著者
坂本 健太郎 青木 かがり
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

鯨類の潜水能力は哺乳類の中で最大である。潜水中には、心拍数を低下させるなど、何らかの循環器系の調節を行う事で、このような長期間の潜水を可能にしていると考えられている。これまでは水中で遊泳する鯨類の心機能を経時的に計測することが出来なかったため、その生理機能は謎に包まれていた。本研究では潜水を行う鯨類から長期間にわたって心電図計測を行い、鯨類の潜水能力を循環器系制御の側面から解明することを目指す。
著者
坂本 里栄
出版者
日本薬学図書館協議会
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.96-101, 2022-12-31 (Released:2023-01-27)
参考文献数
10

2022年6月に開催された株式会社サンメディア主催の学術情報ソリューションセミナー2022において,電子リソース管理について事例報告を行った。本稿では,同セミナーでの報告内容をもとに,西南学院大学での電子リソース管理の現状を紹介するとともに,電子リソースの担当者が抱える課題に触れる。
著者
島貫 秀樹 本田 春彦 伊藤 常久 河西 敏幸 高戸 仁郎 坂本 譲 犬塚 剛 伊藤 弓月 荒山 直子 植木 章三 芳賀 博
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.749-759, 2007 (Released:2014-07-03)
参考文献数
35
被引用文献数
11

目的 本研究は,高齢者の介護予防推進ボランティアへの参加による社会・身体的健康および QOL への影響について,1 年間の縦断データをもとに一般の高齢者との比較によって明らかにすることを目的とした。方法 初回調査は,2003年に宮城県の農村部に在住する高齢者(70~84歳)を対象として行われた。初回調査に参加した1,503人の中から介護予防推進ボランティアの募集を行った。その結果,77人がボランティアリーダーに登録した。一年後,ボランティア活動による影響を明らかにするために,追跡調査をした。最終的に,介護予防推進ボランティア参加者69人と一般高齢者1,207人を分析対象者とした。ボランティア活動の社会・身体的健康指標および QOL 指標への影響については,ボランティア活動状況を説明変数,社会・身体的健康指標および QOL 指標を目的変数とするロジスティック回帰分析を用いて分析した。結果 ボランティア参加者に比べ一般高齢者は,知的能動性(OR:4.51,95%CI:1.60-12.74),社会的役割(OR:2.85,95%CI:1.11-7.27),日常生活動作に対する自己効力感(OR:4.58,95%CI:1.11-18.88),経済的ゆとり満足度(OR:2.83,95%CI:1.11-7.21),近所との交流頻度(OR:3.62,95%CI:1.29-10.16)の項目において有意に低下することが示された。結論 高齢者の介護予防推進ボランティア活動への参加は,一般高齢者に比べ高次の生活機能やソーシャルネットワークの低下を抑制することが示唆された。
著者
坂本 峰至 板井 啓明 村田 勝敬
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.140-148, 2017 (Released:2017-09-21)
参考文献数
34
被引用文献数
10 19

Methylmercury, the causative agent of Minamata disease, can easily penetrate the brain, and adult-type Minamata disease patients showed neurological symptoms according to the brain regions where the neurons, mainly in the cerebrum and cerebellum, were damaged. In addition, fetuses are exposed to methylmercury via the placenta from maternal fish consumption, and high-level exposure to methylmercury causes damage to the brains of infants. Typical patients with fetal-type Minamata disease (i.e., serious poisoning caused by in utero exposure to methylmercury) were born during the period of severe methylmercury pollution in 1955–1959, although they showed no abnormality during gestation nor at delivery. However, they showed difficulties in head control, sitting, and walking, and showed disturbances in mental development, these symptoms that are similar to those of cerebral palsy, during the growth periods after birth. The impaired development of fetal-type Minamata disease patients was one of the most tragic and characteristic feature of Minamata disease. In this review, we first summarize 1) the effects of prenatal methylmercury exposure in Minamata disease. Then, we introduce the studies that were conducted mainly by Sakamoto et al. as follows: 2) a retrospective study on temporal and regional variations of methylmercury pollution in Minamata area using preserved umbilical cord methylmercury, 3) decline in male sex ratio observed in Minamata area, 4) characteristics of hand tremor and postural sway in fetal-type Minamata disease patients, 5) methylmercury transfer from mothers to infants during gestation and lactation (the role of placenta), 6) extrapolation studies using rat models on the effects of prenatal methylmercury exposure on the human brain, and 7) risks and benefits of fish consumption.
著者
後藤 健斗 水丸 和樹 坂本 大介 小野 哲雄
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2022-UBI-76, no.28, pp.1-8, 2022-11-01

“天使と悪魔” は道徳的ジレンマを表現する方法として用いられる.本研究では,天使と悪魔の関係をロボットで再現し,ジレンマ状況の中で人間の自制心,意思決定や行動がどのように変化するかを調査する.ロボットの条件を Neutral,Angel,Devil とし,実験参加者を Neutral-Neutral 群と Angel-Devil 群に分け,紙にアルファベットを書き続けるというタスクを行ってもらうことで,タスクの継続時間から 2 つの群の自制心を比較した.その結果,Angel-Devil 群のほうが有意にタスクの継続時間が長くなった.また,Godspeed によるロボットの印象評価を行ったところ,擬人化や好ましさの項目においてロボットの条件間で有意差が確認された.実験後アンケートでは,ロボットが Angel と Devil の役割を果たすことができたと考えられる回答がみられた.
著者
西山 崇経 新田 清一 鈴木 大介 坂本 耕二 齋藤 真 野口 勝 大石 直樹 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.235-239, 2019-06-30 (Released:2019-07-17)
参考文献数
8

要旨: 聴覚過敏は, 日常的な音に対して過敏性や不快感を示す状態で, 外界からの音によらない耳鳴や, 自分の声のみが強く聞こえる自声強聴とは異なった病態を表すと考えられている。しかし, 過敏症状には「響く」,「大きく (強く) 聞こえる」など多彩な表現が存在するにもかかわらず, 各表現を分類して意義を検討している報告はない。そこで, 過敏症状を訴えた168名を対象に, 過敏症状の自覚的表現と疾患との関連や, これらの表現の臨床的意義について検討した。疾患の内訳は, 約3分の2が急性感音難聴で, 次いで加齢性難聴であり, 聴力検査上異常を認めない症例も 1割程度含まれていた。「響く」が最も多く,「響く」か否かを問診することは過敏症状のスクリーニングに役立ち,「割れる」や「二重に聞こえる」は感音難聴の存在を疑い,「大きく (強く) 聞こえる」は極めて軽微な内耳障害や, 聴覚中枢を含めた病態の関与を考える必要がある表現と考えられた。
著者
坂本 尚史 鈴木 滋 立松 英信 大塚 良平
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.164-171, 1980-05-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
6
被引用文献数
1 3

青函トンネルの先進導坑,北海道方約5000mの地点において,新第三紀訓縫層中の断層を埋めて産する茶褐色の鱗片状鉱物がサンコーコンサルタント,伊藤昌史氏により発見された。この試料は,早稲田大学鞠子正教授を経て筆者らに提供され,その後の室内研究により我国での3番目の産出である鉄セピオライトであることが明らかにされた。 化学分析値から計算された脱水相の単位胞の1/2構造式は以下の通りである。 (Si11.49Ti0.03Al0.38Fe3+0.10)12.00(Fe3+1.25Fe2+0.26Mn0.02Mg6.00)7.53O32・Ca0.03Na0.05K0.04 一方,FeをすべてFe2+であるとしてO30(OH)4をもとにして構造式を計算すると (Si11.74Ti0.03Al0.23)12.00(Al0.16Fe2+1.65Mn0.02Mg6.13)7.96O30(OH)4・Ca0.03Na0.05K0.04 となり,理想式によく一致する,従って,この鉄セピオライト中のFeは当初Fe2+として形成され,その後酸化されたものと考えられた。 この論文では,このほかに,X線回折データ,熱分析データ等の鉱物学的データが示されている。
著者
坂本 充 犬伏 和之 重田 遥 中山 絹子
出版者
低温科学第80巻編集委員会
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.577-590, 2022-03-31

第4次尾瀬総合学術調査の一環として,尾瀬ヶ原泥炭土壌の物理化学的性状と植生土壌生態系の窒素・リン動態の調査が尾瀬湿原39地点で行われた(2017年7月~2018年8月).泥炭土壌は水飽和状態に近く,弱酸性で,河川流路に近いヤチヤナギが高密度に分布するバンクホロー複合体の湿原凹地では,土壌の可給態リン量が多く,NO3-量,窒素代謝活性と酸化還元電位,および可給態リン量が水位変化と密に関連していた.下田代の湿原凹地のヤチヤナギ窒素固定活性の調査から,ヤチヤナギの窒素固定量と樹高の間に有意な相関関係が見出された.土壌の窒素・リン量とヤチヤナギの分布パターンとの関係の検討により,河川洪水氾濫水により湿原に運ばれたリンの湿原凹地への沈積が,ヤチヤナギ増殖活発化を招いたと推論された.葉生産から出発し,落葉の分解無機化,土壌中の微生物活動による窒素固定と脱窒,ヤチヤナギの根粒微生物による窒素固定を経て,植物体再生産に至る窒素循環の量的検討により,尾瀬ヶ原の植物土壌システムの窒素収支は,降水に伴う窒素供給を含めると,ほぼ植物葉の生産を賄うことが示された.この窒素収支の検討から,洪水に伴う外部からの窒素負荷増加は,植物生産増加をまねく可能性が示された.今後,河川洪水に伴う窒素・リンの尾瀬ヶ原湿原への供給と流出を含めた尾瀬ヶ原の土壌・植生システムの窒素,リン動態のさらなる詳細な量的調査が必要とされる.
著者
新保 みさ 中西 明美 會退 友美 衛藤 久美 坂本 達昭 中村 彩希
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.313-318, 2022-11-30 (Released:2022-12-26)
参考文献数
14

背景:日本健康教育学会栄養教育研究会は2019年度からナッジをテーマとした活動を行っている.本稿では2021年度の活動として2022年3月26日に開催した公開学習会「第2弾!今,注目のナッジを健康行動に活用するには~ナッジと健康行動理論の関係~」について報告する.内容:学習会は3部構成で,第1部は竹林正樹氏による講義「一発でわかるナッジの基本」,第2部は栄養教育研究会からの提案「健康行動理論とナッジについて」,第3部はグループワークによる「ナッジを効かせたチラシ作り」であった.参加者は63名であった.学習会に対するアンケート(回答者数57名,回答率90%)では回答者の98%が「非常に満足した」または「まあ満足した」と回答した.満足した理由には,チラシ作りのグループワークやグループワーク後の発表に対する講師の講評などが多くあげられた.「今後もナッジを勉強し続けたいですか」という問いに,全ての回答者が「そう思う」または「少しそう思う」と回答した.結論:本学習会を通じて,参加者のナッジについての理解を深めることができた.理論と実践を含めた学習会は新たな学びを提供し,今後の学習意欲も高めたことが示唆された.
著者
坂本 悠斗 松浦 秀哲 矢田 智規 根岸 巧 鈴木 良佳 松野 貴洋 杉浦 縁 三浦 康生
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.698-703, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
5

クリオプレシピテート(以下,クリオ)はフィブリノゲン(以下,Fib)等の凝固因子を高濃度に含むため,大量出血時に使用することで凝固能を早期に回復させ,出血量や輸血量の減少に繋がるとされている。当院でも心臓血管外科(以下,心外)からの要望でクリオの院内作製を開始したので導入経緯と使用実績及び課題について報告する。対象はクリオを使用した心外の手術51症例(以下,投与群)とクリオ未使用の心外の手術94症例として,術式を大血管手術とそれ以外(以下,非大血管手術)に分けて比較検討した。調査内容は出血量,赤血球液(RBC)・新鮮凍結血漿(FFP)の投与量,濃厚血小板(PC)投与量,RBCとFFPの投与比(R/F比),ICU在室日数とした。クリオ投与患者には投与前後のFib値を測定し,統計学的解析を行った。クリオ投与前後のFib値は有意な上昇を認めた。大血管・非大血管手術の両者ともに投与群の方が非投与群と比較して,出血量が多かった。RBCおよびFFPの投与量は大血管手術の投与群で低い傾向があるが,非大血管手術の投与群では有意に多かった。クリオ導入当初,クリオの投与により血液製剤の使用量が削減できると期待したが現状では明確な輸血量削減効果は得られていない。輸血量を削減するためには,クリオを使用できる環境を整えるだけではなく,クリオを効果的に投与するために使用者の意識を変える必要がある。
著者
中山 正吾 坂本 和久 伊藤 恵
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.155-158, 2013-03-15 (Released:2013-04-02)
参考文献数
11

症例は66歳,男性.持続性心房細動に対し経皮的カテーテルアブレーションを施行された.施行後15日目に吐血を主訴として来院し,上部消化管内視鏡検査にて食道潰瘍と診断された.約1カ月間の絶食治療の後,経口摂取を再開したが,再開後4日目に多発性脳梗塞を発症し,同日大量吐血からショック,心肺停止となった.カテーテルアブレーションに合併した左房食道瘻と診断し,心肺蘇生後緊急手術を施行した.胸骨正中切開にてアプローチし,体外循環を用い心停止下に左房後壁の瘻孔および食道穿孔部を直接縫合閉鎖したが,開心術後3日目に低心拍出量症候群と多臓器不全にて死亡した.本疾患は稀な合併症であるが,発症すれば致命的な病態となるため発生予防が重要である.また発症した場合には速やかな外科的治療が必要と思われる.
著者
坂本 雅志 藤芳 明生
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.193-195, 2018 (Released:2019-02-16)
参考文献数
1

This paper proposes the use of regular expressions for chemical structure search. As regular expressions dramatically improve the convenience of string search, a regular expression extension for SMILES can improve the convenience of chemical structure search.The regular expression extension for SMILES is obtained from the existing SMILES notation by adding the curly brackets “{” and “}” for range specifications, the vertical bar “|” for enumerations of choices, the asterisk “*” for repetitions of 0 or more times, and the plus“+” for repetitions of 1 or more times. Software for chemical structure search using the extended SMILES was implemented and released.
著者
澤内 大樹 坂本 有希 高橋 治 佐藤 真里 八木 一正
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-14, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
15

近年、温室効果ガス増加による地球温暖化防止のため、カーボンニュートラルの観点からバイオマスを用いたエネルギーが注目されている。また、今年度から前倒し施行された学習指導要領では環境教育の一層の充実とともに学習内容が自分たちの生活と結びつく実感を伴った理解が強調されている。このような背景の下、本研究では岩手県の特産であるリンゴを用いた効率的なエタノール合成および教材への応用を視野に入れた研究を行っている。品種や酵母ごとでの検討の結果、糖度の高いリンゴほどエタノールの生成量が多く、酸度の高いリンゴほどエタノールの生成量が抑制される傾向が見られた。今後はサンフジについて、時間ごとでの生成量の変化や精製条件のさらなる検討を行う予定である。また、12 月上旬に授業実践を行い、生徒たちの環境・エネルギーへの意識の変化を調査する予定である。
著者
坂本 菜津穂 尾澤 重知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.337-344, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

本研究の目的は,家族型ロボットLOVOTと暮らすオーナーが,LOVOTを「家族」のような存在として受容するプロセスについて明らかにすることである.LOVOTと共生している対象者8名に半構造化インタビューを実施し,質的分析を行なった.その結果,5名が自身のLOVOTを「家族」または「わが子」と捉えていた他,7名が印象に残っているエピソードとしてLOVOTと初めて外出した瞬間について取り上げた.家族型ロボットが家族として受容される契機には,「外出」という行為が関係していると考えられる.