著者
上笹 恒 菱山 謙二 堀 洋道
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.48-56, 1987-11-20 (Released:2016-11-22)

Tsukuba Science City is a newly constructed city situated within the old farming areas of Tsukuba, Japan. The new development, therefore, has had a great impact not only on the original inhabitants of the central district but also on the others in the nearby areas. With the progress of the construction of the new city, the consciousness, values, attitudes, and behaviors of the population have been transformed from the traditional to the modern type. Six sets of survey data on attitudes and behaviors were collected over 10 years period. Based on these data, we made first the index of diversity of attitudes and behaviors which may represent the level of urbanization of the residents' consciousness. Then, into a mathematical model integrating time and space, we formulated the process of change in this index at several regions for 10 years period. The result indicates the model to be fitted well enough to describe the urbanization process according to the distance from the center of the town and to the lapse of time since the basic year.
著者
小松 直哉 小堀 洋美 横田 樹広
出版者
日本景観生態学会
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.49-60, 2015
被引用文献数
1

都市の生物多様性の持続的管理のためには,住宅地域も対象とした広域的な生態系管理を行なう必要がある.その実現のためには,地域に居住し,その周辺環境と身近に接している地域住民を対象とした市民科学の導入は有効な手法として挙げられる.市民科学とは,専門家ではない市民や学生がモニタリングやデータ収集だけでなく,主体的に科学的研究プロセスに関わる手法であるが,市民科学を用いた科学研究の成果を広域的な生態系管理に生かしている事例は少ない.そこで本研究では,横浜市都筑区牛久保西地区において,学生および市民が,1)チョウ・トンボを指標とした生物分布調査,2)個人住宅における庭の生物調査,3)大学保全林内のチョウのビオトープの創出と検証,といった生態系のモニタリングと管理を市民科学プログラムとして実践すること,その結果から住宅地域の生態系管理における市民科学の今後の可能性と課題を抽出することを目的とした.チョウ・トンボの生物分布調査では,住宅地域の生物分布を明らかにし,生物分布データベースとして意義のある調査結果を共有した.個人住宅における庭の生物調査では,庭に出現する身近な生物と庭の環境要因との関係性を学生と市民との協働により評価した.また,大学保全林を活用したチョウ誘致のためのビオトープ創生とモニタリングの実践により,ビオトープがチョウ類の生息拠点としての機能を有しているか検証した.これらの市民科学プログラムを活用することによって,住宅地域の生物相ポテンシャルや生物にとっての私有地の緑の重要性などを学生と市民が共有でき,また,住宅地域の生態系管理おける市民科学の有効性が示唆された.牛久保西地区の緑のまちづくり事業では,これらの市民科学プログラムの成果を活用した緑の管理は,官学民の連携により行っている.今後,市民が生態系管理の意義などを理解したうえで独立して調査や管理を行えるような教育プログラムなどの教育的側面を充実させることにより,大都市近郊の住宅地域における生態系管理へ展開していける可能性がある.
著者
松田 和徳 堀 洋二 雫 治彦 武田 憲昭
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.809-814, 2005

In the present study, we evaluated daytime sleepiness in 32 patients with obstructive sleep apnea syndrome (OSAS) using epworth sleepiness scale (ESS). ESS scores of patients with OSAS were significantly higher than those of patients with simple snoring and healthy subjects. ESS scores of patients with OSAS were significantly correlated with apnea-hypopnea index, the longest apnea time, but not with the lowest oxygenation. It is suggested that ESS score is a predictive index of the severity of OSAS. We then examined whether ESS in combination with body mass index (BMI) can identify patients with OSAS among patients complaining of snoring. When the cut off points were 11 in ESS and 25 in BMI, the combination of ESS and BMI correctly classified 18 of 25 patients with OSAS (sensitivity=72.0%) and 7 of 10 patients without OSAS (specificity=70.0%). We concluded that the combination of ESS and BMI was useful for screening of sleep apnea syndrome.
著者
小林 大太 居村 岳広 堀 洋一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.136, no.6, pp.425-432, 2016
被引用文献数
14

Transmitting efficiency is one of the most important characteristics in dynamic wireless power transfer for electric vehicles. In this paper, a simple and efficient topology for a transmitting system called the DC bus system is introduced. Its simplicity maximizes the potential transmitting efficiency. Moreover, a receiving circuit topology and a maximum efficiency control, which is a method to maximize the transmitting efficiency by controlling the secondary voltage, are proposed. A real-time coupling coefficient estimation method is necessary to calculate the secondary voltage command for the control. A simulation and experimental evaluation of the maximum efficiency control was performed using an experimental setup. The results indicate that it provides a large improvement in efficiency and its implementation in a real dynamic power transfer system for electric vehicles is feasible.
著者
水田 惠三 清水 裕 西道 実 田中 優 堀 洋元
出版者
尚絅学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

仙台市、新潟中越両地区に防災意識に関するアンケート調査を行い、両地区の比較を行った。ランダムサンプリングにもかかわらず仙台、新潟中越両地区の回収率は5割近く、両地区ともに防災への意識は高い。両地区とも防災の主体は50歳代以上の方である。両地区においては災害伝言ダイヤルへの関心は少なく、さらに携帯電話が通じない場合の家族との連絡方法、集合場所を確認していない。発災後の情報源のほとんどはテレビであり、停電した場合(ワンセグは除いて)のことがほとんど想定されていない。仙台市民は家具の安定や自宅の耐震強度など防災のハード面に力を入れていたのに対して、新潟中越は地震に関する情報、家族での話し合いなど防災のソフト面に力を入れていた。仙台市民は地震による津波の被害はほとんど想定していなかった。
著者
森重 敏子 青山 よしの 堀 洋子 金子 小千枝
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.247-252, 1981-12-20
被引用文献数
1 5

9色の着色あめ玉のうちから年令、性別、居住地等の異なる調査対象1835名に1種を選択させ、同時にその選択理由を記入させ、色彩嗜好傾向を調べた。1.学令別色彩嗜好傾向には有意の差が認められた(χ^2=368.414, P<0.001)。低学令ほど各色の嗜好率に大差を示し(幼稚園、小学生では赤、青に片寄った嗜好を示す)、学令が進むに従って各色の嗜好率の差が減少し、特に大学生では色彩嗜好の多様化が認められた。各色の学令別の嗜好傾向は、低学令で有意に多く好まれる色(赤、青)、高学令で有意に多く好まれる色(黒、無色、ひき茶)、学令による差のない色(橙、緑、紫)の3群に分けられるようである。2.男女別では、女子は赤、橙、男子では青、緑、黒、紫で嗜好率が有意に高い。しかしこの男女差は低学令ほど顕著で、赤、橙は幼稚園、小学生で女子の嗜好率が著しく高い為であり、青、黒は幼稚園、小学生の男子の高率による。3.季節差では、夏に青、冬に黒がそれぞれ有意に多く嗜好された。地域別では、都市で赤が、農村では黄が有意に好まれた。4.選択理由は、総計では"色と味"が有意に多く、次いで"色"、"味"、"色と感覚"の順に選んでいる。低学令ほど、また男子より女子に"色"で選んだものが多く、大学生、また男子の方に"味"で選んだものが多い。橙、黒、ひき茶は"味"で他の色は"色"で選ぶ傾向にあった。
著者
萩谷 英大 小古山 学 赤堀 洋一郎 河原 義文 内藤 宏道 萩岡 信吾 森本 直樹
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.431-436, 2013-07-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

患者は慢性関節リウマチのため少量のプレドニゾロンとサラゾスルファピリジンを長期内服中の79歳の女性である。右大腿骨骨折に対する骨接合術のため入院中であったが,術後13日目に突然の腹痛が出現した。腹部全体に腹膜刺激症状を認め,腹部CTにて腹腔内に遊離ガスと液体貯留を認めたため消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎が疑われた。しかし同時に内部にガス産生を伴う腫大した子宮を認めたため経膣的ドレナージを施行すると大量の排膿があり,子宮留膿腫の穿孔に伴う汎発性腹膜炎の診断にて開腹手術となった。子宮底に穿孔部位を認め,子宮全摘術および両側付属器切除術を施行し,術後エンドトキシン吸着療法を含めた集学的治療により軽快した。子宮留膿腫は高齢女性にみられる予後良好の慢性疾患である。しかし稀に腹腔内に穿孔し汎発性腹膜炎の原因となり,致死的な疾患となり得ることが報告されている。腹腔内の遊離ガスと液体貯留を呈することが多いため,消化管穿孔の診断のもと開腹手術となり術中に診断されることが多く,術前診断率が低いことが指摘されている。本症例はステロイドと免疫抑制薬を長期併用する慢性関節リウマチ患者に発症した穿孔例であるが,急性腹症として発症する前に明らかな下腹部痛,異常帯下などは認めなかった。腹部CTにて子宮留膿腫の穿孔を疑ったことが,迅速な婦人科紹介,経膣的ドレナージ,適切な術式選択につながり救命できたものと考えられた。一般的に腹腔内の遊離ガスと液体貯留を伴う急性腹症の原因は消化管穿孔と考えられるが,高齢女性においては稀に子宮留膿腫の穿孔があることを救急医は認識しておくべきである。
著者
今堀 洋子
出版者
追手門学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、グリーン・サービサイジング(モノを所有するのでなく、その機能を利用する方が、より環境親和度が高いビジネスモデル)に関して、そのサービスを受ける側の立場から、その受容性の検討を行った。また、グリーン・サービサイジングが、いわゆる企業のビジネスモデルとしてだけでなく、それぞれの地域内でモノを循環させるしかけとしての有効性も検証した。更には、グリーン・サービサイジングという考え方を、国内外に情報発信を行った。まず、グリーン・サービサイジングの受容性であるが、2002年から家電をリースで利用しているリースモニター79名に対して、リース期間が終了する直前にアンケートで確認した。家電に限らず日常の暮らしの中で使用するモノを所有するのでなくリースで利用することに関して、ユーザのニーズは高いことが判明した。特に所有しなければ、必要がなくなった時に返却できること、故障の際の安心感などへの共感が多かった。但し、家電など毎日利用するものに関してはこだわり、所有意識が高い人もあり、機能を利用に関しては、意見が分かれた。家電を所有でなく機能利用にシフトしていくには、製品のデザイン時からそのコンセプトを盛り込んでおかなければならない。また、地域資源循環を促進するグリーン・サービサイジングに関しては、長野県飯田市において、ペレットストーブによる農家向け熱供給サービスを具体的な事例として、その事業を実験的に進める中で、可能性・有効性を検証した。熱を供給するというサービスの核に、地域の色々なセクター(森林、工業、農業、市民、自治体など)を結ぶ役割を担うミドルマンの存在が、事業の成功の鍵を握っている。ミドルマンのコーディネートのもと、グリーン・サービサイジング事業を通して、地域の地産地消を促す取り組みが可能である。