所見を認め,多発性筋炎と診断された.心筋生検では,筋細胞の配列の乱れ,心内膜および心内膜下結合織内の出血,間質うっ血などの所見が得られた.本例は,多発性筋炎に伴う二次性心筋疾患と考えられ,副腎皮質ステロイド剤投与によりCPKは著明に低下し,抗不整脈薬の投与で症状は改善した.
著者
坂本 信臣 近藤 淳一 原田 信弘
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-24, 2007 (Released:2007-06-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1

電磁流体力学(MHD)推進技術は次世代の推進システムとして期待されており,NASAマーシャルスペースフライトセンターではMAPXと呼ばれるMHD加速実験が計画されている.この計画ではダイアゴナル型のMHD加速機の使用が予定されている.チャネル上下に配置された電極を適切に接続することによって,流れの非対称性やジュール加熱を緩和することができ,これはホール電流中和状態と呼ばれる.本論文では,このホール電流中和状態を理論的に評価し,さらに理想的な電極接続状態と実機との違いの影響を見積もった.結果として,両者に多少の違いは生じるが加速機出口における流速に大きな違いはないことを示し,実機においても理想的に評価されたホール電流中和状態をほぼ達成できることを示した.
著者
山本 晴彦 松岡 光美 渡邉 祐香 兼光 直樹 坂本 京子 岩谷 潔
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-30, 2021-12-31 (Released:2022-07-01)

2020 年7 月6 日から8 日にかけて梅雨前線が九州北部付近に停滞し,太平洋高気圧の周辺から暖かく湿った空気が 流れ込み,広い範囲で記録的な大雨となった。6 日の日降水量は大牟田のアメダスで388.5mm(観測史上第1 位)を観 測し,7 月6 日0 時から翌日の8 日24 時までの48 時間降水量(2 日間)は,福岡県南筑後地方,熊本県山鹿・菊池地 方,大分県日田市南部の東西40km,南北20km の帯状の範囲で,600mm 以上の地域が広がっていた。本豪雨により大牟田市では内水氾濫が発生し,死者2 人,住家被害は全壊11 棟,床上浸水1,341 戸,床下浸水713 戸の計2,054 戸に上った。特に,諏訪川下流左岸の三川地区では,三川ポンプ場の排水能力(64.4mm/時間)を超える集中豪雨に見舞われたことにより,ポンプ場が内水氾濫により浸水して排水機能が停止した。これにより,三川地区では約800 戸が最高2m 近くまで浸水し,復旧が進んでいない住宅も数多く見受けられた。浸水被害が甚大であった三川地区の汐屋町,樋口町,上屋敷町1・2 丁目付近は,戦前はレンコン畑や水田が広がる低平地であったが,1960 年代に入って埋め立て工事に伴う区画整備が急速に進み,標高が周囲より低く浸水リスクの高い地域での開発が被害の拡大を助長していた。
著者
山本 晴彦 渡邉 祐香 兼光 直樹 松岡 光美 福永 祐太 坂本 京子 岩谷 潔
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.35-56, 2020 (Released:2021-06-14)

2019年台風19号の通過時に、長野県の千曲川上流に位置する佐久地方の上石堂では、10月12日の日降水量が553mmを記録するなど、上流で記録的な豪雨に見舞われた。千曲川中流の千曲市に位置する杭瀬下水位観測所では12日の21時50分に氾濫危険水位の5mを大きく超える6.40mの水位を観測した。増水した千曲川から新田霞堤の開口部に洪水流が流れ込み、先端部を超えて堤内地の新田・杭瀬下地区に洪水流が流入した。この洪水により千曲市では1,677世帯に浸水被害が発生しており、霞堤の開口部閉鎖についての検討が進められている。浸水した地区は住居誘導地区や都市機能誘導地区に指定されており、浸水被害の軽減対策が求められている。
著者
山本 晴彦 渡邉 祐香 兼光 直樹 松岡 光美 福永 祐太 坂本 京子 岩谷 潔
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.79-105, 2020 (Released:2021-06-14)

2019年台風19号の通過時に、栃木県の日光から福島県の白河の延びる那須連山、茨城県北部から福島県浜通り地方と宮城県南部の阿武隈高原では、降水量が300mmを超える記録的な豪雨に見舞われた。両山系から阿武隈川に流入した降雨により、中流の須賀川、郡山、本宮、福島、下流の丸森町等では既往の水位を超える洪水災害が発生した。郡山市では阿武隈川からの越水、支流の谷田川の破堤や逢瀬川の越水等により、死者6名、建物被害は1万1千件に上り、1986年の「8.5水害」を超える水害となった。特に、阿武隈川と谷田川に挟まれた水門町、十貫河原、中央工業団地等では事業所や工場等で最高4m近くまで浸水し、現在も復旧が進んでいないケースも見受けられた。
著者
坂本 邦暢
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.50, no.257, pp.31-36, 2011 (Released:2021-07-22)

Francis Bacon was a major early modern critic of Aristotelianism. In addressing its matter theory, he mainly attacked the concept of prime matter, which, for many Aristotelians, was deprived of any attribute. He denied this doctrine on the basis of the inseparability of matter from its quantity and power. By examining theological and natural philosophical dimensions of this idea, this paper reveals the close interconnection among various fields of knowledge in Bacon's thought.
著者
坂本 邦暢
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.252, pp.214-223, 2009 (Released:2021-08-03)

This paper examines the theological dimension of Francis Bacon's atomistic theory of matter. This analysis shows that he was among those early modern atomists who modified the classical atomism from a theological perspective. To achieve this goal, the discussion first focuses on Bacon's criticism of Bernardino Telesio. Bacon criticized Telesio's natural philosophy for being theologically false. Trying to avoid this falsity, Bacon developed his atomism in the framework of Biblical Creation story. According to him, God first made the chaotic mass of atoms from nothing and then brought order to the world by giving divine power to each atom. Consequently, atoms came to be led by divine wisdom. This theory aimed at modifying the purely materialistic aspect of the ancient atomism, according to which God never intervenes in the world. The wording employed by Bacon for this modification has strongly suggested that he relied on the work of the Danish Paracelsian Petrus Severinus in developing this atomistic reading of the Bible. Utilizing Severinus's theory to harmonize atomism with the Christian doctrine was common among early modern atomists such as Nicholas Hill, Daniel Sennert and Pierre Gassendi. Therefore, it is on the basis of his reliance on Severinus that we can locate Bacon's matter theory in the history of atomism in the early modern era.
著者
松瀬 留美子 坂本 剛 松瀬 善治
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.57-66, 2018-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
8

障害者差別解消法(2016 年)が施行され、各大学では自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder : ASD)学生への修学支援について合理的配慮の観点から新たな制度の構築が試みられている。本稿では、私立大学におけるASD学生への修学支援の取り組みを紹介し、それらの支援実践を通して明らかになった課題を講義担当教員が直面する課題として焦点をあてて検討した。第一に、小規模大学における取り組みとして、施行年度の障害学生の入学時相談、講義時における支援申請についての資料を提示した。第二に、複数の大学における事例をヴィネットの形式で紹介し、教員がASDと関わるときに配慮が求められる課題として、①講義実施と講義内行動、②定期試験の時間延長と成績評価、③意思疎通と学内外活動、④教員側のASDに対する知識と指導経験量の差、⑤体験から学ぶことの5 点を取り上げ、合理的な配慮を検討する際に有用な知見を導き出して考察した。また、ASD学生への合理的配慮として、どこまでを合理的配慮の範疇に該当するのかは、各大学が実情に合わせて事例を積み重ねて精査をしていく必要がある。さらに、合理的配慮を検討する際には、ASD学生の社会参加に有用であるという基本的視座に立つということと、全学でASD学生を受け入れるような風土を醸成していくことが重要であると論じた。
著者
奥谷 香 坂本 薫
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.335-343, 2020-10-05 (Released:2020-10-12)
参考文献数
17

近年,行事食や伝統料理,郷土料理などを若年層へ受け継ぎにくいことが報告されている。若い世代へこれらを伝えていくためには,世代や居住地域による嗜好の違い等を把握し,地域の食を伝承していく課題を見出す必要があると考えられる。そこで,行事食や伝統料理,郷土料理として日本人に受け継がれてきた寿司(早ズシ)の摂取状況調査とすし飯の官能評価を行い,寿司の摂取状況やすし飯の味付けの評価に世代や居住地域の違いがどのように関連するかについて検討した。その結果,食べることが最も多い寿司の種類は,どの世代も「にぎり寿司」であり,入手方法は若い世代は「回転寿司」が最も多かった。さらに,若い世代は普段の食事として寿司を食べており,すし飯の嗜好は世代や居住地域の違いで異なっていることが明らかとなった。地域の食を伝承していくためには,特徴をいかしつつ,文化的背景を知らせたり,味付けの一部をアレンジしたりし,興味を持ち,食べてみたいと思う取組を行うなどの工夫が必要であると考えられた。